解放トップ
トップに戻る
解放最新号
バックナンバー
論文
定期購読

東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

7・6 「心神喪失者等医療観察法」施行14ヵ年糾弾!
対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモを闘う

(1317号5面)

全「障」共全国幹事会が基調を提起

 7月6日、全国「障害者」解放運動共闘会議(全「障」共)は、全国の闘う仲間とともに、「心神喪失者等医療観察法」撤廃、保安処分施設解体を掲げて、国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)に対する現地での集会とデモを貫徹し、「心神喪失者等医療観察法」施行14ヵ年糾弾闘争を闘いぬいた。

 午前11時、集会場である東京都小平市中央公民館に、全「障」共で闘う「精神病者」「障害者」をはじめとする全国の闘う仲間が結集する中、「広島・『障害者』解放を進める会」の仲間の司会で集会が開始される。

 冒頭、本日の闘いを断固として闘いぬくべく、シュプレヒコールが行なわれる。「『心神喪失者等医療観察法』施行14ヵ年糾弾!」「『心神喪失者等医療観察法』撤廃!」「保安処分施設解体!」「戦時『障害者』差別―抹殺攻撃粉砕!」「『精神保健福祉法』撤廃!新たな改悪阻止!」「安倍極右政府打倒!」「全『障』共は闘うぞ!」と参加者全員がシュプレヒコールをあげる。

 シュプレヒコールに続いて、全「障」共全国幹事会から基調提起が行なわれる。

 基調提起に起った全「障」共全国幹事会の仲間は、「2005年7月15日、「同様の行為の再発」、つまり「再犯のおそれ」があるとして、特別な施設(保安処分施設)に隔離・拘禁する『心神喪失者等医療観察法』が施行された。この施行から14ヵ年を弾劾すると共に、差別糾弾闘争の飛躍をとおして、何としても『心神喪失者等医療観察法』撤廃をかちとろう」「これまで、ほんの微罪に対してもこの『法』の拡大適用が乱発され、『保安処分施設』に収容された人数も増加する中で、50人超が自殺に追い込まれたとされる。保安処分施設解体の闘いを強化しよう」「現在、全国で33ヵ所の保安処分施設が運用されている。これまで政府―厚労省は、保安処分施設を国公立の精神病院内に併設するか敷地内に建設していたが、34番目にあたる保安処分施設を北海道・札幌刑務所内に建設することを計画している。絶対に許してはならない。保安処分施設を全国に先駆けて建設した国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)を糾弾し、保安処分施設を解体すべく闘いぬき、これを突破口として、全国の保安処分施設の建設を阻止し解体しよう」「『心神喪失者等医療観察法』施行を導水路として策動されている新たな保安処分導入を阻止し、刑法の改悪を阻止しよう」「差別糾弾闘争と労働者階級との階級的共同闘争で戦時『障害者』差別―抹殺攻撃と全面対決しよう! 改悪『精神保健福祉法』の撤廃をかちとり、新たなる改悪を阻止しよう!『病棟転換型居住系施設』構想、『成年後見制度利用促進法』と『改正民法及び家事事件手続法』の撤廃をかちとろう!『障害者差別解消法』の撤廃をかちとろう! 改憲と朝鮮反革命戦争に突き進む安倍極右政府を打倒しよう!『障害者』差別を生み出す帝国主義を打ち倒し、共産主義社会の建設を通して『精神病者』『障害者』の解放をめざして闘おう!」。

