子安浜は京浜急行子安駅から歩いて5分も掛からない住宅地兼漁港です。子安と言うと、京浜工業地帯を形成する工場や倉庫ばかりが建ち並んでいる印象があります。しかし神奈川区をながれる入江川の河口には、そんな固定概念を覆すような昔ながらの漁師町風情が残っています。木の杭を立てて水面にせり出させた家屋や小屋が犇くように建ち並び、乗下船や水揚げ作業に便利な形となっている。どんな地方の漁港でも港湾整備が進んで整然としていますが、子安浜は時代の流れに取り残されたように、昭和庶民の湾岸の風情を残しています。この運河に沿って東西に伸びているのが浜通り。漁師町独特の狭い路地に隙間なく建てられた庭のない家屋。自動車はおろか、自転車でも難儀する細い路地の奥には、災害時の非常用に使用できるように態々手漕ぎポンプにしている井戸が狭い町の中に溢れています。その中に「井川湯の井戸」があります。この「井川湯」は明治時代末期の創業で昔ながらの家庭的雰囲気のある銭湯で、背景が約3年に1度塗り替えているそうで、現在も薪100%でお湯を沸かしているそうです。「井川湯の井戸」は井川湯の建物の横にあります。
井川湯の井戸