大阪・入船公園で決起集会
6月28日〜6月29日、大阪市住之江区咲洲地区にある「大阪国際見本市会場(インテックス大阪)」で、「主要20ヵ国・地域」首脳会議(G20大阪サミット)が開催された。安倍政府は、G20大阪サミットを強行するために、大阪一帯を約3万2000人の警察官を動員して制圧する厳戒態勢を敷いた。
関西の闘う仲間たちは、厳戒態勢下でG20大阪サミットを強行する安倍政府への怒りを燃やし、「実行委員会」を組織して、G20大阪サミット粉砕の闘いに起ち上がった。
6月28日、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の呼びかけに応え、闘う労働者・学生が、続々と、JR・南海新今宮駅前の「西成労働福祉センター」前に結集する。そして、大阪湾を望む埋立地の一角にある、大阪市港区の入船公園まで移動する。入船公園に到着後、仲間たちは、暑さ対策の水分補給を行ない、軽食で栄養補給をして休憩した後、青ヘルとゼッケンを装着し、旗竿を手にして、闘争の準備を整えた。
正午、全国反戦の司会の下、G20大阪サミット粉砕の決起集会を開始する。冒頭、全体でシュプレヒコールをあげる。
全国寄せ場交流会が、闘争基調を提起する。
「警察は、全国から警察官を3万2000人も大阪に集めている。3万2000人もの警察官を集め、守らなければ開くことができないG20大阪サミットは、労働者にとって、許すことのできない会議だということだ」「公園などで野宿する労働者が『サミット』を理由にして、追い出し攻撃を受けている。警察は、労働者に対する職務質問を好き放題にやっている。『外国の首脳が来るから』といって、6月27日、6月28日は、すべての学校が休校にされている。釜ヶ崎では、『交通規制があるから』と言って、業者がセンターに来なくなっている。トランプや安倍が大阪に来るからといって、何故、労働者が追い出され、監視され、仕事を奪われ、子どもたちが学校に行けなくされないといけないのだ。労働者を犠牲にして開催されるサミットは、粉砕あるのみだ」「G20大阪サミットには、米帝・トランプ、仏帝・マクロン、韓国・文在寅などが大阪に来る。これらの政治家は、それぞれの国で、労働者から『トランプ打倒』『マクロン打倒』『文在寅打倒』の闘いに直面している。トランプも、マクロンも、文在寅も、労働者から搾り取り、資本家の儲けを増やすための政治しかやっていないからだ。また、対イラン反革命戦争突進や、朝鮮反革命戦争突入の動きを強めているからだ」「日帝・安倍政府は、7月4日公示の参院選で『消費税を増税する』『憲法を変える』を公約にしている。労働者人民からの搾取・収奪強化と朝鮮反革命戦争突入を狙っているのだ」「こんな連中が、大阪で会議をやる目的は、『労働者から搾り取り、労働者を支配する体制を、どうやって維持していくか』を話し合うことだ。こんな会議を許してはならない。世界の労働者と連帯してサミット粉砕を闘いぬこう」。
全国寄せ場交流会の闘争基調が、参加者全体の拍手で確認される。
「サミット」会場への戦闘的デモを闘う
集会に結集した仲間が、次々に決意表明に起つ。
全国学生社会思想研究会連合は、「米帝・トランプが中国を相手に『貿易戦争』をしかけた結果、日帝などは中国向けの輸出が大幅に減り、大打撃を受けている。トランプが『貿易戦争』を仕掛ける理由は、米帝経済が落ち込み、世界経済を支配できなくなることに危機感を燃やしているからだ」「G20サミットは、『保護主義』を批判し、『国際的な協調』を維持するために開かれるようになったが、トランプに対して『保護主義をやめろ』と言えなくなっており、資本主義世界経済の危機を加速させている」「だが、一方で、朝鮮反革命戦争や中東反革命戦争に突入するための協議が行なわれようとしている。労働者を犠牲にし、国際反革命戦争で延命を図る帝国主義世界支配をうち破ろう」「全世界で戦闘的に闘う、学生・青年たちの激闘と連帯し、闘いぬく」。
「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」は、「大阪に3万2000人もの警察官を集めなければできないサミットは、労働者にとっては、ぶっ潰すしかない会議だ」「釜ヶ崎では、センターの建て替えを理由にして、釜ヶ崎の労働者がセンターから追い出され、雨をしのぐ場所もない、体を休める場所もない、仲間と話す場所も奪われるという攻撃を受けている」「われわれは、『釜ヶ崎の主人公は、労働者だ』『労働者を追い出すセンター建て替え案を許さん』『センター機能の縮小を許さん』の闘いを闘う」「関西生コン支部に対する組合つぶしの弾圧に見られるように、安倍が、『労働組合のない社会』『労働者の権利がない社会』『翼賛組合が戦争に協力する社会』を作ろうとする攻撃を許さない、『反戦・反失業』の闘いを、釜ヶ崎で大きく作り上げていく」。
