自衛隊治安出動―内乱鎮圧訓練を粉砕しよう
8月30日から9月5日までを「防災週間」とし、9月1日の「防災の日」を中心にして、全国各地で「防災訓練」が行なわれようとしている。
1923年9月1日の関東大震災時、政府は、首都の治安維持のために戒厳令を公布、軍隊を大量に投入した。そして、「朝鮮人暴動」をデッチ上げ、「不逞鮮人(ママ)が来襲して、井戸へ投毒、放火、強盗、強姦をしている」などの極悪の排外主義を大煽動し、軍隊、警察に加え、自警団として組織された地域の在郷軍人会、消防団、青年団などによる朝鮮人・中国人虐殺を凶行した。その後に、「朝鮮人暴動の背後に社会主義者あり」として大杉栄らの拘束・虐殺、南葛労働会の川合義虎ら一0人の拘束・虐殺(亀戸事件)が凶行された。
「防災の日」とは、これを「教訓」として制定されたものだ。その「教訓」なるものは、戒厳令発動―自衛隊の治安出動をもって労働者人民の決起―階級闘争の爆発を鎮圧せんとするものに他ならない。そのことは、首都圏の「防災訓練」において首都防衛部隊であり、市街戦専門の部隊を擁する陸自第1師団が多数参加していることを見れば明らかである。また、「防災訓練」は、地域末端からファシズム勢力を組織化していく訓練である。したがって、「防災訓練」は、国、自治体、自衛隊、海上保安庁、警察、消防、在日米軍、企業内(職場)防災組織、地域防災組織の総力をあげた訓練として全国各地で強行されているのだ。
さらに、近年の「防災訓練」では、米軍の参加、米軍基地の使用、自衛隊基地の使用が際立っている。朝鮮反革命戦争突入を見すえて、「防災訓練」という名の下で自衛隊と米軍の共同した軍事訓練が強行されているのである。
首都圏では、「防災訓練」に陸自練馬駐屯地の部隊が大量に投入される。陸自練馬駐屯地は、首都圏を含めて関東一円を管内におさめる第1師団の司令部を置き、内乱鎮圧を存在意義とする第1普通科連隊を擁する首都内乱鎮圧部隊の拠点である。第1師団は、第3師団(兵庫県千増)とともに別名・「政経中枢防衛師団」と呼ばれている。この「政経中枢防衛師団」は、師団ごとに36人の狙撃班を持ち、遊撃戦を軸にした大都市部における市街戦専門の部隊として強化されている。練馬基地からの「防災訓練」出動を阻止し、首都内乱鎮圧の拠点・練馬基地を解体しなければならない。
「9・1防災訓練」粉砕に全国で決起しよう
首都圏では、9月1日に、4都県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)と5政令市(さいたま市、千葉市、川崎市、横浜市、相模原市)による「第40回9都県市合同防災訓練」が、幹事都県市である千葉県で行なわれる。千葉県と船橋市、公益財団法人千葉県消防協会が主催するこの訓練は、主会場を船橋市高瀬町運動広場とし、副会場を隣接する京葉食品コンビナート協議会南岸壁で、午前10時30分から行なわれる。
110の機関、5000人が参加する訓練には、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊も参加し、海自は、2隻の艦船を副会場に投入する。
今回の訓練では実動訓練として、(1)情報伝達・身体防護訓練による地震発生時の個人保護(2)地元活動機関やバイク部隊による被害情報収集などの初動活動(3)放置車両の移動などの道路啓開(4)被災した建物や車両などからの被災者の救出救助(5)応急救護所の設置、トリアージ及び応急救護などの医療活動(6)船舶と連携した物資や部隊の輸送訓練、海上捜索や救出救助が挙げられているが、そのほとんどに自衛隊部隊が参加する。会場を迷彩服の部隊、車両が走り回るのだ。そして、この訓練には、中央防災会議(議長は首相・安倍)が、政府の「総合防災訓練」の一環として参加している。
