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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

 8・9狭山上告棄却41ヵ年糾弾に決起(1280号5面)

御茶ノ水駅頭で情宣決起

 8月9日、反戦・全学連の部隊は、狭山上告棄却41ヵ年糾弾の闘いに起ち上がった。午後1時50分、JR御茶ノ水駅頭に整列した部隊は、シュプレヒコールを行なう。駅頭にアジテーションが響き渡り、ビラが撒かれていく。前日夜からの台風も遠ざかり、猛暑の中でも、青ヘルメットの登場に、労働者人民の熱い注目が集まる。「頑張ってください」と声をかけていく人もいる。こうした中で、約1時間の情宣を貫徹し、再度シュプレヒコールをあげて、闘いを締めくくった。

 1977年8月9日、最高裁第2小法廷裁判長・吉田は、無実の部落民=石川一雄氏に対して上告棄却判決を打ち下ろした。一度の口頭弁論もなく、事実調べも行なわず、上告棄却を強行したのである。そして、わずか6日後には、上告棄却に対する「異議申立」をも棄却し、1974年10月31日、東京高裁・寺尾が打ち下ろした反革命差別「無期懲役」判決を確定させた。8・9上告棄却は、寺尾の「無期懲役」判決への大衆的怒りと国家権力糾弾・打倒の闘いの高揚を恐れ、狭山闘争の解体を唯一の目的に打ち下ろされた反革命差別決定なのだ。この上告棄却が打ち下ろされてから41ヵ年が経過した。「予断と偏見をもって差別捜査を行なったと窺わせる証拠はない」「積極的にも消極的にも部落差別を是認した予断と偏見による差別的なものではない」と差別捜査を否定し、差別裁判の強行に全面的に居直った事実は、どんなに年月が経とうとも、決して消えることはない。8・9上告棄却決定は、「部落民は差別と迫害の中で死ね」とする部落民虐殺宣言に他ならない。部落解放運動の革命的飛躍・前進に恐怖するが故の、反革命差別決定を徹底糾弾しなければならない。

 狭山闘争をめぐっては、第3次再審闘争が正念場を迎えている。「第3次再審申立」から12年が経過し、東京高裁と東京高検、狭山弁護団による「3者協議」も5月14日の開催で36回を数えるに至った。「3者協議」開始以降、東京高検が開示した証拠は191点、弁護団が提出した新証拠は197点となった。最近では、2016年8月の「下山鑑定」(「自白」によって「発見された」とする万年筆が警察によるねつ造であることを明らかにした)、今年1月の「福江鑑定」(コンピューターによる筆跡鑑定で脅迫状の筆跡と石川氏の筆跡が99・9パーセント違うことを明らかにした)により、弁護団は、攻勢に次ぐ攻勢を強めている。しかし、東京高裁は、いまだに事実調べを行なう気配すら見せていない。担当裁判官は次々に交代し、昨年12月に8人目の後藤真理子(2020年6月退官予定)が就任した。今後、東京高裁・後藤がいつ「3者協議」を打ち切り、再審請求棄却に踏み込むか、予断を許さない。そんな東京高裁の姿勢を見透かす東京高検は、弁護団が強く求めているルミノール検査報告書、手拭い配布捜査メモ、8ミリフイルム等の物的証拠の存在について、一貫して「不見当」なる回答を繰り返している。これを許さず、東京高裁に事実調べを迫り、東京高検に全証拠開示を迫る闘いをやりぬかねばならない。

