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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

辺野古現地レポート
埋め立て阻止に向けた3月の闘い
(1266号5面)

3月3日 「土曜大行動」に300人が結集して、工事阻止を確認

 3月に入り、米海兵隊のキャンプ・シュワブ南側沿岸部(辺野古沖)では、埋め立てに向けて、「K2護岸」、「K4護岸」の建設工事が急ピッチで進められている。そのために、キャンプ・シュワブの「工事用ゲート」からは、沖縄「県」警機動隊の暴力だけを頼りに、資機材を満載した工事用車両の搬入が連日のように強行されている。その数は、1日に300台前後という激しさだ。また海上では、海上保安庁の暴力に守られて、大型クレーンを使った石材の海中投下や「被覆ブロック」の設置作業が続けられている。本部港からの砕石の海上搬入もくり返されている。しかし、諦める者は誰もいない。「工事用ゲート」前でも、海上でも、さらには国頭村や本部町の砕石場でも、本部港(塩川地区)でも、労働者人民の手によって、工事阻止の果敢な闘いが展開されている。

 3月3日には、土砂降りの雨の中、辺野古現地で「土曜大行動」が開催された。労働者人民の現地大結集で確実に工事を止めることを目的に、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の主催で、昨年10月から毎月第1土曜日に設定されてきたものだ。

 午前中の集会では、「沖縄平和市民連絡会」の北上田毅氏が、「政府は、新基地建設予定地の地下に活断層がある可能性を指摘されて、『既存の文献によれば活断層の存在を示す記載はない』、『活断層が存在するとは認識していない』という閣議決定をしている。本来、活断層の有無は、沖縄防衛局が行なったボーリング調査や音波探査のデータ分析に基づいて判断されるべきだ。自分たちが勝手に選んだ『既存の文献』を根拠にするやり方はおかしい。閣議決定で活断層の有無を決めるようなやり方はおかしい。これに対して、沖縄防衛局が2014年から2016年にかけて行なった地質調査のデータを開示するよう、情報公開請求を行ない、2月末にようやく開示決定を出させた。活断層の有無は、多くの学者ともデータを共有し、公開の場で議論・判断する必要がある」と報告した。

 正午からの本集会には、悪天候にもかかわらず、約300人が結集し、前名護市長・稲嶺進氏、「うるま市島ぐるみ会議」などから、「名護市長選は残念な結果になったが、闘いが無駄にならないよう、新たなスタートのつもりでこれからも闘っていく」、「工事用ゲートからは、毎日のように工事用車両が入っている。6月から埋め立てが始まる。しかし、今日くらいの人数が集まれば、必ず工事は止められる。力を合わせて工事を止めよう」などの発言が続いた。参加者全員で工事阻止の意思を固め、「団結ガンバロー」で集会は締めくくられた。この日は、終日にわたって工事関係車両の搬入の動きがなかった。現地大結集が、搬入を阻止したのである。

激しく進められる違法工事

 3月6日には、「工事用ゲート」から329台の工事用車両の搬入が強行され、9日には、その数は過去最多の355台に達した。その後も、12日―351台、13日―336台という具合に、搬入は日々激しさを増しており、違法・無法な工事の強行とともに、辺野古の海の無残な破壊が進んでいる。

 3月13日には、沖縄「県」が「無許可の岩礁破砕は違法」だとして、国を相手に岩礁破砕の差し止めを求めた訴訟で、那覇地裁が、「県」敗訴の判決を言い渡している。この訴訟は、沖縄防衛局が「工事現場海域での漁業権が消滅したため」と称して、昨年3月末に期限切れとなった「岩礁破砕許可申請」を更新しないまま、違法工事を継続していることに対して、「県」が「漁協による漁業権の一部放棄の決議だけでは漁業権は消滅しないというのがこれまでの水産庁の見解であり、国の恣意的な解釈変更は許されず、漁業権は変わらず存在している」、したがって「国が岩礁破砕を行なうには、『沖縄県漁業調整規則』に基づき、県の許可を得る義務がある」と主張して、提訴していたものだ。

 漁業権の有無、そして国の許可申請義務の有無。ここに争点があること、そして「県」の主張に100パーセントの理があることは歴然なのだが、判決は、「行政上の義務の履行を求める訴訟は審判の対象外」とした2002年の「宝塚パチンコ訴訟」最高裁判決なるものを持ち出し、本件も「法律上の争訴(裁判所の審判対象)に当たらない」から「県」の訴えは「不適法」だとして、実質的な中身の審理には一切入らずに、「門前払い」にしたのである。判決まで工事の差し止めを求めた仮処分の申し立ても、同じ理由から却下した。岩礁破砕許可は大きな知事権限の一つなのだが、今回の判決によって、議論もないまま無力化されてしまった。

