決戦を迎えてますます燃え上がる新基地建設阻止闘争
名護新基地建設阻止の闘いは、本格的な決戦局面に入った。安倍政府―沖縄防衛局が「8月17日土砂投入」を宣言し、問答無用で埋め立てに入ろうという緊迫した状況下、辺野古現地では、連日の猛暑もものともせず、労働者人民の懸命の闘いが続けられた。
8月2日には、「K4護岸」の最後の開口部が閉じられた。「K4護岸」は、米海兵隊のキャンプ・シュワブ南側沿岸部(辺野古沖)の「埋立区域」の南端を区切る護岸で、長さは1029メートル。「埋立区域」を囲う護岸の中では最長のものだ。昨年12月から工事が開始され、「K3護岸」、「N5護岸」の各先端から砕石を投下し、突き固め、東西方向に延伸する形で、造成が進められてきた。それが一本につながったことで、「埋立区域②」の海が、「K1護岸」、「K2護岸」、「K3護岸」、「K4護岸」、「N5護岸」で完全に囲われ、閉め切られたのである。すでに7月19日には、「N5護岸」を挟んで隣接する「埋立区域②―1」の海が閉め切られている。最初の土砂投入が狙われているのは、その「埋立区域②―1」だが、今回の「K4護岸」の「完成」によって、土砂投入が可能になった区域は2ヵ所となった。
キャンプ・シュワブの「工事用ゲート」からの資機材搬入も、激しさを増すばかりだ。搬入される工事用車両は、1日に400数十台という日が続き、8月3日には、ついに過去最多の508台に達した。本部港塩川地区(本部町)では、7月下旬から、これまでの砕石ではなく、「岩ズリ」(採石の際に出る小さな岩石を含む土砂)の運搬船への積み込みも始まった。「埋立区域②―1」の埋め立てに使われる土砂の可能性がある。
しかし、沖縄労働者人民は怯まない。諦めない。「いよいよ正念場だ」、「22年間の闘いの総決算の時だ」といっそう闘志を燃え立たせ、「工事用ゲート」前でも、海上でも、本部港でも、国頭、本部の採石場でも、体を張った果敢な闘いを撃ち抜いている。
8月4日
「土曜大行動」で600人が埋め立て阻止を誓い合う
8月4日には、「工事用ゲート」前で「土曜大行動」が開催された。労働者人民の現地大結集で工事を止めようと、毎月第1土曜日に設定されている行動だ。「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議(オール沖縄会議)」が主催したこの取り組みに、約600人が結集した。
午前中の「ゲート」前では、座り込む労働者人民を前に、「沖縄平和運動センター」議長・山城博治氏が「8月6日から、いよいよ集中行動が始まる。腹を決めて土砂投入を止めたい。怒りと誇りをかけて座り込もう。安倍は、埋め立てを止められるものなら止めてみろと言っている。150万県民が団結して、安倍の鼻っ柱をへし折ってやろう」と熱い檄を飛ばした。
正午からの集会では、「沖縄平和運動センター」事務局長・大城悟氏が司会を務め、「沖縄防衛局は、『埋立承認撤回』に向けて県が今月9日に指定した『聴聞』を、9月3日以降に延期するよう求めてきた。時間稼ぎで『承認撤回』を先に延ばした上で、8月17日からの埋め立ては予定通りに進めてしまおうという悪辣なやり方だ。埋め立てを許さない。絶対に止めよう」と提起する。「オール沖縄会議」共同代表の高良鉄美氏、稲嶺進氏のあいさつ、沖縄選出の国会議員らのあいさつでも、6日からの「集中行動」への呼びかけとともに、沖縄防衛局の「聴聞」延期の要求を「県は決して認めるべきでない」ことが、口々に強調された。
この日は、「土曜大行動」と併せて、海上でも、朝から多数の抗議船やカヌーをくり出して、「土砂投入許さない 8・4海上大行動」が取り組まれた。「ヘリ基地反対協議会」が主催したものだ。午後1時半からは辺野古浜で、「土曜大行動」を終えた労働者人民も合流して連帯集会も開催され、結集した310人が「海と陸で心を一つにして埋め立てを阻止しよう」と誓い合った。
8月6日~8月10日
土砂投入阻止をかけ「ゲート前集中行動」が闘われる
8月6日から、「辺野古新基地阻止 ゲート前連続集中行動」が開始された。目的は、言うまでもなく、「工事用ゲート」前の座り込みで埋め立て用資機材の搬入を止め、「8・17土砂投入」を阻止することだ。「オール沖縄会議現地闘争部」が主催したこの取り組みに、連日、多くの労働者人民が強い覚悟でつめかけた。
