大破産隠蔽の埋め立て工事
 ３月２５日、安倍政府―沖縄防衛局は、昨年末から埋め立てを進めてきた「埋立区域�◆州院廚紡海�、新たに「埋立区域�◆廚悗療攤重蠧�を強行した。「埋立区域�◆廚蓮◆嵋篶�区域�◆州院廚寮沼Δ卜拈椶垢覿莪茲如¬明僂鰐鵤械灰悒�タール。「埋立区域�◆州院廚�約６・３ヘクタールだから、その約５倍の埋め立て規模となる。
しかし、ここでまず指摘しておかねばならないことは、３月２５日の時点で、最初の「埋立区域�◆州院廚遼笋疥�てが、まだ全然終わっていないということだ。この区域の埋め立てに必要な土砂の４分の１も入っていないのだ。そんな状態で、隣の区域の埋め立てにも入らなければならない合理的な理由は、どこにもないのだ。
そもそも、「埋立区域�◆州院廚蓮∨笋疥�て計画全体から見ると、埋め立て面積で全体の４パーセント、投入される土砂量（１３・７万立方メートル）では、全体の０・７パーセントにすぎない。「埋立区域�◆廚砲靴燭箸海蹐如∨笋疥�て面積こそ全体の２１パーセントを占めることになるが、土砂量（１１１万立方メートル）では、全体の５・４パーセントにすぎない。言わば、どちらも規模においては、大した工事ではないのだ。
しかも、この辺野古側２区域の埋め立てをどんなに急いで進めたところで、大浦湾側の埋め立て工事が丸ごと残されている限り、将来的に必要となる工期は、１日たりとも短縮されないのである。かつて沖縄防衛局が「県」に提出した「埋立承認申請書」によれば、沖縄防衛局が当初計画で必要だとしていた「５年」の大部分は、大浦湾側の工事にかかる期間であった。水深が比較的浅い辺野古側の工事は、大浦湾側の工事と並行して施工する計画だったため、辺野古側だけをどんなにいじったところで、工期には何の影響も与えない。「埋立承認撤回」をめぐる「行政不服審査法」による審査手続きの過程で、沖縄「県」が国土交通省に提出した「意見書」において、「県」は、「大浦湾側の護岸に着工しない限り、辺野古新基地建設に要する期間は未着工の時と変わらない」と指摘しているが、まさにその通りだ。
工程上、新基地完成までの工期が短縮されることはないにもかかわらず、沖縄防衛局が辺野古側の埋め立てに躍起になる理由は、まったく明らかだ。新基地建設の成否にかかわる大浦湾側の工事が、「活断層」、「超軟弱地盤」の発覚などで大破産を遂げていることを隠蔽するためだ。
とりわけ「超軟弱地盤」をめぐって、政府―沖縄防衛局は、「一般的な工法で地盤改良工事は可能」だとうそぶいているが、しかし、地盤改良は、面積が大浦湾側の６０パーセント強に及び、砂杭（サンドパイル）約７・７万本、砂量６５０万立方メートルを要するという大工事、難工事で、途方もない時間と費用がかかるのは必至だ。加えて、深度９０メートルに及ぶ軟弱層も確認されている。政府―沖縄防衛局は、「サンドコンパクションパイル」（ＳＰＣ）工法による地盤改良で「所要の安定性を確保することは可能」と言うが、ＳＰＣ工法の国内の施工可能深度は、７０メートルまでであり、実績で言えば、横浜港コンテナターミナル施工時の深度６５メートル止まりなのである。最深部の２０メートル部分の地盤改良を放棄して埋め立てを強行すれば、ひどい地盤沈下やケーソン護岸の崩落などを引き起こすことは、やる前から明らかだ。新基地建設は、技術的にも不可能だ。しかも、それをやる前には、沖縄「県」に「設計計画の変更申請」を行ない、「県」の「承認」を得なければならないが、その見込みはまったくない。
