「宇部三菱大阪支店」の中島が「出荷妨害」を強調する証言
11月13日、午前10時から、大阪地裁で、「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関西地区生コン支部)」に対する大規模な弾圧の一環である「大阪第1次弾圧」の第8回公判闘争が闘いぬかれた。
「大阪第1次弾圧」は、「関西地区生コン支部」が、2017年12月12日、13日に「中央大阪生コン」と「宇部三菱大阪港サービスステーション(SS)」で生コン輸送運賃の引き上げを要求して闘ったストライキを、大阪府警が「威力業務妨害」とデッチ上げ、2018年9月18日、16人の組合員を「宇部三菱大阪港SS」の件で逮捕して7人を起訴、2018年10月9日、8人の組員を「中央大阪生コン」の件で逮捕して5人を起訴した弾圧だ。
この日の公判は、検察側証人として「宇部三菱大阪支店」の統括部長・中島が出廷した。中島は、検察側の質問に対して、「12月12日、13日は、植田組の江袋と一緒に『関西地区生コン支部』による出荷妨害に対する対策を行なっていた」「12月12日の出荷妨害の損害は、出荷できなかった分と迂回出荷によるコスト増加分を合わせて2200万円になった」「『関西地区生コン支部』が監視していたため、客が生コンを引き取りにこなかった」「引き取りに来ない分を、堺、神戸、姫路西などのSSから迂回対応した」なぞと被害を強調した。
しかし、弁護側の質問で、中島は、「スト前日の12月11日の出荷は、通常より多い量が出荷された。ストライキ前の『駆け込み仕入れ』と想定される」と証言した。さらに、「出荷できなかったことを理由にした販売店からの契約打ち切りはあったのか」との質問には、「ユーザーからの切り替えはなかった」と答え、「出荷できなかったことを理由にした販売店からの損害賠償請求はあったか」との質問には、「ありません」と答えた。
また、弁護人の質問により、出荷できなかったセメントは保管されていたことが分かり、保管されていたセメントは、12月14日に出荷されていたことが明らかになった。弁護人が「セメントは、数日で腐れるものなのか」という質問には、「数日では腐れない」と答えざるを得なかった。結局、「宇部三菱大阪港SS」が持っていたセメントは、「関西地区生コン支部」による事前のスト通告によって、スト前日に普段より多い出荷があり、ストライキで出荷できなかったセメントは、腐ることもなく、ストライキ後に出荷されていたのだ。
「宇部三菱大阪支店」は、「出荷妨害」と言いつつ、損害賠償請求はしていなかった
これらの事実が明らかになっても、中島は、検察にネジを巻かれているのか、「出荷妨害による被害」を強弁するために、「迂回運賃を支払った」ことを繰り返し強調し、そのために「迂回運賃を支払う時に作った資料がある」なぞと執拗に食い下がった。
さらに、弁護人の追及は続く。弁護人が「争議行為については免責条項がユーザーとの契約に入っているのではないか」と糾すと、中島は「それは読んでいない」と逃げ、さらに、弁護人が「違法な行為による損害なら、会社は民事訴訟をするのではないか」と糾すと、中島は「私はわからない」と逃げ、また、さらに、弁護人が「民事裁判をするなら、あなたは会社から報告書を書かされるのだが」と質問すると、中島は「そういうことはありません」と答えざるを得なかった。警察が介入するまでは、何もしていなかった「宇部三菱」が、「関西地区生コン支部」への警察の不当弾圧が強行されたことで「出荷妨害」やら、「損害」やらを言い出したということだ。「宇部三菱大阪支店」は、「出荷妨害」と言いつつ、損害賠償請求はしていなかった。何故なら、労働組合のストライキは、「労働組合法第8条」で「使用者は、同盟罷業その他の争議行為であつて正当なものによつて損害を受けたことの故をもつて、労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない」と定めた「民事免責」あるからだ。中島の証言から、今回のストライキを「威力業務妨害」とする弾圧が、警察主導のデッチ上げであることがますます鮮明になった。
この日の公判にも、「大阪生コン広域協組」は、傍聴席を制圧するために、大量の黒服集団を動員した。その目的は、被告や弁護団、結集する労働者を威圧し、警察、ヤクザ、生コン会社経営者が一体となって、闘う労働組合を潰すために他ならない。大量の組合員の逮捕と長期勾留、膨大な保釈金を強いることで労働組合が持っているストライキ権や、「民事免責」の主張を放棄させることを狙った弾圧が「関西地区生コン支部」にかけられた弾圧の本質だ。この弾圧を許すことは、安倍の戦時国家体制形成攻撃に屈服し、「翼賛労働運動」へと転落することを意味する。全力で弾圧粉砕に起ち上がろう。
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