被告・西山執行委員が堂々とストライキの正当性を証言
11月12日、午前10時から、大阪地裁で、「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関西地区生コン支部)」に対する大規模な弾圧の一環である「大阪第2次弾圧」の第6回公判闘争が闘いぬかれた。
「大阪第2次弾圧」は、「関西地区生コン支部」が、2017年12月12日、13日に「中央大阪生コン」と「宇部三菱大阪港サービスステーション(SS)」で生コン輸送運賃の引き上げを要求して闘ったストライキを、大阪府警が「威力業務妨害」とデッチ上げ、武委員長、柳(やなぎ)元副委員長、西山執行委員の3人を2018年11月に不当弾圧した事件だ。
前回の第5回公判までは、検察側が「関西地区生コン支部」に対して「『関西地区生コン支部』は、大変なことをやる集団だ」という悪印象を与えるために請求した証人の尋問が行なわれてきた。しかし、「宇部三菱大阪港SS」でバラセメント輸送を請け負っている植田組の代表取締役・江袋は、「元々被害届を出すつもりはなかったが、警察がストライキの次の週から会社に事情聴取に来て、警察と弁護士に助言されて刑事事件にした」なぞと証言し、警察主導の「事件」デッチ上げであることを証言してしまった。また、「中央大阪生コン」の代表取締役社長・延山は、社長でありながら、工場の中で誰が輸送の依頼をしているかなど、社内の誰がどんな業務をしているかさえ把握できていないことが暴露される始末であった。同じく検察側証人として出廷した「宇部三菱大阪港SS」の統括部長は、ストライキによる損害を強調したが、弁護人から生コンの平均価格や利益などを質問すると、「企業秘密があるため証言できません」なぞと言い、「損害証言」のデタラメさが明らかにされてしまった。前回の公判に出廷した「大阪生コン広域協組」を牛耳る「4人組」の1人であるの副理事長・地神の証言は、「生コン価格の引き上げが実現したのは、自分が神戸から大阪に進出して努力したからだ」というデッチ上げの自慢話と、「反労働組合」の経営姿勢をもった輩であることが暴露されただけの証人であった。
検察側は、さらに「関西地区生コン支部」の闘いを誹謗するための証人を請求していた。しかし、地神の露骨な自慢話と「反労働組合」の証言に嫌気が差したのかどうかは不明だが、当日の公判は、裁判官が「当事者から何でこうなったか話を聞きたい」という要望を出したため、被告である西山執行委員の本人尋問となった。西山氏は、ストライキの際、争議対策部長として組合事務所である「ユニオン会館」で、ストライキを闘っている40ヵ所以上の現場を統括する立場にあったからだ。
「大阪生コン広域協組」の黒服集団と対峙して公判闘争を闘う
西山氏は、ストライキに至る経過やストライキ当日の行動について、「2017年秋の定期大会でスト権を確立、11月の中央委員会でスト実施を決定、ストライキをやることを組合機関紙である『くさり』に掲載した」「『宇部三菱大阪港SS』に対するストライキの人員配置は自分が決めた」「『宇部三菱大阪港SS』では、組合員が運転手にストライキに協力するよう説得するようにした」と、堂々と証言した。弁護人からの「逮捕される事態を考えなかったか」という質問に対しては、「現場には警察官も来ていたので、何かあれば、現場の警察官が言ってくるだろうと考えていた」と証言した。しかし、実際には、ストライキ当日には、警察官からは何の警告や制止もなく、ストライキ後に「事件」がデッチ上げられているのだ。
一方、検察の西山氏に対する反対尋問は、「いつから執行委員をやっているのか」「争議対策部長はいつからやっているのか」「あなたは企業に籍を置いて働いているのか」などといった、ストライキとは関係のない、意味不明な質問が多いものとなった。午後からの反対尋問も、「30分くらい質問時間が必要」と言っていたが、実際には、10分で終わってしまった。労働組合を敵視するヤクザや生コン会社の経営者からの証言だけで「威力業務妨害」を立証しようという検察の狙いは、早くも破綻に瀕している。
公判終了後に、太田弁護人は、「相手側は『威力業務妨害』と言っていますが、西山さんは現場で指示していたわけではなく、現場の状況を聞いていただけで、状況がわからない状態であるのに『威力業務妨害』の共犯と言われてもどうなんだと。現場自体が元々弾圧のためにやっていることが明らかになったのですが、少し気になったのは、向かって右側に座っている裁判官(左陪席)の質問の仕方が『関西地区生コン支部』に対して、少なくともいい印象を持っていないのかなと感じた」と報告と感想を述べた。
この日の公判にも、「大阪生コン広域協組」は、黒服集団を100人以上動員し、西山氏を威圧しようとしたが、西山氏は、「大阪のみならず滋賀・京都・和歌山で同時に逮捕・勾留があり、延べ87人に達する。理解しがたい。明らかな不当弾圧だ」と、闘う決意を込めて主張した。公判闘争に結集した労働者は、ストライキやコンプライアンス活動を、労働組合の当たり前の闘いとして貫徹する「関西地区生コン支部」の壊滅を狙った弾圧を粉砕するために、さらに反撃の闘いを強めること確認し、当日の闘いを終えていった。
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