越年闘争をやりぬく
12月31日から1月2日にかけて、沖縄・首里日雇労働組合は、那覇市内の公園や商店街での炊き出しを中心にした越年闘争をやりぬいた。
沖日労は、越年闘争をやりぬくにあたり、首里の寄せ場にとどまらず、市内の公園などで、参加と協力の呼びかけを大胆に行なった。越年闘争への資金・物資の支援を呼びかける街頭カンパ活動にも、活発に取り組んだ。首里の寄せ場の現状、沖縄で拡大する深刻な貧困の問題を提起し、野宿生活を送る日雇い労働者、さらに「非正規雇用」労働の末に首を切られ、住む場所すら奪われて野宿生活を送る労働者への支援を熱烈に呼びかけた。
「沖縄の景気は好調」で、「雇用情勢の改善が続いている」なぞとしきりに強調されるが、潤うのは日本「本土」の大資本と結託した観光業や建設業などのほんの一握りのブルジョアジーであり、「非正規雇用」だけが増大しているに過ぎない。「失業率」、「貧困率」、「非正規率」、「最低賃金」のどれをとっても、「全国ワースト・ワン」というのが実態だ。基地依存型経済が長く続いた沖縄は、今も安保と基地によって産業構造が歪められ、雇用の場が限られており、加えて、「アベノミクス」という名の産業再編合理化が、「貧困率」を更に高める結果となっている。2017―2018年越年闘争直前に、那覇市内で1人の仲間が野垂れ死ぬ痛ましい事態が地元マスコミに報じられるなど、沖縄の労働者たちは、餓死や病死の瀬戸際にまで追い込まれる過酷な状況を強いられている。とりわけ日雇い労働者には、低賃金と失業―野垂れ死にを強いる切り捨て攻撃が横行している。首里の寄せ場にも、求人に来る業者はほとんどいないのが実情であり、だからこそ「仕事よこせ」の闘いがますます重要になっている。
そんな中での越年闘争ではあったが、沖日労の呼びかけに応え、苦しい生活の中から身銭を切っての、心のこもった資金・物資の支援が寄せられ、とりわけ衣類や毛布のカンパが多く寄せられた。労働者・市民の野宿生活を送る同胞への思いを感じる。われわれ沖日労こそが、そういった同胞に寄り添い、餓死・病死―野垂れ死にの攻撃をはね返し、「生きてやり返す」闘いの先頭に起っていかねばならない。そういった熱い思いで、3日間の越年闘争に突入したのである。
炊き出しは、昼は与儀公園、夜は平和通りで行なわれた。
12月31日昼の与儀公園では、配食が開始されると、居並ぶ労働者たちに、弁当、お茶、ジュースなどが次々に配られ、アッという間に配布が終了した。衣類や毛布類も、大量のカンパのおかげで豊富に配られた。取り組みは初日から大盛況だった。
1月1日の昼は、ハンドマイクで集会の呼びかけが行なわれた。集まった仲間たちを前に、沖日労が基調を提起する。
炊き出し、人パトをやりぬく
「沖日労は、この2018年、『公的就労対策事業』の沖縄での実施、『日雇い雇用保険制度』の適用拡大などを求めて、沖縄労働局、そして沖縄『県』、那覇市などへの要求行動を、いっそう強めていく決意だ」「名護新基地建設阻止の闘いは、俺たちの最大の集中課題だ。今求められているのは、最底辺からの起ち上がりだ。沖日労こそが、現地闘争の先頭に起とう」「基地と戦争、失業と貧困の押しつけを許さない闘いを、沖日労は全力でやりぬく決意だ。『反戦』と『仕事よこせ』の闘いを組合活動の二本柱にすえて、2018年を闘いぬく。共に団結して闘おう!」。
続いて、全国の寄せ場からの連帯メッセージが読み上げられる。「山谷では、12月28日から玉姫公園を拠点にして、1月4日までの「山谷越年・越冬闘争」に突入しています。朝・夕の炊き出し、人民パトロールをやりぬき、寝る場所のない労働者を玉姫公園に設営した屋根の中に迎え入れ、共に生きて年を越し、『仕事始め』の1月4日には、東京都、厚生労働省を追及する団体交渉を闘いぬきます」(東京・山谷日雇労働組合)、「12月28日から1月3日まで、夜回り・人民パトロールをおこないます。釜ヶ崎でセンターやその周辺で寒さに耐えながら野宿を強いられる労働者が多くいます。われわれは、野垂れ死に、凍死する労働者を1人も出さないために越年・越冬を仲間と共にやりぬきます」(「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」)、「福岡の地でも、12月31日から3日間、市内の須崎公園を拠点に、『福岡日雇い越年・越冬闘争』に取り組みます」「日雇い・野宿の労働者の団結をいっそう強固に打ち固めるべく、越年・越冬闘争を全力でやりぬき、新たな年の『反戦・仕事よこせ』の闘いに向かっていきたい」(福岡・築港日雇労働組合)。熱い連帯のメッセージに、集会参加者から共感の拍手が沸き起こる。最後に、参加者全体のシュプレヒコールで、新年総決起集会を締めくくった。
その後、元旦でもあり、弁当、お茶に加えて、みかん、酒、ジュースも配られるなど、新鮮な年頭の配食となった。最終日の2日昼には、ジューシー(沖縄風炊き込みご飯)、お茶に漬物。3日間とも、用意した配食が、予想を大きく上回るペースで、アッという間になくなるほどの盛況であった。
夜は、3日間、平和通りをパトロールし、野宿の労働者に、ジューシー、酒、ジュース、衣類、毛布などを配布した。
配食に並ぶ人数の、例年を大きく上回るほどの増加は、沖縄の高い「貧困率」を反映しているかのようだ。そして、沖日労の活動に対する沖縄労働者人民の期待が、着実に増えていることの反映でもある。われわれは、越年闘争を闘いぬいた地平に起って、2018年の激闘を全力で闘いぬく決意である。「反戦・仕事よこせ」の闘いをこれまで以上に推進し、名護新基地建設阻止の闘いへの日雇い・野宿の労働者の総決起を実現していく決意である。
|