沖縄防衛局が国交相に｢審査請求｣と｢執行停止申立｣
 沖縄「県」による８月３１日の「公有水面埋立承認撤回」によって、安倍政府は、新基地建設を強行する法的根拠を失い、以降、埋め立てに向けた工事は停止されることとなった。前知事・翁長による「撤回」方針の表明も、これを引き継いだ「県」当局による「撤回」処分の決定も、労働者人民のくり返しの激しい突き上げがなければ実現しえなかったのであり、工事中断という事態は、現地攻防を軸とした沖縄労働者人民の頑強な闘いがたぐり寄せた偉大な成果に他ならない。これに続く９月３０日投開票の「県」知事選では、「新基地建設反対」を掲げる前衆院議員の玉城デニーが、過去最多となる３９万６６３２票を獲得し当選した。自・公・維新などが推薦する前宜野湾市長・佐喜真淳に、８万票以上の大差をつける「圧勝」であった。それは、「新基地建設絶対反対」という沖縄の「民意」を改めて鮮明にし、安倍ののど元に「新基地建設の白紙撤回」を鋭く突きつけるものであった。
ところが安倍政府は、「埋立承認」が「撤回」されても、「県」知事選で「完敗」してもなお、「辺野古移設の方針は何ら変わらない」（官房長官・菅）と強弁して、新基地建設に突き進んでいる。１０月１７日には、沖縄防衛局が、「承認撤回」への「法的対抗措置」として、「公有水面埋立法」を所管する国土交通相に対して、「行政不服審査法」に基づき、「承認撤回」の「取消」を求めて「審査請求」を行なうとともに、処分が出るまでの間、「承認撤回」の効力を止める「執行停止申立」を行なった。
それは、２０１５年に「県」が「埋立承認」の「取消」を行なった際に安倍政府が採ったのとまったく同じ手法だ。この時は、国交相に「承認取消」の「執行停止」を出させ、止まっていた工事を２週間で再開させた。今回、政府が採るであろう「対抗措置」として取りざたされていたのは、「承認撤回」の「取消訴訟」（「承認撤回」の「取消」を求める訴訟を起こすとともに、その訴訟が終わるまでの間、「撤回」の効力を停止させる「執行停止」を申し立てる）、あるいは「承認撤回」を国が代執行するための「代執行訴訟」（国交相が「県」に「承認撤回」の「是正勧告」を行ない、従わなければ「承認撤回」を「県」に代わって「撤回」するために、高裁に訴訟を起こす）などだったのだが、安倍政府は、およそ考えられる「対抗措置」のうち、よりによって最も安直で、最も卑劣な措置を選択したのである。
そもそも「行政不服審査法」は、「国民の権利利益の救済を図ること」（第１条）を目的とし、行政機関の違法または不当な処分などについて、「国民」（私人）からの「不服申立」の手続きを定めたものであり、あくまで、「不服申立」の主体は「国民」（私人）であることが前提であり、「救済」の対象も、「国民」（私人）に限定されるものであることは明らかだ。２０１５年の際には、行政法研究者などから、「行政機関である防衛省―沖縄防衛局が、私人になりすまして不服申し立てをするのは行政不服審査法の乱用だ」、「同じ政府内で執行停止を申し立て、それを認めるというのは、判断の独立性、客観性、中立性がひとかけらもない身内同士の茶番劇だ」などの厳しい批判が沸き起こった。
ところが安倍政府は、今回もまた同じ手法を選択したのだ。くどいようだが、防衛省―沖縄防衛局も、国交省も、どちらも安倍の指揮・命令で動いているのだから、要するに今回の措置は、安倍が不服を申し立て、当の安倍本人がそれを受理し、審査し、裁定を下すという、「自作自演の手続き」（新知事・玉城）以外の何物でもない。
安倍政府が厳しい批判を顧みず、再びこの手続きを選んだのは、次の了見からである。すなわち、前知事・翁長の急逝に伴ない、「県」知事選が９月に前倒しされたことを受けて、安倍は、何とか新基地建設問題の焦点化・争点化を避けようと、「対抗措置」を知事選後に先送りした。その期間は、「承認撤回」以降、１ヵ月半にわたった。沖縄労働者人民の怒りをかわして知事選を有利に進めようという卑劣な政治判断だが、同時にそれは、裁判所に提訴した場合に、「承認撤回」からすでに長期間が経過していることから、裁判所に埋め立て工事の「緊急性」を訴えても説得力を欠き、「執行停止」が認められないというリスクを背負い込むものでもあった。そのリスクを回避しようというのが了見の第１。第２は、裁判所に「執行停止」を申し立てれば、決定までに数ヵ月を要するが、身内であり子分である国交相に申し立てれば、決定の時期は安倍の言いなりにできる。短期間で決定が引き出せ、すぐにも工事が再開できるというわけだ。どこまでも汚い。
