厳戒態勢下御茶ノ水駅頭で情宣決起
米帝・トランプが、5月25日に来日した。
トランプの来日に際しては、最大限の警備が敷かれた。警視庁が1万8000人、ゴルフが予定される千葉県警と、海自護衛艦への乗艦が予定されている神奈川県警がそれぞれ3500人、合計2万5000人規模であり、米大統領の来日時の警備としては、過去最大の規模である。サブマシンガンを携行し現場に最初に投入される「緊急時初動対応部隊」(ERT)、海上で水上バイクなどを活用する「臨海部初動対応部隊」(WRT)、ドローン(小型無人機)対応に特化した警視庁の「無人航空機対処部隊」(IDT)も配備された。さらに、都内の高速道路や一般道を一部通行止めにする交通規制が実施され、トランプの訪問先の周辺など10ヵ所が、小型の無人機(ドローン)の飛行禁止区域に指定された。JRの駅などでは、ごみ箱が撤去されている。両国国技館での相撲観戦では、制服警官を場内に多数配置する「見せる警備」のシフトをとる異例の態勢がとられ、トランプの座る升席を、米大統領警護隊(シークレットサービス)や警視庁のSPで取り囲む形で警護。都心では、空港や繁華街など各所に警察官が配備され、首都圏は、厳戒態勢となり、労働者人民に対する監視と弾圧体制がとられた。
こうした中で行なわれる日米首脳会談の主要なテーマは、何よりも、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の「非核化」をめぐる問題、すなわち、北朝鮮への軍事的恫喝―朝鮮反革命戦争突入に向けた意思一致である。好戦主義者のトランプと安倍は、朝鮮反革命戦争遂行へ向けて、互いの本音を突き合わせるための日米首脳会談=戦争会談を行なうのだ。
5月25日午前10時、反戦・全学連の部隊は、JR御茶ノ水駅頭に登場する。ゼッケンとヘルメットをつけ、横断幕を掲げて整列する。「日米首脳会談を粉砕するぞ」「トランプ・天皇会見を粉砕するぞ」「朝鮮反革命戦争突入を絶対阻止するぞ」「天皇・天皇制攻撃を粉砕するぞ」「安倍極右政府を打倒するぞ」と駅頭にシュプレヒコールが響き渡る。アジテーションと同時に、ビラまきを開始する。労働者人民は、街中をトランプ警備の警察官が埋め尽くしている状況にうんざりし、怒りを持っている。アジテーションに聞き入る人もおり、ビラの受取りもよい。こうした中、約1時間の情宣をやりぬき、再度シュプレヒコールをあげ闘争を終えた。
朝鮮反革命戦争突入へ向けた日米首脳会談
5月25日夕方、トランプは、大統領専用機・「エアフォースワン」で羽田空港に到着し28日まで滞在した。
26日午前には、千葉県茂原市のゴルフ場で首相・安倍とゴルフをし、夕方には、両国国技館で相撲観戦、夜は、六本木の炉端焼き店で夕食。すべてに安倍が同席し、最大限の「おもてなし外交」を行なった。
27日午前11時すぎから、迎賓館で日米首脳会談が行なわれた。議題の一つは、北朝鮮の「非核化」、すなわち、朝鮮反革命戦争突入ををめぐってである。そのために、米大統領補佐官(国家安全保障担当)・ボルトンが来日し、5月24日に、首相・安倍と会談している。両者は、対北朝鮮対策を協議し、「国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議の完全履行」=「経済制裁」強化のための洋上で物資を積み替える「瀬取り」対策についての連携強化を確認している。5月25日、ボルトンは、東京での記者会見の場で、5月4日と5月9日の北朝鮮による短距離「飛翔体」発射について、「発射されたミサイルのほとんどは、極めて射程の短い弾道ミサイルだった。北朝鮮はいかなるミサイルの発射も禁じられており、『国連安保理制裁決議』違反であることは明らかだ」と北朝鮮を非難している。