第3次再審棄却を阻止せよ

 5月14日、第36回の「3者協議」が開催され、弁護団はこれに先立つ5月11日に提出した「自白」に関する補充書2通について説明し、開示された録音テープをもとに、石川氏が1審の裁判中になぜ「自白」を維持したのかについて明らかにし(取り調べで否認できない状況に追い込まれ、「自白」に至った経緯、諦めの心境と弁護人との信頼関係が失われていたことなど)、また、「自白」に任意性、信用性がないことを明らかにした。開示された録音テープでは、否認を続ける石川氏に対して3人の警察官が「脅迫状を書いたことは間違いない」「供述する義務がある」「書いた書かないを議論している時ではない」と脅迫状を書いたという「自白」を強要している取り調べが録音されていた。こうした取り調べでなされた「自白」は到底任意でなされた「自白」とはいえない。さらに、届けられた脅迫状と一緒に封筒に入っていた被害者の身分証明書ついて、取り調べ録音テープのやりとりで、石川氏がまったく説明できていないことや、腕時計の事は「わからない」と繰り返していること等も明らかにしている。弁護団は、8月ごろをめどにスコップ関係等、準備中の新証拠を順次提出し、鑑定人尋問を求めていくとしている。追いつめられた東京高検は、コンピューターによる筆跡鑑定について反論反証を検討しているとし、「自白」の関係についても反論を検討するなぞと言い放っている。次回「3者協議」は、9月中旬に予定されている。不屈の決意を明らかにする石川氏を激励し、石川氏の怒りと無念を共有し闘おう。部落解放同盟内社民・こえ派の狭山闘争の幕引きを許さず、〈狭山差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の旗幟を鮮明にし闘おう。戦闘的部落青年・大衆と連帯し、階級的共同闘争、大衆的実力闘争・武装闘争の爆発で第3次再審棄却を阻止し、狭山闘争の歴史的勝利をかちとろう。

部落解放運動の革命的飛躍・前進を

 全国で差別事件、差別落書き事件が後を絶たず、悪質化している。部落差別落書き、差別ハガキ、インターネットを使った悪質な差別煽動が拡大している。極悪反共ファシスト・「在特会」は、さらに差別煽動を続け、在日朝鮮人・中国人に対する差別デモ、襲撃を頻繁に行ない、ファシズムへの突撃の尖兵として突出している。「鳥取ループ」なる輩が、「示現社」なる出版社から「部落地名総鑑」のもとの資料である「全国部落調査」の復刻版の販売を画策し、阻止されてからもインターネット上での差別煽動を継続している。極悪差別煽動・事件を断じて許すことはできない。

 2019年4月30日の天皇・アキヒトの退位、5月1日の皇太子・ナルヒトの新天皇即位を通した反革命国民統合の強化が進行しようとしている。そして、朝鮮反革命戦争とファシズムの危機がますます切迫している。本格的戦争遂行と戦時国家体制形成を見据えた安倍政府の攻撃と対決し、総翼賛化攻撃を切り裂き、実力・武装で闘いぬかなければならない。安倍政府は、蔓延する差別主義・排外主義煽動に対する労働者人民の反撃の闘いの激化が必至の状況下、差別糾弾闘争を制動し、体制内での集約を図るために、2016年12月、「部落差別解消推進法」を成立させた。この種の「理念法」は、2016年4月の「障害者差別解消法」、2016年5月の「ヘイト・スピーチ解消法」に続くものである。「部落差別解消推進法」は、「国および自治体がその解決のために、相談体制・教育啓発の充実、実態調査の実施をすすめていく」なる文言を明記しただけの、差別糾弾闘争を制動する以外の何の意味もない「理念法」でしかない。部落解放同盟内社民・こえ派は、安倍政府があてがった「理念法」に依拠することで部落解放運動の体制内化を一層すすめようとしている。

 部落解放同盟内社民・こえ派が押し出す「告訴・告発」や差別の「法規制」では何も解決しないことは明白だ。激発する差別事件に対する差別糾弾闘争を闘うことが求められている。特に反共ファシストに対しては、撃滅戦の鉄の回答があるのみである。部落解放運動の生命線である差別糾弾闘争の復権をかちとろう。部落差別の根底的廃絶・部落の根本的解放へ闘おう。

 「南北首脳会談」「米朝首脳会談」の動きの一方で、日帝・米帝による朝鮮反革命戦争臨戦態勢が強化されている。日帝の朝鮮反革命戦争突入を絶対阻止する革命的反戦闘争の大爆発をかちとろう。中東反革命戦争の拡大を許さず、米帝とイスラエル・シオニストが一体となったパレスチナ解放闘争圧殺・労働者人民虐殺を許すな。

 戦争遂行の安倍政府を打倒し、国家権力を解体しよう。