わずか7人だけの黒服集団、当該、支援全員が入廷
12月11日、午前10時から、大阪地裁で、「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関西地区生コン支部)」に対する大規模な弾圧の一環である「大阪第1次弾圧」の第9回公判闘争が闘いぬかれた。当日の公判闘争で特徴的だったことは、これまで公判闘争のたびに100人以上の黒服集団を動員していた「大阪生コン広域協組(広域協組)」の姿が、何度数えても、わずかに7人だけであったことだ。「広域協組」には、169の中小生コン会社が加盟していると言われている。これまで「広域協組」を牛耳る「4人組」が「『関西地区生コン支部』の裁判の傍聴に出て来い」という命令を出し、「傍聴に出なければ、生コンの出荷を割り振らないぞ」という恫喝よって100人以上が大阪地裁に狩り出されていたのだが、当日はわずか7人だ。道義性もなく、金の力だけに頼った動員が維持できなくなったのかどうかは不明だが、傍聴券の抽選のために地裁内にロープを張り、整理券を用意していた地裁職員も拍子抜けの様子だ。
一方、結集した「関西地区生コン支部」の組合員や支援の労働者は、「広域協組は少ないな」と首を傾げつつ、労働組合の当たり前の闘いであるストライキを「威力業務妨害」なぞとする弾圧の不当性、弾圧粉砕の闘いの正当性にさらに自信を深め、抽選にもならず、全員が法廷に入っていった。12月9日には、労働法を専門にする大学の研究者78人が「憲法と労働組合法で保障された正当な労組活動を犯罪として処罰している」として抗議声明を出し、大きく報道されている。声明は、「関西地区生コン支部」が闘ってきた労働条件の改善や企業に法令順守を求める活動や、日雇い労働者を「正規雇用」にするよう要求する活動、子どもの保育園に提出する就労証明を経営者に出してほしいと要求したことを「強要」とする弾圧に対して、「労組の日常活動が処罰されている。労働基本権を無視した、過去にない異常事態」「裁判官は、労組法上の組合活動の正当性を真摯に判断すべき」としている。「関西地区生コン支部」の闘いを「労働組合の当然の闘い」とする動きは広がるばかりだ。
弁護団が弁護側立証に向け冒頭意見陳述
当日の公判は、当初、検察側が証人として、ストライキ2日目の2017年12月13日、「宇部三菱大阪港サービスステーション」に来たものの、工場構内に入らず帰っていったD社の運転手を予定していた。ところが、検察側は、第7回公判(10月4日)と第8回公判(11月13日)の間に、理由をハッキリさせずにこれを撤回し、代わりにD社の現場にも行っていない配車係を証人申請してきた。弁護団が、抗議した結果、この日の公判から弁護側立証に入ることになった。
弁護側立証に入るにあたり、弁護団の佐伯弁護士が冒頭意見陳述に起った。佐伯弁護士は、「『関西地区生コン支部』は、1965年の結成以来、経営側との労働協約を労働組合未加入の労働者にも拡大するために闘ってきた」「生コン会社は中小企業が多く、大資本のセメントメーカー、元請けゼネコンの間で『買い叩き』にあっていた。生コン価格が上がらなければ輸送運賃も上がらず、生コン車の運転手の賃金も上がらない」「そのために、生コン会社の協同組合を組織し、大資本との交渉力を着けた『大阪生コン広域協組』との間で輸送運賃―運転手の賃上げを確認してきた」「ところが、『大阪生コン広域協組』は約束を何年も守らなかった」「約束を守らせるために闘ったのが2017年12月のストライキだ」「『威力業務妨害』の構成要件である暴行や脅迫は、ストライキでは行なわれず、メガホンも使わず、集まり、プラカードを持ち、歩いただけだ。デモと変わりはなく、『人の意志を制圧した』とは言えない、正当な行為であり、無罪だ」と堂々と主張した。
弁護団の堂々たる意見陳述を前に、検察側は黙り込むしかない。公判は、40分程度で閉廷した。公判闘争の集約が地裁前の公園で行なわれ、弁護団から検察側がストライキ前後の「関西地区生コン支部」の中央委員会などでの発言を録音した媒体などを証拠請求していること、弁護団はストライキ実施を表明した「関西地区生コン支部」の機関紙・「くさり」などを証拠申請していることを報告した。最後に「大阪第1次弾圧」の被告が、「これで九回の公判が終り、これからわれわれの攻勢が始まる。無罪をめざして闘います」と決意を明らかして当日の闘いを終えていった。
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