 しかし、「国と地方自治体間の争いは、財産上の問題を除いて裁判所の審判対象でない」とするなら、政府―国家権力のやりたい放題の無法がまかり通ることになる。漁業権の有無について一歩も踏み込まなかったことに対しても、「裁判所が判断しないならこの争いについて、一体どこが判断するのか」との厳しい指弾の声が上がっている。

開示された防衛局報告書で露呈した活断層と軟弱地盤

 3月上旬になってようやく沖縄防衛局は、2014年から2年間にわたって行なったボーリング調査の報告書を開示した。新基地建設現場の海底に活断層や軟弱地盤が存在する可能性を指摘する声が高まり、それとともに、沖縄防衛局が隠し持つ調査データの開示要求が強まる中、ついにその声に抗しきれなくなったのである。

 開示されたボーリング調査報告書で、これまでに明らかになった重要な点は2つある。1つは、報告書には、「C1護岸」の建設予定地周辺について、「活断層の疑い」が明記されていることである。報告書には、埋め立て予定地近くの陸地から海底に延びる「辺野古断層」、「楚久断層」という2本の2つの断層について、『日本の活断層』(活断層研究会編)の図表などを引用し、「図中に示された破線は、活断層と断定されてはいないが、その疑いのある線構造と分類されている」と書いてあるのだ。

 2017年11月、安倍政府は、「既存の文献によれば、辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載はないことから、…活断層が存在するとは認識していない。このため、辺野古沿岸域における海底地盤の安全性については、問題ないものと認識している」という答弁書を閣議決定し、実際その答弁をくり返してきたのだが、すでに2年前の時点で、政府は報告書の指摘によって、「活断層の疑い」を「認識」していたのであり、答弁書の内容はまったくのウソだったということである。

 2つに、大浦湾の「ケーソン護岸」建設予定地辺りの海底は、深い谷になっているのだが、今回判明したのは、この谷の部分には、水深約30メートルの海底に、柔らかい砂や粘土が厚さ約40メートルにもわたって堆積しており、「当初想定されていないような特徴的な地形・地質」、「非常に緩い・軟らかい」(報告書)地盤が広がっているという事実だ。とりわけ、水深が一番深い「C1護岸」建設予定地にある「B28」、「B26」と呼ばれる2地点の状態は、極めて深刻だ。

 地盤の強度を確認するボーリング調査の結果は、「N値」で示される。「N値」とは、「ボーリングロッド」(試料採取用の筒状の鋼管)の先端に「サンプラー」(試験杭)を取り付け、「ボーリングロッド」の頭部に重さ63・5キロのハンマーを75センチ落下させて、「サンプラー」を30センチ地中に食い込ませるために必要な、ハンマーの打撃回数である。「N値」が大きいほどその地盤は強固とされ、一般的に、大型構造物の基礎としては「N値50」以上が望ましいと言われる。ところが、「B28」、「B26」の2地点は、この「N値」が「ゼロ」という個所が続出しているのである。「N値ゼロ」というのは、地盤が軟らかすぎて、ハンマーで打撃を加えるまでもなく、「サンプラー」を置いた途端に、その自重だけでズブズブと地中に沈み込んでしまい、測定ができない状態のことだ。地盤が「マヨネーズ並みの軟らかさ」(日本大准教授・鎌尾彰司氏 地盤工学)だということだ。それが、「B28」で23ヵ所、「B26」で8ヵ所に上っている。さらにこの2地点以外にも、大浦湾北側の3ヵ所の調査地点で「N値ゼロ」のポイントがあり、「N値5」以下の調査地点は、さらに5ヵ所確認されている。大浦湾側の総延長1800メートル超にわたる護岸建設予定地一帯に、こうした軟弱地盤が広範囲で広がっているのである。

