死刑執行を徹底弾劾する
８月２日、法相・山下貴司の死刑執行命令により、東京拘置所に勾留されていた庄子幸一死刑囚（６４歳）と、福岡拘置所に勾留されていた鈴木泰徳死刑囚（５０歳）に対する死刑執行が強行され、国家権力の手で虐殺された。２０１８年１２月の死刑執行以来、約７ヵ月ぶりの執行となった。法相・山下の下では、２度目の執行である。
２０１２年１２月に安倍極右政府が発足して以来の死刑執行は、ついに１６度目となり、執行者数は３８人となった。２００６年の第１次安倍政府時の１０人と合わせると、通算４８人になる。安倍政府の死刑執行の突出ぶりに、いよいよ歯止めがかからなくなっている。今回の死刑執行によって、全国の拘置所に収監されている死刑囚は１１０人（２０１４年３月の、静岡地裁による「再審開始決定」により釈放された袴田巌氏を除く）となった。
日帝・法務省は、死刑執行にあたり今回も死刑囚の名前と犯罪事実、執行場所を公表した。「強盗で２人を殺害し、現金を強奪」「強盗や暴行の末に女性３人を殺害」などと強調することで、「これだけ凶悪な人間ならば、死刑で当然」ということをアピールし、「死刑推進の世論」を形成しようという、定番のやり方である。
２０１８年７月のオウム真理教教徒１３人に対する大量死刑執行に対して、欧州連合（ＥＵ）が非難声明を発表するなど、安倍政府の死刑執行に対する国際的な批判が続く中、安倍政府は、あえて連続的な死刑執行に踏み込むことで、批判に対する露骨な居直りをさらにあからさまにした。安倍政府は、とにかく切れ目ない死刑執行の�犲太哭瓩鮑遒襪海箸如∈８紊了犒瑳更圓瞭散攤遒蠅北�起となっているのだ。そのような意図に基づく死刑執行を、断じて許すことはできない。
法相・山下による８・２死刑執行を、徹底弾劾する。
再審請求中の死刑囚への執行を許すな
今回の死刑執行において強調すべきは、今回もまた、再審請求中の死刑囚に対する死刑執行であったということである。今回の死刑執行の対象者の中では、庄子幸一死刑囚が再審請求中であった。
死刑囚が再審請求によって無罪判決をかちとった例は、過去に４度ある。そして、袴田厳氏は、２０１４年３月に、静岡地裁の「再審開始決定」によって、東京拘置所から釈放されている。また、刑事訴訟法は、「法相は、死刑確定から６ヵ月以内に執行を命じる」ように規定しているが、「再審請求などの手続きや共犯者の裁判が終わるまでの期間は、この６ヵ月に算入しない」とも定めている。そのために、従来、法務省は死刑執行にあたり、再審請求中の執行を回避する傾向があった。しかし、安倍政府の下、そんな慣例は完全に踏みにじられた。２０１７年７月の、法相・金田（当時）による死刑執行以降、再審請求中の死刑執行に平然と踏み込むようになり、２０１８年７月のオウム真理教教徒１３人への大量死刑執行に至っては、再審請求中の死刑囚も数人いたとされるが、容赦なく執行している。安倍政府によって、再審請求中の死刑囚への死刑執行が常態化しつつあるのであり、断じて許すことはできない。
近年、判決の厳罰化がより加速し、死刑判決が増加している。また、死刑囚の再審請求に対しても、司法権力は相次いで棄却決定をうち下している。最近でも、７月１７日、最高裁第３小法廷は、大阪拘置所在監の小川和弘死刑囚の再審請求を棄却した。また、７月３１日、東京高裁は、１９４９年「三鷹事件」で「死刑」が確定し、その後、獄死した竹内景助・元死刑囚の実子による再審請求も棄却している。なお、東京高裁の担当裁判官は、無実の部落民＝石川一雄氏の第３次再審請求の担当裁判官でもある後藤真理子である。このように、安倍政府は、治安管理強化の�狎擇蟷キ瓩箸靴董∋犒裟�度を維持しているのである。
安倍政府が振りかざす「死刑執行を望む世論」なるものは、重要な情報を国家権力のごく一握りの人間が握り、「世論」を都合よく誘導した末に作られたものに過ぎない。今回の死刑執行の前日の８月１日、交通事故遺族や事件被害者らで構成する「被害者と司法を考える会」は、法務省に対し、法相・山下宛の「要望書」を提出した。死刑執行が、遺族にとっても「突然、報道で執行を知る」ものとなっている点について、「要望書」では「死刑執行前に被害者側に意見を聞いて、執行の可否に反映することなどを求める」として、「執行について心情を述べるために、確定死刑囚の状況を通知する制度の創設」を要求している。しかし、法相・山下は、この「要望書」の存在なぞ一顧だにせず、翌日の死刑執行に踏み込んだのである。死刑制度が、「遺族の意向」なぞではなく、あくまで国家権力の都合で維持されていることの表れの１つである。
