経営者側が動員した黒服集団と対峙して闘いが開始される
5月15日、午前8時から、大阪地裁の周辺を闘う労働組合が制圧して、「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関西生コン支部)」に対する大規模な弾圧の一環である「大阪第1次弾圧」の第2回公判闘争が闘いぬかれた。
この日の闘いは、ストライキを「威力業務妨害」として弾圧された「関西生コン支部」のB副委員長を先頭とする8人の組合員と弁護団、傍聴席を埋めた支援の労働者が一体となった法廷闘争が闘われると同時に、大阪地裁に隣接する西天満若松浜公園に150人を超える闘う労働者が結集して「労働組合つぶしの大弾圧を許さない座り込み集会」が終日闘争として闘いぬかれた。この闘いには、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」も結集して闘いぬいた。
午前8時、西天満若松浜公園に続々と闘う労働組合が結集してくる。この日の公判は、午前10時開廷だが、闘いは、傍聴席を闘う労働組合で制圧する闘いから始まる。2月1日に行なわれた第1回公判闘争では、大阪の中小の生コン会社の経営者団体である「大阪生コン広域協組」が、大量の黒服の集団を動員し、傍聴席を制圧する動きに出た。傍聴席の7割以上を黒服が占めた。「関西生コン支部」によると、この黒服の集団は、「山口組のフロント企業の連中」であり、「『大阪生コン広域協組』を恐怖支配している『4人組』が、無理やり裁判の傍聴に動員をかけ、被告とされた組合員がジャージやスエットなどを着て出廷するのを『見に行け』と号令がかけられている」という。要するに、ヤクザの黒服で傍聴席を制圧し、被告や弁護団、支援の労働者を威圧し、嫌がらせをやろうという薄汚い魂胆だ。労働組合の当然の権利であるストライキに対して、経営者団体、警察、ヤクザ組織が一体となって「威力業務妨害」をデッチ上げ、大量逮捕と長期勾留の弾圧をかけ、「関西生コン支部」そのものを潰すことを狙っているのが、今回の弾圧の構造であり、目的だ。
このような薄汚い策動を粉砕すべく、闘いは、黒服集団と対峙しながら傍聴席を闘う労働組合で制圧するための行動から開始された。8時10分、公園に結集した労働者は、この日の「座り込み集会」を主催する「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会(実行委員会)」の呼びかけで集会を開始する。発言の先頭に起ったのは、「全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)」の本部書記長である小谷野氏だ。
「座り込み集会」を闘う
小谷野氏は、「『関西生コン支部』への弾圧を受けて、これに便乗した懲戒解雇攻撃が大阪や奈良の生コン業者などで始まっている。昨日は、2人の組合員を懲戒解雇した茨木市の『ナニワ生コン』、4人の組合員を懲戒解雇した奈良市の『吉田生コン』に対する抗議行動を、新潟、関東、静岡、東海などの支部と関生支部が闘った。『ナニワ生コン』の藤中社長は、2017年のストライキ直後までは『大阪兵庫生コン経営者会』の会長で、中小企業と労働組合の協力関係による生コン業界再建運動の、業界側の旗振り役だった。2017年のストライキで問題となった輸送運賃引き上げも、『大阪生コン広域協組』を代表して『運賃引き上げは約束だから実施する』と回答していた。ストライキ直後も労働側の言い分には道理があるという立場で事態の収拾に動いた。しかし、『大阪生コン広域協組』の執行部は、藤中社長の行動をとがめ立てし、『ナニワ生コン』の営業活動を事実上禁止するという見せしめ処分を決めた。『関生支部と手を切らないとこうなるぞ』というものだ。これに震えあがった藤中社長は、『経営者会』の会長を辞職し、掌を返したように関生支部つぶしの先兵となった。『ナニワ生コン』によるB副委員長らの懲戒解雇は、『大阪生コン広域協組』への忠誠の証ということだ。絶対に許してはならない」。
続いて発言に起った「関西生コン支部」の副委員長である坂田氏は、「『関西生コン支部』は大弾圧を受けているが、われわれの反撃の闘いは全国に広がっている。全港湾は、春闘でゼネストを闘い、働く者に希望を与えている。公判闘争を『大阪生コン広域協組』が妨害しようとしているが、これを許さず闘おう」と呼びかけた。
その後、「実行委員会」を構成する団体からのアピールが行なわれ、7月の参院選に立候補する大阪教育合同労組の大椿氏、大阪全労協の田島氏、全港湾大阪支部、全金港合同、関西合同労組、管理職ユニオンなどが発言した。発言の最中に、ハンドマイクをもったレイシストが1人、公園の前で敵対の情宣をやろうとするが、闘う労働組合員に包囲され、なす術もなく退散する。
傍聴席を制圧し、公判闘争が闘われる
午前9時には集会を終え、闘う労働者は、大阪地裁の敷地に入り、70枚の傍聴券を獲得するための行動に入る。この日も、「大阪生コン広域協組」が黒服を動員している。しかし、第1回公判とは打って変わって、裁判所敷地を埋める労働者の数に圧倒され、黙り込むしかない。傍聴券を獲得するために大阪地裁の敷地に入った数は、闘う労働者が150人、「大阪生コン広域協組」側が約100人だ。抽選の結果、第2回公判の傍聴券の8割は闘う労働者が獲得した。傍聴席を制圧するために動員された黒服の大半は、目論見が外れ、早々と裁判所を離れて行く。結集した労働者は、意気揚々と法廷に入り、残った労働者は、公判廷での闘いと結合した公園での座り込み集会と「関西生コン支部」の宣伝カーを使った大阪地裁周辺での街宣行動に移っていく。午前10時の開廷に合わせて、公園からシュプレヒコールが上げられる。