 沖縄防衛局の当初の計画では、この海底に基礎石材を敷きつめ、その上に「ケーソン」と呼ばれるコンクリート製の箱を並べて、護岸を建設することになっていた。「ケーソン」の最大の物は、長さ52メートル、幅22メートル、高さ24メートル、重さ七200トンにもなる。こんなものが、厚さ40メートルもある「マヨネーズ」の上に載るはずがない。その前に、投下された基礎石材が次々と沈み込んでいくだけだ。こうした事実を前にして、当然ながら報告書は、「特に当該地においては、構造物の安定、地盤の圧密沈下、地盤の液状化の詳細検討を行うことが必須」と結論づけている。前出の鎌尾氏も、「地盤改良が必須になる」と指摘している。

 到底、初計画どおりの工事は不可能だ。ここに「ケーソン護岸」を造ろうとすれば、大規模な地盤改良工事を行なうよりほかないが、その工事は、途方もない時間と費用を必要とし、そして大浦湾の環境に壊滅的なダメージを与えずにはおかない。敢えてそれをやるなら、それは紛れもない「工法変更」であり、「公有水面埋立法」に基づき「県」に「設計概要の変更申請」を出さねばならないのだが、翁長が「変更申請」を認める見込みはない。安倍政府―沖縄防衛局は今、どんづまりの苦境に立たされているのだ。

 このことについてマスコミに問われた安倍政府―沖縄防衛局は、「現時点で県に変更申請する考えはない」とうそぶいている。どういう意味か。要するに、当面はこの問題が新基地の立地そのものに関わる重大問題であることを隠蔽し、何の問題でもないでもないかのように装いながら、ひたすら辺野古沖側の工事を進め、埋め立てを進める。そうすることで、「工事の進捗」を大々的にアピールし、沖縄労働者人民の中に諦めと挫折感を拡大し、11月の「県」知事選で、かの「名護市長選方式」を全「県」下で展開して翁長を追い落とす。その後から、「実は大変な問題がありました、大変な工法変更が必要でした」と称して「変更申請」をすれば何でも通るようになる。だから、今は隠蔽と棚上げにかぎる。そういうことだ。こんな卑劣な策動を、到底許すわけにはいかない。

3月14日 山城氏らへの弾圧に抗議し判決公判に300人が結集

 3月14日午後から、名護新基地建設阻止闘争と東村・高江のヘリパッド建設阻止闘争をめぐり「威力業務妨害」や「公務執行妨害」、「傷害」などの罪をデッチ上げられた「沖縄平和運動センター」議長・山城博治氏ら3人の判決公判が、那覇地裁で行なわれた。

 公判を前に、正午からは、那覇地裁向かいの城岳公園で、「基地の県内移設に反対する県民会議」など4団体が主催する前段の集会が開かれ、不当弾圧に怒る労働者人民約300人が結集した。マイクを握った山城氏は、「私が罪人だというなら、あなた方に罪はないのか、あなた方の罪は何なのか、それを権力者に問いたい。中央の暴政、圧政に沖縄から声を上げ続けよう」、「現場を離れて1年有余になるが、裁判を終えて1日も早く現場に戻れることを願っている」、「安倍政治が続いたら命も暮らしもない。沖縄の闘いは戦争の防波堤となるものだ。沖縄から声を上げ続けよう」と熱く訴えた。全体で「団結ガンバロー」を行ない、山城氏らを送り出す。

 判決は、山城氏に懲役2年(執行猶予3年)、山城氏と「共謀」してキャンプ・シュワブの「工事用ゲート」前に「コンクリートブロックを積み上げて沖縄防衛局の業務を妨害した」として「威力業務妨害」で起訴された1人には、懲役8月(執行猶予2年)、山城氏と「共謀」して東村・高江で「沖縄防衛局職員に暴行した」として「公務執行妨害」、「傷害」などで起訴されたもう1人については、懲役1年6月(執行猶予5年)という有罪判決であった。判決は、「事件の本質は政府による基地建設の強行だ」という弁護側の主張には一切耳を貸さず、3人の「行為」だけを切り取り、そこに「共謀」のデッチ上げまで行なった上で、「行為」は「犯罪行為で正当化できない」と決めつけた。とりわけ、山城氏については、「反対運動のリーダー的存在として主導的役割を果たし共犯者らの犯行を煽った」と断罪している。辺野古、高江の闘いの鎮圧を狙ったデッチ上げに基づく露骨な政治弾圧判決だ。

 さらに問題なのは、「刑特法」違反の認定に関してである。「刑特法」2条は、正当な理由なく米軍の施設・区域に入ることを禁じるものだが、1人が立ち入った場所にはフェンスや標識などがなく、「立ち入り禁止」が明示されていなかったのである。しかし、判決は、「立ち入り禁止場所の明示は、処罰条件ではない」と強弁して、「刑特法」違反とした。米軍基地反対の闘いへの権力の弾圧に、フリーハンドを与えるものだ。弁護団によれば、「同様の判断を示した判例は、確認されていない」という。