初日朝、「工事用ゲート」前に座り込む労働者人民を前に、「現地闘争部」を代表して部長の山城博治氏が、「ここにみんなを座らせないように、沖縄防衛局はバリロードを設置した。大変危険だ。いわゆる『殺人鉄板』も、フェンスも、『バリロード』も、全部撤去して元に戻すよう要求する。一粒たりとも土砂を入れさせないために、そして戦争の時代の再来を許さないために、18日までの行動を行なう。沖縄はめげない。安倍に負けない。心を一つにして闘おう」と訴えて、闘いが開始された。
この日、海上搬送の拠点・本部港塩川地区(本部町)でも、朝から行動が取り組まれた。午後には、その行動参加者がゲート前で報告に起ち、「毎朝早くから塩川で頑張っている。すでに、塩川で土砂を積み込んだガット船など七隻が、西海岸の洋上のどこかで、土砂投入のために待機している。今日は70人が応援に来てくれたので、積み出しが行なわれなかった。人さえいれば、積み出しを阻止できる。ゲート前と結びつて、塩川でも搬出を阻止しよう」と訴えた。
以降、8月10日まで、連日にわたって早朝から「工事用ゲート」前の座り込みが続けられた。「ゲート」前のアスファルトやコンクリートの上の温度は40度近くにも達するが、音を上げる者は誰もいない。熱中症対策も万全だ。この期間中、「被覆ブロック」や根固め用袋材の設置作業など、海上工事は続けられたものの、労働者人民の闘いは、工事用車両の搬入を1台たりとも許すことはなかった。
他方、この期間、労働者人民の闘いはゲート前にとどまらず、本部港塩川地区はもとより、沖縄総合事務局・北部国道事務所(名護市)、沖縄防衛局(嘉手納町)、あるいは県庁(那覇市)と、各地に及んだ。闘いの分散化ではない。闘いの拠点であり、中心点である「ゲート」前を制圧し、搬入を頑強に阻んでいることを力に、各所に攻勢をかけたのだ。
北部国道事務所に対する行動は、8月6日、7日、9日にわたって取り組まれた。元来、立ち入り禁止を示す「工事用ゲート」の「イエローライン」は、国道329号の車道からかなり奥まったところに敷かれていた。かつては、その「イエローライン」の外側で労働者人民は座り込んでいたのだが、沖縄防衛局は、そこに「ダンプのタイヤの泥落としのため」と称して、突起のついた鉄板(「琉球新報」が報道した言葉を借りれば「殺人鉄板」)を敷きつめ、フェンスまで設置して、労働者人民を車道側に追いやっていた。ところが7月下旬、沖縄防衛局は、「歩行者の安全確保のため」と称して、さらにその外側に、新たにネット張りのフェンスと「バリロード」を設置したのだ。フェンスと「バリロード」の間隔は1メートルもなく、しかもその間に「アルソック」のガードマンどもが立ち並ぶのだから、労働者人民の座り込む場所は、ほとんどなくなる。狙いはただ一つ。土砂投入を目前にして、労働者人民の闘いの場を奪うことだ。
そして、この不当な措置のための「道路占用許可」を沖縄防衛局に出したのが、北部国道事務所である。これに対して7月24日、「現地闘争部」部長・山城博治氏の名で北部国道事務所に「抗議・質問書」を出していたのだが、2週間経っても何の回答もないことから、一連の行動が組まれた。労働者人民の8月6日、7日にわたる回答要求に、北部国道事務所は「どのように回答するか精査中」なる返答にもならぬ返答をくり返し、何の道義性も正当性のない「許可」を居直るばかりであった。これを追及するために、8月9日には北部国道事務所との交渉がもたれたが、北部国道事務所は質問に何一つまともに答えることができない。玄関前に結集した100人を超える労働者人民からは、強い弾劾の声があげられた。
沖縄防衛局への行動は、沖縄「県」が設定した8月9日の「聴聞」の日程について、沖縄防衛局が延期を要求していることに対し、日程どおりに「聴聞」に応じること、8月17日からの埋め立て工事を中止することを求めて、「普天間爆音訴訟団」、「かでなピースアクション」などが呼びかけたものだ。8月7日の行動には、約70人が結集し、「要請書」の受け取りを要求して、沖縄防衛局の正面玄関に座り込んだ。この要求に対して権力は、「県」警機動隊による強制排除をもって応えたが、行動は、翌8月8日にも粘り強く続けられた。
知事・翁長の急逝とその影響
