7月4日告示、7月21日投開票の2019年参院選は、与党である自民・公明両党が過半数を占める結果となった。他方、「日本維新の会」等の補完勢力を加えた「改憲勢力」総体は、3分の2を割り込んだ。
参院の改選議席124(非改選議席と合わせた総数は、245)のうち、与党の自民は57(総数113)、公明は14(総数28)で、計71(総数141)。「日本維新の会」は10(総数16)で、「改憲勢力」3党の合計は81(総数157)。諸派や与党系無所属などの非改選議員の3を加えた合計は、160となり、3分の2越えとなる164には、4議席の不足となった。
野党勢力の獲得議席は、立憲民主党が17(総数32)、日共が7(総数13)、国民民主党が6(総数21)、「れいわ新選組」が2(総数2)、社民党が1(総数2)、「NHKから国民を守る党」が1(総数1)となり、野党系無所属が9(総数14)となった。
自民党の若干の議席減を、「日本維新の会」の議席増が補った形となり、数字だけ見れば、「改憲勢力」が再び議会を制圧したかたちとなっており、安倍政府の「勝利」のように見える。しかし、今回の参院選の投票率は、戦後2番目の低さとなる48・8パーセントだった。この間、戦時国家体制形成に突進する安倍政府の施策が、労働者人民の非難を浴び続けてきた。安倍政府が策を弄して「世論形成」を進めようとも、改憲論議は低調であり続けた。実際、自民党の比例区での得票数は、前回の約2011万票から約1800万票程度に下落している。自民党に投票した有権者は、全体の6分の1に過ぎない。与党の獲得議席数と「世論」の実態が、大きく乖離したのは明白だ。
今回の記録的な低投票率は、広範に拡がる安倍政府への怒りを、既成勢力が集約できないことの表れである。議会内野党は、天皇制攻撃に総屈服し、衆・参両院でナルヒト即位の「賀詞」決議を、易々と全会一致で採択する「天皇の臣民」としての姿をさらしている。そんな議会内野党なぞ、結局は帝国主義労働運動=「連合」の顔色をうかがうばかりの翼賛勢力であり、いかにアリバイ作りのために「野党共闘」を作ろうとも、早晩、安倍政府の切り崩しに屈するのは明白だ。こんな既成野党なぞ、労働者人民が見放すに決まっている。もはや「イチジクの葉」の役割すら喪失した反革命翼賛国会から、労働者人民が離反した結果が、今回の参院選なのである。
安倍政府は、参院選の「争点」に改憲をすえ、「憲法審査会」での審議に応じない既成野党を攻撃し続けた。他方、首相・安倍の演説の際には、批判を封じるために警察権力を動員し、批判する聴衆の排除に出た。特に、選挙戦最終日の7月20日、安倍が最後に街頭演説を行なった東京・秋葉原では、警視庁が宣伝カーの周辺を鉄柵で囲うなどの厳戒態勢を敷き、労働者人民の抗議の封殺に奔走したのである。
安倍政府は、「2020年改憲」に、並々ならぬ執念を燃やしている。安倍政府は、改憲発議の条件を確保するために、参院の4議席不足の現状を逆転させるべく、さらなる多数派工作に邁進しようとしている。
参院選後の臨時国会は、8月1日に召集されるが、夏休みをはさみ、今秋から本格的な論戦に入ると見られる。首相・安倍は、改憲発議に向け、まずは、改憲指向の議員の多い、国民民主党の取り込みに入ろうとしている。安倍政府は、あくまでも改憲発議―「国民投票」実施―「2020年改憲」に固執しているのだ。
安倍政府の戦時国家体制形成に対する労働者人民の反発は、参院選でも明確になっており、「イージス・アショア」配備が策動される秋田や、名護新基地建設攻撃との激闘が続く沖縄の参院選挙区では、自民党が敗北している。
朝鮮反革命戦争とファシズムへの突撃との激闘の主戦場は、あくまでも実力・武装をもって闘い抜かれる階級攻防の現場である。既成勢力の総翼賛化を踏みしだき、安倍政府への怒りを爆発させ、2019年後期階級攻防の大爆発をかちとろう。
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