狭山一審「死刑」判決55ヵ年徹底糾弾
1964年3月11日、狭山事件の一審を担当した浦和地裁・内田は、無実の部落民=石川一雄氏に対して「死刑」判決を打ち下ろした。浦和地裁・内田は、石川氏の少年時代を「小学校すら卒業せず、他家で奉公人として過ごし、家庭的な愛情に恵まれることがなかった」「そのことは、人格形成に強い影響を及ぼした」と、被差別部落への差別意識をむきだしにし、「部落は、悪の温床」「部落民ならやりかねない」という予断と偏見のもと、十分な審理もせず公判開始からわずか半年のスピード審理で石川氏に「死刑」判決を打ち下ろしたのである。この内田の反革命差別「死刑」判決こそ、狭山差別裁判の元凶であり、石川氏に31年7ヵ月もの獄中生活を強制した元凶だ。怒りも新たに内田反革命差別「死刑」判決を徹底糾弾し、浦和地裁(現さいたま地裁)包囲―糾弾闘争に決起しよう。
東京高裁と東京高検、狭山弁護団による「3者協議」も、2009年の開始以来、2018年12月26日の開催で38回を数えるに至った。弁護団は、脅迫状の筆者が99・9パーセント石川氏ではないとコンピューターで明らかにした「福江鑑定」に対する検察の反証意見書に対し、福江潔也・東海大学教授本人が反論した福江意見書など、12月20日に補充書と共に提出した三つの新証拠を説明した。また、万年筆の捜索・発見の関係や足跡関係の新証拠を今後提出する予定であることを伝えた。検察官は、「下山第二鑑定(蛍光X線分析でインクを分析した結果、証拠の万年筆は被害者のものではないことを証明したもの)への反証を提出する。提出時期は実験も行なうので数ヵ月かかる」とした。またスコップに関する平岡鑑定についても、「専門家の反証を年度内をめどに出来る限り早く提出する」とした。弁護団は、新証拠に対する検察からの反証が出されれば全面的に反論することにしている。次回の「3者協議」は4月下旬の予定となっている。
弁護団が12月20日に提出した新証拠は、検察の反証意見書に反論した福江意見書と、元栃木県警鑑識課員の斎藤指紋鑑定、流王英樹・土地家屋調査士よる報告書。これで第3次再審で提出した新証拠は220点になった。検察の福江鑑定に対する反証意見書は、福江鑑定の結果に具体的に反論するのではなく、コンピューターによる筆跡鑑定の手法を「問題がある」などと論難しているが、福江鑑定人は、「問題があるとしてあげられた点は、長年の研究過程ですべて検討し検証済み、結論の信用性になんら影響を及ぼす問題にならない」と反論している。斎藤指紋鑑定は、「脅迫状と封筒から石川氏の指紋が検出されていないことは、石川氏が触れていないことを示している」と指紋検出実験で指摘したものだ。流王報告書は、証拠開示された事件当時の航空写真をもとに、「殺害現場」から芋穴への死体運搬経路上に、小麦畑と茶垣が幅45センチ程度に近接した狭い場所が40メートルあり、その区間にはさらにきわめて狭い地点もあり、「自白」のように死体を前にかかえた状態では通れないことを明らかにしたものだ。
第3次再審棄却策動を許すな
狭山第3次再審闘争は正念場を迎えている。弁護団は、この間、石川氏の無実と警察による証拠ねつ造をより明白にする新証拠を攻勢的に提出してきた。とくに「自白」によって「発見」された万年筆が、被害者の物ではないとした「下山第1鑑定」「下山第2鑑定」、脅迫状は石川氏が書いたものではないとした「福江鑑定」によって、寺尾判決の誤りを明らかにした。しかし、東京高裁・後藤は、いまだに事実調べも証人調べも行なおうとはしていない。肝心な証拠は頑として隠し持ち、弁護団による新証拠の攻勢に対しては「反証」で引き延ばしを図ろうとする東京高検に対しても、手ぬるい態度をとり続けている。2020年6月に退官を控えている裁判長・後藤が、いつ「3者協議」を打ち切り、再審棄却を打ち下ろすか予断を許さない状況だ。
石川氏は新年のメッセージで「昨年は、科学的な鑑定等に因って、私の無実と警察の証拠ねつ造が明らかになり、あとは裁判官の姿勢如何にかかっているので、今後は、裁判官に対し、如何に真実に向き合わせるかに私の生死が左右されるといっても過言ではありません」「鑑定人、証人調べを行なわせるべく、全力で闘う」と決意を明らかにしている。これに応えきる闘いをなしきらなければならない。
