神道辞典(作法以外)


 天照大御神(あまてらすおおみかみ)とは .
.



◆日本を守る女神

天照大御神は神の世界である高天原(たかまのはら)を治める日の神、天を照らす神として誕生しました

天照大御神は高天原だけでなく、葦原中ツ国(あしはらのなかつくに、人間の世界)にも光を与える神として存在し、
日の本の国(ひのもとのくに)、日本の由縁ともいえる崇高なる国家守護の神とされます

日本は「神の国」といわれますが、それは天照大御神が守る国という解釈に基づきます

日本書紀によると、天照大御神はその孫に葦原中ツ国を治めることを命じられました
孫にあたる神は高天原より降臨され(天孫降臨、てんそんこうりん)、
さらにその子孫がやがて天皇となって以後の日本をお治めになりました
(次項の皇祖神を参照)

天照大御神は高天原から葦原中ツ国を見守っていますが、
その御霊(みたま)が宿る御鏡(みかがみ)は、伊勢の神宮(内宮)に祀られています
(3項の伊勢神宮に祀られるを参照)



◆皇祖神(こうそしん)

天照大御神の孫にあたる神、番能邇邇藝命(ホノニニギノミコト)が高天原(たかまのはら)より降臨し、
人が住む葦原中ツ国(あしはらのなかつくに、日本)を治められました(天孫降臨、てんそんこうりん)

やがてその子孫が初代天皇、神武天皇(じんむてんのう)となりました

天照大御神は皇祖神、つまり天皇の先祖にあたる神ということです


 【系図】

  天照大御神
     |
  天忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)
     |
  番能邇邇藝命(ホノニニギノミコト)
     |
  火遠理命(ホオリノミコト)
     |
  鵜葺草葺不合命(ウガヤフキアヘズノミコト)
     |
  神倭伊波禮毘古命(カムヤマトイワレビコノミコト)→神武天皇として即位(初代天皇)



初代天皇の神武(じんむ)天皇の即位は今から約2600年前(紀元前660年)とされています

現在の天皇陛下は今上陛下(きんじょうへいか)と呼ばれますが、今上陛下(平成)は125代目です
昭和天皇などの名は崩御(ほうぎょ、お亡くなりになった)後に呼ばれます

日本のように1つの王朝が2600年以上も続く国はまれで、日本の王朝は世界一長く続く王朝です
アメリカは1776年、中国は1949年に建国されました



◆伊勢神宮(内宮)に祀られる

天照大御神は葦原中ツ国(あしはらのなかつくに、日本)を治めることを
番能邇邇藝命(ホノニニギノミコト)に命じたとき、御鏡(みかがみ)を渡しました
その鏡を私と思い祀りなさいと
現在は伊勢の神宮(内宮)に祀られています

第10代崇神(すじん)天皇の頃までは、天皇が皇居にて御鏡をお祀りになっていました
しかし、崇神天皇は皇居でお祀りすることはあまりに恐れ多く、もっと特別な場所でお祀りすべきだと考ました
そこで、御鏡をお祀りする地を探しまわり、近江(滋賀県)、美濃(岐阜県)を経て、
第11代垂仁(すいにん)天皇の御代(みよ)に伊勢で祀られることとなりました(伊勢神宮の創建)

このような由緒を持つ伊勢神宮は、天皇の神社ともいえ、他の神社とは性質が大きく異なります

伊勢神宮では私幣禁断(私事を祈ることはできず、国家安穏に感謝するのみ)とされていました
奉幣(お供え)できるのは天皇唯一です

つまり天照大御神が祀られる伊勢神宮は、国家鎮護のために存在しています

近くの神社で伊勢神宮のお札を授与するのはそのためです

 ・近くの神社(氏神)→地域の鎮護、
 ・伊勢の神宮(天照大御神)→国家の鎮護

よって、国家と地域の鎮護を願い、2つのお札をお祀りください

伊勢神宮は内宮(ないくう)と外宮(げくう)があり、
内宮には天照大御神さまが祀られ、外宮には豊受大神(トヨウケノオオカミ)が祀られます
豊受大神は天照大御神のお食事をつかさどる神さまです

外宮では毎日朝夕に日供(にっく、お食事のお供え)がされますが、
調理のために火を起こすところから始められます
火を起こすときには、木と木をこすり合わせる原始的な道具が用いられています



一覧に戻る