いかに、トランプが「北朝鮮による短距離弾道ミサイル発射は、国連安保理決議違反にあたらない」(5月25日、日米首脳会談後の記者会見)と言おうが、米政府としては、朝鮮反革命戦争突入を見据えた構えは崩さないということなのだ。
それを示したのが、5月28日の横須賀でのトランプの言動だ。トランプと安倍は、それぞれ、ヘリで海自横須賀基地の護衛艦・「かが」に降り立った。「かが」は、「いずも型護衛艦」の一つであり、F―35Bを搭載した本格的な空母に改修することが決定しているものだ。トランプは、「かが」の格納庫で海自と米海軍の兵士500人を前に、日帝が最新鋭ステルス戦闘機・F35を105機調達する計画にふれ、「同盟国で最大だ」「日本は、今後、F35戦闘機を購入することで同盟国の中でも最大規模のF35戦闘機群を持つことになる。(改修された『かが』は、)地域を越えて、両国が直面するさまざまな脅威を抑止することができるようになる」とし、安倍は、「日米の両首脳がそろって自衛隊とアメリカ海軍を激励するのは史上初めてだ」「日米同盟は、これまでになく強固なものとなった。日米同盟のさらなる強化に向かっていく」とした。この後、トランプは、米軍横須賀基地の強襲揚陸艦・「ワスプ」で米兵を前に、「日米同盟はかつてなく強固だ」「力による平和を通じて地域の安定をめざす」とした。要するに、トランプも、安倍も、朝鮮反革命戦争遂行に向け、日米共同で突き進むということをあらためて宣言したのだ。
安倍政府による反革命国民統合強化の一環としてのトランプ・天皇会見
もう一つの議題は、日米貿易交渉である。トランプは、「米国は、『環太平洋パートナーシップ協定』(TPP)に縛られない」と主張して、日帝に農産物のさらなる関税引き下げを要求してきた。関税引き下げをTPPの範囲内にとどめたい日帝との違いが鮮明となったのだ。このために日帝と米帝の溝が埋まらず、首脳会談は長引き、1時間の予定が倍の2時間もかかっている。トランプは、ツイッターで「多くの成果は、7月の参院選挙後に待つ」とし、日米首脳会談の冒頭で「日米貿易交渉について、おそらく8月に両国にとって素晴らしいことが発表されると思う」とした。農産品の関税引き下げは、日帝足下の農家の反発が懸念されるため、夏の参院選後に合意を引き延ばしたいという日帝に配慮したと言われている。しかし、安倍は、首脳会談後の記者会見で、「早期の成果達成に向けて、議論をさらに加速させることで一致した」とのみ発言した。安倍の「おもてなし外交」は、「緊密な日米同盟」をアピールするのに有効だったかもしれないが、トランプの農産物の関税引き下げの要求を止めることも、交渉の速度を落とすこともできなかったということなのだ。
27日午前9時過ぎ、天皇・ナルヒト即位後の最初の国賓として、来日したトランプは、皇居・宮殿「竹の間」で、天皇・ナルヒトと皇后・マサコとの会見を行ない、夜は、皇居でナルヒト、マサコが主催する宮中晩餐会に出席した。28日午前には、ナルヒト、マサコが、トランプに別れのあいさつをするため、東京都内のホテルを訪問している。ナルヒト、マサコ、トランプらは、通訳を介さずに会話する場面も多くあり、マスコミの多くは、「大成功の皇室外交」と賛美しまくっている。
4月30日の前天皇・アキヒト退位、5月1日の新天皇・ナルヒト即位を頂点とする、天皇代替わりを通した天皇制強化が、さらに進められようとしている。安倍政府は、「日本会議」等のファシスト勢力による、天皇「祝賀」の「草の根」運動と一体となり、日帝足下労働者人民への「祝賀」強要を強化しようとしている。そんな中、トランプとの会見「成功」を演出することで、ナルヒトの天皇としての「外交デビュー」を強調し、求心力を高めようというのである。トランプ・天皇会見は、安倍政府による反革命国民統合の強化の一環に他ならない。
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