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 3・11 内田「死刑」判決54ヵ年糾弾! 浦和地裁(現さいたま地裁)包囲-糾弾闘争へ (1256号11面)

狭山一審「死刑」判決54ヵ年徹底糾弾

 1964年3月11日、狭山事件の一審を担当した浦和地裁・内田は、無実の部落民=石川一雄氏に対して「死刑」判決を打ち下ろした。浦和地裁・内田は、石川氏の少年時代を「小学校すら卒業せず、他家で奉公人として過ごし、家庭的な愛情に恵まれることがなかった」「そのことは人格形成に強い影響を及ぼした」と、被差別部落への差別意識をむきだしにし、「部落は悪の温床」「部落民ならやりかねない」という予断と偏見の下、十分な審理もせず公判開始からわずか半年のスピード審理で石川氏に「死刑」判決を打ち下ろしたのである。この内田の反革命差別「死刑」判決こそ、狭山差別裁判の元凶であり、石川氏に31年7ヵ月もの獄中生活を強制した元凶だ。怒りも新たに内田反革命差別「死刑」判決を徹底糾弾し、浦和地裁包囲―糾弾闘争に決起しよう。

 東京高裁と東京高検、狭山弁護団による「3者協議」も、2009年の開始以来、2018年1月22日の開催で35回を数えるに至った。担当裁判官は、しばしば交代しているが、植村稔が2017年12月22日に横浜地裁所長に異動となり、後任の裁判官には、大阪高裁から異動した後藤真理子が就いた。2003年に滋賀県東近江市の湖東記念病院で、入院患者を、人工呼吸器を外して殺害したとして元看護助手を逮捕し、「殺人罪」で懲役12年の確定判決が打ち下ろされた「湖東記念病院事件」について、後藤は、元看護助手の第2次再審請求の、大阪高裁での即時抗告審において、2017年12月20日、「致死的不整脈が死因の疑いがある」と指摘して再審開始を認める決定を出している。その後藤が担当裁判官になって、初の「3者協議」が、1月22日に行なわれた。

 第35回「3者協議」に先立つ1月15日、狭山弁護団は新証拠として「福江鑑定」と「魚住意見書」を東京高裁に提出した。「福江鑑定」とは、東海大学情報工学部教授・福江潔也氏による、コンピューターを使った筆跡鑑定である。「魚住意見書」とは、神戸大学名誉教授・魚住和晃氏による、筆跡についての意見書である。このうち、「福江鑑定」では、脅迫状が、石川一雄氏とは別人の筆跡であることを暴露している。石川氏が書いた上申書(1963年5月21日と5月23日)、石川氏の手紙(1963年9月6日と10月26日)に残る筆跡と、脅迫状の筆跡を照らし合わせ、コンピューターで相違度(ブレ)を解析したところ、「別人の確立は99・9パーセント」「別人が書いたものと判定するのが合理的」とする結果が導き出されたと結論づけている。「魚住意見書」では、石川氏を不当逮捕した埼玉県警の筆跡鑑定が恣意的であることを暴露している。逮捕直前の5月21日に上申書を書かせ、わずか1日の鑑定で「同一人の筆跡」とする「中間回答」が出され、それを基に逮捕状を請求し、5月23日に石川氏を不当逮捕するという、いかにも石川氏逮捕を前提とするデタラメ極まる代物であることを、明らかにしているのだ。狭山弁護団は、第35回「3者協議」で、新証拠である「福江鑑定」と「魚住意見書」について、説明を行なった。また、証拠開示関係でも協議を進めている。東京高検は、この新証拠について「反論するかどうかは検討中」としている。次回の第36回「3者協議」は、5月中旬の予定である。

 2016年8月に狭山弁護団が提出した「鴨居の万年筆」が警察の捏造であることを科学的に証明する「下山鑑定」に対し、東京高検は、2017年7月3日に「反証意見書」を提出して対抗する一方、都合の悪い物的証拠の存在については、依然として「見当たらない」と居直りを決め込んでいる。それでも、狭山弁護団は、次々に新証拠を提出する攻勢をかけて、東京高検を追いつめている。

第3次再審棄却策動を許すな

 「3者協議」開始以降、東京高検が「3者協議」で開示した証拠は、計191点となった。東京高裁の歴代の担当裁判官は、「秘密の暴露に関わる証拠開示が重要」「なるべく開示の方向で検討を」とする方針を踏襲してきた。大阪高裁での再審開始決定直後に東京高裁に異動してきた後藤が、今度、「狭山事件」をめぐっていかなる方針を打ち出すのかは、まだ見えてこない。しかし、かつて東京高裁・寺尾が、あたかも部落差別問題に注目しているかのごとく振る舞い、司法権力への幻想を振りまいておきながら、平然と反革命差別「無期懲役」判決をうちおろしたことを想起すれば、油断なぞ1ミリたりともできない。歴代の担当裁判官が、証拠開示命令も出そうとせず、事実調べも行なう気配すら見せてこなかったことを受け、東京高裁・後藤がいつ「3者協議」を打ち切り、再審請求棄却に踏み込むか、予断を許さないのである。そんな東京高裁の姿勢を見透かす東京高検は、弁護団が強く求めているルミノール検査報告書、手拭い配布捜査メモ、八ミリフィルム等の捜査関係資料などの物的証拠の存在について、一貫して「不見当」なる回答を繰り返しているのだ。東京高検に全証拠開示を迫る闘いをやりぬかなければならない。