階級的共同闘争を頑強に構築し、大衆的実力闘争・武装闘争で闘おう。石川氏の不退転の決意に応える闘いを全国の戦闘的部落青年・大衆とともに闘い、第3次再審棄却をなんとしても阻止しよう。部落解放同盟内社民・こえ派の「司法の民主化」要求を通した狭山闘争の幕引きを許してはならない。狭山闘争を単なる「冤罪事件」へと切り縮めてはならない。狭山闘争は、差別裁判、階級裁判を強行し続ける国家権力を徹底糾弾する闘いである。部落解放同盟内社民・こえ派の制動を踏み越え、「石川の命、我が命」「1人は万人のために、万人は1人のために」という狭山思想を前面に押し出し、闘いをさらに強化・拡大しなければならない。〈狭山差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の旗幟を鮮明にし、狭山闘争の歴史的勝利へ進撃しよう。
全国で差別事件、差別落書き事件があとを絶たず悪質化している。インターネット上の差別情報の氾濫が深刻だ。鳥取ループ・示現社に対する裁判では証人尋問がはじまる。同じ鳥取ループ・示現社による「部落探訪」は、復刻版出版禁止の仮処分が出された「全国部落調査」を利用して、全国の被差別部落を写真付きでインターネットに公開しており極めて悪質だ。
部落解放運動の革命的飛躍・前進を
部落解放同盟内社民・こえ派は、安倍政府がこしらえて成立した「理念法」に依拠することで、部落解放運動の体制内化を一層進めようとしている。「部落差別解消推進法」が施行されて2年が経過、各自治体での人権条例づくりが一定進行している。部落解放同盟内社民・こえ派は、差別糾弾闘争を放棄し、「悪質な差別事件に対する法規制、人権侵害救済制度、人権委員会の設置が重要な課題」と言い、「『部落差別の固定化』などとして反対したり、『部落差別解消推進法』の具体化に消極的な姿勢をみせることは部落差別の現実と向き合えず、『何もしないのが問題解決』という無責任きわまりないもの」と居直っている。
部落解放同盟内社民・こえ派が押し出す「告訴・告発」や「差別の法規制」では、何も解決しないことは明白である。一つ一つの差別事件に対して、全国水平社の差別糾弾の思想を引き継ぎ、差別糾弾闘争を闘うことが必要だ。戦闘的部落大衆を先頭とする差別糾弾闘争の復権を闘いとっていかなければならない。「ヘイト・スピーチ」をはじめとする部落大衆や在日朝鮮労働者人民に対する差別襲撃・敵対に手を染める極悪な反共ファシストどもなぞ撃滅あるのみだ。安倍政府の狙う、ファシズム融和運動への転換攻撃と真っ向から対決する革命的部落解放運動の飛躍・前進を切り拓いていかなければならない。
安倍極右政府は、差別主義・排外主義を煽るだけ煽り、朝鮮反革命戦争へと突撃している。安倍政府は、反共ファシストどもと連携して、反朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)・反中国―反共・排外主義攻撃を強めている。天皇制を前面に押し出した反革命国民統合を加速させている。
天皇代替わり攻撃を通した天皇制の強化を許してはならない。現天皇・アキヒトの4月30日の退位、5月1日のナルヒトの新天皇即位を通し、4月30日から秋にかけての「即位の礼」などの一連の皇室儀式を「国事行為」として行なうとしている。「貴族あれば賤族あり」、祝賀の強制を許さず、今こそ天皇制廃絶へ闘おう。卒・入学式で「日の丸」「君が代」の強制を許さず闘う教育労働者への処分発動を許してはならない。既成勢力の総屈服を踏み越え、戦時国家体制形成の一環としての天皇制強化を粉砕しよう。日帝と天皇の戦争責任居直りを許さず追及し続けるアジア労働者人民と連帯し、天皇・天皇制攻撃を粉砕しよう。「入管法」改悪による外国人労働者への奴隷労働強制を許してはならない。差別分断支配を打ち破る団結を形成し対決しよう。
総翼賛化を突破して、職場・地域・学園からの実力決起に起ち上がろう。改憲攻撃を粉砕し、革命的反戦闘争の爆発をかちとり、安倍政府の戦時国家体制形成を粉砕しよう。中東反革命戦争粉砕、朝鮮反革命戦争を粉砕しよう。
3・11浦和地裁包囲―糾弾闘争に総決起し、第3次再審棄却阻止へ実力決起しよう。日帝の狭山闘争解体を基軸とした部落解放運動解体攻撃を粉砕し、部落解放運動のファシズム融和運動への転換攻撃を木っ端微塵に粉砕しよう。部落差別の根底的廃絶、部落の根本的解放へ闘おう。差別主義反革命革マルを解体・絶滅し、差別主義日共=全国人権連を解体し、天皇主義右翼ファシストを撃滅・一掃しよう。
|