警察権力が無実の労働者人民を不当逮捕してウソの「自白」を強制し、「物的証拠」を平気で捏造し、司法権力が追認して労働者人民を監獄に叩き込んでいく横暴ぶりが次々に暴露されている。袴田巌氏に４８年間の超長期の勾留を強制した「袴田事件」をはじめとした、数々の冤罪事件が表面化しているのだ。しかし、司法権力は、労働者人民の追及に対する居直りを、さらに強めている。２０１８年６月１１日、東京高裁は、「袴田事件」の即時抗告審で、静岡地裁の「再審開始決定」を取り消し、再審開始を認めない決定を下している（「高齢」を理由に、「釈放」は維持）。司法権力のメンツにかけ、何としても袴田氏を再収監し、虐殺しようという攻撃であり、許すことはできない。この暴挙に対し、袴田氏の弁護団は、同年６月１８日に最高裁に特別抗告を行なっており、現在も継続中である。
世界の趨勢を見れば、死刑制度は廃止の方向にある。今年は、１９８９年に国連総会で「死刑廃止条約」（「死刑廃止を目指す市民的及び政治的権利に関する国際規約第２選択議定書」）が採択されてから、３０年にあたる。２０１８年末の段階で、死刑廃止国は１４２ヵ国（すべての犯罪に対して廃止：１０６ヵ国、事実上廃止：３６ヵ国）であり、死刑存置国は５６ヵ国となっている。２０１８年１２月１７日には、国連総会で７回目の「死刑執行停止を求める決議」が採決されたが、史上最多の１２１ヵ国の賛成で、採択されている。一方で、サウジアラビアやイラクなど、強権支配と戦時国家体制形成が加速する反動諸国で、軒並み死刑執行が乱発されている。このことを見ても、死刑制度が強権支配を強化する支配者どもを利するものであり、死刑制度廃止こそが労働者人民の要求であることは明らかである。
戦時国家体制形成の一環としての死刑制度の廃止かちとれ
しかし、戦時国家体制形成を急ぐ安倍政府は、こうした世界の趨勢も、まったく意に介することもない。安倍政府は、度重なる「国連人権勧告」に無視を決め込んでいる。「国連自由権規約委員会」は、２０１４年の段階で、死刑廃止を求めるだけでなく、「昼夜独居処遇による収容体制の見直し」、「検察側資料の十分な開示」、「死刑事件における義務的かつ効果的な再審査の制度の確立」、「拷問等による自白の証拠不採用」などの勧告を出しているが、安倍政府は、完全に無視を決め込み、改善にすら手をつけようとしない。安倍政府は、いよいよその傲慢ぶりを全面化させながら、迫り来る朝鮮反革命戦争突入をみすえ、治安管理強化をさらに進めている。
死刑制度そのものが戦時国家体制形成の一環としての攻撃であることを見逃してはならない。安倍政府は、死刑制度を堅持することで、かつての治安維持法弾圧のように、戦争に反対する者や勢力を極刑によって�爐澆擦靴甅瓩箸靴撞垰Δ掘△△襪い六犒瑳更圓鰈�喝することで組織壊滅型弾圧を加速させようとしているのだ。そして、日帝国家権力は、東アジア反日武装戦線や連合赤軍の死刑執行にも踏み込もうとしている。
安倍政府による死刑制度存続なぞ、断じて許してはならない。
安倍政府は、治安管理強化のための弾圧立法制定を進めており、「共謀罪」を２０１７年７月に施行している。そして、２０２０年「東京オリンピック・パラリンピック」、２０２５年「大阪万博」などを踏み台にした、「国際テロ対策」と称する警察の強化に動いている。治安管理体制の強化を推し進めることで、「人民の海」を干しあげ、闘う労働者人民への弾圧をより強化しようとしているのだ。特に、革命勢力への弾圧を激化させることを、許してはならない。
朝鮮反革命戦争遂行を見据えた安倍政府による治安管理体制強化を粉砕しよう。戦争遂行の安倍極右政府を打倒しよう。
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