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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

10・3 50人を越える仲間の結集で対労働局行動に取り組む
〈福岡〉(991号4面)

  10月3日、福岡・築港日雇労働組合(福日労)は、50人を越える日雇い・野宿の労働者の結集で、福岡労働局との交渉を軸とする対労働局行動に取り組んだ。福日労は今年8月、団結夏祭りに際して「仕事よこせ」の市内デモを行ない、福岡労働局に対して要求書を提出していた。要求書の内容は、日雇い・野宿の労働者のための公的就労対策事業を起こすよう求めるものである。今回の交渉は、この要求書に対して、労働局が回答をする場として設定された。
 午前10時30分、福岡労働局が入る合同庁舎前の中比恵公園に、多くの日雇い・野宿の仲間たちが結集する。組合旗のもとに集まった労働者たちに、福日労の仲間が要求書を読み上げて、その内容を全体であらためて確認する。次はシュプレヒコールだ。「労働局は誠意ある回答を示せ」「公的就労対策事業を行なえ」「日雇い・野宿の労働者に仕事を出せ」という労働者たちの声が合同庁舎を揺るがす。一一時が近づくと、全体の熱い拍手で交渉団を送り出す。
 交渉は、労働局内で約1時間にわたって行なわれた。労働局からは、総務部の企画室、労働保険徴収課、職業安定部の職業安定課、職業対策課、求職者支援室などが出席した。さっそく要求書への回答を聞く。職業対策課の担当者いわく、「失業対策事業のような、国が主体となって事業を起こす方式は採らない」「福岡県の旧産炭地で行なわれてきた『特定地域開発就労事業』も、最後の最後の事業が今年3月で終了した」「民間における雇用の安定・拡充を国として促進する方式に、すでに切り替えている」。昨年と相も変わらぬ空疎な内容だ。
 さっそく交渉団が追及する。「失業対策事業方式が『非効率的』で、『民間の雇用の安定・拡充を促進する』という方式の方がいいと言うなら、それがどれだけ『効率的』なものなのか、どれだけ労働者の雇用に貢献しているのかについて、データを示せ」。これに対して担当者は、「数値化されたものは何もない」「(新方式の)有効性を証明するのはなかなか難しい」などと、しどろもどろだ。要するに「国」は、「民間の雇用の安定・拡充を促進する方式」なるものを口にするものの、その「新方式」の効果の検証作業もしていないし、その結果に何の責任も関心も持っていないということだ。「新方式によって、福岡と全国の日雇い・野宿の労働者はどれだけ就業できたのか」という追及に対しても、「それは何とも分からない」と言う始末である。最底辺で失業に苦しむ日雇い・野宿の労働者のことなど、まるで眼中にないのだ。
 「新方式のもとで、具体的に何をやっているのか」という問いには、「商工会議所や大手企業に、トップである労働局長が足を運んで雇用の安定・拡充を要請している」などと弁解がましいことを言うが、人員削減の大合理化競争にしのぎを削る民間企業に、今さらそんなことを「要請」したところで、どうなるものでもないことは最初から明らかだ。結局、「新方式」とは「国」が失業対策を放棄し、民間企業に丸投げするものだ。交渉団からは、「仕事は作らない、生活保護の受給条件も厳しくする、公園には寝かせないと言うなら、日雇い・野宿の労働者はどうやって生きていけと言うのか」「責任を持って、築港に仕事を持って来い」という厳しい追及の声が飛ぶ。担当者たちは、「今日の話は必ず、本省にも、県や市にも伝える」と答えるのがやっとであった。
 正午を過ぎて交渉団が戻ると、さっそく報告集会だ。拍手で迎えられた交渉団から、具体的なやり取りの経過が報告され、「国の失業対策」のお粗末な現状が暴露される。全員の怒りをシュプレヒコールで労働局に叩きつけていく。その後全体は、福日労が用意したカレーライスで昼食をとり、最後に、「国の失業対策」の壁をぶち破って仕事をかちとるために、これからも「仕事よこせ」の闘いを粘り強くやりぬいていくことを確認して、解散した。