 基調は、参加者全員による拍手で確認された。

アピール紹介と結集した仲間の決意表明

 基調提起の後、アピール紹介と結集した仲間の決意表明に移る。

 本闘争に参加できなかった全「障」共全国幹事である沖縄の「精神障害者」からのアピールが、読み上げられる。

 「『精神障害者は何をするかわからない』、こんな社会的な風潮がいま、日帝内部に充満している。最近、立て続けに起きている『ひきこもり』と言われる人達による他者への『殺傷事件』を受けて現在、『ひきこもり』=『精神障害者』=『何をするかわからない』。こんな奇妙な公式が成り立ち、独り歩きをし始めている」「『ひきこもり』と言われる人達が皆、『精神障害者』ではないし、『精神障害者』が他者を訳もなく傷つけるなぞというのは、偏見に過ぎない。問題なのは、現在の日本社会に参加出来ない者は生きてる資格はないという、愚劣な理屈である。この理屈の根底にあるのは、紛れもなく『ファシズム優生思想』である。『社会参加出来ない者』とは、『社会的生産点に立ちきれない人間』をさしている。すなわち、生産性がない人間は、今の日本社会では生きる資格はないという『ファシズム優生思想』が汚らしく満開となっているのだ」「沖縄に限って言えば、『ひきこもり』と言われる人達は日本『本土』と比べて見ると決して少なくはなく、その数は具体的にはわからないが、かなりの数に上ると言われている。沖縄の方言で家のことを『やー』と呼び、その家にこもることを『ぐまい』と呼ぶ。すなわち『ひきこもり』を『やーぐまい』と言う。この言葉は沖縄社会では一般的によく使われる言葉だ。それだけ沖縄には、男女問わず『ひきこもり』が多いのである。ひきこもる人の中には、『精神障害』をもっている人もいるし、そうでない人もいる。しかし、沖縄社会の中で『ひきこもり』の人を過度に警戒する風潮はいまのところ見受けられない。沖縄社会が米軍基地により圧迫された社会であり、その社会そのものが一見穏やかであるようで、そうではない。そんな社会の中で行き場を失い『ひきこもる』沖縄人は、決して少なくはない。『ひきこもり』=『精神障害者』=『何をするかわからない』、こういう公式を沖縄社会の中に持ち込み、そういう人達が些細なトラブルを仮に起こした時に、『触法精神障害者』などという言葉でこの『心神喪失者等医療観察法』を適用しようという、日帝の意図はみえみえである。沖縄の全ての労働者人民、『精神障害者』へのこういった『ファシズム優生思想』を根底にした攻撃を絶対に許さない。この『法』を乱発する安倍極右政府を許さない。『精神障害者』への差別―抹殺のためのこの『法』の撤廃をかちとりましょう。その受け皿になっているこの国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)を共に糾弾し、沖縄―日本『本土』を貫く革命的共同で『保安処分施設』を解体していきましょう」。

 アピールの紹介に続いて、結集した各団体からの決意表明が行なわれる。

 「刑法改悪阻止関東活動者会議」の仲間は、「『心神喪失者等医療観察法』は、『精神障害者』を社会の敵とみなして、隔離・抹殺しようとする『法律』です。またこの法律は『医療法』などではなく、司法―国家権力に大きな権限を与える治安目的の法律です。この法律によって、多くの『精神障害者』が保安処分施設に閉じ込められ、施行後から、現在に至るまで、50人を超える自殺者が出ていると言われています。保安処分施設の先陣を切った『旧武蔵病院』を糾弾するデモを闘いぬきましょう」「5月28日、旧優生保護法によって『知的障害』を理由に不妊手術を強制された宮城県下の女性2人に対して仙台地裁は、不当判決を打ち下ろしました。昨年、国を相手に『優生保護法は、憲法13条の幸福権追求に違反』『国に対する損害賠償』の訴訟を起こしていました。裁判長は、『障害がある人たちに不妊手術を強いた旧優生保護法は、個人の尊重や幸福追求権を保障した憲法13条に違反する』としつつも、『損害賠償請求』は棄却しました。つまりは、『旧優生保護法は違憲』だが、『賠償請求権が消滅している』『これまで優生保護法が違憲であるという司法判断がなかったので、国会で救済措置の必要がなく、国に責任はない』として、不妊手術を強制された女性2人の訴えを踏みにじったのです。徹底弾劾していかなければなりません」「『社会にとって価値なき生命』として、『障害者』、『ハンセン病』患者や難病の患者などを抹殺しようとする旧優生保護法の思想的基礎をなしていた優生思想との対決は、『障害者』解放闘争にとって重要な課題です。政府の優生思想―優生政策と闘っていかねばなりません」「安倍が朝鮮反革命戦争へと突き進む中、『精神障害者を治安の対象』として隔離・抹殺する攻撃がますます強化されています。戦時『障害者』差別―抹殺攻撃を粉砕していこうではありませんか」「保安処分施設を解体し、『心神喪失者等医療観察法』の撤廃をかちとっていこうではありませんか。本日の闘争を闘うことを明らかにして、決意とします」。

