ドイツ環境ガバナンス調査(環境NGOとのパートナーシップ)

9月

22日(月):出発

23日(火):(1)プファッフェンホーヘン郡政府環境担当、(2)プファッフェンホーヘン自然愛好協会

24日(水):(1)ローンホフスポーツクラブ、(2)ミュンヘン市環境協議会

25日(木):(1)エルランゲン市役所環境担当、(2)バイエルン自然保護連盟、エルランゲン支部

26日(金):(1)ダッハウ郡政府環境担当

27日(土):自由行動

28日(日):帰国




9月22日(月)

出発


 家を6時半に出発し、JR尼崎より関西空港行きの空港バスに乗り、8時過ぎに空港に着く。今回同行していただく福岡工業大学社会環境学部の野上先生は既にチェックインカウンターで待たれていた。カウンターがとても混んでおり、チェックインに30分もかかる。西風の気流が強く、飛行時間がかかるため、出発が9時40分から30分に早まったそうだ。こんなこともあるのかなと思いつつ、両替、不足物の買い物をして出発10分前のぎりぎりに機内に入る。もう少し早く着いていれば空港ラウンジでゆっくりできたのに残念。次回からは、この時間帯の出発は気をつけよう。ぎりぎりだったので、鹿児島大学大学院生で同行する久保さんには結局機内で初めて会うことになった。
 フランクフルトまで約12時間の飛行時間だったが、同行者と話ながらだと時間の経過が早い。フランクフルトで乗り換えて夕方ミュンヘン空港に到着した。寒いと思っていたら、何と日本より暑いぐらいではないか。これだと晩秋ぐらいの気候を想定して持ってきた服装は着れない。空港からは、Sバーン*1でミュンヘン市の中心地にあるハウプトバーンホフ(Hauptbahnhof)駅まで約40分の所要時間で到着。ホテルから通訳の長谷川さんに電話をして明日以降のことを確認した後、旧市街地の新市庁舎の地下にあるラーツケラー(Ratskeller Muchen)でドイツ料理を楽しんだ。もっとも、日本時間では朝方になるため、どうにも眠い感じであった。ホテルに帰って、シャワーを浴びて早々に眠りについた。

*1 ドイツの鉄道システムは、地下鉄のUバーン、Sバーン、そして、DBからなっている。Sバーン(S-Bahn)は大都市の市域やその近郊の街を結んでいる鉄道、Uバーンは、(Untergrundbahn, ウンターグルントバーンの略で、地下鉄である。DBは、統一後民営化されたドイツ鉄道株式会社(Deutsche Bahn、ドイチェ・バーン)の略。
*2ミュンヘンの鉄道路線図(Sバーン、Uバーン)

(機内にて)

ハバロフスク近辺。日本海から大陸に入ったところ。
フランクフルト航空機内。
シベリアのツンドラ地帯。人の住む気配がほとんどない。ヨーロッパに行くまでのロシア上空はこのような風景が延々と続く。
ようやくヨーロッパに近づく。ロシアからバルト海に抜けたあたり。写真は、バルト海に見える島。
フランクフルト近辺を走るアウトバーン。
着陸が近づく。写真は、フランクフルト近辺の町並み。


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3日(火)

調査先:(1)プファッフェンホーヘン(Pfaffenhofen)郡政府環境セクション、(2)プファッフェンホーヘン自然愛好協会(Naturfreunde)


 長谷川さんとホテルで8時待ち合わせ。彼の車でミュンヘンから北へ約40kmの地点にあるプファッフェンホーヘンへ向かう。あいにくの雨模様で、気温も昨日よりもぐっと下がり、夏からいきなり晩秋になった感じ。プファッフェンホーヘンの郡政府で郡長以下廃棄物担当セクションの職員にヒアリングを行う。郡政府は、18の町村を行政管理している。また、ヒアリングの後、市内にあるゴミ収集施設を見学する。
午後から、同じプファッフェンホーヘンにある自然愛好協会にヒアリングに行く。会長に協会が運営する施設の中を案内してもらう。
協会は、自然保護とスポーツクラブの両方の要素を兼ねている。ここでは、活動内容や運営、収入の内訳等について聞いた。
プファッフェンホーヘンを後にし、夕刻ホテルまで送ってもらって長谷川さんと別れる。18時に集合し、昨夜と同じエリア(旧市街地)のドイツ風レストランに行く。

