姉からの贈り物(2)童話集から
湖と少女のお話


静かな森の中に少女の家はありました。
その森には、大きな美しい湖がありました。
三人姉妹が住んでいましたが、器量よしの姉達とは違って、
末っ子のルシアだけは、いまいち可愛くない女の子でした。

どこかで読んだようなお話ですが…
まあ、お話なんて、どこかが似ているもんだとそんなものだと…
イヤイヤ何かのお話と混ざっているかもしれませんが…

筋書き通り、可愛くないルシアは一人いつも水汲みに行くのです。
一人さみしいルシアの日課は、水を汲む時…、
水面に映った自分とお話をする事でした。

水面に映る自分の姿は、お姉さん達とはまるで違う顔かたちでした。
「私もきれいになりたい、かわいい女の子になりたい」
そうつぶやくルシアでした。
すると或る日のこと、湖の妖精があらわれてこう言うのです。
「ルシア、大丈夫よ、あなたも必ずきれいになれますよ」
「あなたは心優しい女の子…だから、もっともっと優しくおなりなさい」
「もっともっと優しくなった時に、あなたはきれいな女の子になっているでしょう」

その日からルシアは、これまでよりもっと優しくなろうと努めました。
毎日の水汲みも、喜んで続けました。
そして、しばらくたった或る日のこと
いつものように水面をのぞきこむと…、
そこには、見たこともないかわいい女の子が映っているではありませんか
「だれなんだろう、このかわいい女の子は…?」
「あなたですよ、ルシア、そのかわいい女の子はあなたなのよ」

見たこともないかわいい女の子それはルシア自身だったのです。
やさしくやさしく生きようとして、変ったルシアの姿だったのです。

子供心って純粋です。
そうなんだぁ、優しくなればかわいくなれるんだぁ
幼い私の心の奥で「優しくなろう」そう決めたかどうかは覚えていません

でも今思えば、きっと無意識のうちに…、
かわいくなりたい気持ちが、優しくなろうと決めていたのでしょう。
この童話が私に優しくなる事を、教えてくれたのだと…
心から姉に感謝を贈ります。
(注)だからと言って私が可愛いかどうか…はなはだ疑問あり(爆笑)
前よりきっと、良くなったということにしておきたい(切願望)

**現在、人と優しくなっていく話をし続けているのですが、
確かに顔が変ります、始めて会った時よりも、時間は経って行くのに…
みんないい顔になっていくのは確かに現実に起きていることなのです。
いまより、少しでも優しく…


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