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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

 辺野古現地レポート
護岸工事阻止をかけた5月の激闘
 (1231号4面)

激しく進められる護岸工事

 名護市辺野古の新基地建設をめぐり、安倍政府は、4月25日、「K9護岸」と呼ばれる箇所から、護岸工事に踏み込んだ。「岩礁破砕許可」は3月末で切れており、政府が今やっている海上工事はすべて、完全な違法工事だ。

 5月に入り、沖縄「県」警機動隊、海上保安庁による激しい暴力と弾圧を頼りに、工事が急ピッチで進められているが、沖縄労働者人民は、キャンプ・シュワブのゲート前でも、海上でも、「決して諦めない」、「今が正念場だ」と怒りと闘志をたぎらせ、体を張った闘いを連日にわたって展開している。天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会(沖縄青年実)は、沖縄・首里日雇労働組合(沖日労)の仲間たちと頻繁に現地に通い、現地攻防をともに闘いぬいている。

 護岸工事は、海底に大量の石材を積み上げ、あるいは水深の深い場所には「ケーソン」と呼ばれる鉄筋コンクリート製の巨大な箱(縦52メートル、横22メートル、深さ24メートル、総重量7400トン)などを沈めることにより、埋め立て予定区域の「外枠」を形成するもので、事実上の埋め立て工事そのものだ。現在行なわれているのは、「K9護岸」と呼ばれる部分の工事で、キャンプ・シュワブ沿岸の砂浜から大浦湾内に、北東方向に直線的に突き出す形状の護岸の造成だ。その全長は316メートル。

 4月25日から開始された工事は、この「K9護岸」の付け根部分にあたる砂浜において、砕石を詰めたきんちゃく袋状の「根固め用袋材」を何層にも積み重ね、隙間を砕石で埋めて均し、道路状・堤防状に整形するというものであった。それをもって、地盤が軟弱な砂浜部分の基礎にするとともに、その後の延伸作業で使う大型クレーンやショベルカーの足場にしようというのである。

 そして、5月8日には、「根固め用袋材」で造られたこの「護岸」の先端部分から、波打ち際に向かって、大量の砕石投下が強行された。網袋に入っていない砕石が海中に直接投下されるのは初めてのことだ。投下のたびに粉塵が舞い上がり、透明すぎるほど透明な海に汚濁が広がる。現地で闘う労働者人民からは、「捨て石は、海の汚染を防ぐために一度洗ってから持ってくることになっていたはずだ。洗っていないのではないか」、「海が壊されている。今日が(護岸工事の)本当の着工だ」と怒りの声が上がった。

 この日以降、砕石の野放図な海中投下が連日のように進められている。トラックで運び込んだ砕石を、大型クレーンを使って護岸先端部の浅瀬に投下し、山のように積み上げる。その砕石の山を、ショベルカーで延ばし、平らに均して押し固める。その両側面に「根固め用袋材」を積んで脇を固定する。こうしてできた新たな「護岸」の前方に、大型クレーンを移す。この作業のくり返しによって、沖に向かって護岸を順次延ばしていこうというのである。

吹き荒れる弾圧と暴力の嵐

 工事用ゲートでも、海上でも、工事阻止をかけた激闘が連日にわたって展開されている。労働者人民の激しい抵抗によって、「集中行動日」である水曜日については、5月末に至るまで、1度も工事用ゲートの突破―工事関係車両の搬入を許していない。多くの労働者人民が集まる土曜日についても、基本的には搬入を止めている。しかし、週6日の作業日のうち他の4日間は、ゲート前の労働者人民の数が数十人から100人前後に減るのをいいことに、「県」警機動隊による強制排除―封鎖解除がくり返され、大量の資機材が搬入されている。概ね、午前9時、正午、午後3時の3回にわたって、コンクリート・ミキサー車や、砕石を積むダンプカーなど、数十台から100台近い工事車両の搬入・搬出が、激しくくり返されているのだ。

 弾圧も激化するばかりだ。5月15日には、ゲート前で隣り合う労働者人民がヒモで体を縛り合って排除に抵抗したことに対し、「県」警機動隊がハサミを持ち出して切断し、排除を強行している。19日には、ゲート前付近で「工事用車両の前に立ちふさがり、歩道上に誘導した警察官の胸を手で押した」として、1人を「公務執行妨害」容疑で不当逮捕。22日にも、工事用車両の前を低速走行してゲート内への資材搬入を阻止しようとしたことに対して、権力がその車を取り囲んだ上で、「警察官のひざにバンパーが当たった」として、運転していた労働者を暴力的に引きずり出し、「公務執行妨害」容疑で逮捕している。「転び公防」ならぬ「当たり屋公妨」によるデッチ上げ逮捕だ。海上でも、カヌーなどで抗議行動をする労働者人民に海保が激しく襲いかかり、一時拘束するなどの行為がくり返されている。

 しかし、沖縄労働者人民のなかに、諦める者、屈する者は、1人もいない。「毎日200人、300人が集まれば、工事は確実に止められる。今が団結の時だ。ゲート前に集まろう」と、頑強・熾烈な闘いを継続している。

