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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

6・23「慰霊の日」の闘いに決起〈沖縄〉(981号3面)

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菅来沖阻止闘争に決起

 6月23日、昨年に続き首相・菅が「全沖縄戦没者追悼式」(「県」、「県」議会主催)に出席を強行した。闘う沖縄労働者人民は、名護新基地建設のゴリ押しを続ける菅に対し来沖阻止闘争に起ちあがった。天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会と沖縄・首里日雇労働組合もともに闘いぬいた。
 午前10時、「平和祈念公園」入り口に結集する。歩道には200人の制服警官が立ち並び、多数の公安私服も弾圧の機会を狙って動きまわっている。阻止闘争に決起した人物と目すれば、逐一行動を規制し会場敷地への立ち入りすらも許さない状況だ。闘争参加者が公園入り口の交差点付近に布陣しようとすると、立ちふさがって妨害してくる。横断歩道を渡ることさえ許さないのだ。「抗議の意思表示を妨害するな!」、「われわれの移動を邪魔する権利は警察にはない!」、「警察は交通妨害するな!」と抗議の声が一斉に飛んだ。その間にもさらに参加者が集まってくる。権力と対峙しつつ、沖縄平和市民連絡会と「辺野古新基地建設を許さない市民共同行動」は、「沖縄の民意は新基地Noだ」と書かれた横断幕を広げ、マイクアピールを開始した。道路を挟んだ向かい側にも旗が掲げられた。青年実と沖日労も赤旗を高々と掲げ、阻止闘争への態勢をうち固めた。
 菅の登場が近づくにつれて、権力はさらに包囲網を狭めてくる。旗を引き下ろそうとし、身体をつかんで移動を阻止しようとする。「障害者」の車イスを無理やりどかそうとする。それでも闘う沖縄労働者人民は立ちはだかり、弾圧に屈することなくマイクアピールが続けられた。「新基地建設をすすめる菅首相が沖縄にくる資格はない」、「わたしたちは基地建設を絶対に許さない」。
 午前11時前、交差点に白バイが入ってきた。「来たぞ!」。参加者はいっせいに菅を乗せた車両がやってくる方向に注目した。間髪入れずシュプレヒコールが開始された。「菅帰れ!」、「新基地建設許さんぞ!」、「日米合意を撤回せよ!」。焦燥感に満ちた公安、制服どもを圧倒し、目の前を通過する菅に抗議の声が叩きつけられた。

赤旗掲げ、デモを闘う

 阻止闘争を闘いぬいた参加者全体は、国際反戦沖縄集会に合流するためただちに移動を開始する。
 青年実と沖日労は、「ひめゆりの塔」前駐車場に移動しデモ参加者に合流、青ゼッケンを身につけ出発に備えた。事前の意思一致を終え、11時半前に「魂魄之塔」に向けデモ隊が出発した。
国際反戦集会に集う沖縄労働者人民は、戦争に結びつく軍事基地と帝国主義軍隊の存在を全面否定し闘いぬいている。この闘いが、「県」主催の「全沖縄戦没者追悼式」と対極にあることは言うまでもない。米軍や自衛隊が参列する「追悼式」は、戦争賛美の様相を年々色濃くしている。在沖米軍のトップである四軍調整官は、2000年より「県」の招待を受けて参列している。アフガニスタンやイラクなど世界中で破壊と殺戮を実行してきた米軍が軍服姿で登場し、血塗られた手で献花するなぞまったく唾棄すべき行為である。また在沖の自衛隊は、2004年より6月23日の早朝に第32軍司令官・牛島満や参謀長・長勇を祀る慰霊碑=「黎明之塔」への参拝を強行している。今年も第15旅団の団長以下十数人が参拝している。中国戦線において無数の労働者人民を虐殺し、沖縄戦で十数万人の住民を死に追いやり、自らは死に際に「玉砕」命令を発して「軍人の誇り」を守るべく「自決」した牛島や長らを崇めたてる自衛隊が、沖縄戦の犠牲者の前で頭を垂れるなぞおぞましい限りである。今年は「沖縄県遺族連合会」会長より菅に対し「靖国参拝」の要請も行なわれた。「摩文仁の靖国化」が確実におし進められているのだ。沖縄戦の犠牲者を「国と天皇のために戦った尊い犠牲」として「英霊」に祀り上げ、「来たるべき戦争」に際しては全面的に協力していくことを誓い合うという「摩文仁の靖国化」など断じて許すことはできない。
 厳しい日差しの中、赤旗を林立させたデモ隊は両側をさとうきび畑に挟まれた道を進んでいった。青年実と沖日労は、沖縄戦を二度とくり返させないために「軍隊解体・基地解体」、「安保粉砕・改憲阻止」、「普天間基地解体・名護新基地建設阻止」を訴えデモを闘った。「魂魄之塔」へ向かう家族連れは、反戦・反基地を掲げるデモ隊に注目の視線を送り続けていた。
 デモ解散後、参加者全体は「魂魄之塔」そばの「ひろしまの塔」前の広場に移動した。青年実は参加者へ向けて「『慰霊の日』を反戦・反基地の日として闘おう」、「普天間基地解体・名護新基地建設阻止、高江ヘリパッド建設阻止を全力で闘おう」、「沖縄を日米共同の出撃拠点とする攻撃をうち砕こう」、「オスプレイの配備を阻止しよう」、「日米安保を粉砕し朝鮮反革命戦争を阻止しよう」と呼びかけた。準備したビラは吸い込まれるように受け取られていった。