8月8日、「公有水面埋立承認」の「撤回」に向けて手続きを進めていた沖縄「県」知事・翁長が急逝した。これを受けて、安倍政府―沖縄防衛局の強攻策が大きく揺れ出している。さっそく、沖縄防衛局は、8月中は新基地建設に関わる資材の搬入を行なわないことを明らかにし、さらに、政府は、土砂投入の「先送り」を検討していることを「県」に伝えた。同時に、「県」に対して、「埋立承認撤回」を延期することも、ちゃっかり要請したという。土砂投入と「撤回」の両方を延期する「休戦協定」(政府関係者)の申し入れだ。
「土砂投入先送り」の理由として政府は、「台風の影響で工事が遅れ、準備が間に合わない」こと、さらに「喪に服す期間とする」ことなどをあげているが、それらは、とって付けた口実にすぎない。そもそも、「喪に服す」なる言葉が、いったい政府のどの口から出て来るのか。翁長は、安倍政府が責め殺したようなものではないか。安倍の魂胆は、はっきりしている。翁長の急逝で9月に前倒しされた「県」知事選を前に、新基地建設にまつわる一切の「騒音」を消し去り、その争点化を徹底的に避けようという作戦に切り替えたのだ。「辺野古のへの字も言わない」作戦だ。しかも、「撤回延期」を持ちかけることで、「県」にまでその汚い作戦の片棒を担がせようというのだから、誠に厚かましい。
今後において、「超軟弱地盤」などの深刻な問題を抱える大浦湾側の護岸建設―埋め立てを進めるには、大規模な地盤改良工事を行なうなど、大幅な工法変更が必要であり、そのためには「公有水面埋立法」に基づき、「県」に「設計概要の変更申請」をすることが不可避になってくるのだが、この手続きにおいて、知事の「承認」が得られなければ、工事はそこで行きづまることになる。どうしても知事の首を「安倍のイエスマン」にすげ替えなければ、工事の展望は拓けない。
これまで政府は、「11月知事選」という想定のもとに、「8月17日土砂投入」を計画してきた。「何をやっても工事は止められない」、「どんなに抵抗しても無駄だ」とアピールし、労働者人民の諦めを誘うとともに、「翁長の無力」を強く印象づけることで、翁長を追い落とそうとしてきたのである。「絶望の組織化」である。その過程でたとえ翁長が、「埋立承認」を「撤回」しても、11月までには工事再開が可能で、「翁長の無力」にダメを押す結果になるだけであり、知事選では「新基地建設問題は決着済みの話」と強弁することができるという計算だ。
ところが翁長の死去で、事情が一変してしまった。前倒しされた「9月知事選」を控えて、いま土砂投入を強行したら、政府自らが「最大の争点」を提供してしまうばかりでなく、沖縄中の批判と怒り、そして激しい闘いの爆発という「大逆風」の中で、投開票日を迎えねばならなくなる。それは何としても避けねばならないというわけだ。
かくして、「土砂投入先送り」は、「争点外し」を狙って急きょひねり出した窮余の一策なのだが、この方針転換を根底において規定しているのは、沖縄労働者人民の激しい怒りと闘いであるということは、強調しておかねばならない。沖縄労働者人民の頑強な闘いが、土砂投入を厳然と阻み続けているのだ。
8月11日
「新基地建設断念を求める県民大会」に7万人が結集
8月11日、那覇市内の奥武山陸上競技場において、「オール沖縄会議」が主催して、「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める県民大会」が開催された。目前に迫る土砂投入を何としても阻止し、日・米両政府に新基地建設計画の白紙撤回を要求するために計画されたものだ。台風14号の接近で、断続的に激しい雨が降るあいにくの天気だったが、開始時刻を過ぎても、会場には人の波が続々と押し寄せ、ついには入り切れない人々が会場の外にも溢れた。「3万人規模」という主催者の目標を大きく上回る7万人の大結集だ。
参加した労働者人民は、その多くが、主催者が提案した「大会のイメージカラー」の青色の衣類を身に付け、あるいは青い帽子を被り、あるいは手に青いタオルを持参しての参加となり、会場全体は、辺野古のコバルトブルーの海をそのまま映したかのように、真っ青な色に覆われた。その会場に「沖縄解放」と大書きされた天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会(沖縄青年実)の青い旗が翻り、結集した沖縄労働者人民から大きな注目を浴びる。知事・翁長の急逝を受けて、「県民大会」は、追悼集会の色彩をも帯びたが、会場は悲嘆より、政府への激しい怒りが充満し、爆発の時を待っているような雰囲気だ。
