全国の原発再稼働・新(増)設を阻止せよ
安倍極右政府による全国の原発再稼働・新(増)設が続いている。安倍政府―「原子力規制委員会(規制委)」が制定した原発「新規制基準」の下、電力資本は、次々に、原発再稼働に動いてきた。
再稼働のための「安全審査」を「規制委」に申請したのは、北海道電力の泊原発1、2、3号機(北海道)、東北電力の東通原発1号機(青森県)と女川原発2号機(宮城県)、東京電力の柏崎・刈羽原発6、7号機(新潟県)、日本原子力発電の東海第2原発1号機(茨城県)、敦賀原発2号機(福井県)、中部電力の浜岡原発3、4号機(静岡県)、北陸電力の志賀原発2号機(石川県)、関西電力の大飯原発3、4号機(福井県)、美浜原発3号機(福井県)、高浜原発1、2、3、4号機(福井県)、中国電力の島根原発2号機(島根県)、四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)、九州電力の玄海原発3、4号機(佐賀県)、川内原発1、2号機(鹿児島県)である。再稼働にむけた「安全審査」を申請した原発は、10社15原発25基を数えた。
このうち、現段階で「規制委」が再稼働を許可した原発は、大飯原発3、4号機と美浜原発3号機、高浜原発1、2、3、4号機、伊方原発3号機、玄海原発3、4号機、川内原発1、2号機の計12機であり、この中で実際に再稼働に至っているのは、高浜原発3、4号機と伊方原発3号機、川内原発1、2号機の計5機である。なお、この中で、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用する「プルサーマル発電」を行なっている原発は、伊方原発3号機と高浜原発3、4号機である。そして、建設中の原発として唯一、「安全審査」を申請しているのが、電源開発(Jパワー)の大間原発(青森県)であり、いまだに「史上初のフルMOX炉」を謳い文句にしている。まるで「福島第1原発事故」なぞ最初から存在していないかのごときである。
一方、「廃炉」が決定した原発を見ると、敦賀原発1号機、美浜原発1、2号機、島根原発1号機、伊方原発1号機、玄海原発1号機となっている。さらに、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉・「もんじゅ」(文部科学省が所管)についても、2016年12月に「廃炉」が決定された。しかし、この措置は、施設の老朽化に伴う更新でしかない。
電力資本による原発再稼働・新(増)設を強力に後押ししているのが、安倍政府である。安倍政府は、原子力発電を「季節や時間帯にかかわらず電気を供給する『重要なベースロード電源』」なぞと位置づけた。安倍政府の胸中には、原発再稼働・新(増)設の強行しかないのは明らかだ。
現在、再稼働が狙われる直近の原発は、大飯原発3、4号機と玄海原発3、4号機である。「規制委」は、5月24日、関西電力・大飯原発3、4号機について、「新規制基準」に基づく「適合性審査」の「合格証」にあたる「審査書」の正式決定を行なっている。「新規制基準」に基づく「規制委」の「審査」を通った原発は、今年1月の九州電力・玄海原発3、4号機に次ぐものである。政府と電力会社の意を受けた「規制委」の手によって、「合格証」の量産が行なわれているのだ。
2016年4月以降、断続的に続いた熊本地震に際し、川内原発の危険性について、安倍政府は、あくまでも居直りを決め込んだ。そして、川内原発には、「地震対策」のために設置が義務づけられているはずの「免震重要棟」がないが、「規制委」は、そんな九州電力の姿勢を容認している。2月8日、「規制委」は、莫大な費用のかかる「免震重要棟」に代わる施設として九州電力が提案した「事故を起こした際の作業員の拠点施設」=「緊急時対策所」について、この九州電力の計画を正式に許可するデタラメぶりをあからさまにしている。「規制委」のデタラメぶりは、枚挙に暇がない。「規制委」は、2016年6月、運転開始から40年を超えた高浜原発1、2号機についても、「60年までの運転延長」を認可しているのだ。こんな、なりふりかまわぬ全国原発の再稼働・新(増)設を、何としても粉砕しなければならない。