国際反戦沖縄集会が開催される

 昼食休憩をはさんで、午後1時より「第28回国際反戦沖縄集会」が開始された。ミニコンサートや「沖縄戦を語り継ごう」と活動している学生の紹介につづいて、反戦地主会の会長である照屋秀伝氏が登壇した。氏は、「沖縄戦のときは八歳で国民学校に入学した。戦争で学校は影も形もなくなり、その場所は嘉手納飛行場にとられた。近くにあった自分たちの家もとられたままだ」、「母は三八歳で死んだ。何のために生きてきたのか分からない。戦争は絶対に許してはならない」と語り、さらに「誰が首相になっても沖縄に軍事基地を置いておけというのは変わらない。本集会は28回目を迎えたが、状況は変わらない」と痛苦な思いをうち明ける。そして「沖縄人は日本人以上に手柄を立てろと言われて戦場に送られた。家族は旗を振って見送った。今私たちは、『日の丸』を振らない、『君が代』を歌わないという決意が必要だ」、「アジアの中で沖縄がどうしていくかを考え、明日あさっても反戦闘争を続けていこう」と締めくくった。
 「菅来沖抗議行動の報告」に立った沖縄平和市民連絡会の城間勝氏は、「オスプレイ配備を隠し、新基地建設を進めてきた菅を許すわけにはいかない」と闘いの意義を明らかにし、「米軍も自衛隊も日本国家もわれわれを踏みにじり喰いものにしてきた。パレスチナのように沖縄からインティファーダを巻き起こそう」と怒りをこめて呼びかけた。共感の拍手が鳴り響いた。
 つづいて「靖国合祀ガッティンナラン! 訴訟」原告団の金城実氏が発言に立った。氏は「6月23日には涙を流すが次の日からどうするのか。地に足がついた闘いができていない。だまされたことが分かっていないからだ。私は慰霊などしない」とし、「自分の内なる弱さと闘わない限り、外圧とは闘えない」とくり返し訴えた。そして「私たちは叩かれても叩かれても、抵抗の文化を進化させていこう」と締めくくった。
 「泡瀬干潟を守る連絡会」や「三里塚反対同盟」のあいさつに続いて反基地闘争の現場からの報告に移っていく。「辺野古からの報告」ではヘリ基地反対協の安次富浩氏より「現地の闘いは沖縄の世論が支えている。あらためて名護新基地を確認した2プラス2などに屈しない。われわれは勝てる」、「2012年10月からオスプレイを配備するといっているが許さない。私たち自身の手で沖縄を変えていこう」、「辺野古新基地建設も、嘉手納統合案も、国頭村安波への移設も、普天間固定化も許さない」と力強い訴えが行なわれ、「高江からの報告」では大宜味村で農業をしながらヘリパッド建設阻止の現地闘争を闘うメンバーより、「7月から工事が再開されようとしているが、それに向けて高江は緊迫している。今月15日には沖縄防衛局による重機搬入の動きがあるという緊急連絡を受けて60人がかけつけた。すでに24時間態勢で闘っている」、「知事はオスプレイに反対と言いながら、その訓練のためのヘリパッド建設には賛成している。おかしい」、「7月3日には高江で座り込み四周年の集会が開催されます。ヘリパッド建設を止めよう」と闘う決意が述べられた。
 すべての発言が終了し、閉会あいさつで集会は閉じられていった。

高江、普天間、辺野古で勝利しよう

 「追悼式」で菅は「沖縄だけ負担軽減が遅れていることは慚愧に堪えない」などと日米合意を推進してきた自らの責任を不問に付し、まるで他人事のように語った。あとは「沖縄振興策」だの「一括交付金」だのカネをちらつかせただけだ。カネをちらつかせてあくまで新基地建設をゴリ押しする菅政府に激しい怒りが沖縄を覆っている。
 日・米両政府は6月21日に「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」を開催し、名護新基地建設に関して「V字型滑走路(1800メートル)を建設する」ことを「決定」した。米政府は菅政府に対し「合意履行」を強く迫っている。しかし実現できる展望があるわけではない。何より、新基地建設の「2014年完成」を放棄し「できる限り早い時期に完了させる」とせざるをえなかったのは、追いつめられていることの証拠である。沖縄労働者人民の普天間基地解体・名護新基地建設阻止の頑強な闘いが、日・米両政府を確実に追いつめているのだ。知事・仲井真を取り込もうと「計画の微修正を考慮し得る」とも記したが、取り込みも失敗し続けている。だからこそ日・米両政府は「普天間飛行場の固定化」をちらつかせて恫喝を加え、沖縄労働者人民の闘いを押し潰そうと躍起になっているのだ。
 高江で、辺野古で、宜野湾で、反戦・反基地闘争のうねりは高まっている。新基地建設をゴリ押しし、普天間基地へのオスプレイ配備をおし進め、自衛隊の新たな配備を加速させるなど、沖縄を日米共同の出撃拠点としてうち固めようとする政府・国家権力の攻撃に対し、闘う沖縄労働者人民は怯むことなく敢然と立ちふさがっている。われわれは安保粉砕・日米軍事基地解体・帝軍解体の旗幟を鮮明にうち出し、普天間基地解体・名護新基地建設阻止、高江ヘリパッド建設阻止の現地闘争を闘いぬく。