大阪地裁201号法廷で行なわれた第2回公判は、検察側の意見陳述の追加から始まった。検察は、「全日建の実態は、ストライキと称して出荷妨害をくり返してきた」として、かつての事例を延々と読み上げ始めた。これに対して、弁護団は、「異議あり」の声を上げた。弁護団は、「過去の事例は本件と関わりがない。いたずらに裁判に予断を与えようとしている」と批判したが、裁判官は異議を認めず、今後の裁判の中で内容は精査していくと主張した。さらに、検察は、「上田運送(上田組)」でのバラセメント出荷妨害の補強経過を、陳述に加えると主張した。しかし、「6時間とどまり続けた」など、きわめてあいまいな経過だったため、弁護団から、具体的に「出荷妨害」のどのような実行行為がおこなわれたのか不明と指摘した、裁判官は、「これ以上、求めない」と、検察をかばうかのような対応に終始した。
続いて、午前中の公判廷では1時間半、午後の公判廷では2時間20分にわたって「出荷妨害」をしたとされるビデオ映像が流された。2017年12月12日の「宇部三菱」の関連会社・上田組、大阪中央生コンでのストライキ画像(会社撮影、監視カメラ、西成署撮影の3種類)。検察は、「出入りする車両の前に組合員が立ち塞がって出荷業務を妨害した」として起訴し、その証拠として映像を提出した。しかし、法廷で映し出される映像は、組合員がバラセメント車や生コンミキサー車の斜め前方で運転手にストライキの趣旨を説明して協力を呼びかけている様子ばかりだ。威力をもって車両の進行を阻止しているようには見えない。「宇部三菱」の場合、会社の管理職らの人数が組合員より多く、車両の全面に群がるように立ち塞がっているのは、管理職たちだ。さらに、遠巻きに大阪府警の機動隊のバスを並べて待機している事実まで移っている。現場で「威力業務妨害」にあたる行為があったのなら、警察・機動隊が出動しているはずだ。しかし、この「事件」での逮捕はじつにストライキから9ヵ月も経ってからだ。
延々と続く、いったい何を証明しようとしているのか分からない映像に、傍聴席から次第に怒りの声が起こる。「警察は民事介入するな」「警察がいて、警告も逮捕もないストライキが今頃なぜ犯罪なんだ?」「出荷の妨害をしてるのは会社と警察じゃないのか」。
収約集会で弁護団が報告
午後4時に第2回公判は終了した。
4時15分から行なわれた収約集会では、「連帯ユニオン」本部書記長の小谷野氏が、「今日の公判は、ほとんど映像を流すものだった。2017年12月12日、13日のストライキの映像だが、何を立証したいのか、まったく分からないものだった。傍聴席からは『出荷の妨害をしてるのは会社と警察じゃないのか』という声も上がった。写っていたのは、おとなしい説得活動だ。実際の現場では、溝がなく、ツルツルのタイヤを履いた車両に対して、整備不良の警告書を出すなどの安全確保の活動も行なわれていた。次回の公判は、上田組の管理職が証人として出廷する」と報告した。
続いて、弁護団が報告に起つ。弁護団は、「検察は、『出荷妨害』『威力業務妨害』と言っているが、犯罪視されるような事態はまったく起こっていない。裁判長に、まず公訴事実がどんな状態であったかをありのままに見て、理解させるために、検察側の映像をあえて説明なしに流した。これから、何もないところから犯罪としてデッチ上げをした事実を浮かび上がらせていく」と裁判闘争の方針を説明した。
全港湾からの発言では、「『関西生コン支部』は、他の労働組合が弾圧された時は、必ず駆けつけてきました。今回は、その『関西生コン支部』が弾圧された。それで全港湾が窓口になって支援する実行委員会を結成しました。労使は対等でないから資本に打撃を与えるストライキ権が保障されています。かつては、『関西生コン支部』と共闘していた『建交労』や『産労』は、ストライキをやめて、経営者からの金を受け取っています。労働組合として当たり前の闘いを貫いている『関西生コン支部』を潰そうという攻撃を団結して粉砕していくために、全港湾は闘います」と闘う決意が明かにされた。
当該の「関西生コン支部」副委員長は、「朝早くから夕方まで、大変ありがとうございます。労働組合として当たり前に闘いをやって弾圧されることを許すわけにはいきません。これからも無罪に向けて闘って行きます。ご支援、ご協力をよろしくお願いします」と、支援の労働者にお礼を述べた。
司会から、「今日の闘いは、法廷闘争と座り込み集会を150人で闘いました。法廷の傍聴席の八割は、われわれが押えました」という報告が行なわれ、最後に、「関西生コン支部」書記次長である武谷氏の音頭で、「大阪府警の不当弾圧を許さんぞ!」「大阪府警は、ただちに仲間を返せ!」「不当弾圧を粉砕するぞ!」「仲間を取り戻すぞ!」「団結ガンバロー」とシュプレヒコールを上げ、当日の行動を終えていった。
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