海外進出先での労組破壊を居直るトヨタ資本を許すな
10月11日、午後3時45分から、東京・文京区後楽のトヨタ東京本社前で、東京総行動(主催:「けんり総行動実行委員会)の一環として、フィリピン現地工場での大量不当解雇をもっての労組破壊を居直り、今なお労組破壊工作を続けるトヨタ資本を徹底的に追及する行動が闘われた。この行動には東京・山谷日雇労働組合、東京都地域連合労働組合の仲間も結集し闘いぬいた。
トヨタ資本は、2001年、フィリピンの子会社・「フィリピントヨタ」で労働者が憲法と労働法に基づいて労働組合・「フィリピントヨタ労組」(TMPCWA)を結成し、労働者の過半数を組織して団体交渉権を持つ組合であることを認められたにもかかわらず、この組合を潰すために、組合員233人の大量解雇(後にさらに4人の解雇)を強行した。そして、この解雇―組合解体攻撃に抗議するストライキが闘われると、トヨタ資本は、フィリピンに進出していた日本企業を集め、「こんなことをするなら、フィリピンから引き上げるぞ」という恫喝を当時のアロヨ政権に対して行なった。トヨタ資本は、国際労働機関(ILO)から繰り返し「解雇を撤回して原職復帰させるか、適正な補償金を支払うこと」という勧告を受けているが、頑なに拒否をし続けている。トヨタ資本の責任を追及し、解雇を撤回させる闘いは、18年に及んでいる。2017年と2018年には、フィリピン政府の雇用労働省長官が、トヨタ本社の代表取締役会長や、社長の豊田章男に対して「貴殿と会談して本件長期争議解決の方途を模索したい」と申し入れを行なっている。しかし、トヨタ資本は、「現地のことは現地で」と言い逃れを繰り返している。さらに、経済協力開発機構(OECD)の「多国籍企業行動指針」が、「大企業が海外で問題を起こし、労働者から責任を問われた場合、『国が違う、別会社だ、法人格が違う、本社は関係ない』という言い逃れは許されず、誠実に問題解決に努めなければならない」と定めているにもかかわらず従っていない。OECDの日本の連絡窓口(ナショナル・コンタクト・ポイント=NCP)にフィリピントヨタ労組と「フィリピントヨタ労組を支援する会」が申し立てをしても、話し合いに応じず、外務・厚労・経産の三省から委員が派遣されている日本NCPは、4月11日に事件打ち切りを決定している。日本NCPは、その最終声明で「日本NCPは、トヨタ自動車及びトヨタ自動車フィリピンに対し、多国籍企業行動指針を尊重しつつ、活動を行なうことを求める」という勧告文を特記している。
エド委員長、チャベス執行委員がトヨタに怒りを叩きつける
こうしたトヨタ資本の敵対、居直りを許さず、解雇を撤回させる戦いとして当日の行動は闘われた。この闘いには、同じトヨタ系列の会社で塗装やエンジン部品の組み立て作業に従事し、労働者同士の口論や妊娠を理由にして解雇された神奈川シティユニオンに加盟する外国人労働者の仲間も多数結集し、トヨタ東京本社前を制圧し、追及行動を闘った。
3時45分から始まった集会では、主催者を代表して、東京全労協の大森氏があいさつに起ち、「フィリピントヨタ労組を支援する会」の山際氏が「トヨタは、東京オリンピックに深く関与しているが、組合破壊の解雇を居直るトヨタにそんな資格があるのか。トヨタで働く人たちがトヨタの姿勢を追及し、経営側が争議の責任を取ることを要求する」と発言する。そして、フィリピン現地から来日したエド委員長、チャベス執行委員が発言に起つ。エド委員長は、「今年も困難を乗り越えてフィリピンから来ました。公正な解決を図らなければならないトヨタは、労働者にハラスメントを繰り返している。私たちの問題だけでなく、搾取されている労働者が団結して勝利するために、争議の勝利まで闘い続けます」。チャベス執行委員は、「今年、私はトヨタからハラスメントを受けました。絶対にトヨタに責任を取らせます。これまで18年間、正義を求めて闘ってきましたが、トヨタが労働者の権利を侵害することを止めないなら、これからも、18年かかろうとも闘い続けます。国際連帯よ永遠なれ」。続いて、フィリピントヨタ労組を受け入れ、支援してきた全造船関東地協の早川書記長が、「トヨタは、大変頑迷な企業であり、とんでもないことをやっている企業です。日本とフィリピンの労働者、そして世界の労働者とともに、共に頑張りましょう」と訴えた。連帯あいさつとして、JAL争議団、神奈川シティユニオンからの歌と発言を受け、最後に「団結ガンバロー」でこの日のトヨタ東京本社前での行動は締めくくられた。
トヨタ資本は、CSR方針(企業の社会的方針)の中で、「私たちは、国内外・国際的な法令並びにそれらの精神を遵守し、誠意を尽くして誠実な事業活動を行ないます」なぞと言っている。しかし、従業員の団結権に関しては「私たちは従業員が自由に結社する権利または結社しない権利を、事業活動を行なう国の法令にもとづていて認めます」と言っている。「結社しない権利を認める」とは、労働者が資本に対抗するために団結することを認めないと言っているに等しい。労働者の階級的団結に敵対することを社是とするトヨタ資本を追及する闘いを闘いぬこう。
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