2001年8月12日 釣行記

 今回も1日釣行というよりも、このシーズンでは昼間はからっきしという事も充分に知り尽くしている為、夜の暗い間だけの釣行という事で夜の8時過ぎに隊長と合流し、1号宅にて用意を整えた後、お互いに貧乏で資金もない二人は夜の国道6号線を北上して、一路行きなれた霞ヶ浦へと車を走らせていった。
 まだお互いに夜ご飯も食べていなかったので、最近めっちゃ値下がりした吉野家へ途中によって280円の並盛りをたいらげて腹も満足!気合も入れなおして更に北上を続け10時をまわった頃に本日最初のポイントである自衛隊脇のドックと水門のあるポイントへと到着した。ここは土浦の駅からも近いため、いつでも誰かしら人が入っていたのだが、すっかりバス釣りのブームも下がった為か、この時間からきている人も皆無、ブームのくるもっと以前の昔っからバス釣りをたしなむ1号にはうれしい限りだ!隊長は...おっと(笑)
 しかしこの自衛隊脇、なぜかポツンと湖岸に鳥居や祠があり、何とも不気味な印象をかもしだしている場所でもある。道路からも離れていて、他に人がまったくいないとちょっと怖い場所なのだ。今回もまた前回の釣りに続いてこちら側は風表になるらしく、ちょいと釣りのしづらい場所であった為、そうそうにポイントに見切りをつけて風裏になる場所、今回は通称「1位ポイント」と呼ばれる場所へと向かった。なぜこの名が...由来は今さらもう語る必要もないだろう(笑)
 自衛隊脇から大(...っというほどの距離でもないが...)遠征し、1位ポイントへ到着、しかしここもやはり前回に引き続いて減水している。そうこの間、利根川水系には取水制限が出されたばかりで、わずかに降った雨では水位の回復には至らなかったようだ。それでも今回は夜だけの釣行という事もあり、この場で腰を落ち着けて数少ないポイントを二人で思い思いにさぐっていった。
 時間だけがむなしく過ぎていく...普段ならば何かしらの反応のあるドックの護岸や石積みの際、はては近場の流入河川のそばのアシ際まで、まったくといっていいほどに反応が無い。やはり減水の為、浅場のポイントにはバスはいないのだろうか?過去に幾多の伝説を残してきたポイントでさえも、この夜は湖面が静かに波打つばかりである。
 得意のノーシンカーやバズベイトはおろか、あらゆる手段を尽くしてみたが、僕のロッドにはいかな生命反応も伝わってはこなかった。「やはり今夜もダメなのか?」なかばあきらめムードの強い1号を尻目に、隊長はもくもくとポイントへキャストを続けていた。そしてしばらくそんな隊長から目を離していた瞬間、どこからともなく不思議な声が響いてきた。

「うぇ〜〜〜 やっちまったぁ〜〜〜」

 一瞬わが目を疑ったが、隊長がそこに自慢気にかかげていた生き物は、な、なんとブ○ーギルであった。

うぇ〜やっちまった

 しかし釣りを開始して数時間...やっとあった生き物の反応に、俄然2人ともやる気を発揮し、とにかく邪道であっても釣果のあったノーシンカーで、また1からポイントというポイントをせめ始めた。2人で思い思いに足を使って移動を繰り返し、最後に1号の行き着いた場所は、もっとも得意であり好きな場所の、ドックの外側のヘリであった。そこでノーシンカーをゆっくりとリトリーブしながらバスを誘っていると、遠くでバシャバシャという音が...ま、まさか...とっさに振り返った僕の背後でドックの石積みを攻めていた隊長のロッドが大きくしなっている。間違いない、バ、バスだ!僕らの特徴であるリールのドラグをいっさい緩めないで一気にあがってきたのは見事なまでの魚体のきれいなバスであった。

会心の1匹目

 や、やられた...1号はバスはおろかブルー○ルのあたりさえ無い状況というのに、すでに2匹の釣果をあげた隊長は、今さっきバスを釣りあげたポイントを1号にゆずり、自身はロッドをベイトに持ち替えて、恒例のキャスティングの練習?に向かっていった。とにかく1匹の釣果の欲しい1号は恥も外聞も投げ出し、隊長が見事なバスをあげたポイントへとルアーを送りこんでいった。しかしやはり1匹をついさっき釣り上げた場所の為か?はたまた1号の腕や技術が未熟な為か、何の反応も得られなかった。中ばあきらめかけてポイントを変えようとリールを巻き始めた瞬間、何かラインの先からあきらかな生命反応が伝わってくる。「ん?食ったのかな?」半信半疑の中ロッドをあおり、たいした手ごたえもないままあがってきたのは本命ではあるが、ミニマムサイズのコバッチだった。しかし、念願の1匹だ!

