東京・小平市仲町公民館での集会
刑法改悪阻止関東活動者会議(刑関活)は7月10日、全国の闘う仲間と共に、東京・小平市仲町公民館での集会と国立精神・神経医療研究センターに対するデモとして、「『心神喪失者等医療観察法』施行六ヵ年糾弾! 対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモ」を闘いぬいた。
午後1時半、全障連で闘う「障害者」をはじめ全国から闘う仲間が結集するなか、東京・山谷日雇労働組合の仲間の司会で、集会の開始が宣言される。「『心神喪失者等医療観察法』撤廃!」「保安処分施設を解体するぞ!」。シュプレヒコールが鳴り響く。
はじめに、「宇都宮病院事件」告発者である安井健彦氏からの連帯あいさつだ。「『心神喪失者等医療観察法』は、あってはならない法律です。宇都宮病院で起こったような『精神病者』に対する虐待が、この法律のなかでも必ず起こります。この問題を放置してはいけない。本日の基調を知り合いの医者に渡すなど、私もできることをやっていきます」「本日の集会には、関東だけでなく、東北や関西、中四国や九州で闘っている人も集まっています。みなさんの運動が種になって育ち、全国運動としてもっと盛り上がるよう、がんばってください。そして、この悪法を何としても撤廃させましょう。来年もまた、集まってください」と、集まった参加者への期待を込め、檄を飛ばした。安井氏の発言に圧倒的な拍手がおくられた。
続いて、刑関活が本闘争の基調を提起した。基調でははじめに、「心神喪失者等医療観察法」が「精神障害者」差別にもとづく保安処分法であることが、「法」の目的や運用、成立の過程から丁寧に暴露されていった。そして、旧武蔵病院が全国の保安処分施設の中心的な存在として機能してきたことや、「法」施行下で「精神障害者」の自殺が後を絶たない事実が明らかにされた。続いて、「心神喪失者等医療観察法」を導水路として、新たな保安処分導入がもくろまれていることが明らかにされ、「障害者自立支援法」攻撃や改悪「脳死―臓器移植法」のもとで激増する「脳死―臓器移植」攻撃など、戦時「障害者」抹殺攻撃との闘いの必要性が訴えられた。最後に、本闘争の闘いの意義が示され、拍手で基調が確認されていった。
全国から結集した仲間が決意表明
基調提起の次は、全国から結集した仲間の決意表明だ。
はじめに、全障連東北ブロックで闘う仲間だ。「『心神喪失者等医療観察法』は、『罪刑法定主義』を根本から破壊し、『再犯のおそれ』を唯一の理由に『精神障害者』を隔離・拘禁する、絶対に許すことのできない法律です。私たちは東北の地で、地域の『精神障害者』とともに、岩手県にある国立病院機構・花巻病院における保安処分施設の建設に反対してきましたが、建設を許した今、これを解体する闘いをさらに追求し、全国の闘いに結びつけていきたい」「東北・関東大震災で家族や介護者を失った『障害者』が施設に収容されていますが、地震や津波による被害に加えて、『障害者自立支援法』や『精神保健福祉法』がますますこれらの『障害者』の生命や生活を脅かしています。被災労働者人民支援の闘いを強め、被災した『障害者』の支援も可能な限り闘っていきたい」「本日の闘いを力に、7・23宇都宮病院糾弾闘争に全力で決起していきたい」と、力強く決意を表明した。
刑関活で闘う「病者」の仲間は、「私は現在、山谷に住みながら働いています。山谷という町、山谷に暮らす労働者の方々は、『精神障害者』である私を寛容に受け入れてくれました」「私はこの歳になって、ようやく権力者による差別・弾圧・虐待・抹殺が、祈ること、拝むことでは解決しないことに気づきました。今は、これらと真っ向対決し、闘うことによってのみ解決すると考えています」「『心神喪失者等医療観察法』は『精神障害者』を容易に長期にわたり特別な施設に隔離・拘禁することを可能にする明らかに『精神障害者』を差別する法律であり、現体制、権力と異なる思想・信条を唱え行動する人々を社会的に抹殺する保安処分を『精神障害者』に適用する法律であると理解しています」「山谷であれ、どの地域であれ、『精神障害者』をはじめとする『障害者』が、『障害者』として真に解放された社会をつくるため、人間が人間として当たり前に生きられる社会をつくるため、この法律を完全に撤廃するまで闘いぬくことを決意します」と、本闘争の最先頭で闘う決意を明らかにした。