国交相よる｢執行停止｣決定は｢身内同士の出来レース｣
 国交相・石井は、１０月３０日午前、「埋立承認撤回」の「執行停止」を決定したと発表した。沖縄防衛局の「申立」からわずか１３日後、１０月２４日に沖縄「県」が「沖縄防衛局の『執行停止申立』は認められない」という「意見書」を国交相に送ってからわずか５日後という超スピード決定だが、最初から結論ありきの出来レースなのだから、何の不思議もない。これに先立つ１０月２６日には、全国の行政法研究者１１０人が連名で、沖縄防衛局による「審査請求」と「執行停止申立」について、「国が『公有水面埋立法』によって与えられた特別な法的地位（『固有の資格』）にありながら、一般私人と同様の立場で『審査請求』や『執行停止申立』を行なうことは許されるはずもなく、違法行為にほかならない」、「日本政府のこのような手法は、国民のための権利救済制度である行政不服審査制度を乱用するものであり、法治国家にもとるもの」と厳しく批判し、国交相に「審査請求」と「執行停止申立」を却下するよう求める「声明」を発表しているが、安倍政府には馬耳東風だ。
なお、この「声明」が「固有の資格」という言葉を使って政府を批判しているのは、「行政不服審査法」第７条の２の規定を踏まえたものだ。それは、２０１５年の前知事・翁長による「埋立承認取消」後の２０１６年に同法が改定された際に新設されたもので、私人とは異なる法的地位たる「固有の資格」にある国の機関への処分は、法の適用外とする、すなわち「審査請求」できないということを、わざわざ明記したものだ。沖縄防衛局は、この規定の解釈を強引に変更して、「防衛局が『固有の資格』で相手方となったものではない」などと主張し「審査請求」したのだが、それは牽強付会の範囲をはるかに超えて、完全に違法だ。「声明」はそのことを強く批判しており、「県」が国交相に出した「意見書」も、これを指摘していた。
にもかかわらず国交相・石井は、「申立人（沖縄防衛局）のような国の機関であっても、『処分』を受けたものと言えれば、一般私人と同様の立場で『処分』を受けたものとして、当該処分についての審査請求をなし得るものと解することができる」なる屁理屈にもならぬ屁理屈で、沖縄防衛局の主張を丸ごと擁護した。さらに、「執行停止」をめぐっても、沖縄防衛局の主張をオウム返しにして、「普天間飛行場周辺に居住する住民等が被る航空機による事故等による危険性の除去や騒音等の被害の防止を早期に実現することが困難となるほか、日米間の信頼関係や同盟関係等にも悪影響を及ぼしかねないという外交・防衛上の不利益が生じる」ことを理由に、その「申立」を認めた。
「行政不服審査法」における「執行停止」は、「処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要がある」（第２５条第４項）ことを基軸的な要件としているが、沖縄防衛局が主張し、国交相が認定した「普天間の危険性除去の実現が困難になる」やら「外交・防衛上の不利益が生じる」やらは、安倍政府の長年の政治主張ではあっても、「埋立工事を行なうべき緊急の必要性」の説明には全然なっていない。それどころか、「私人」と主張しあるいは認定しておきながら、「執行停止」をめぐっては、「普天間の危険性除去の困難」や「外交・防衛上の不利益」という「固有の資格」を有する者の立場からその理由を並べ立てているのだから、まったくの矛盾と言うよりほかない。こんな粗末で支離滅裂の暴論をさらして、恥ずかしくないのか。
この決定を受けて防衛相・岩屋は、同日、記者会見を行ない、「準備が整い次第、速やかに工事を再開したい」と表明し、１１月１日には沖縄防衛局が、「県」に対して同日からの工事再開を通告した。
工事の再開を断じて許すな