 法廷にも城岳公園にも、不当判決への激しい怒りが渦巻く。判決公判を終えて姿を現した山城氏は、「問われるべきは誰なんだ。県民なのか。県民の誇りをかけて闘い続けよう」と、強く抗議した。

 午後6時からは、那覇市内の市町村自治会館で裁判報告集会が開催された。弁護団からの報告などに続いて登壇した山城氏は、「私たちは、戦争にひたすら走りまくる政府の暴走を止めようとしただけだ。判決は、そのことについて一切触れられていない。止めたことは傷害罪に値する、止めたことは公務執行妨害にあたる、威力業務妨害にあたると言って、獄につなごうとする。ひどい裁判、ひどい判決だ」と判決を批判した。さらに、新基地建設をめぐって、「翁長さんには物申したいことがあるが、むしろその前に、私たちは私たち自身でやるべきことがある。今は押され気味ではあるが、ゲート前を制するような闘い、全県下を席捲するような闘いを広げ、全国から仲間たちを集めて、沖縄の闘いは今こそ勝負だという時を、必ず作り上げよう」と提起し、参加者を熱く鼓舞した。

「K3護岸」工事の着工弾劾 6月の土砂投入絶対阻止へ

 3月15日、沖縄防衛局は、「K3護岸」の建設工事に踏み込んだ。6ヵ所目の護岸工事着工だ。「K3護岸」は、辺野古漁港近くの陸地から伸びる「K1護岸」、「K2護岸」の先に位置する護岸で、長さは205メートル。辺野古沖から陸に並行して建設工事が進められている最長の護岸である「K4護岸」(1029メートル)と繋がれば、海は完全に囲われてしまう。

 同じ3月15日には、辺野古沿岸の埋め立て予定区域の5工区について、防衛省が、2日に工事業者と契約していたことも明らかになっている。埋め立てのための土砂投入の契約は、これが初めてだ。業者との契約は、土砂の購入から運搬、埋め立てまでを含むもので、5工区総額で約270億円に上る。埋め立てには、本部町、国頭村産の岩ずりを使用するという。工期はいずれも、2018年3月3日から2020年3月31日までとなっている。「埋め立て開始」の既成事実を手にするために、土砂投入をひたすら急いでいるのだ。

 「K3護岸」に続き、辺野古崎の先端部と「K4護岸」とを結ぶ「N3護岸」(135メートル)の着工も迫っている。この「N3護岸」の付け根にあたる辺野古崎周辺は、「長崎兼久遺物散布地」となっており、これまで名護市と沖縄「県」が文化財調査を行なってきたのだが、それが3月末で終了することから、沖縄防衛局は4月早々にも建設工事に着手しようと狙っているのだ。

 「K3護岸」、「N3護岸」ができ上がり、「K4護岸」と繋がれば、「1工区」、「2工区」、「3工区」のすべてで、いつでも土砂の投入が可能になる。その時期は、6月とも7月とも言われている。すべては、大浦湾側の工事が活断層と軟弱地盤で「お手上げ」状態にあることを隠蔽し、「後戻りできないところまで工事は進んだ」、「どんなに反対しようが工事はもう誰にも止められない」という印象操作で、沖縄労働者人民に闘いを諦めさせるためだ。それだけが狙いのアリバイ工事だ。

 3月17日以降は、「県」警機動隊が天皇来沖に伴なう天皇警備に集中したため、20日に310台の工事用車両の搬入が強行された以外は、「工事用ゲート」からの搬入は行なわれなかったが、それでも海上では、引き続き護岸建設作業が激しく進められた。3月27日時点で、「K4護岸」は、全長の約六割にあたる600メートルにまで達したという。

 しかし、沖縄労働者人民は不屈だ。歴史的正念場を迎えて、その士気は極めて高い。4月23日からは、「ゲート前連続6日間500人結集」も計画されている。労働者人民の現地大結集によって、1週間にわたって「工事用ゲート」を封鎖して工事を止め、「奇跡の1週間をつくろう」という試みだ。こうした闘いに応え、何としても埋め立てを阻止していかねばならない。勝利のカギは、巨万の現地結集と実力闘争の爆発だ。天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は、その先頭に起ち闘う決意だ。