政府―沖縄防衛局が辺野古側の埋め立てを急ぐのは、こうした事実を隠蔽し、ひたすら既成事実を積み上げることで、「工事の進捗」をキャンペーンし、「工事は、もはや止められない」と印象操作して、沖縄労働者人民の闘いを挫くためだ。沖縄労働者人民に「もう諦めろ」というメッセージを送りつけることだけが目的の、極めて政治的なアリバイ工事だということだ。
工事拡大を阻む現地の闘い
 この新たな埋め立て工事を阻止するために、３月１６日には、那覇新都心公園で、「土砂投入を許さない！ ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める３・１６県民大会」が開催された。「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が主催したこの「大会」に、１万人余の労働者人民が大結集した。「大会」では、日米両政府に対して、「県民投票で示された圧倒的な民意を尊重し、埋め立てを中止し、辺野古への新基地建設を即時、断念すること」、「大浦湾側には活断層があり、その付近の海底には超軟弱地盤が存在する。米国の安全基準である高さ制限にも抵触している。環境を著しく破壊している赤土混じりの埋め立て土砂を全て撤去すること」、「欠陥機オスプレイ配備を撤回し、米軍普天間基地を即時運用停止し、閉鎖・撤去すること」という３点を求める「大会決議」を、満場の拍手で採択した。
 そして、迎えた３月２５日。午前５時から、米海兵隊のキャンプ・シュワブの「工事用ゲート」前や「メインゲート」前には、多くの労働者人民がつめかけ、業者の入構阻止、資機材の搬入阻止のために陣取る。海上では、抗議船９隻、カヌー４４艇が出て、工事阻止の態勢をとる。これに対して、「県」警機動隊、海上保安庁は、陸・海で弾圧態勢を敷き、実際、午前６時前には県警が、「公務執行妨害」容疑で１人を逮捕した。そればかりではない。辺野古沖合には、２０１８年１月に米海軍・佐世保基地（長崎県佐世保市）に配備された米海軍の強襲揚陸艦・「ワスプ」（佐世保基地に配備）が停泊して、水陸両用車・ＡＡＶ７を走らせ、上空には米海兵隊・普天間基地所属のＵＨ１ヘリの編隊を旋回させるなど、米軍までが、闘いに執拗な威圧を加えた。
午前８時半過ぎ、「準備が整ったため、埋め立てに着手する」という電話通告が沖縄防衛局から「県」に入ったことが現場に伝わると、労働者人民の怒りが沸騰する。「県民投票」の結果も、「県民大会」の決議も一顧だにしない暴挙だ。「工事用ゲート」前の集会では、結集した５００人の労働者人民を前に、司会の山城博治氏（「沖縄平和運動センター」議長）が、「もはや辺野古の問題は、一基地の建設問題という枠を超えて、日本政治のありようを根本的に問う問題に発展している。民意を踏みにじる暴虐な埋め立て拡大に、沖縄は負けない。挫けない。屈しない。頑張ろう」と提起し、「ヘリ基地反対協」共同代表・安次富浩氏、「沖縄平和運動センター」事務局長・大城悟氏、「沖縄平和市民連絡会」事務局長・城間勝氏などが、「官房長官の菅が沖縄に来ている。沖縄を軍事拠点にするには、沖縄の闘いを潰さなければならないという安倍政権の意思を示すものだ。安倍政権こそ潰さなければならない」、「宮古島でも、隊舎の一部に自衛隊が明日にも入ろうとしており、島中が軍事基地にされようとしている。連帯を強めよう」、「現場の闘いが沖縄と全国を動かす。現場に集中することが大事だ」と次々に発言した。
