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石川氏不当逮捕55ヵ年糾弾!5・23狭山中央闘争を闘う
(1272号3面)

 5・23闘争実行員会が前段集会を開催

全国部落解放青年同盟がメッセージ

 午前11時、解放派と全国学生部落解放研究会連合の部隊は、日比谷野外音楽堂の入口に登場した。まもなく来場した石川氏とあいさつを交わす。正念場を迎えた第3次再審闘争の勝利をかちとる決意もあらたに、部隊は、横断幕を広げ、ゼッケンを身につけ、ビラまきを開始する。雨が本降りになってくる中、全国から結集する部落大衆にビラを手渡し、共に闘おうと呼びかけていく。われわれへの敵対のためだけに登場した「社会党」による妨害に乗じて、公安警察が弾圧を狙い、主催者に排除要請を求めようとしたがこれを許さず、断固として情宣行動を貫徹した。 

 正午過ぎ、5・23闘争実行員会が、前段集会を開催する。結集する多くの部落大衆の注目を集めるなか、全国学生部落解放研究会連合の仲間が司会に起ち、シュプレヒコールで集会が開始された。

 まず最初に、全国部落解放青年同盟からのメッセージが司会により代読される。「朝鮮反革命戦争の危機は、ますます深まっている。朝鮮反革命戦争突入絶対阻止へ総決起し、米帝―帝国主義による中東反革命戦争の拡大、パレスチナ解放闘争圧殺攻撃を許さず闘おう」「安倍は、世界大恐慌の爆発と、これに伴う日帝の体制的危機の到来への恐怖から、『国難』を叫んで改憲と朝鮮反革命戦争に突き進んでいる。通常国会では改憲案発議が狙われ、労働者階級への搾取・収奪の強化のための労働法制の大改悪が強行されようとしている。沖縄・名護新基地建設と核武装のための原発再稼働に突き進んでいる。安倍政府が戦時国家体制形成に突き進む中で、部落解放運動総体もまた大きな試練を迎えている。狭山闘争の解体を基軸に、『部落差別解消推進法』の制定を通した部落解放運動解体攻撃が強まっている。部落解放同盟内社民・こえ派は、この『理念法』に依拠し、『条例制定』などの『具体化』を進めることで部落解放運動の体制内化を一層促進させようとしている」「無実の部落民=石川一雄氏不当逮捕から55ヵ年を迎えた」「2年後に退官予定の東京高裁・後藤が、いつ『3者協議』を打ち切り、第3次再審棄却を打ち下ろすか、予断を許さない。石川氏を支えぬき、〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の旗幟を鮮明にして、階級的共同闘争と大衆的実力闘争・武装闘争で闘いぬかなければならない。石川氏の不退転の決意に応え、第3次再審棄却をなんとしても阻止しよう」「部落差別をはじめあらゆる差別が拡大・再生産され、差別襲撃事件が度々引き起こされている。今こそあらゆる差別と闘う団結を求める目的意識をもった運動をわれわれが先頭で作り出さねばならない。差別糾弾闘争の復権をなしきり、部落解放運動の革命的飛躍・前進をかちとらねばならない。全青同は、その歴史的責務にかけて、革命的部落青年・大衆の組織化をなしきり、革命的反戦闘争をともに闘いぬく。部落差別の根底的廃絶、部落の根本的解放をかちとる」。

部落解放を闘う仲間が基調提起

 部落解放を闘う仲間より基調の提起を受ける。「本日、『働き方改革関連一括法』案の衆院厚生労働委員会採決が狙われている。これを阻止するべく、国会前に仲間がかけつけている。この闘いと一つのものとして本日の闘いを最先頭で闘おう」「第3次再審闘争は、正念場を迎えている。第3次再審を申し立ててから12年が経過し、『3者協議』開始以降、東京高検が開示した証拠は計191点、弁護団が提出した新証拠は197点となった。最近では2016年8月の『下山鑑定』、今年1月の『福江鑑定』により攻勢に次ぐ攻勢を強めている。しかし、東京高裁は、いまだに事実調べを行なう気配すら見せていない」「5月14日、第36回の『3者協議』が開催され、弁護団は、これに先立つ5月11日に提出した『自白』に関する補充書2通について説明。開示された録音テープをもとに、石川氏が一審の裁判中になぜ『自白』を維持したのかについて明らかにした。さらに、弁護団は、8月ごろをめどにスコップ関係等準備中の新証拠を順次提出していくとしている。追いつめられた東京高検は、コンピューターによる筆跡鑑定について反論反証を検討しているとし、『自白』の関係についても反論を検討するなどと言い放っている。次回『3者協議』は9月に予定されている」「司法権力は、どんなに石川氏無実の証拠が提出されようと、これをすべて却下して差別裁判を維持してきた。それは狭山闘争が戦闘的部落大衆と労働者人民との階級的共同闘争と、大衆的実力闘争・武装闘争で部落解放運動の飛躍を切り拓き、国家権力糾弾・打倒の闘いとしてうちぬかれてきたことに恐怖しているからだ」「〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の旗幟を鮮明にし、戦闘的部落青年・大衆と結合し、階級的共同闘争と大衆的実力闘争、武装闘争の爆発で、第3次再審棄却を阻止し、狭山闘争の歴史的勝利へと進撃しよう」「安倍政府の、部落解放運動のファシズム融和運動への転換攻撃を許してはならない。『鳥取ループ』なる輩による新たな『部落地名総鑑』の流布など激発する差別事件に対して、戦闘的部落大衆を先頭とする差別糾弾闘争の復権を闘いとっていかなければならない。『ヘイト・スピーチ』をはじめ、部落大衆や在日朝鮮労働者人民への差別襲撃・敵対に手を染める反共ファシストどもなぞ、撃滅あるのみだ」「『部落差別解消推進法』は、差別糾弾闘争を制動する以外には何の意味も持たない代物である。『差別の法規制』を踏みしだき、実力・武装の闘いをうちぬこう。部落解放運動の革命的飛躍・前進をかちとり、部落差別の根底的廃絶、部落の根本的解放へ闘おう」。