大間原発建設阻止へ
下北半島の先端部にある青森県大間町の大間原発をめぐっては、運営会社のJパワーは、2014年12月に、「規制委」に原子炉の「安全審査」を申請して、2年半が経過した。Jパワーは、2015年11月の「審査合格」を当て込み、「2020年完成」「2021年度中の運転開始」に突き進もうとしてきた。Jパワーは、原子炉の建設に着手しようとしているが、いまだ「規制委」から、待ったが掛かったままの状態にある。
大間原発は、使用済み核燃料再処理工場(六ヶ所再処理工場)で作られるプルトニウムとウランの混合酸化物粉末を、六ヶ所再処理工場に隣接して建設中のMOX燃料工場において加工して生産されたMOX燃料集合体を炉心全体に用いる「世界で初めてのフルMOX炉」である。「フルMOX炉」は、研究炉での試験的な運転も行なわれておらず、大間原発自体が「実験炉」であり、その危険性は他の原発の比ではない。しかも、MOX燃料にはプルトニウムが含まれているのみならず、燃焼にともないアメリシウム、キュリウムなどプルトニウムと同様に半減期が長く、生体への作用が強いアルファ線を放出する放射性物質を生成させるので、「大事故」が起こればその影響は「福島第1原発事故」の比ではない。運転すれば必ず生成される使用済みMOX燃料の後始末の方法すら何ら具体化していない有様である。
こんな大間原発建設に対して、大間現地だけでなく、津軽海峡対岸の北海道函館市でも、広範な反対運動が起きている。北海道函館市による「建設差し止めと原子炉設置許可の無効確認などを求める」訴訟は、現在も続いている。函館市は、「ふるさと納税」制度を活用して、今年6月までに全国から約1150万円もの訴訟資金を集めている。また、函館の市民団体である「大間原発訴訟の会」が、国とJパワーを相手取って建設差し止めなどを求めた訴訟は、6月30日に函館地裁で結審しており、判決期日は後日指定されるが、2011年以降、建設中の原発に対する初の司法判断となる。労働者人民の中で「フルMOX炉」建設への不満が蓄積しているのだ。
労働者人民の建設阻止闘争の高まりを前に、大間原発工事は、現在、実質ストップの状態である。Jパワーは、2016年9月の段階で、同年11月の本格工事再開をあきらめ、2018年後半の再開を目指す方針を示している。それに伴い、「2022年度ごろ」としていた運転開始時期も先送りしている。「雇用創出」を進めて地元の懐柔を進めたいJパワーは、焦りを強めている。Jパワーは、敷地内に複数ある地形の変状について「断層活動などはなく、風化した岩盤の体積膨張が成因」と言い張っているのだが、そんなJパワーの提出した地質調査があまりにもズサンで、「規制委」ですらお墨付きが出せないほどの代物なのである。今年6月6日、Jパワーは、大間原発の敷地内断層の活動性を調べるため、今年中に地質を追加調査する方針を明らかにした。Jパワーは、あくまでも「大間原発に断層なぞない」と強弁することで、工事再開を狙っている。
「核燃料サイクル」計画を粉砕し、日帝の核武装を阻止しよう
原発再稼働を推進する安倍極右政府の原子力政策の狙いは、核武装に向けた技術の蓄積と材料の確保である。そのために原発を再稼働し、「核燃料サイクル計画」を強引に推し進めているのだ。原発の再稼働を阻止し、「核燃料サイクル計画」を粉砕し、核武装に向けた日帝の原子力政策を粉砕しなければならない。そのためには、破綻しかけている「核燃料サイクル計画」において「特別の役割」を果たすための建設が強行される、大間原発の建設を阻止することが重要だ。
