5月23日、反安保労研全国センターの仲間は、「働き方改革関連一括法(一括法)」案の衆院厚生労働委員会での採決を阻止すべく、国会前に登場し闘いぬいた。
午前10時、国会前に登場し、国会に向けて断固たるシュプレヒコールをあげる。「『働き方改革関連』法粉砕!」「『一括法』案粉砕!」「衆院委員会での強行採決を阻止するぞ!」「8時間労働制解体を許さないぞ!」。アジテーションとシュプレヒコールを繰り返しながら、座り込みを開始する。
安倍政府は、4月6日に閣議決定―国会上程し、4月27日に審議入りした「一括法」案をこの日、審議も不十分なまま、採決を強行しようとしていた。
安倍政府は、「一括法」案を「長時間労働の是正」「正規―非正規の格差解消のため」なぞといっている。しかし、その実体は、労働時間規制から除外する「高度プロフェッショナル制度」の創設を突破口にして、「八時間労働制」などの労働者保護法制を一掃しようとする攻撃だ。「年収1075万円以上」の「高度専門職」を労働時間規制から除外するという「高度プロフェショナル制度」は、労働法制上で初めて、労働時間規制をなくす制度として創設されようとしているのだ。創設されたら、いくらでも対象範囲を広げていくことは明らかだ。
「一括法」案は、「過労死」の労災認定基準である「1カ月80時間残業」を超える「1カ月100時間残業」を容認しているように、労働者に対して「過労死するまで働け」と強制するものだ。
「一括法」案の「基本法」と位置付けられている「雇用対策法」改悪案は、法律の目的を「労働生産性の向上」とし、「国の施策」として「多様な就業形態の普及」を打ち出している。「雇用の流動化」を促進し、「非雇用型の就業」を増やし、「労働基準法」や「労働組合法」などの適用をうけない労働者を増やすことを打ち出しているのだ。
結局、「一括法」案は、「資本の延命のために死ぬまで働け」「労働三権なぞ主張するな」と強制する攻撃だ。
「一括法」案の原案となった「働き方改革実現会議」が策定した「働き方改革実行計画」は、安倍が主催し、日本経団連会長・榊原や「連合」会長・神津が同席する中で決定された。「働き方改革実行計画」は、「少子高齢化」の進行で搾取対象が減少する中、それを搾取の極限化、搾取対象の拡大によって延命しようとする日帝・資本が要求し、翼賛労働運動に転落している「連合」が容認したものに他ならない。
首相・安倍は、年頭の記者会見で、今年の通常国会を「働き方改革国会」と命名し、今国会での成立は、至上命令となっていた。
しかし、この「一括法」案は、法の根拠の一つとなった労働時間の調査データに「異常値」が次々と見つかり、柱の一つだった「裁量労働制」拡大を法案提出前に削除するという代物でもある。
5月23日、午後の衆議院厚生労働委員会では首相・安倍も出席して質疑が行なわれ、安倍政府は、法案の採決も行ないたいと提案していた。
これに対し、立憲民主党、国民民主党、共産党、自由党、社民党の野党5党と衆院の会派「無所属の会」は、衆院厚生労働委員会の強引な運営は容認できないとして、自民党の衆院厚生労働委員会委員長・高鳥の解任決議案を衆院に共同で提出。
委員長・高鳥の解任決議案が提出されたのを受けて、5月23日、委員会採決は行なわれなかった。反安保労研全国センターの仲間は、午後3時、国会に最後のシュプレヒコールを叩きつけ、闘争を終えていった。
安倍政府は、5月24日の衆議院本会議で解任決議案を否決したうえで、厚生労働委員会を開き、「一括法」案を強行採決しようとしている。絶対に許してはならない。「一括法」案の成立を阻止しよう!
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