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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

6・12−6・15 「共謀罪」新設阻止最終決戦
国会前行動が闘われる
(1233号1面)

 6・12国会前でのハンスト闘争に突入

 安倍政府が、6月18日の通常国会会期末をにらみ、「共謀罪」新設にむけて、衆院に続いて参院でも強行可決にむけた動きを強める中、これを絶対阻止すべく、闘う仲間が6月12日午後4時から参院前でハンストに突入した。このハンスト闘争を防衛し、参院に肉薄する闘いを貫徹するために、参院前での行動が「共謀罪新設反対! 国際共同署名運動」、「破防法・組対法に反対する共同行動」等の主催で闘われた。当日は、午後3時過ぎから、ハンスト闘争に突入する三人の当該を先頭にして、闘う仲間が参院前に結集し、ハンスト闘争の拠点となるテントや、ハンストと結合して闘う座り込み闘争の陣地の設営を開始した。

 6月6日、参院法務委員会は、定例の開催日だったが、民進党が法務委員会委員長・秋野(公明党)の解任決議案を提出し、審議には入らなかった。翌7日の参院本会議で、秋野解任決議案は、与党の反対多数で否決された。安倍政府は、6月18日の会期末までに「共謀罪」法案の強行成立を狙い、6月13日の法務委員会での採決強行―14日の本会議採決強行に突進しようとしている。これを絶対に阻止するために、国会前行動を闘ってきた仲間が12日からのハンスト闘争に突入したのだ。

 午後4時過ぎからのハンスト突入の集会は、国会にむけたシュプレヒコールから始まった。「『共謀罪』の制定を許さないぞ」「強行採決を許さないぞ」「現代版『治安維持法』=『共謀罪』反対」「思想処罰の『共謀罪』を許さないぞ」「『秘密法』も『盗聴法』もいらない」「一切の治安立法を許さないぞ」「内心に踏み込む『共謀罪』を許さないぞ」「『共謀罪』を廃案に追い込むぞ」「4度目の廃案に追い込むぞ」「ハンスト者3人とともに闘うぞ」「強行採決を阻止して闘うぞ」。続いて、ハンストを闘う3人が決意表明を行なった。

 午後8時前から、当日の収約集会が開かれた。「破防法・組対法に反対する共同行動」のメンバーが国会内の動きを報告する。「夕方からお疲れ様です。今日、朝から与野党の国対委員長会談、議院運営委員会が開かれています。その中で、与党は、明日の10時から委員長の職権で法務委員会を開き、午前は11時半くらいまでやり、午後は4時間の質疑を入れるという提案をしたようです。これに対して、野党側は、朝の段階で強行採決しないことを確約しろと要求したが、与党は確約しなかった。この流れから行くと、13日の夕方に強行採決になります。最終局面になると、国会内はだまし合いの攻防が続きます。参考人質疑が終わった直後に強行採決になるのでは、と言われています。今国会では、安倍政権の異様な突進ぶりが続いた。会期末が近づいているが、反対の声が急激に広がっています。こういう状況の中で、恐らく強行突破してくると判断しています。今、野党が打ち得る手段、カードは、法務大臣の不信任決議、あるいは内閣の不信任決議と言われています。こうした議会内の攻防だけで、今の安倍の暴走を止めることは難しいと思います。どれだけここに反対の声を結集できるか、これが一番大事なことだと思います。本気で阻止するために、ここで24時間体制で座り込み、ハンストを闘います」。続いて、山谷から結集した仲間、「共謀罪の創設に反対する百人委員会」に結集する精神科医、「韓国サンケン労組」を支援する仲間、争議団連絡会議が発言を行ない、最後に、シュプレヒコールで収約集会は、締めくくられた。その後、ハンスト者と防衛隊は、参院前での座り込みを夜を徹して闘った。

6・13委員会採決阻止の国会前行動

 6月13日は、前日にハンストに突入した仲間、防衛隊が24時間体制で国会前での座り込みを継続し、参院法務委員会での強行採決を阻止する陣形を作り、ビラまきと情宣行動に取り組んだ。午後3時半からは、雨の中で合流した闘う仲間と国会前集会を開催した。

 集会のはじめに、「共謀罪の創設に反対する百人委員会」の足立氏が発言する。「ハンストを闘うみなさん、お疲れ様です。さっきまでやっていた百人委員会主催の院内集会は、内容的には倒閣運動に近いものになりました。安倍内閣が続く限りは、こんな悪法が通ってしまう。私たちの内閣を作って、これを廃止するような方向のものを作ろうという意見が圧倒的に多かったです。民進党の議員に確認したところ、現在は、法務委員会は開かれていません。今日は、もう開かれません。『加計学園問題』に関連して地方創生相・山本と法務相・金田に対する問責決議案が出され、明日14日の参院本会議で採決しなければならないため、法務委員会は、散会しました。まだ闘いは続きます。百人委員会も、最後まで闘います」。