 釣り上げたバスの小ささと、釣れないかな?っと思いながら、やっと釣れたあまりの嬉しさからか、ついつい...(笑) しかしこのバスはこの後に展開するパラダイスへの、ほんの序章に過ぎなかった事を、この時1号だけはまだ気がつかずにいた。しかし隊長だけは...
 この1匹で1号も気がつくべきであった、この場所にバスがまわってきている事に...しかし隊長は野生の感で気づいていた、いや、無意識に気づいていたのかもしれない。本日唯一の釣果のあった石積みの際を調子にのって相変わらず責めつづける1号を尻目に隊長は、また新たな責め方で、新たなポイントを開拓し始めていた。
 隊長は投げる...スピナーベイトをキャスト!キャスト!キャスト!まるで狂ったように投げては巻き、投げては巻きを繰り返し、次第にスピナーベイトが落ちるポイントは、まだ見ぬベストスポットへ、まるで吸い込まれるかのごとく誘われていった。そして、その瞬間はやってきた!
 まるで何か大きな重い物にひっかかったかの様に隊長のロッドが大きくしなった。重い...ロッドをあおってみても、ラインの先からは重いゴミがからまったような感触しか伝わってこない。しかしその先には見事なまでのサイズのバスが、しっかりとスピナーベイトを飲み込んでいた。長い長いファイトの末にあがってきたバスは丸々と太ったナイスサイズであった!このバスをきっかけに隊長の快進撃は始まった。

会心の2匹目

 隊長と同じスピナーベイトにロッドを持ち替えた僕は再び隊長の釣り上げたポイントを譲り受け、スピナーベイトをキャストし続けたが、いっこうに何の反応もない。

1号 「いったいどこにどう投げて釣れたんだよ?」
隊長 「この鯉のイケスの柱の際の先に投げて、こ〜巻いてきたらゴンときたんだよ!ん?フィ〜〜〜ッシュ!」

 何と1号に釣り方を教授していたはずの隊長のロッドが、さきほどとまるで同じシチュエーションで、しかも1投で大きくしなった。あがってきたのはまたしても丸々と太ったナイスサイズであった。

会心の3匹目

 ますます悔しさをますばかりの1号を尻目にすっかりご満悦の隊長とはうらはらに、まったく同じ事をしているにもかかわらずサラッと1投で釣られた1号は、さらにがむしゃらにスピナーベイトを投げつづけたが、その後1号はまさに釣れない病にはまっていった。
 同じ所で同じ様な事して、釣れても釣れなくてもしょうがないやい!っとつまらない意地と負け惜しみをはきつつ、隊長のポイントを後にし、1号なりに色々と試行錯誤しながらポイントを転々としていった。次第に帰路につく時間もせまり、1号の中にはすっかりあきらめムードがたかまっていたが、隊長はまだまだあきらめてはいなかった。
 再びスピナーベイトポイントへ戻った隊長は、最後のさぐりをいれるべく、再びキャストを開始。そして数投後に再び奇跡が起きた!

「フィ〜〜〜ッシュ!!!」

 掛け声と共に再び隊長のロッドが、この日最大とも思えるほどに、今にもロッドが折れんばかりの勢いで大きく弧を描いてしなっている。体の大きな隊長が今にも霞ヶ浦の中に引き込まれそうなほどに...必死に隊長の体を後ろから支え、2人ががりで引きずりあげたバスは、この日1番のグットワンであった。

会心の4匹目

 今までの人生の中でも会心といえる釣りと釣果を得た隊長はご満悦の中、そしてすっかり負け組の1号は中ばフテクされながら、次第に明るくなってきた霞ヶ浦の土手をひた走り。一路家路へと戻っていったのである。