ミュンヘンオリンピック公園(オリンピック会場跡地)。
ミュンヘンオリンピック公園(オリンピック会場跡地)。
プファッフェンホーヘン郡政府が入っている建物の入り口。
プファッフェンホーヘン郡政府の環境セクションの人からのヒアリングの様子。
プファッフェンホーヘン市中心街の町並み。ドイツの町並みはどこも美しい。
地区ごとに設置されたゴミ箱。
赤十字等の設置する古着入れ。回収後は、福祉施設などに送られる。
各家庭におかれているゴミ箱。
プファッフェンホーヘン自然愛好協会が所有する建物。
建物内のレストラン。ここの収益を協会の運営費に回している。
建物内の宿泊施設。ここも同様に、収益を協会の運営費に回している。
協会会長からのヒアリングの様子。
プファッフェンホーヘン市内にあるゴミステーション。
容器・包装ゴミで、DSD社によって回収されるもの。黄色の袋に入っている。

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24日(水)

調査先:(1)ローンホフ・スポーツクラブ(Sportverein Lohhof e.V.)、(2)ミュンヘン市環境協議会
Bundnis fur Okologie)

 朝、8:30にホテルに集合し、ミュンヘン郊外にあるNPOが運営するローンホフスポーツクラブに行く。空港から市内に来たときのSバーンに乗って空港までの途中の駅であるローンホフで降りたら、担当者が迎えに来てくれた。この地区は、ここは、ドイツのNPO制度を理解する上で、さらに、総合型地域スポーツクラブの関係で、ドイツのスポーツクラブを是非見たいと思い訪問した。日本がモデルとしているのはドイツのスポーツクラブであり、どのようなものか体感できて参考になった。
午後は、ミュンヘンに戻りミュンヘン市役所の環境担当から話を聞く。このセクションは、環境NGOなどとのパートナーシップ型協議会の事務局を行っている。ドイツ型のNPOとのパートナーシップという視点から参考になった。

ローンホフスポーツクラブ事務所入り口。
スポーツクラブのスタッフたちと。
スポーツクラブが使用している学校(Gymnasium)のバスケット場。
スポーツクラブが使用しているウンターシュライスハイム市のサッカー競技場入り口。
サッカー競技場のグラウンド。天然芝で手入れが行き届いている。
スポーツクラブが所有するテニスコート。
テニスコートのクラブハウス。
ミュンヘンの新市庁舎。
ミュンヘン市役所環境担当者へのヒアリングの様子。
ミュンヘン市の環境関連資料がおいている展示室。ここで資料をたくさんもらった。


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25日(木)

調査先:(1)エルランゲン市役所環境担当(Amt fur Umweltschutz und Energiefragen)、(2)バイエルン自然保護連盟、エルランゲン支部
(Bund Naturschutz in Bayern e.V Kreisgruppe Erlangen)

 朝、6時15分にホテルで待ち合わせ、6時37分のICE(インターシティエクスプレス)でエルランゲンまで。エルランゲンに、8時46分到着。ドイツのICEは、乗り心地がよく、非常になめらかに走っているという感じ、また、あらかじめ運行表と停車各駅の到着時刻、そこからの乗り換え時刻を書いたパンフレットを渡してくれて非常に便利である。また、座席の窓側の上にはその座席の人がどこからどこまで乗車するかを電光表示するようになっており、ハイテク化が進んでいる感じであった。
 エルランゲンでは、ホームに女性通訳の稲葉さんが出迎えてくれており、時間まで街を散策しながら、市役所の分室である環境局の建物まで行った。この都市は1990年と91年に環境首都に選ばれている。ここの特徴は、自転車道路が非常に整備されており、人口あたりの自転車保有率はドイツで1位だそうである。環境首都に選ばれたのは、それまでの環境に対する様々な取り組みが評価されたことが原因であるが、自転車政策が充実していることが大きな要因かもしれないと市の担当者が言っていた。
 また、この町はニュールンベルク・エルランゲン大学があり、市民の所得水準、学歴が高く、環境意識の高さとリンクしているようである。この点は、フライブルクと類似性がある。環境局では、廃棄物処理に関して長時間にわたり説明を受けた。
 午後は、市の中心部からはかなり離れた森の中の丘の上にあるバイエルン自然保護連盟エルランゲン支部を尋ねた。出迎えてくれたのは副理事長と事務局長の女性で、両者とも非常にフレンドリーな感じの人であった。副理事長は、元ジーメンスの技術部門で働いており、現在年金生活をしているそうである。事務局長は、元々ここでボランティア活動をしていたということであるが、現在有給で働いている。また、兵役制度のあるドイツでは、兵役の代わりにNPOなどでの活動が認められているが、その若者がここの事務を手伝っている。ここでは、組織の機構、活動内容、運営や予算関係、行政との関係、税制上の問題等について説明を受けた。ドイツのNPOは大都市や州レベル連邦レベルではともかく、地方都市レベルではかなりボランタリーな運営をしているように思われる。また、ドイツ自然保護連盟は全国組織であり、州レベルでの組織に会費を一元的に上納し、その代わり各地区の組織は州組織から人材の派遣や資金の供給を受けるシステムとなっている。