集会の最後に、再度、全体でシュプレヒコールをあげる。集会終了後、青ヘル部隊は、直ちに隊列を整え、サミット会場に進撃する戦闘的デモに撃って出る。
デモ隊は、強い日差しの中、埋立地内の商店街や住宅街を通過していく。厳戒態勢の中でのデモであったが、戦闘的デモは、道行く労働者人民からの熱い注目を集める。デモ隊が海岸沿いに到達し、「インテックス大阪」が視界に入ると、デモ隊のシュプレヒコールもさらに熱が入る。「G20大阪サミットを粉砕するぞ」「朝鮮反革命戦争を粉砕するぞ」「中東反革命戦争を粉砕するぞ」「安倍政府を打倒するぞ」。
青ヘル部隊が戦闘的デモを最後まで闘いぬいた後、最後に、全国寄せ場交流会が集約提起を行なう。「G20大阪サミット粉砕を闘いぬいた力で、今夏の激闘に進撃しよう。戦争遂行の安倍極右政府を打倒しよう」。最後に、デモ隊がシュプレヒコールをあげ、本闘争を締めくくった。
6月28日〜6月29日のG20大阪サミットは、「首脳宣言」として「大阪宣言」を採択して閉幕した。焦点となった貿易分野では、「市場を開かれたものにするため、自由で公平かつ無差別で、透明性があり、予測可能で安定的な貿易及び投資環境を実現するために努力」との文言を盛り込んだが、従来の決まり文句であった「保護主義と戦う」なる文言を、昨年に続き、今回もまた盛り込むことはできなかった。さらに、トランプが執拗に要求する「世界貿易機関(WTO)改革」については、「早急な改革」「建設的に取り組む」とする文言が書き込まれた。一方、為替相場については、「通貨の競争的な切り下げを回避し、競争力のための為替レートを目標としない」と明記している。また、世界経済の現状について、「安定化の兆しがあり、年後半から2020年にかけ緩やかに回復する」と、従来の楽観的な見方を、またぞろ繰り返している。
「保護主義と闘う」なる文言を盛り込めず、成果なしに終わったG20大阪サミット
日帝首相・安倍は、6月29日のG20大阪サミット終了後、「自由貿易体制を支える基本原則で一致できた」と強弁したが、G20の枠組みでも、結局、米帝・トランプの主導する「アメリカ第一主義」を食い止めることなぞ到底できず、「自国第一主義」が蔓延する実態も、改めて鮮明になった。
首脳会議開催中、参加国同士での首脳会談が、相次いで行なわれた。6月29日のサミット閉幕直前には、かねてから世界経済の焦点となっている米中首脳会談が行なわれ、米帝・トランプと中国・習近平は、「貿易協議再開」で合意する一方、トランプが画策していた、スマートフォンやパソコンなども含む、「3250億ドル相当を新たに課税対象にする」なる「制裁関税」の発動は、先送りとなった。また、トランプは、中国の通信機器大手企業のファーウェイ(華為技術)に対する「制裁」についても、「部品販売などを認める」として緩和する方針を示した。
追加関税を掛け合うことで激化の一途をたどってきた「米中貿易戦争」は、「一時休戦」の形になったが、まだまだ予断を許さない状態である。
トランプは、サミット期間中の6月29日朝の、サウジアラビア皇太子・ムハンマドとの朝食会の場で、サミット終了後の訪問地である韓国で、北朝鮮との国境に設置された「非武装地帯」(DMZ)を視察する方針を示した。さらに、北朝鮮の最高指導者である朝鮮労働党委員長・金正恩に対して、DMZでの会談を呼び掛けた。
6月30日、韓国を訪問したトランプは、予告通りにDMZを訪問すると、板門店で金正恩と面会し、首脳会談を行なった。電撃的な、3回目の米朝首脳会談となった。しかも、板門店での会談は、史上初である。両者は、しきりに「信頼関係」を強調するなど、「和平ムード」演出に努めた。今回の首脳会談実現に向け、韓国・文在寅政権が橋渡しに奔走していたことも、明らかになっている。米帝・トランプは、イランとの緊張が急激に高まる中、「二正面作戦」回避のために、北朝鮮との「和平ムード」演出を継続する方針なのだろう。
しかし、一方でトランプは、サミット終了後の6月29日、日米安保について「日本が攻撃された場合、アメリカは日本を助けなければいけないが、日本がアメリカを助けることはない」「不公平な取り決めだ。変えなければならない」と改定に言及した。「和平ムード」をいくら演出しようと、実際の「米朝協議」は、2月の決裂以降、1ミリも進展していない。トランプは、米軍と自衛隊が一体となったより本格的な交戦を想定して、「日米安保改定」を要求しているのであり、朝鮮反革命戦争突入をみすえた日米安保強化の一環と見るべきであろう。
米帝―帝国主義の対イラン反革命戦争への突進、朝鮮反革命戦争突入を、粉砕しよう。
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