解放トップ
トップに戻る
解放最新号
バックナンバー
論文
定期購読

東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

8・12「辺野古に新基地を造らせない県民大会」が開催〈沖縄〉
(1239号3面)

奥武山陸上競技場で「県民大会」

 8月12日、那覇市奥武山(おおのやま)陸上競技場において、「辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議」の主催による「翁長知事を支え、辺野古に新基地を造らせない県民大会」が開催された。炎天下にも関わらず、会場には4万5000の沖縄労働者人民がつめかけた。

 2014年の沖縄ブルジョアジーの分裂によって、沖縄階級闘争は今や、「三つ巴」の構図となっている。この2014年の沖縄ブルジョアジーの分裂は、大きく見れば、日帝ブルジョアジーと日帝政府に臣従し、基地の受け入れと引き換えに「沖縄振興策」を獲得し、これに依拠して既得権益を維持し、沖縄に君臨しようという沖縄自民党に代表される守旧派と、「基地負担の軽減」「基地の整理・縮小」を積極的に推し進め、「跡地利用」をテコにして、観光業を主力にすえた開発型の経済発展をめざす新興のブルジョア分派との間で起こった。後者の旗手が、沖縄「県」知事・翁長であることは言うまでもない。しかし翁長を押し立てたこの分派が、いかに「辺野古新基地阻止」を掲げたところで、戦争のための日米安保には手をかけず、政府といつでも妥協が可能で、沖縄労働者人民を搾取し踏みつけにすることでは、守旧派と何の変わりもない。搾取と貧困に苦しみ、基地、安保、戦争と非和解の沖縄労働者階級の利害とは、水と油の関係だ。しかしながら、この新興の分派は、未だこれといった業界団体もなく、存立基盤が脆弱であるがゆえに、自らの政治路線を貫くためには、小ブルジョアジー、そして労働者階級の糾合・動員を不可欠としており、したがって、自らがあたかも全沖縄の利害を担い立っているかのごとき幻想を振りまくことを常套手段としている。「オール沖縄」なる触れ込みもその一環だ。そして、小ブルジョアジーの党・日共も、これを全面賛美することで、幻想の普及に一役も二役も買っている。

 今回の「県民大会」も、こうした政治的枠組みを超えるものではなかった。しかし、われわれがはっきりと押さえておくべきは、第1に、労働者人民の巨万の結集は、「沖縄にこれ以上基地は造らせない」「第2の沖縄戦の再来を絶対に許さない」という、安倍政府の強権的な基地建設と本格的戦争突撃に対する沖縄労働者人民の強い怒りと闘志のかつてない高まりを示すものだということだ。第2に、翁長に対する幻想は、すでに大きく色あせており、新基地建設阻止闘争の現場をはじめとして、「埋立承認の撤回」を渋る翁長に対する不信と批判は、日増しに高まっているということだ。こうした中での大結集は、新基地建設を阻止し、戦争を打ち砕く力は沖縄労働者人民自身の内にあることが、労働者人民の中に強く意識されつつあるということを示すものだ。だからこそ、第3に、翁長尻押し運動を大胆に突破し、新基地建設実力阻止をかけて、労働者階級の利害のもとに秩序付けられた大衆的全人民的決起を強力に組織していくことが、われわれの使命だということだ。

4万5000人の結集かちとる

 現地大結集と実力闘争の爆発を切り拓くこと。これこそが新基地建設阻止闘争の勝利の道だ。これこそが、〈基地・沖縄〉の再編・強化を打ち砕き、日米安保を粉砕し、沖縄解放を実現していく唯一の道だ。その決意に燃える沖縄労働者人民と結びつき、翁長尻押し運動―沖縄ブルジョアジーの利害のもとへの沖縄労働者人民の闘いの集約を突破し、階級的利害を堅持した大衆的実力闘争で闘うことを訴えるべく、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会(沖縄青年実)は、沖縄・首里日雇労働組合(沖日労)の労働者たちとともに、この大会に参加した。

 午後2時過ぎ、「県民大会」は開始された。会場で事前に配布された「NO辺野古新基地」「我々はあきらめない」と書かれたメッセージボードが、参加者全員によって掲げられる。4万5000のメッセージボードで、会場はびっしりと埋め尽くされる。

 「オール沖縄会議」共同代表の高里鈴代氏、高良鉄美氏からの代表あいさつに続き、「オール沖縄会議現地闘争部」からの発言として、山城博治氏がマイクの前に立つと、会場からはひときわ大きな拍手と歓声が沸き起こる。山城氏は、「戦争に反対し、平和を望む県民の願いを無視し、暴走に暴走を続けるトランプ政権、安倍政権の朝鮮政策がいよいよ破綻し、この地域に大きな緊張をもたらしている。辺野古や高江での基地建設、権力を使い県民を排除する暴力が横行している。与那国、石垣、宮古でも、戦争への画策が強められている。今こそ団結を強めよう。私も力の限りを尽くして頑張る」と熱く訴えた。

 その後、「オール沖縄会議」の八重山ブロック、宮古ブロック、中部ブロック、北部ブロックなどから、「宮古、石垣・与那国に自衛隊は要らない。離島の島々が戦場になることを拒否する」「沖縄戦では本土防衛の捨て石にされ、戦後は日本の独立と引き換えに米国の統治下に置かれ、復帰後も危険な基地とオスプレイの飛行を押しつけられている。いったい沖縄は、どれだけ犠牲にならないといけないのか」などの発言が続いた。

 この「県民大会」には「県」知事・翁長も参加し発言したが、その内容たるや、「工事を強行に推し進める状況は、必ず埋立承認撤回につながっていく。あらゆる情報を判断し、撤回の時期について私の責任で決断する」という煮え切らないもので、「早期撤回」という労働者人民の要求をまたも踏みにじるものであった。「大会」後のマスコミの取材でも「時期は言えない」と答えている。翁長への期待は失望に変わりつつある。

 最後に、オスプレイが「わずか8ヵ月の間に沖縄、世界各地で墜落、緊急着陸する異常事態が続発している」と指摘し、「オスプレイの配備撤回や飛行禁止」、「事故の原因究明」、「普天間基地の即時閉鎖・撤去」や「夜間訓練・吊り下げ訓練の禁止」などを求める「特別決議」、「政府は法解釈をねじ曲げ、沖縄の民意を圧殺し続けている。手続きを無視して行なう違法な埋め立て工事は即中止すべきだ」と要求する「大会宣言」を採択し、再びメッセージボードを全員で掲げ、「ガンバロー」を三唱して、「県民大会」を終えた。