エルランゲン駅外観。
エルランゲン駅前のマクドナルド。
エルランゲン市内の自転車専用レーン(1)。
エルランゲン市内の自転車専用レーン(2)。
エルランゲン市環境局が入っている建物入り口。
エルランゲン市環境担当からのヒアリングの様子。
バイエルン自然保護連盟エルランゲン支部の標示。市内から少し離れた森の中にある。
バイエルン自然保護連盟エルランゲン支部でのヒアリングの様子。
エルランゲン駅前の駐輪場。
エルランゲン駅のプラットフォーム。
自転車掲載可の標示。ドイツでは一般的に自転車を列車に載せることができる。
電車に載せるため、プラットフォームで自転車と待つ乗客。

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26日(金)

調査先:(1)ダッハウ郡(Landratsamt Dachau)環境担当


 朝、8時半にホテルに集合し、Uバーンでダッハウまで出かける。駅からバスでダッハウ郡政府を訪問する。そこでは、廃棄物担当者と水質保全担当者から話を聞く。どこでのヒアリングでもそうだったが、ドイツでは90年代からゴミ処理が大きな問題であり、様々な政策がとられてきたが、現在、DSDシステムに対する課題などいくつかの問題はあるものの、廃棄物処理は環境問題の中心課題ではなくなっていることである。現在は、水力発電などのエネルギー問題などに関心が移っているという印象を受けた。
 ドイツでは金曜日の午後は役所などが休みなので、本日の午後はアポイントなし。ダッハウにはドイツで最初にできたナチス時代の収容所があり、そこを見学に行く。ユダヤ人収容所はテレビや映画などで何度も見ているが一度この目で確かめたいと以前から思っていた。歴史の歯車が狂うとこのような狂気の嵐が吹き荒れてしまうのだということを改めて感じた。
 その後はミュンヘン市内に戻り、オクトーバーフェスタを見学に行った。世界最大の民族祭りだそうで、世界各国から観光客が訪れいている。この期間はどのホテルも満室で値段もうんと跳ね上がる。9月上旬までこちらの人はバカンスに出かけており、我々は9月いっぱいが夏休みなので、この時期しか都合がつかなかったが、高いホテル代になってしまった。フェスタ会場から旧市街地に戻り、有名なビアガーデン(ホーフブロイハウス)に行って食事をした。ここは、1923年にヒトラーがナチスの旗揚げ演説を行った場所としても有名である。

ダッハウ駅前広場。
バス停には、ベビーカー、車いす用の配慮がなされている。
バス停にある灰皿。今の日本よりは喫煙に関しては寛大な国かも知れない。
ダッハウ郡政府建物入り口。
ダッハウ郡政府環境担当からのヒアリングの様子。
ダッハウ市の中心部の町並み。ここもなかなか美しい街だ。
ドイツで最初にできたダッハウ強制収容所で、記念館になっている。ユダヤ人を中心として何万人もの命が奪われた。
オクトーバーフェスタの会場。どこも人、人、人。
オクトーバーフェスタのビアホール内。ジョッキを片手に踊っている人も多い。

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27日(土)

自由行動
市内見学


 朝10時にホテルに集合し、街の写真を撮ったり、有機栽培の店を見たり、土産物を買いに行くため出かける。土曜日ということと、オクトーバーフェスタの影響かものすごい人出である。夜は、マリティエホテルで6時に待ち合わせて、ミュンヘン最後の夕食に出かけた。場所は、昨年通訳の長谷川さんに連れて行ってもらったレーベンブロイの直営店(Loewenbraeukeller)にした。ヒアリングが無事に終了して皆ほっとした様子だ。
 ホテルの部屋に帰って荷造りをし、早々に寝た。それにしても今回、スーツケースを購入しておいて正解だった。サムソナイトの大型はかなり入る。1週間のヒアリングは資料をかなりもらってもこれで十分だ。

ミュンヘン市内を走るトラム。
バイエルン州議会を臨む。
フリーマーケットにある有機農業の店。
有機農業の店ではこのようなものが売られている。

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28日(日)−帰国

 とうとう帰る日が来た。ミュンヘンともお別れである。朝、8時15分にホテルで待ち合わせ、Sバーンで空港に向かう。このころになるとドイツ語にも何となく慣れてくる。空港でみやげものなどを買って飛行機に乗り込んだ。フランクフルト空港でトランジットして一路関空へ。なかなか有意義な調査旅行だった。

バイエルンの民族衣装を着てホームで電車を待つ人。フェスタに出かけるのだろうか。
ミュンヘン市内から空港までの電車からの風景。
空港近くでSバーンとアウトバーンが並行して走っているところ。
トランジットしたフランクフルト空港。



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