参院前に登場し12月8日未明まで闘う
「入管法」改悪を絶対に阻止するという決意も固く、反安保労研の闘う部隊は、12月7日午前から、翌8日の午前4時過ぎまで、夜を徹して18時間にわたる国会前闘争を闘いぬいた。
12月7日、午前10時から参院議員会館前に陣取り、シュプレヒコール、アジテーション、ビラまきを行なう。「『入管法』改悪を阻止するぞ」「改悪『入管法』成立を阻止するぞ」「外国人労働者の使い捨てを許さないぞ」「奴隷労働を許さないぞ」「『外国人技能実習制度』を撤廃しろ」「外国人労働者とともに闘うぞ」とシュプレヒコールが国会周辺に響き渡る。
全労連は、11月27日の衆院採決日に昼休みにだけ登場していたが、この日も、12時すぎから、約1時間の集会を行なった。数は、衆院採決時より少なく、約100人で、アリバイ的登場がミエミエだ。
午後7時ごろには、「日の丸」を手にした「頑張れ日本! 全国行動委員会」なるファシスト集団が、「日本解体阻止! 亡国移民法案絶対反対!」を掲げて数十人で参院前にあらわれる。「外国人労働者排撃を許すな!」「ファシスト撃滅!」のシュプレヒコールとアジテーションでこれと対峙しつつ、闘いを継続する。
国会での動きをチェックしながら、長丁場の闘いが続く。日をまたいで、8日午前0時すぎから再開された参院法務委員会で、強行採決されるや、一段と大きくシュプレヒコールをくり返す。「法務委員会での強行採決弾劾!」。参院に叩きつける。
1時過ぎに再開した参院本会議では、天皇制強化の攻撃として、ゴールデンウィークを10連休にし、労働者人民にナルヒト即位への「祝賀」を強制する特別法、漁民をすりつぶし、大企業参入を拡大する「漁業法」改悪など反革命法案が次々と採決され、成立していく。そして最後に、「入管法」改悪案の採決だ。自民、公明、「維新」などの賛成により改悪「入管法」が成立する。成立の報を受けて、さらに激しくシュプレヒコールを叩きつける。「『入管法』改悪弾劾!」「反革命国会粉砕!」「翼賛国会粉砕!」。未明の国会周辺に怒りのシュプレヒコールが響き渡る。
なお、夜を徹して未明までの闘いを展開したのは、反安保労研の部隊と、「水道法」改悪、「漁業法」改悪、「入管法」改悪などに対して闘ってきた小グループだけであった。
参院では、12月6日の法務委員会で、法務委員長・横山信一(公明)が「入管法」改悪案の審議を打ち切り、採決しようとしたために、野党5会派が法務委員長・横山の解任決議案を提出し、散会した。7日午前の参院本会議では、法務委員長・横山の解任決議案が、自民、公明、「日本維新の会」などの賛成多数で否決され、夜の本会議では、野党5会派が提出した、法相・山下貴司と首相・安倍晋三に対する問責決議案が、同じく与党などの賛成多数で否決された。そして、日をまたいで、8日、午前0時すぎに再開された法務委員会では、与党が、委員長席の周りを体格の良い若手の議員が囲む中、野党の抗議を暴力的に抑え込み、怒号の中で「入管法」改悪案を強行採決した。続いて行なわれた参院本会議では、自民、公明、「日本維新の会」などの賛成多数で、午前4時すぎに改悪「入管法」が成立した。
今回の「入管法」改悪の土台となるのは、言うまでもなく「外国人技能実習制度」である。また、今回の「入管法」改悪で新設される在留資格の「特定技能1号」は、一定の技能が必要な業務に就き、在留期限が通算5年で家族帯同を認めないとするもので、現行の「外国人技能実習制度」で、3年以上の経験を積んだ技能実習生は、無試験で「特定技能1号」が取得可能となる。
外国人技能実習生の実態をウソとペテンで隠蔽し、「入管法」改悪を強行した安倍政府
したがって、「外国人技能実習制度」の下での外国人技能実習生の実態把握は、当然にも必要となる。長時間労働、賃金未払い、最低賃金以下の賃金、暴力、セクハラ、パスポート取り上げ、差別行為など多くの実態が明らかにされている中、これらの実態を国が把握し、総括、解決方針を提示しなければ、「入管法」改悪は、使い捨て、奴隷労働の拡大であることは、だれが見てもわかることだ。にもかかわらず、安倍極右政府―法務省が行なったのは、聞き取り調査の調査票を改ざんし、ウソを並べて、外国人技能実習生の実態を隠蔽することだ。
このことを追及され、政府は、渋々、小出しに実態を明らかにしてきた。厚生労働省が明らかにした外国人技能実習生の労災死は、2014年度から2017年度までの4年間で計30人である。この数字は、10万人当たりの労災死者数で計算すると、年平均で3・64人だ。日本の雇用者全体の労災死の比率は、2014年から2017年の年平均で10万人当たり1・73人であり、外国人技能実習生の労災死は、この2倍以上である。安全教育を十分しないままに、建設や食品製造など事故が起こりやすい職場で働かせているのが、原因である。また、法務省が提出した資料では、2014年から2017年の3年間で、実習中の事故12人、自殺6人など計69人もの外国人技能実習生が死亡していた。さらに、法務省が、「失踪」した技能実習生からの聞き取りを行なった調査票を野党が閲覧し書き写したものの集計データによると「失踪」した外国人技能実習生のうち67パーセントが最低賃金未満で働き(法務省は、当初これを0・8パーセントであるとウソを言ってきた!)、10・1パーセントが「過労死ライン」を超える残業をしていたことも明らかになった。首相・安倍は、12月6日の参院法務委員会で、69人もの外国人技能実習生の死亡という法務省作成の資料を突きつけられて、「表も見ておりませんから、お答えのしようがない。私は今ここで初めてお伺いをしたわけでありまして、ですから私は答えようがない」などとヘラヘラ笑いながら答えた。こうした、安倍の居直りと死亡した外国人技能実習生への冒涜を断じて許すことはできない。
強制退去を命じられた外国人らを収容する入管施設で、待遇改善などを求める闘いが、頻繁に闘われている。東日本入国管理センター(牛久入管収容所)では、昨年4月13日に、仮放免不許可となったインド人が自殺をし、これに対し、長期収容に対する抗議として集団ハンスト闘争が闘われた。東京入管の収容場では、昨年5月に収容者が、収容施設のあり方を考え直すようもとめる要望書を提出しようとしたところ、入管側が受け取りを拒否したために、収容者22人がハンストを開始し、最大70人がハンストを闘った。この動きに呼応して、名古屋入管でも約30人がハンストに起った。牛久入管収容所では、今年11月20日に、ブラジル、イラン、スリランカ、中国、ミャンマー、ガーナ、ペルーなどの国籍の約30人が、「期限のない長期収容をやめ、仮放免を柔軟に認めてほしい」との法相、東日本入国管理センター長宛ての申入書を渡し、ハンストに決起した。大阪入管収容所でも、病気療養中の収容者の食事をめぐり、12月3日から10人以上がハンストを闘った。
収容所内の生活環境は、デタラメ極まりない。4人〜11人で一部屋に押し込められ、広さは、定員数プラス1畳程度だ。たとえば、4人なら5畳である。そこに、長期間押し込められるのだ。これもまた、「外国人は、煮て食おうが焼いて食おうが自由」という入管政策の基調に基づいている。絶対にに許してはならない。
外国人労働者の闘いと結びつき、国境を超えた団結を形成しよう。外国人排斥を許さず、排外主義攻撃と対決しよう。「入管法」・入管体制を解体しよう。
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