行きづまり必至の建設工事

 海上では、5月中も、スパット台船を使った海底ボーリング調査が依然として続いている。この事実こそ、政府―沖縄防衛局が先の展望を何も持ち合わせていないことの端的な証拠だ。鳴り物入りで「護岸工事に着手」したものの、この期に及んでもなお、埋め立て予定地の海底の地下地盤の状態が分からず、今後の工法がさっぱり定まらないのだ。埋め立て予定地の地下には、琉球石灰岩が広く分布している。それは脆くて浸食を受けやすく、巨大な構造物を載せたら、その重みでどこから地盤の沈下や崩落を起こすか、分かったものではないのだ。

 しかも、調査の結果、工法変更が必要だという結論に達したとしても、今度は、「公有水面埋立法」に基づき、「設計概要の変更申請」を「県」に提出し、知事の「承認」を得なければならないのだが、それを得られる見込みはない。ことあるごとに強気の姿勢を押し出し、着々と工事が進んでいるかのようにキャンペーンする政府―沖縄防衛局だが、新基地建設工事の実態は、これほどまでに「泥縄」なのだ。

 名護湾から沖縄本島を横断して辺野古崎の埋め立て予定地へとつながる2本の断層が、活断層である可能性も指摘されている。政府―沖縄防衛局は、これに頬かむりし、素知らぬふりで工事を強行しているのだ。詳細を知ったら米軍もビックリの「立地不適」だ。

 5月24日の「水曜行動」におけるゲート前集会では、「K9護岸の分だけでもダンプ9000台分以上の砕石が必要だ。長期戦になることを見すえて運動を進めよう」、「工事は、いずれ必ず行きづまる。沖縄防衛局は、『反対運動に展望はない、諦めろ』というメッセージをくり返し出しているが、展望がないのは沖縄防衛局の方だ。追いつめられているのは政府の方だ。自信をもって闘いを続けよう」という提起に、盛大な拍手が沸き上がった。労働者人民の士気は高い。その頑強な闘いがある限り、何年たっても新基地が完成することはない。

5月27日 2000人が辺野古現地に結集し、護岸工事に猛抗議

 5月27日午前11時から、キャンプ・シュワブの新ゲート前で、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が主催し、「辺野古新基地建設阻止! 『K9護岸』工事を止めろ! 環境破壊を許さない県民集会」が開催された。「工事はもう止められない」、「辺野古の闘いは終わった」という政府―マスコミの悪質なキャンペーンに抗して、新基地建設阻止にかける沖縄労働者人民の不屈の闘志を示すためだ。この集会に2000人の労働者人民が結集した。

 司会の開会あいさつ、共同代表のあいさつに続いて登壇した「ヘリ基地反対協」の安次富浩氏は、「現場に人が集まることで工事を止めることができる。『K9護岸』に石材を降ろしているクレーン車は、少しの風でも横転する。それが怖いから、気候に変化があればすぐに作業をやめている。マスコミ報道とは裏腹に、工事はろくに進んでいない。『もう手遅れだ』と思わせるのが政府の狙いだが、元に戻すことはまったく可能だ」と訴えた。

 国会議員、「県」議会議員のあいさつの後も、諸団体から、「われわれは、諦めない。この環境を守り、引き継ぐのは、私たちの責務だ。新基地を造らせてはいけない。これからできることは、いくらでもある」、「このキャンプ・シュワブは、様々な戦争とつながってきた。また、この基地から、女性が絞め殺されるなどの様々な問題が起きた。どうして新基地建設を認めることができるのか。ゲート前の行動を継続しよう」などの発言が続いた。

 最後に、基地に向かって全員で「ガンバロー」三唱を行ない、新基地建設への怒りと工事阻止の強い意思を叩きつけて、集会を終えた。

現地実力闘争こそ勝利の鍵

 「県」知事・翁長が5月30日までに、「岩礁破砕許可」を得ないまま沖縄防衛局が護岸工事を強行していることに対して、国を相手に「工事の差し止め」を求める訴訟を起こす方針を固めたと報道されている。併せて判決が出るまでの間の「工事停止」を求める仮処分も申し立てるという。

 これまで、翁長は、海底を掘る浚渫工事や鋼鉄製の筒を海底に打ち込む「矢板打ち込み」など、「明確な岩礁破砕行為が確認された時点で訴訟を起こす」と言っていたのだが、あまりにも悠長なこの姿勢に対して、「知事はいったい何をやっているのか」、「本気で工事を止める気があるのか」という批判と怒りが、現場をはじめ各所で沸き上がっていた。この声に急き立てられて、ようやく重い腰を上げたのである。

 しかし、これが工事を止める「切り札」にはなりえない。翁長は、6月20日から始まる「県」議会で訴訟理由と訴訟費用に関する議案を通した上で、「早ければ7月中」にも提訴する方針だという。これまた悠長な話だ。その間、工事は激しく進む。「工事停止」の仮処分申請の結論が出るまでにも、工事は進む。しかも、高江ヘリパッド建設をめぐり、地元住民たちが「工事差し止め訴訟」と同時に申し立てた「工事停止」の仮処分を却下した那覇地裁が、ろくな判断を出すはずもない。

 翁長「県」政や司法に期待することは何もない。工事を止める力は、現地を中心とした労働者人民の実力闘争以外にない。現地集中と実力闘争こそ、勝利のカギだ。現地集中を強化し、激化する弾圧を粉砕し、名護新基地建設阻止決戦の爆発を全力で切り拓いていかねばならない。沖縄青年実は、その最先頭に起って闘いぬく決意だ。