午前11時より、「大会」が開始される。主催者代表あいさつに起った「オール沖縄会議」共同代表の高良鉄美氏は、「今日の空は、翁長知事の死を悼み、悲しんで泣いているようだが、私たちは怒りも含んでいることを感じていると思う。辺野古の海も苦しんでいる。そして、沖縄の大地も泣いている。沖縄戦からずっと削られ傷を負ってきた。また同じことをやるのか」、「まるで制裁を加えるかのような新基地建設の強行は、ウシェーティル(ないがしろにする)こと。私たちはウシェーラッティ、黙っているような人間ではない。これからも頑張っていこう」と訴えた。
「オール沖縄会議現地闘争部」部長として発言に立った山城博治氏は、「なぜ私たちにこのような試練がのしかかるのか理解できないが、いま一度団結を強め、顔を上げて、歴史を拓くのは私たちだという気概で頑張ろう」、「辺野古の海に船やカヌーを出し続け、海上保安庁の暴力に耐えて抗議の声を上げ続けている。ゲート前での座り込みも、1日も欠かさず多くの人達が参加している。現在の状況は簡単ではないが、私たちの力を持ってすれば不可能はない。工事は止められる。腹をすえて頑張っていこう」と、力のこもった呼びかけを行なった。
途中から天候が悪化し土砂降りとなったが、会場から引き上げる人の姿はほとんど見られない。また、参加者の中には20代の若者の姿が多く見られ、これまでにも増して熱気に満ち、「新基地建設を断固阻止する」という固い岩のような、揺るぎない意思と闘志の溢れる大会となった。
最後に、「大会決議文」が読み上げられる。それは、「内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣、沖縄および北方対策担当大臣、米国大統領、駐日米国大使」に宛てたもので、「ジュゴンやウミガメなどが生きていくための豊な海草藻場や希少なサンゴ類の生息環境を破壊する土砂投入計画を直ちに撤回すること」、「大浦湾側には活断層の疑いがあり、その付近の海底には、超軟弱地盤が存在する。辺野古新基地の立地条件は成り立っていない。建設計画を直ちに白紙撤回すること」、「沖縄高専、久辺小・中学校、集落は、米国の安全基準である高さ制限に抵触している。児童生徒と住民の生命と財産を脅かす新基地建設を直ちに断念すること」などの内容だ。万雷の拍手でこれを確認し、大会を終えた。
8月16日~8月18日
労働者人民の頑強な闘いが「8・17土砂投入」を阻止
「県民大会」と盆休みを挟んで、8月16日から、「ゲート前連続集中行動」の後半戦が開始された。政府―沖縄防衛局が「8月中の資機材搬入の中止、土砂投入の先送りを検討中」との報道が伝えられてはいるものの、だまし討ちは政府の常套手段であり、決して気を抜くことはできない。「8・17」を目前にして、現地には緊張が走る。
8月16日は、雨が降りしきる中、250人が「ゲート」前に結集した。搬入の動きがないことを見届け、テントに移動した労働者人民は、「悪天候にも、冷たい官邸の仕打ちにも負けずに頑張ろう」、「政府は『喪に服す』ことを理由に土砂投入の先送りを検討しているとうそぶいている。今まで散々足蹴にしておいて、よくもそんなことが言えたものだ。一刻も早い『埋立承認』の撤回を」、「明日の土砂投入を必ず止めよう」と声を上げた。
そして、迎えた17日。土砂投入を何が何でも阻止しようと、各地から労働者人民が大結集した。主催者から全員に青いハチマキが配られ、早朝から「ゲート」前を固める。沖縄防衛局が設置した「バリロード」の内側に入り切れない労働者人民が、車道側にも溢れ出る。
正午前、山城博治氏が、「今日も土砂投入を止めている。工事が止まっている。私たちの力だ。行動の成果だ。大きな勝利だ。工事断念という最後の勝利の日まで、これからも闘いぬこう」と発言すると、全体が勝利の歓喜で沸き返った。
この日は、海上でも、「ヘリ基地反対協」が主催して、「土砂投入を許さない!8・1七辺野古海上大行動」が取り組まれた。抗議船五隻、カヌー49艇が海に出て、「海上パレード」が行なわれ、「埋立区域②―1」の前では海上抗議集会がもたれた。午後1時からは、辺野古浜に「ゲート」前の労働者人民も合流し、「土砂投入を許さない浜集会」が行なわれた。結集した450人全員で、この日の勝利を確認し合った。