「工事用ゲート」からの資機材搬入の動きがないことから、「第２ゲート」へ、さらに海が見渡せる「第３ゲート」へデモで移動し、全体でシュプレヒコールを行なう。「工事拡大を許さないぞ」、「土砂投入をやめろ」、「埋め立て工事をやめろ」、「カヌー隊頑張れ」、「海保に負けるな」という声が海上に響き渡る。
午後１時半からは、「ヘリ基地反対協」が主催した「土砂投入許さない海上大行動浜集会」が、辺野古の浜で開かれた。この集会に６００人が結集した。抗議船やカヌーで海上行動に出ている１００人を合わせれば、７００人の参加だ。
主催者を代表して安次富浩氏が、「先日、ジュゴン１頭の死骸が見つかった。辺野古の藻場を護岸で奪われ、さまよった末の死だ。ジュゴンを殺したのは誰だ。安倍しかいない。民意を無視して無謀な基地を造る安倍政権を許してはならない。安倍に沖縄の怒りをぶつけよう」と訴えた。その後も各登壇者からは、新たな埋め立て工事と安倍政府に対する激しい怒りの発言が続いた。約１時間半にわたる集会の最後に、山城博治氏が、「厳しい闘いになるが全県民、全国が力を合わせて、一緒に奮闘しよう。埋め立て工事の真似事で県民の諦めを誘おうという安倍政権に屈するわけにはいかない。堂々と渡り合おう」と提起し、「団結ガンバロー」で集会を締めくくる。
集会終了後、海上阻止行動のために作業現場に向かうカヌー隊を全員で送り出す。午後２時５８分、土砂投入が開始された。沖縄防衛局は、朝から「汚濁防止膜」の設置や重機の移動などの準備作業を進めていたのだが、この時間になって投入に踏み切ったのだ。「埋立区域�◆廚寮沼Δ痢孱烹姥邊漾廚縫瀬鵐廛�ーが見える。集会参加者全員が、そのまま抗議のシュプレヒコールに移る。「土砂投入をやめろ」、「海を殺すな」という激しい怒りの声が、海上の作業現場に向かって放たれた。
安倍政府の凶暴な攻撃は強まるばかりだ。現場では現在、「埋立区域�◆州院廖◆嵋篶�区域�◆廚悗療攤重蠧�とともに、「Ｋ９護岸」に次ぐ第２の「埋め立て土砂の陸揚げ用桟橋」として、「Ｋ８護岸」の造成工事が急ピッチで進められている。１月末に着工した「Ｎ４護岸」が３月４日に予定の長さに達したことから、その先端部から「Ｋ８護岸」の造成を進めているのである。「Ｋ８護岸」は、計画上の全長が５１５メートル。沖縄防衛局は、当面、沖合に向けて２５０メートルの地点まで造る予定だと言っているが、３月末の時点で、その長さは約１００メートルにまで達している。
他方、埋め立て土砂の海上搬出拠点として、本部港塩川地区を再び使おうという策動も強まっている。沖縄防衛局は、昨年８月まで、埋め立て土砂や砕石の搬出に同地区を使用していたが、台風による破損で使用許可がとれず、昨年１２月以降、名護市安和の「琉球セメント安和桟橋」を土砂搬出拠点として使用してきた。その塩川地区の復旧工事が３月で完了したことを受けて、岸壁の使用許可権限を持つ本部町が、３月２９日、土砂搬出を請け負う業者に使用許可を出すことを決めている。許可は、４月１日から１ヵ月間という。しかもこの塩川地区と併せて、「琉球セメント安和桟橋」からの搬出も、引き続き行なうというのである。要するに、埋め立て土砂の海上搬出拠点を２ヵ所にし、搬入桟橋も「Ｋ９護岸」と「Ｋ８護岸」の２本にして、作業効率を２倍速化し、辺野古側の埋め立てを一気に進めてしまおうと企んでいるのだ。
全力で埋め立て工事阻止へ