 沖縄防衛局が「工事再開」を宣言した１１月１日以降、新基地建設の予定海域では、海上保安庁の警備ボートなどを係留するための「浮桟橋」の設置、「臨時制限区域」（進入禁止ゾーン）を示すための「フロート」の敷設、「汚濁防止膜」の設置などの作業が続けられている。本格的な埋め立てに向けた準備作業だ。１１月上旬の時点で、本部港塩川地区（本部町）からの海上搬送や、米海兵隊のキャンプ・シュワブ「工事用ゲート」からの資機材の搬入は行なわれていない。予想される今後の工事は、「工事用仮設道路�◆廚函孱裡姥邊漾廖孱裡恩邊漾廚侶�設、そして埋め立て土砂の搬入である。
「Ｎ１護岸」「Ｎ２護岸」の建設については説明が必要だ。これまで資機材の搬送は、陸上と海上の二方向で行なわれてきた。海上搬送とは、「琉球セメント安和鉱山」（本部町）、「山城採石鉱業」（名護市）など４ヵ所の採石場から切り出した砕石をダンプカーで本部港塩川地区に運び、そこでガット船などに積み込んで大浦湾に運び、ランプウェイ台船に積み替え、このランプウェイ台船を「Ｋ９護岸」の先端部に接岸させて陸揚げし、最後に再びダンプカーで工事現場まで運び入れる、というものであった。キャンプ・シュワブの海岸から大浦湾に突き出す形の「Ｋ９護岸」は、計画上の全長は３１６メートルだが、約１００メートルの地点で延伸工事は止まっている。これを沖縄防衛局は、資材を陸揚げするための桟橋代わりに使ってきたのだ。
この海上搬送でこれまで運び込まれたのは、護岸建設用の基礎材となる砕石であった。しかし今後の埋め立てには、砕石ではなく、「山土」、「岩ズリ」（採石時に大量に出る石クズ混じりの土砂）、「海砂」が使われることになる。水深が深い大浦湾側の埋め立てには膨大な量の土砂が必要になるため、日本「本土」からも土砂を持ってくることになるが、辺野古側の埋め立てに使うこれらの土砂は、すべて「県」内で調達することになっており、「山土」は辺野古ダム周辺から、「海砂」は沖縄本島の近海数ヵ所から、そして「岩ズリ」は国頭村、本部町の採石場から持ってくることになっている。そのことは、沖縄防衛局が元知事・仲井真に出した「埋立承認願書」添付の「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」（「土砂に関する図書」）に明記されている。しかも、「岩ズリ」は、海上から搬入することになっており、「埋立承認願書」の「設計の概要」にも、上記「土砂に関する図書」にも、そう明記されている。加えて、「土砂に関する図書」によれば、搬出港は本部町と国頭村の二港となっている。このうち国頭村の場合は辺土名港が想定されているが、同港は規模が小さく、大量搬送にはまったく不向きだ。実質上、搬出港は本部港・塩川地区しかない。
つまり、辺野古側の埋め立てに使える「岩ズリ」は、国頭村、本部町の砕石場のものに限定されており、それ以外の場所の「岩ズリ」を使うには、「埋立承認」の際に付けられた「留意事項」の規定により、改めて知事の「承認」が必要になる。なおかつ、ダンプカーによる陸上搬送はしないことになっており、敢えてそれをやろうとするなら、知事への「設計概要の変更申請」が必要になり、「留意事項」の規定によって、知事の「承認」が二重に必要になってくる。その両方とも、玉城「県」政のもとでは期待ができない。要するに何が言いたいのかと言えば、沖縄防衛局が現在持っている「岩ズリ」の搬送ルートは、本部港塩川地区から「Ｋ９護岸」に至る海上ルート１本だけだということである。
しかし、辺野古側の埋め立てには「岩ズリ」だけで１２９万立方メートルを必要としている。大浦湾側の埋め立てに必要となる土砂の量には及ばないとは言え、それでも大変な量だ。土木技師の北上田毅氏によれば、それは１０トンダンプに換算して２６万台から３０万台分に相当し、ガット船を使って搬送し「Ｋ９護岸」から陸揚げした場合、１日にダンプカー約２００台分の陸揚げが可能だと仮定して、休日返上で毎日やっても、３年半から４年を要することになるという。これには安倍も沖縄防衛局も、さぞかし頭を痛めていることであろう。