 石川氏は、2018年新年のあいさつの中で「遅々として重要な証拠の開示が進まぬ現実を直視すれば、あるいは検察当局は、私が死ぬのを待っているかの如くさえ感じてしまいます。だとすれば、私は意地でもとことん長生きしようと、常に自分を戒め、言い聞かせ、冤罪を晴らし、完全勝利するまで権力に対峙して参る所存であります」「私自身が気を弛めず、司法に対し、真実を究明すべき法廷を開き、事実調べを迫っていけば必ず勝機は見いだせるとの確信のもとで今年も全力で闘って参る決意」と、2018年の激闘を闘う決意を明らかにしている。石川氏の並々ならぬ闘志に応えきる闘いをなしきらなければならない。

 階級的共同闘争を頑強に構築し、大衆的実力闘争・武装闘争で闘おう。石川氏の不退転の決意に応える闘いを全国の戦闘的部落青年・大衆とともに闘い、第3次再審棄却策動を粉砕しよう。部落解放同盟内社民・こえ派の「司法の民主化」要求を通した狭山闘争の幕引きを許してはならない。狭山闘争を単なる「冤罪事件」へと切り縮めてはならない。〈狭山差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の旗幟を鮮明にし、狭山闘争の歴史的勝利へ進撃しよう。

部落解放運動の革命的飛躍・前進を

 全国で差別事件、差別落書事件があとを絶たず悪質化している。「部落地名総鑑」差別事件が発覚してから40年以上が経過したが、摘発―糾弾の闘いにもかかわらず、今なお形を変えて出回っているばかりか、インターネット版「部落地名総鑑」の存在も指摘されて久しい。そして、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」などの反共ファシストが活性化し、「ヘイト・スピーチ」をがなりたて、部落大衆や在日朝鮮労働者人民に対する差別襲撃・敵対を繰り返している。そんな中、2016年に、「鳥取ループ」=宮部龍彦なる「ジャーナリスト」を名乗る輩が、「示現社」なる出版社からの、「部落地名総監」の元の資料である「全国部落調査」の復刻版の販売を画策してきた。部落解放同盟が「出版差し止め」に動くも、「鳥取ループ・示現社」は居直りを決め込んだ。部落解放同盟側は、「鳥取ループ・示現社」を相手取り、2億3320万円の損害賠償等請求に踏み切っている。東京地裁での裁判は、12月25日の第7回口頭弁論を経て、次回公判は3月12日に行なわれる。「鳥取ループ・示現社」による個人情報のインターネット上へのバラ巻きによって、部落民に対する脅迫などの被害が増加しているのであり、「鳥取ループ・示現社」による差別煽動の居直りを、断じて許すことはできない。

 「アベノミクス」の破綻が鮮明になる中、安倍政府は、危機乗り切りのために、労働者人民からの搾取・収奪強化に踏み込もうとしている。現在でも、「非正規雇用」拡大や生活苦の強制の圧力が、全国の部落大衆にも容赦なく襲いかかっている。国家権力頂点からの「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)脅威論」「中国脅威論」煽動を追い風とした、差別主義・排外主義攻撃が吹き荒れている。2019年4月30日の天皇・アキヒトの退位、5月1日の新天皇・ナルヒトの即位を通した反革命国民統合の強化が進行しようとしており、安倍政府は、天皇制に屈服する議会内既成勢力を改憲論議に引きずり込もうとしている。安倍政府は、戦時国家体制形成のために天皇・天皇制を最大限活用しており、日帝・文部科学省は、「愛国心教育」を推進し、天皇支配を賛美し、アジア侵略・植民地支配を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」系の歴史・公民教科書を検定・合格させている。また、教育現場においては、「日の丸」「君が代」強制、「愛国心教育」、歴史の改竄の攻撃が吹き荒れ、拡大している。そして、朝鮮反革命戦争とファシズムの危機がますます切迫している。

 安倍政府は、蔓延する差別主義・排外主義煽動に対する労働者人民の反撃の闘いの激化が必至の状況下、差別糾弾闘争を制動し、体制内での集約を図るために、2016年12月、「部落差別解消推進法」を成立させた。この種の「理念法」は、2016年4月の「障害者差別解消法」、2016年5月の「ヘイト・スピーチ解消法」に続くものである。「部落差別解消推進法」は、「国および自治体がその解決のために、相談体制・教育啓発の充実、実態調査の実施を進めていく」なる文言を明記しただけの、要は何の意味もない「理念法」でしかない。部落解放同盟内社民・こえ派は、安倍政府があてがった「理念法」に依拠することで、部落解放運動の体制内化を一層進めようとしている。これでは、安倍政府の狙う、ファシズム融和運動への転落と対決することなぞ、到底できない。

 部落解放同盟内社民・こえ派が押し出す「告訴・告発」や差別の「法規制」では、何も解決しないことは明白である。激発する差別事件に対して差別糾弾闘争を闘うことが求められている。特に、反共ファシストに対しては、撃滅戦の鉄の回答があるのみである。部落解放運動の生命線である差別糾弾闘争の復権をかちとり、部落差別の根底的廃絶、部落の根本的解放を実現するために闘わなければならない。

 日帝の狭山闘争解体を基軸とした部落解放運動解体攻撃を粉砕し、部落解放運動のファシズム融和運動への転換攻撃を木っ端微塵に粉砕しよう。差別主義反革命革マルを解体・絶滅し、差別主義日共=全国人権連を解体し、天皇主義右翼ファシストを撃滅・一掃しよう。


3・11 内田「死刑」判決54ヵ年糾弾!
浦和地裁(現さいたま地裁)包囲―糾弾闘争

・日時 3月11日(日)正午〜
・場所 さいたま市別所沼公園
(埼京線中浦和駅下車徒歩3分)
・主催 5・23闘争実行委員会