言うまでもなく、自衛隊(軍隊)の本来の任務は、軍事行動である。「防災訓練」に参加する部隊は、「防災訓練」を利用して独自の軍事訓練・内乱鎮圧訓練を行なっているのだ。また、軍事行動で得たノウハウを「防災訓練」で使い、それをもって、「防災訓練」全体の指揮系統に食い込んで主導し、労働者人民を戦争へと狩り立てる戦争動員態勢形成を担っているのだ。
東京では、9月1日に、「東京都・多摩市合同総合防災訓練」が、多摩センター駅周辺会場、多摩市立多摩中央公園などで、午前九時から行なわれる。100機関、1万人が参加し、陸自は、練馬駐屯地の第1師団の部隊が参加、在日米軍も参加する。「東京都・多摩市合同総合防災訓練」の「訓練の特徴」では、「各防災機関及び行政機関の総合連携の強化を目的とした訓練を実施する」としているが、自衛隊、在日米軍は、ここで主導権を発揮し、防災訓練全体を戦争動員体制形成へ導こうとしているのだ。
警視庁は、今年も9月1日に、首都中枢への車両の流入規制訓練を行なう。午前9時から15分間という短い時間ではあれ、環状7号線から中心部への流入規制を128ヵ所で行なうというものだ。また、同時刻、都心から放射状に延びる国道4号線、国道17号線など5本の幹線道路で、警察、消防、自衛隊などの緊急自動車以外の一般車両の通行を禁止する訓練を行なう。こうした訓練は、外堀を固めて労働者人民の闘いを封殺せんとする首都制圧訓練である。
自衛隊主導の「防災訓練」=治安出動―内乱鎮圧訓練を許してはならない。「防災訓練」を通した労働者人民の戦争動員態勢形成を粉砕しよう。「9・1防災訓練」=自衛隊治安出動訓練を全国で粉砕しよう。
自衛隊主導、米軍参加の「防災訓練」を粉砕しよう
5月21日から24日にわたって、自衛隊統合防災演習が行なわれた。演習の目的を、「東京オリンピック・パラリンピック開催中に首都直下地震が発生した場合における自衛隊の指揮幕僚活動並びに防災関係機関、在日米軍等との連携について演練し、災害対処能力の維持・向上を図る」としたものだ。場所は、自衛隊参加部隊の所在地と在日米軍横田基地、在日米陸軍座間基地である。参加部隊は、陸自が陸上総隊、各方面隊等、海自が自衛艦隊、各地方隊等、空自が航空総隊、航空支援集団等とし、在日米軍を含めて合計1万2000人という大規模な演習だ。
「東京オリンピック・パラリンピック開催中に首都直下地震が発生した場合」を想定するという、取ってつけたような自衛隊統合演習の真の目的は、「テロ対策」を含めた首都の治安維持を在日米軍とともに担うというものだ。労働者人民の決起を鎮圧し、首都を制圧するという目的を持った訓練に他ならない。断じて許してはならない。
近年、「防災訓練」への自衛隊の比重が増え、米軍の参加が際立っている。2012年、神奈川県主催の「防災訓練」では、陸自・武山駐屯地を使用し、2014年、神奈川県相模原市が幹事となった「9都県市合同防災訓練」では、中央会場を在日米陸軍相模総合補給廠とし、2016年の神奈川県主催の「防災訓練」でも、陸自・武山駐屯地を使用した。自衛隊独自の統合防災演習にも、在日米軍が必ず参加している。
防災訓練での在日米軍との共同行動は、元東京都知事・石原慎太郎が、2001年の「東京都総合防災訓練(ビッグレスキュー東京2001)」において、米軍横田基地と米軍赤坂プレスセンターを使用したのが始まりだ。そして、2011年の「東北・関東大震災」時、米海兵隊が行なった「トモダチ作戦」を経て、米軍に協力要請する自治体が増え、米軍参加が推進されてきた。そして、今や各地に広がり、米軍参加と米軍基地使用が常態化しているのだ。自衛隊と在日米軍が共同で「防災訓練」を推進するのは、朝鮮反革命戦争遂行を睨んだものだ。自衛隊と米軍が共同で行なう訓練は、「防災」というカモフラージュをしていても、明確に軍事訓練である。
自衛隊主導、米軍参加の「防災訓練」を許してはならない。粉砕しよう。
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