 ４月５日には、沖縄「県」が２０１８年８月に行なった「埋立承認撤回」をめぐり、「撤回」処分を不服として沖縄防衛局が求めた審査請求について、国土交通相・石井が、沖縄防衛局の主張を認め、「埋立承認撤回の取消」の「裁決」を下したと発表している。２０１８年１０月の国交相による「埋立承認撤回の執行停止」に次ぐ暴挙だ。身内同士の自作自演の茶番劇だ。この結果、「県」が国交相による「埋立承認撤回の執行停止」の「取り消し」を求めて３月に提起した訴訟は、事実上「訴えの利益がなくなる」ため、訴えを取り下げる可能性が高いと言われている。国交相の「執行停止」を巡っては、「県」が「国地方係争処理委員会」に不服申し立てを行なったものの、「国地方係争処理委員会」が「県」の主張を退けたため、「県」が「行政不服審査法」に基づき、福岡高裁那覇支部に提訴していた。
今回の国交相の「裁決」を「取り消す」ためには、那覇地裁に「抗告訴訟」を起こす方法もあるが、国交相による「執行停止」の際の「県」の対応から見て、その時と同様に、「裁決」を不服として「国地方係争処理委員会」に訴え、退けられた場合に再び高裁に提訴するものと予想されている。
しかし、沖縄労働者人民の闘いは頑強にして不屈だ。強権的な土砂投入は、闘いを挫くという政府の狙いとは裏腹に、沖縄労働者人民の怒りの炎に油を注ぐだけの結果となった。追いつめられているのは、政府―沖縄防衛局の側だ。「工事用ゲート」前でも、海上でも、燃え立つような怒りと闘志で反撃の闘いが展開されている。「琉球セメント安和桟橋」のゲート前でも、桟橋付近の海上でも、多くの労働者人民による搬出阻止の闘いが取り組まれている。「オール沖縄会議」が主催して辺野古現地で４月６日に開かれた「土曜大行動」には、８００人もの労働者人民が大結集した。発言者からは、新たな埋め立て土砂の投入に、そして国交相の「取り消し裁決」に対して、「わじわじーして（腹が立って）気分が悪い。公平公正は、この国にはない。あるのは忖度ばかり。踏まれても、蹴られても、諦めずに頑張ろう」（前名護市長・稲嶺進氏）など、怒りの声が相次ぎ、参加者全員が闘志を新たにした。闘いはこれからだ。現地集中と実力闘争の爆発こそが勝利への道だ。
新基地建設と併せて、安倍政府は、陸自・与那国駐屯地（与那国町）の設置―「沿岸監視隊」１６０人の配備（２０１６年３月）を皮切りに、南西諸島への陸自配備をゴリ押ししている。新たな土砂投入の翌日となる３月２６日には、多くの労働者人民の反対を踏みにじり、宮古島に新設される駐屯地に、陸自の警備隊３８０人を送り込んだ。同日には、奄美大島（鹿児島県）にも、警備隊と地対空・地対艦ミサイル部隊の計約５５０人の陸自部隊が配備されている。宮古島の部隊規模は、２０２０年以降に配備される地対空・地対艦ミサイル部隊と合わせ、最終的に７００人〜８００人になる予定という。石垣島でも、部隊配備に向け駐屯地建設が進められている。
在沖米軍もやりたい放題だ。４月４日には東村・高江で、米軍北部訓練場の「Ｎ１ゲート」前に作られ、反対運動の拠点となってきたテント小屋が撤去されていることが分かった。撤去は、３日午後５時から４日午前６時までの間のことだ。これについて沖縄防衛局は、「米軍提供区域内に置かれていた物件を米軍が撤去し、日米地位協定に基づき必要な措置をとったと承知している」とうそぶいている。問答無用の強奪行為だ。
「基地負担の軽減」という政府の謳い文句とは裏腹に、沖縄における基地強化の動きはますます激化しており、沖縄労働者人民の怒りもまた、高まるばかりだ。天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は、この怒りの先頭に起って闘う決意だ。
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