参院法務委員会審議阻止へ向けて国会前行動
6月6日、午前8時30分から、「共謀罪」新設阻止の国会前行動が「共謀罪新設反対! 国際共同署名運動」、「破防法・組対法に反対する共同行動」等の主催で闘われた。午前8時30分からの国会議事堂前駅、永田町駅での1時間のビラまき、並行して、国会前での座り込み、国会前を行きかう労働者・市民にマイクでの呼びかけ、ビラまきが行なわれた。
「共謀罪」法案の国会審議をめぐり、6月6日午前、民進党は、参院法務委員長・秋野公造(公明党)の解任決議案を参院に提出した。これを受けて、参院法務委員会で予定されていた「共謀罪」法案の審議は事実上中止された。
報道では、民進党は、6月6日の午前の法務委理事会で、法務省刑事局長の委員会への常時出席を多数決で決めた法務委員長の委員会運営を見直すよう要求。法案審議に関し、首相・安倍が1日のラジオ番組で「不安を広げるための論議を延々としている」と延べた発言の撤回を求め、共産党、「沖縄の風」の2会派とともに委員会開催に反対した。与党がこうした要求を受け入れなかったため、民進党は、委員長解任決議案の提出に踏み切ったとのことだ。
これにより、解任決議案は6月7日の参院本会議で採決されるが、圧倒的多数の与党はこれを否決する方針だ。そして、6月8日、参院法務委員会での「共謀罪」法案審議を再開し、6月18日の会期末までに「共謀罪」法案を成立させようとしている。
「共謀罪」法案の参院法務委員会での審議時間は、与野党の間で30時間と合意をしている。しかし、安倍極右政府は、20時間を超えたら、強行採決に踏み切る構えだ。6月13日、参院法務委員会強行採決、6月14日、参院本会議での強行採決という予定通りのスケジュールで何が何でも「共謀罪」法案を成立させようと突き進んでいるのだ。
午後5時から、「戦争・治安・改憲NO! 総行動実行委員会」の国会前集会がもたれる。最初にシュプレヒコールが国会に向けて叩きつけられる。「『共謀罪』制定を阻止するぞ!」「おざなり審議を許さないぞ!」「いい加減な答弁を許さないぞ!」「暴走国会を糾弾するぞ!」「強行採決を許さないぞ!」「参院で廃案に追い込むぞ!」「永久廃案をかちとるぞ!」「話し合っただけで罪になる『共謀罪』を許さないぞ!」「団結破壊の『共謀罪』を許さないぞ!」「信条処罰の『共謀罪』を許さないぞ!」「我々は闘うぞ!」。
「組織的犯罪集団に関連すれば、一般人も対象」
続いて、「破防法・組対法に反対する共同行動」の仲間から、現状の報告と今後の闘いについて、発言を受ける。
「現在の『共謀罪』法案をめぐる状況について、簡単に報告しておきたいと思う。今日の法務委員会、流会したが、これによって、直ちに法務委員会論議が1日延びるとかそういう甘い状況ではない。文字通り、ぎりぎりの攻防が今も続いている。これを前提にして、闘いを開始したいと思う。『共謀罪』法案をめぐって、安倍政権の暴走振りは異様とでもいいうる域に突入している」「『共謀罪』法案、今国会の最大の目玉と言われてきたが、いわゆる議会制民主主義の手続どころか、文字通り暴走だ。職権によって、答弁不能であっても問答無用だということで突破をするという構えで臨んできている。今日の参院本会議での法務委員長解任決議案は否決されると思うが、それ以降、安倍政権、会期末を控えて、突進してくることは必須だと判断している。もう1つ、今国会の特徴の1つは、問答無用だということだ。既に、論議、もしくは説明すら、なそうとはしていない。一体なぜか。法案の審議のレベルでは、衆院、参院、段階が少し異なっている。参院に入ってから、いよいよ『共謀罪』法案になぜか本音が表われた。参院本会議での趣旨説明での論議、人権団体も環境団体も今回の『共謀罪』法案の対象であると明言した。衆院の段階では、「一般人は対象にしない」といっていたが、『組織的犯罪集団に関連すれば対象にする』と変わり、人権団体、環境保護団体、それに関連するものについても、『共謀罪』法案の対象になりうる。ここまで言い切ったというのもすさまじい気がする」。
現代版「治安維持法」成立絶対阻止
続けて、「今回の『共謀罪』の特徴は、現代版の『治安維持法』だとレッテルを張ってきたが、その中の『現代版』のという意味が、いよいよ鮮明になってきた。『団結』のしようがない。『団体等規正令』以上に『団結』のしようがない。1941年の段階で『治安維持法』が改悪されたが、ここでは『新団体規定』が『結社規定』以上の問題として登場した。今回の場合は、はじめから、『一般人』すべてを対象にして、その中から、危なそうなところ、集団を摘発して、どんどん弾圧をする。『テロリズム集団』というのは、思想・信条のある集団であるわけだが、ところが、『組織犯罪集団』というのは、国連条約の規定によれば、金銭的なものに関わるものである。明らかに、矛盾する概念を法案の中に入れた。ということは、今の世の中、集団に関わっていないものはほとんどいないわけであって、思想的、政治的、宗教的、あらゆる集団を対象に、全国民これを監視の対象にするということだ。しかも、政府が言っている『テロリズム』、1つは外国人、もう1つは、日本に在住する外国人、3つ目は日本人、こういう形で区分けをしている。そうして『共謀罪』の適用対象としてくるのだ」「今回の『共謀罪』法案の最終段階で、いよいよ本音が表われてきた。そういう中で、国際的な批判が強まっているというのも、大きな特徴だと思う。国連条約の立法ガイドを書いたアメリカの教授は、この条約を新法導入の正当化に利用するなとまで言っている。要するに、この条約は、『テロ防止』目的ではない。にも関わらず、『対テロ条約』であるなどと言うなということだ。国連プライバシーに関する特別報告者も、彼が言うには、プライバシーに抵触する恐れがある。これだけ拙速に深刻な問題ある法案を通すことはできないと警告を発している。今回の法案は、全面的な監視社会に突入させることになるだろうという警告を発している」「これだけ明白に、矛盾があり、立法事実もない法案を、安倍政権、もはや論議をすることによって通すのではなくて、来週、全面的に、暴力的に採決にかかってくるだろうと思う。共同行動としては、『本気で勝ちに行く』ために、来週、ハンガーストライキに突入して闘いぬきたいと思う。全力で闘いぬきたい」。
続いて、発言に移る。「都教委包囲・首都圏ネット」の仲間、反戦・反基地を闘う仲間、「医療観察法を許すな! ネットワーク」の仲間、「改憲阻止の会」の仲間、「戦争法廃止! 安倍たおせ! 反戦実行委員会」の仲間から、それぞれ発言を受ける。
集会の最後に、国会に向けてシュプレヒコールをあげ、朝から夕方までの国会前行動を終了していった。
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