結集した闘う仲間からの決意

 集会に結集した各団体からの決意を受けていく。全国「障害者」解放運動共闘会議の仲間は、「戦争遂行体制をもくろむ安倍極右政府のもとで、社会保障の縮小・切り捨てが進行している。『心神喪失者等医療観察法』のもとで『精神障害者』を保安処分施設に閉じ込める隔離・拘禁の保安処分攻撃が強化され、『精神保健福祉法』改悪案の再上程も狙われている」「資本の利益を生む能力が高い者を『価値ある生命』とし、その能力の低い者を『価値なき生命』として排除・抹殺する『優生思想』を生みだす資本主義社会、所得などの格差を必然的に生み出すこの資本主義社会の変革なくして「障害者」の解放はない」「7月1日、『心神喪失者等医療観察法』施行13ヵ年糾弾! 対国立精神・神経医療研究センターデモへの結集を」。東部朝鮮史研究会の仲間は、「韓国・文在寅と北朝鮮の金正恩との首脳会談が行なわれ、6月12日の米朝首脳会談が予定されている。しかし、韓国周辺では米韓合同軍事演習・『マックス・サンダ―』が行なわれており、米帝は北朝鮮に圧力を継続し、いつでも戦争に突入できるように軍事演習を繰り返している。日帝・安倍は朝鮮反革命戦争突入を狙って蠢いている。これを阻止する闘いが求められている」「朝鮮反革命戦争突撃の中で差別主義・排外主義攻撃が激化し、天皇制攻撃が激化している。これと対決し打ち砕いていこう。ファシストの跳梁を許さず撃滅しよう。5月30日、光州蜂起38ヵ年の日朝連帯集会へ結集しよう」。東京・山谷日雇労働組合の仲間は、「われわれは狭山中央闘争をはじめ、2月の東京集会、3月の埼玉集会を欠かさず闘ってきた。労働組合は差別と闘うことが決定的に重要だ。差別と闘わずしてわれわれをアブレ―野垂れ死にに追い込む資本家や国家権力に打ち勝つことはできない」「アブレ―野垂れ死に攻撃を粉砕する闘いと、差別を許さぬ闘いを一つにして闘う」。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間は、「釜ヶ崎ではセンターの移転・縮小の攻撃が進められている。寄せ場をつぶし、労働者を追い出し、ホテルなど商業施設を誘致するのが狙いだ。大阪府・大阪市の金儲け行政を許してはならない」「これからも『反戦・仕事よこせ』を闘う」。最後に、反安保労研全国センターの仲間は、「今、われわれの仲間が衆院会館前に登場し、『働き方改革関連一括法』案の衆院厚生労働委員会採決阻止の闘いに決起している。過労死するほど働かされる、1ヵ月80時間をこえる100時間の残業を強制する制度を作ろうとしている。これを突破口に八時間労働制をなくし、あらゆる権利を奪おうという攻撃を許してはならない」「6・15―6・18安保粉砕・政府打倒全国統一行動の爆発をかちとろう」。再度全体でシュプレヒコールを上げ、本集会へと合流していく。

日比谷野外音楽堂で本集会

石川氏の決意表明と弁護団報告

 プレイベント終了後の午後1時、「狭山事件の再審開始を求める市民集会実行委員会」主催の「不当逮捕55年! 今度こそ事実調べ・再審開始を!」と題した集会が開始される。