「連続集中行動」の最終日となる8月18日には、300人が「ゲート」前に結集した。どの参加者にも、土砂投入を阻止した勝利感がみなぎる。参加者からは、「8・17土砂投入を止めたのは、われわれの力だ」、「本部港塩川地区からの埋め立て土砂の海上輸送を止める闘いがますます重要だ」、「これ以上作業をやらせない闘いが必要だ」などの発言が続いた。午後1時、山城博治氏が、「最大の警戒をもって臨んできた集中行動が今日で終わる。辺野古の新基地ばかりでなく、先島にも自衛隊基地が造られようとしている。闘いはこれからだ。また20日以降、ここに座り込もう。工事を断念させるまで頑張ろう」という締めの言葉で、8日間にわたる「集中行動」を終えた。
新基地建設阻止決戦勝利へ
8月20日から台風19号、20号が接近したことにより、さらに23日からは旧盆を迎えたことにより、その間、工事も行動も中止となり、「ゲート」前の座り込みは、27日から再開されることとなった。この日以降、工事は確認されていない。
現場でにらみ合いが続くなか、8月31日、「県」は、前知事・仲井真による「公有水面埋立承認」を「撤回」した。知事・翁長の7月27日の「撤回」方針の表明、沖縄防衛局から反論を聞く8月9日の「聴聞」を経てのことだが、労働者人民の激しい突き上げがなければ、翁長の「撤回」方針表明も、翁長後継の「県」幹部による指定日通りの「聴聞」開催も、知事選前の「承認撤回」もなかったことは、はっきりしている。及び腰の行政に頼ることはできない。
「撤回」の理由として副知事・謝花は、①「埋め立て承認」の際に付けられた「留意事項」に基づく「事前協議」を行なわずに、工事を開始したという違法行為があり、行政指導を重ねても是正しないこと、②軟弱地盤、活断層、高さ制限などの問題が「埋立承認」後に判明したこと、③「埋立承認」後に策定したサンゴやジュゴンなどの「環境保全対策」に問題があることなどを指摘し、それらが、「公有水面埋立法」4条1項1号で規定する「国土利用上適正かつ合理的なること」という承認要件を満たさないこと、「留意事項」1に違反していること、「公有水面埋立法」4条1項2号で規定する「環境保全および災害防止につき十分配慮せられたるものなること」という承認要件を満たさないことをあげた。
これに対して防衛相・小野寺は、同日、「必要な法的措置をとることになると思う」と述べたものの、その内容や時期については「総合的に検討して判断したい」として、明らかにしなかった。2015年10月に翁長が「埋立承認」の「取消」を行なった際には、さっそく翌日には「取消」の効力を無効化する「執行停止」を申し立てるなどの対抗措置を講じたことと比べると、態度は対照的だ。知事選への影響を見極めようという腹であろう。
いずれにせよ、「承認撤回」によって、政府は、新基地建設を進める法的根拠を失い、工事を停止せざるをえなくなってしまった以上、工事再開のために、早晩、対抗措置に出ることは必至だ。想定されるその措置とは、①「承認撤回」の「取消」を求める訴訟を起こすとともに、その訴訟が終わるまでの間、「撤回」の効力を停止させる「執行停止申立」を行なう②「公有水面埋立法」を所管する国土交通相が「県」に「承認撤回」の「是正勧告」を行ない、従わなければ「承認撤回」を「県」に代わって「撤回」するために、高裁に訴訟を起こす。その場合にも、併せて裁判所に「執行停止」を申し立てる③「行政不服審査法」で国土交通相が「承認撤回」の「執行停止」を行なう、などである。
「三権分立」は形式にすぎず、司法が行政の完全な下僕と成り果てている今、司法判断に何の期待もできないことは明らかだ。「執行停止申立」については、2週間から数週間程度で裁判所の決定が出されると言われており、裁判所が「執行停止」を認めた場合、「承認撤回」の効力はその時点で「棚上げ」となり、「取消訴訟」ないし「代執行訴訟」の結果を待たずに、工事は即座に再開されることになる。
もはや、沖縄労働者人民には、「県」政への幻想も、司法への幻想もない。辺野古現地を先頭にした労働者人民の実力の闘いこそが、工事を止める力だ。その確信は、確固不動のものとなりつつある。沖縄青年実は、その最先頭で勝利に向け闘いぬく決意だ。
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