そこで考えられるのが、大浦湾側に、「Ｋ９護岸」と同様の荷揚げ用桟橋を新たに複数本造成することである。１本造れば単純計算で工期は２分の１に、２本造れば３分の１に短縮できる。これをめぐる沖縄防衛局の具体的な動きはまったく明らかになっていないが、沖縄防衛局は元々、護岸とは別に、荷揚げ専用の桟橋の建設を計画していた「前歴」があり、決して根拠のない憶測ではありえない。前記北上田氏は、それが今回は「Ｎ１護岸」（１２７メートル）、「Ｎ２護岸」（２５０メートル）になる可能性を指摘している。
そうなれば、砕石を始めとする資機材の「工事用ゲート」からの搬入が、再び激しく強行されることになる。大浦湾側沿岸に沿って「Ｋ９護岸」から「Ｎ１護岸」、「Ｎ２護岸」の建設予定地を結ぶ「工事用仮設道路�◆廚侶�設も、すでに部分的に進められており、完成のためには、キャンプ・シュワブを貫通し大浦湾に注ぐ美謝川の河口付近に、鋼材を使った仮橋も建設されることになる。そのための資機材も「工事用ゲート」から搬入されることになる。そればかりではない。「何でもあり」の安倍政府のことだ。「岩ズリ」の海上搬送が行きづまれば、知事への「設計概要の変更申請」もその「承認」もまったくないまま、黙ってダンプカーによる陸上搬送さえやりかねない。今後の埋め立て阻止の闘いにとって、「岩ズリ」の搬出拠点である本部港塩川地区での闘いはますます重要になってくるが、「工事用ゲート」前の攻防の位置が低下することは決してない。
埋め立て土砂の搬入阻止へ
 実際、「岩ズリ」の海上搬送は、早くも破綻しつつある。本部町が１１月１日、本部港塩川地区で埋め立て用土砂などの搬出を行なってきた業者による岸壁の使用許可申請を不受理とするに至ったのだ。
本部港は「県」が管理する港だが、本部町が岸壁と荷さばき地の使用許可の事務を委託されていた。業者は、２０１７年１０月に使用を許可され、同年１２月から辺野古に石材を搬出してきた。さらに今年７月２５日からは、埋め立てに用いると思われる「岩ズリ」を搬出していた。結局この時は、「８・１７土砂投入」が延期されたために、「岩ズリ」を満載して出港した数隻の運搬船は、１ヵ月以上にわたって海上をさまよった挙句、「県」の「埋立承認撤回」を受けて９月上旬には同港に戻り、「岩ズリ」を再び荷揚げするハメになったのだが。
その業者の岸壁使用許可が９月末で切れたため、今回、再申請したところ、受理されなかったというわけである。理由は、９月に沖縄本島地方に接近した台風２４号の影響で、同地区の６つある岸壁のうち、３つの岸壁が破損し、使えない状態になったからだという。本部町によると、使える岸壁もすでに４５件の使用許可で埋まっており、護岸が破損して以後、新規の船の受け入れは一切受け付けていないという。管理者の「県」は、修復工事の手続きが順調に進んでも着手は１２月以降となり、さらに着手から復旧までに約３ヵ月を要するとしている。少なくともそれまで同港は使えない。「岩ズリ」の唯一の搬送ルートが絶たれようとしているのだ。
それでも諦め切れない安倍政府―沖縄防衛局は、「引き続き本部町と調整を進め、速やかな使用許可を得たい」（防衛相・岩屋）と称して、あくまで岸壁使用を強行しようとしている。この場合の「調整」とは、本部町に圧力をかけて破損した岸壁を無理やり使わせる、他の事業者を脅して岸壁の使用を辞退させる、などの無茶な割り込みのことを指す。そのために１１月６日には、今度は沖縄防衛局が直々に、同港の岸壁使用許可の申請に出向いている。強引そのものだ。これについても、当然ながら不受理となった。
しかし、楽観は許されない。安倍が狙っているのは、「岩ズリ」の陸上輸送も含めた力ずくの強行突破だ。これを打ち破らねばならない。
労働者人民の怒りと闘いの最先頭で新基地建設阻止へ
安倍政府の違法・無法ぶりに、沖縄労働者人民の怒りは沸点に達している。「工事用ゲート」前には、工事中断中ではあっても労働者人民が連日つめかけ、闘いの拠点となるテントを維持し、監視体制をとってきた。１０月１７日当日、沖縄防衛局による「不服申立」の報に接した現場の労働者人民からは、「知事選で示した民意を無視するのは許せない。県民を同じ人間と思っているのか」、「私人でない国がこの法律を使うのはおかしい」、「軟弱地盤の問題など、埋め立て承認後に出てきた問題が多く、県の承認撤回は妥当な判断だ。不服申し立てはおかしい」という激しい怒りの声が上がった。「沖縄平和運動センター」議長・山城博治氏は、「翁長前知事の思いや、県知事選で示された民意を無視する行為だ。日本の政治は腐っていると言われても仕方がない事態だ」と厳しく批判した。