 さらに、夕方5時からは、「戦争・治安・改憲NO実行委員会」の国会前集会が行なわれ、8時過ぎからは、当日の収約集会が行なわれた。司会が「安倍は、明日14日午前の参院本会議で2人の閣僚の問責決議案を否決し、あさって15日の法務委員会で採決に持ち込もうとしています。参院では、すでに、17時間審議しており、20時間審議したら採決を強行するという構えです。ハンストは、権力に一切手を付けさせず、闘われています。今夜もハンスト者を守り、明日以降の闘いをやりぬきましょう」と呼びかける。発言には、練馬の仲間、墨田の仲間、渋谷野宿の現場、立川テント村が起った。収約集会終了後は、2日目の徹夜体制に入り、国会前座り込みが貫徹された。

 6月14日、「共謀罪」新設阻止のハンスト闘争と参院前での徹夜の座り込みは3日目に入った。当日も朝からハンスト者を先頭にしてアピール行動とビラまきが行なわれた。参院は、午前10時から本会議を開き、地方創生相・山本と法務相・金田に対する問責決議案の採決に入ろうとしていた。ところが自民党が議院運営委員会で、法務委員会の採決を行なわず、本会議での「中間報告」をもって採決を強行するという提案を行なった。法務委員会での採決をすっ飛ばし、いきなり本会議採決を強行するというのだ。これによって「共謀罪」新設阻止の決戦攻防は、一気に緊迫した状況に突入した。

6月14〜15日徹夜で本会議採決阻止を闘う

 6月14日午後五時から国会前集会が開かれ、国会内の状況が「破防法・組対法に反対する共同行動」のメンバーから報告される。「野党が文部科学相・松野の不信任決議案を提出したという情報が入っています。委員会採決を省略し、『中間報告』をもって本会議採決を行なうということは、過去に2回あったと言われています。今、『共謀罪』法案を作り上げようとするのは、安倍政権が戦争国家、明文改憲を射程に入れたということです。『共謀罪』は、憲法21条が規定する『集会の自由・結社の自由・表現の自由、検閲の禁止・通信の秘密』を破壊することを担保する治安弾圧法です。私たちは負けるわけにはいきません」。

 午後6時20分、参院本会議が開かれ、午後7時50分に法相・金田の問責決議案の採決に入った。午後8時に金田の問責決議案は否決され、直後に、与党側が法務委員会の「中間報告」を行なうという動議を提出した。記名投票で動議の採決を行ない、午後8時15分に投票を終了し、可決した。その後、野党側が参院議院運営委員会委員長の解任決議を提出したが否決され、続いて、野党側が内閣不信任決議案を提出した。これをうけて、参院は、「延会手続き」を行ない、15日午前0時10分、衆院は、本会議を開き、午前2時に内閣不信任決議案の採決を行ない、否決した。参院は、午前2時半に本会議を再開し、午前3時半から法務委員会委員長・秋野が「中間報告」を強行し、午前4時半に与党側が「テロ等準備罪」=「共謀罪」法案の審議を行なう動議を提出、採決・可決し、本会議は休憩に入った。午前5時半過ぎに、参院は、本会議を再開し、法案をめぐる補充質疑を行なった。補充質疑の後、採決のための投票に入り、野党議員が「牛歩戦術」で抵抗したが、議長が投票時間を制限し、制限時間を超えた議員の投票は無効にするという手段も取り、午前7時45分に「テロ等準備罪」=「共謀罪」法案は、強行可決された。参院前では、この強行可決を阻止するために、徹夜の阻止行動が闘われた。

 安倍政府は、法務委員会での審議を途中で放り投げ、本会議での「中間報告」をもって「共謀罪」法案の本会議採決を強行した。その手法は、国会審議なぞアリバイ作りとしか考えていない、まさにファシスト的手法だ。

 「共謀罪」は、「犯罪」を「計画」段階で処罰するもので、「既犯」(実行行為)の処罰を原則とする戦後刑法体系を根底から覆すものだ。「共謀罪」の適用対象は、「組織的犯罪集団」とされているが、その「組織的犯罪集団」の定義はなきに等しく、警察・検察―国家権力の判断次第という代物だ。内々に行なわれるはずの「組織的犯罪集団」による「計画」や「合意」、「準備行為」が存在することの立証、さらには「ある個人が組織的犯罪集団とどのような関係があるのか」や「一般団体が組織的犯罪集団に一変した」などの立証には、スパイや密告、盗聴などによる情報収集・証拠収集が必要になる。2016年に成立した改悪「刑事訴訟法」等によって、「盗聴法」改悪や「司法取引」導入が強行されている。「共謀罪」の成立を機に、新たな「捜査手法」が野放図に権力に付与され、一気に「一億総監視社会」が作られ、労働者人民の闘う団結(組織)をその意思や思想で一網打尽にすることを許してはならない。

 安倍は、さらに「戦争屋」の本性をあらわにして、改憲攻撃に突進している。今秋臨時国会で憲法九条に自衛隊の根拠規定を明記する自民党改憲案を提出しようとしている。「現代の治安維持法」=「共謀罪」制定強行から、戦時国家体制形成に拍車をかける安倍の攻撃を渾身の決起で打ち砕こう。