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2005/10/25(火) (初心に帰る) この10年いろいろ教えていただきました 売上が思わしくないので、街頭販売を午後7時からすることにする。 オムライス弁当6個、やきめし弁当3個、おにぎり弁当3個、ごはん弁当3個の計15個を プラスチックもろぶたに入れ、全く知らない初対面の人に売りに行く。ドキドキもんである。 秋田町、紺屋町、両国通り、徳島駅前の各客待ちタクシーに一台ずつアタックする。 「お弁当どうですか」「夕方作った冷凍物なしの完全手作りです」「500円です」 100台に声掛けても色よい反応がありません。悲しくなります。それでもめげずに続けると 「おまはん初めて見るな」「みんな5時か6時ごろ食べているので来るのが遅い」 「いまどきのタクシー運転手が500円ものもん食べるかいな」手で「しっ〜しっ〜」犬追っ払い。 「こちとらも客少ないのに、わしらから稼ぎ取るか」「ほんな講釈いらん、量があって安かったらええ」 「駅ビル内の弁当は閉店間際の半額やってますがな」「こっちとら安うてええとこ店いっぱい知っとるわさ」 ほとんどの人が一言「いらん」。 そんな中、「大変やなぁ」「珍しいな、晩に弁当売り歩いとるなんて」「ほうオムライスかい」 「どこに店あるん」「車に轢かれんよう気つけよ」「あいつはまだ飯食うとらんで」 タクシー仲間世界を垣間見た。 私も「全部売れるまで帰って来るなと言われた」「いや〜生きていくんてほんま大変です」 「ほんままごころこめた弁当なんです」とたくさん会話を繰り返していると情けない涙が滲んできた。 「負けたらあかんで」と続けて3個買ってくれたときには、込み上げて離れた暗いところでおもいきり男泣きした。 忘れかけていた商売の原点が蘇った。店で待ってて電話注文をくれる有難さがつくずく分かった。 有名なタクシー運転手の金太郎さんらしき人が秋田町入り口で車内インターネットしていたところにも声掛ける。 次に交番、本部、夜の役所、24時間ガソスタ、スナックママを回った。 「いや〜、もうご飯食べてしもうたわ ほなけんど深夜にチーンして食べるけんもらうわ」 「ごめん近所に熱々すぐ持ってきてるとこあるんや」「夜の営業は警備上困ります」「隣にローソンあります」 「いやんどないしよん一個も〜ちゅう」平気で一晩何万も使っていた街で500円の有難味を知る。 そうだあそこ行こう。坂をぶんぶん登った。眉山山頂である。 トイレ前の照明のある東屋ベンチに弁当を並べ、夜景を見に来たカップルに声掛ける。 きっと薄気味悪く見えただろう。綺麗な眼下の街明かりを見ながら、商売抜きで会話が何組かと盛り上がる。 結局、肌寒くなった風を身に染ませながら、持って上がった同じ個数を長い階段駐車場まで下る。 ブランド力、宣伝力、販売力、というのは大変な長時間の努力の上に出来上がるのだと貧力感じた。 4時間の成果は15個中8個となった。買っていただいた初対面の優しい方々ありがとうございました。 また厳しいご意見もありがとうございました。この経験で私も商売人として人間としてひとつ大きくなれました。 同居人いわく「この世でいらん人間はあの世でもいらん」。 まだまだ修行しないと成仏できそうにありません。 友達の居ない私がいつも言っている「空海さんと友達なんよ」の悟りも自分よがりの薄っぺらいもののようです。 口ばっかしの私、改めなくては。男らしさと優しさ、それに経済力。   めそめそ男のばかやろ〜。
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