国立精神・神経医療研究センターへ怒りのデモ

 「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間は、「釜ヶ崎では、多くの『精神障害者』」が生活しています。差別によって地域から排除されたからです」「寄せ場の労働運動では、『精神障害者』に対する差別を許さず、共に闘い、共に生きる団結を作ることが必要です」「われわれは、釜ヶ崎で闘っていた鈴木国男さんの虐殺を糾弾する集会を毎年闘い、今日の闘いに起ち上っています」「『釜ヶ崎労働者の会』は、行政による『センター機能縮小』攻撃を許さない闘い、関西生コン支部への弾圧を粉砕し安倍の『戦争に協力する労働運動作り』を許さない闘い、そして、あらゆる差別を許さない闘いを、先頭で闘います」「『心神喪失者等医療観察法』による『精神障害者』への隔離と虐殺のために存在する旧武蔵病院に対して、われわれの怒りを叩きつけ、入院患者と結びつく闘いを実現するために、戦闘的なデモを闘いぬこう」。

 「東京・山日労」の仲間は、「『精神障害』があるために、地域で生きることを許されず、山谷にたどりついた『精神障害者』の仲間もいます。差別を許さず、共に闘う仲間として、差別によって地域から排除された『精神障害者』と、団結していかなければなりません」「『心神喪失者等医療観察法』撤廃、『保安処分施設』解体を掲げた本日の闘いは、大変重要な闘いです。東京・山日労は、先頭で闘う」。

 決意表明の最後は、「反安保労研全国センター」だ。「『障害者』の雇用達成率を厚生労働省などの中央官庁があいついでデッチ上げていたことが発覚しています。これを見ても、安倍をはじめとする行政が『障害者』差別をなくす気なぞないことは明らかです」「労働組合運動は、資本家にもたらす利益の多さで、『価値あるいのち』『価値のないいのち』なぞという価値観を許していては、成り立ちません」「差別主義・排外主義を許さぬ労働運動を作り上げるために、反安保労研全国センターは闘います。本日の闘いに続いて、7月21日には、宇都宮病院を包囲・糾弾する闘いをともに闘おう」。

 参加した闘う仲間たちは、寄せられたアピールと各団体からの決意表明を大きな拍手で確認していく。

 集会を終えて、デモに出発する。デモ隊は、国立精神・神経医療研究センターに向けて進撃し、センター前では、怒りを込めて「『心神喪失者等医療観察法』撤廃!」「施行14ヵ年糾弾!」「保安処分施設解体!」「『精神保健福祉法』撤廃! 新たな改悪阻止!」「戦時『障害者』差別―抹殺攻撃粉砕!」「共闘・共生で闘うぞ!」「安倍極右政府打倒!」とシュプレヒコールを幾度も叩きつける。国立精神・神経医療研究センター付近の住民を始めとする労働者人民が注目する中、戦闘的デモを闘いぬいた。

 全「障」共と結集した全国の闘う仲間は、本闘争を力に「心神喪失者等医療観察法」撤廃に向けて闘いを進めていくとともに、7・21「入院患者差別・虐殺35ヵ年糾弾! 報徳会宇都宮病院糾弾! 宇都宮現地闘争」に全力で決起していくことを確認して闘争を終えた。