下北半島のつけ根・六ヶ所村にある、「核燃料サイクル計画」の中核施設である六ヶ所再処理工場をめぐっては、2014年1月に、日本原燃が青森県六ヶ所村の「使用済み核燃料再処理工場」など4施設の「安全審査」を「規制委」に申請している。しかし、立地場所自体が地震や火山噴火の直撃を受けかねない、危険極まりないものである。4月19日、「規制委」は、「ウラン濃縮工場」について、「審査書案」を了承した。「ウラン濃縮工場」は、天然ウランを原発の燃料として使えるようにする施設である。使用済みの核燃料からプルトニウムなどを取り出す再処理工場や、「MOX燃料工場」なども、審査が最終段階となっている。再処理工場の建設は、トラブル続きで、すでに2兆2000億円をつぎ込んだにもかかわらず、完成のメドはまったく立っていない。日本原燃は、あくまでも2019年上期までの完成を掲げているが、どう考えても、さらにズレ込むのは必至だ。六ヶ所再処理工場が本格稼働すれば、核兵器に転用可能なプルトニウムを年間9トン生産できると言われる。六ヶ所再処理工場は、「原発が1年で放出する放射能を1日で放出する」とされ、ひとたび「大事故」が発生すれば、その破滅的影響は「日本全域に及ぶ」と言われる「最悪の核施設」だ。
日帝が「核燃料サイクル計画」を推進するのは、原発を起点とする「核燃料サイクル」の技術と、核兵器製造の技術とが共通しているからだ。核兵器製造のための技術と材料とプラントを開発し、核兵器の材料であるプルトニウムを大量に製造し保有したいからだ。安倍政府は、高速増殖炉の運転と、MOX燃料を使った発電を何としても軌道に乗せることで、四八トンものプルトニウム保有を正当化しようというのだ。すでに、日帝は、核兵器約6000発分に相当する約48トンものプルトニウムを保有している。日帝は、核武装への強い衝動をもって原子力政策を推進し続けているのだ。
安倍政府は、高速増殖炉・「もんじゅ」こそ「廃炉」したが、その代替施設として、茨城県東海村にある、2009年以来止まっている「常陽」の再稼働を狙っている。6月7日、「日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター」(茨城県)で、5人の作業員のプルトニウム・ウラン粉末被曝事故が発生した。この「大洗研究開発センター」には、高速増殖炉実験炉・「常陽」がある。今回の被曝事故は、「常陽」用の貯蔵核燃料整理にかかる作業の中で発生したものと考えられるが、「もんじゅ」が破産しても、破綻した「核燃料サイクル計画」の中核たる高速増殖炉開発にあくまで執着する日帝の原子力政策がもたらしたものだ。「もんじゅ」にかわる「新たな高速炉」開発なぞ許してはならない。
「福島第1原発事故」は、いまだに収束していない。福島第1原発の建屋内にあった核燃料は、「すべて溶け落ちた」との指摘がなされているが、実態は、未だ不明のままである。「福島第1原発事故」の現場では、「事故収束」どころか、日々生み出される「汚染水」の処理も満足にできない状況にある。そして、放射能汚染にまみれる中での過酷な労働を、今日も原発労働者が担わされているのだ。
労働者人民の被曝なしには存在しえない原発は、即時に停止―廃止しなければならない。核武装のための原子力政策は、ただちに葬り去らねばならない。大間原発建設阻止の現地実力闘争に決起せよ。六ヶ所再処理工場の本格操業を阻止し、「核燃料サイクル計画」を粉砕せよ。原発再稼働・新(増)設を阻止し、全ての原発の即時廃止をかちとれ。日帝の核武装と対決する反原発・反核燃闘争の爆発をかちとれ。
日帝の核武装と対決し、8・5大間原発建設阻止現地闘争の大爆発をかちとれ。
8・5 大間原発建設阻止現地闘争
日時 8月5日(土) 午前8時半
場所 大間現地
主催 全国反戦・全学連
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