１０月２６日には、１２時１５分から、那覇市の「県民広場」で、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」（「オール沖縄会議」）が主催して、「沖縄防衛局の横暴を許さない！ 県の『埋立承認撤回』に基づき、辺野古新基地建設断念を求める緊急県民集会」が開催された。平日昼の時間帯であるにもかかわらず、３５０人を超える労働者人民が怒りに燃えて結集した。登壇者からは、「県が行なった埋め立て承認撤回の効力を止める執行停止の申し立ては却下されるべきだ」、「安倍政権の独裁を許してはならない」などの発言が続いた。山城博治氏が、「１０月２９日からは、ゲート前の抗議行動の終了時間を午後２時まで延長して、工事再開に備えたい。１１月からは、再びゲート前に大結集して工事を止めよう」と訴えると、ひときわ高い拍手と歓声が沸き起こった。最後に、国に対して、「国土交通省は沖縄防衛局の請求を受理すべきではなく、請求は違法不当なものであり、却下すべきこと」、「執行停止を認めないこと」、「沖縄県との話し合いを真摯に行なうこと」の３点を求める集会アピールを採択した。
１０月３０日午後２時からは、沖縄防衛局前の嘉手納町のロータリー広場において、「沖縄県民の民意を尊重し、審査請求・執行停止申立取り下げを求める集会」が開かれた。「オール沖縄会議」が主催したこの集会に、１５０人の労働者人民が結集した。同日午前の国交相による「執行停止」決定を受けて、集会は、工事再開を狙う沖縄防衛局への激しい抗議の場となった。沖縄防衛局の玄関前で、職員に「審査請求の取り下げ」などを求める抗議・要請文を手渡す際には、集まった労働者人民から「民意を踏みにじる気か」、「海を壊すな」、「土砂投入をやめろ」という強い怒りの声が沸き上がった。集会では、元名護市長で「オール沖縄会議」共同代表の稲嶺進氏が、「沖縄に基地を押しつけ、構造的差別のもとで県民をないがしろにし、見捨てていく。この国は本当に法治国家、民主主義国家と言えるのか。これ以上、県民に我慢を押しつけることは許されない。われわれの力を結集し、工事を必ず止める。その思いで頑張ろう」と訴えた。
沖縄防衛局が「工事再開」を宣言した１１月１日には、労働者人民が辺野古現地につめかけ、「工事用ゲート」前で、海上で、阻止行動に取り組んだ。海上では、海上保安庁がボート約３０艇をくり出して闘いを制圧・弾圧するために厳戒態勢を敷く中、船やカヌーに乗った労働者人民が、海保の暴力と拘束に怯むことなく、工事阻止をかけて作業現場に肉薄する闘いを展開した。「工事用ゲート」前でも、労働者人民が工事用車両の搬入を阻止すべく座り込んだ。参加者からは、「追いつめられているのは沖縄防衛局の方だ」、「やれるものならやってみろ」、「すぐに土砂の積み込みや資機材の搬入が始まる。必ず工事を止める」などの発言が続いた。労働者人民の士気は極めて高い。
１１月３日の「土曜大行動」には、激しい雨にもかかわらず、１０００人が結集した。「土曜大行動」は、労働者人民の現地大結集で工事を止めようと、「オール沖縄会議」が主催して毎月第１土曜日に設定されている行動だ。９月１日の「大行動」は８００人、１０月６日のそれは４００人だったが、「執行停止」決定を受けた今回は、それを大きく上回る大結集となった。それだけ怒りと闘志が高まっているということだ。朝から「工事用ゲート」前に座り込んだ後、午前１１時から「メインゲート」向かいのテントで集会をもち、参加者全員で工事阻止を改めて誓い合った。
国交相による「執行停止」決定―沖縄防衛局による工事再開のなかでも、沖縄労働者人民に落胆の色は皆無だ。あるのは燃え立つような怒りと闘志だ。天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は、この怒りと闘いの最先頭に起って、勝利に向け闘いぬく決意だ。
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