 部落解放同盟・組坂委員長の開会あいさつ、各政党あいさつに続いて、無実の部落民=石川一雄氏が登壇する。会場全体の拍手で迎えられた石川氏は、「今日はあいにくの雨になってしまったが、狭山はいよいよ大詰めを迎えた」「第3次で終結するには皆さんのご支援が必要不可欠」と訴え、「陥穽に はまって今日で55年 科学の進歩も司法は無視」との俳句を披露された。そして「石川一雄の無罪を勝ちとるために、第3次で勝利するためにさらなるご支援を」と力強く訴えた。石川早智子氏からのアピールに続き、弁護団報告がなされる。狭山弁護団の主任弁護人・中山武敏氏から「1月22日の『3者協議』で、裁判長に『第3次で多くの証拠が開示されている。弁護団提出の証拠に対してきちんと検討してほしい』と訴えた」「寺尾判決も最高裁判決も部落差別はなかったとしか触れていない。第1次、第2次再審はまったく部落差別に触れていない。第3次再審ではなんとしても部落問題を裁判官に認めさせる必要がある」「石川さんからもらった手紙に『先生は部落出身だから私にはまことに心強い』『私の事件から根本的に差別問題にメスを入れてほしい。狭山は単なる冤罪ではない。権力の保身、メンツをどうか糾して国民に事実を広めてほしい。中山先生は学校に行なった。私は家が貧乏で最低限の教育も受けられなかった。国家の仕打ちがあまりに酷く許せない。』とあった。これが私の弁護士としての原点となった」「第3次は証拠開示と鑑定人尋問、事実調べが大きな鍵となる、共に闘おう」と訴えた。続いて事務局長の中北龍太郎氏から「第3次で191点の証拠開示があった。長年にわたり、証拠を隠してきた検察の罪は深い」「現在、証拠開示で大きく前進をとげている。新証拠は再審の扉を開く大きな鍵」とした。そして「下山第2鑑定」で万年筆のデッチ上げがダメ押し的に明らかになったことが報告された。被害者の使用していた万年筆のジェットブルーインクはクロムの成分が含まれるが、発見された万年筆のインクからは鉄分しか出ず、明らかに成分が違うことが証明された。さらに福江鑑定について説明し、寺尾判決は全面的に覆っていること、事実調べを行なう段階であることを訴えられた。

首都中枢をデモで席捲

 部落解放同盟・片岡明幸狭山闘争本部長からの基調提起の後、連帯アピールが行なわれ、袴田巌氏の姉の袴田秀子氏から「6月11日に東京高裁が決定を出すことが決まった」という報告と支援の訴えがあった。続いて「袴田氏を救援する清水・静岡の会」の山崎俊樹氏、志布志事件の川畑幸夫氏、足利事件の菅家利和氏、布川事件の桜井昌司氏が連帯アピールを行ない、市民の会アピールとして武者小路公秀氏、石坂啓氏、鎌田慧氏が発言にたった。カンパ要請の後、部落解放中央共闘会議事務局長の則松佳子氏より集会アピールが読み上げられ、参加者全体の拍手で確認される。閉会あいさつと団結ガンバローで集会が締めくくられた。

 5・23闘争実行委員会の隊列は、会場からデモに起つ全国の部落青年・大衆に共に闘う決意を明らかにすべく、速やかにデモ出発地点に移動し、シュプレヒコールを行ないアジテーションを開始する。「階級的共同闘争と大衆的実力闘争で闘うことが勝利をかちとる道だ」「東京高検・東京高裁を包囲・糾弾しよう」「石川氏の闘う決意に応え、闘おう」「第3次再審闘争に勝利しよう」「朝鮮反革命戦争突入を絶対に阻止し、戦争遂行の安倍極右政府を打倒しよう」と訴える。そして日比谷公園から戦闘的デモへとうって出る。解散地点の常盤橋公園に到着すると全国学生部落解放研究会連合から「第3次再審棄却を許さず狭山闘争の歴史的勝利をかちとろう」「6・15から6・18安保粉砕・政府打倒全国統一行動に総決起しよう」という集約提起とシュプレヒコールでこの日の闘いを締めくくった。

 6月11日、東京高裁第8刑事部(裁判長・大島隆明)は、袴田事件の静岡地裁の再審開始決定を取り消し、再審棄却を棄却するという暴挙にうってでた。再審開始決定の根拠となったDNA鑑定について、鑑定人尋問も行なわず、「信用性がない」と否定し、袴田さんに対する取り調べに問題があったことを認めながら「だからといってねつ造があったとはいえない」などと決めつけた。弁護団は最高裁に特別抗告を申し立てた。

 今こそ、司法―国家権力への幻想を捨て去り、〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の闘いの基調を鮮明にして闘うことが重要だ。石川氏の怒りと無念さを共有し、第3次再審棄却阻止、狭山闘争の歴史的勝利へ断固として進撃しよう。