全障連関西ブロックで闘う仲間は、「6月13日、神奈川の仲間が権力にデッチ上げられ、不当逮捕されました。『障害者』のもとへ介護者を派遣する介護事業所を潰すことを狙った弾圧であり、介護を待つ『障害者』に打撃を与える弾圧です。すでに仲間は奪還されていますが、こんな弾圧を許してはならない。『心神喪失者等医療観察法』との闘いは、権力によるやりたい放題の弾圧と対決する闘いでもあります。保安処分攻撃と対決し、闘おう」「保安処分施設では、『精神障害』が改善しなければ『再犯のおそれ』があるから隔離・拘禁する、地域で生きる権利はないんだとして、『精神障害者』としての存在そのものが否定されています。こんな差別が許されていいのか。その目的から運用まで『精神障害者』差別に貫かれている『心神喪失者等医療観察法』を一刻も早く撤廃させよう」「ここに集まった闘う勢力が闘いの主導権を握り、差別糾弾闘争で保安処分施設を解体していこう」と訴えた。
全障連中四国ブロックで闘う仲間は、「旧武蔵病院は、戦前から『精神病者』を地域から隔離・収容してきた病院であり、都立松沢病院と並び、『ロボトミー』などの『治療的活動』という名の虐待を強行してきた病院です。そして、『心神喪失者等医療観察法』施行当時、全国で唯一の保安処分施設となった病院です。絶対に許すことはできません。怒りも新たに、国立精神・神経医療研究センターを包囲し、『心神喪失者等医療観察法』撤廃―保安処分施設解体にむけ闘おう」「民主党主導の政府にしがみつき、介護の商品化を進める『新法』制定をめざす『障がい者制度改革推進会議』に期待する運動ではなく、全障連が闘いぬいてきた差別糾弾闘争の歴史的地平を継承・発展させる全国『障害者』解放運動共闘会議の結成をかちとり、『障害者自立支援法』撤廃―介護の商品化粉砕をかちとろう」「『脳死―臓器移植法』を撤廃し、『安楽死・尊厳死』の法制化を阻止し、『障害者』差別―抹殺の攻撃を跳ね返していこう」と、闘いの決意を明らかにした。
国立精神・神経医療研究センターへの怒りのデモ
福岡で介護闘争を闘う仲間は、「権力は、何を目的にこの法律を制定し保安処分を導入してくるのか、私たちはしっかり見抜かなければならないと思います。『精神障害者』に対する差別や偏見は、権力や一部の専門家だけではなく、私たち労働者人民の内部にも根強く存在しています。権力は、戦時体制を形成するために、民衆のなかにあらゆる方法で分断を持ち込もうとします。『障害者』差別をはじめ、あらゆる分断工作を粉砕するための『替わりとなるもの』を、私たち自身の力で創っていかなければなりません。それが、『障害者』と『健常者』の共闘関係であり、そこから生み出される運動であると思います。介護闘争をはじめ日々の闘いを通して、一歩一歩、『障害者』の解放、労働者階級の解放、そして、人間解放をかちとるため、これからもみなさんと共に精一杯闘っていきたい」と、分断攻撃との闘いの重要性を訴えた。
決意表明の最後は、反安保労研全国センターだ。「『障害者自立支援法』でも『施設から地域へ』が謳われていますが、精神病院における『社会的入院』は今なお7万人を超えており、20年、30年の入院を強いられる人も少なくない。『精神障害者』に対する隔離政策は変わっていません。『心神喪失者等医療観察法』を最先頭で推進してきた旧武蔵病院に対して、差別糾弾のデモをぶつけていこう」「自殺者が毎年3万人を上回り、多くの労働者人民が『精神病』に追い込まれています。こんな社会はもういらない、変えていかなければならない。『障害者』の解放と労働者階級の解放を一つのものとして闘い、朝鮮反革命戦争と増税に突き進む政府を打倒し、国家権力を解体していこう」「被災地では、『障害者』をはじめ、労働者人民もまだまだ苦しい状況に置かれています。東北の仲間や東京・山日労の仲間を先頭に被災労働者人民支援が闘われていますが、この運動をますます強化していきましょう。労働者自身が生産を管理し、『障害者』と共に生きていける新たな社会の展望を拓いていくような闘いをやりぬいていこう」。
一時間の集会を終え、午後3時、いよいよデモに出発だ。「国立精神・神経医療研究センターを解体するぞ!」「保安処分攻撃粉砕!」「『障害者』抹殺攻撃を許さないぞ!」。広大な敷地を有して存在している国立精神・神経医療研究センターへの怒りも新たに、デモ隊はシュプレヒコールをぶつける。炎天下の猛暑のなか、小平市の住民をはじめ労働者人民の注目を集め、戦闘的デモが闘いぬかれた。本闘争を力に、「心神喪失者等医療観察法」撤廃にむけ、闘いを強めていこう。