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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

5・17高浜原発4号機再稼働阻止現地闘争を闘う
(1228号1面)

高浜原発再稼働阻止現地闘争に決起

 「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」は、5月17日、関西電力・高浜原発4号機(福井県高浜町)再稼働を阻止すべく現地闘争に決起した。

 正午、高浜原発北門ゲートからほど近い展望広場に闘う労働者人民が続々と結集する。労働者人民の再稼働阻止の実力闘争の爆発に恐怖する国家権力・福井県警は、高浜原発前の正面ゲート、北門ゲートを含む2キロ余りの2車線を1車線の交互通行に規制し、ゲート前には道路車道ぎりぎりまで阻止線を作っていた。海上でも、福井県警の警備艇が徘徊し、まさに戒厳態勢ともいうべき状況であった。この日、5月17日は、「高浜原発うごかすな! 実行委員会」の呼びかけで「高浜原発4号機再稼働は認めない! 現地緊急行動」が取り組まれ、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」も、ともに闘いぬいた。

 午後1時からの高浜原発北門ゲートに向けたデモに先だって、「高浜原発動かすな! 実行委員会」の呼びかけ人である「若狭の原発を考える会」の木原壯林氏(元日本原子力研究所副主任研究員、京都工芸繊維大学名誉教授)があいさつを行なった。木原氏は、「京都駅は、高浜原発から63キロのところにあります。大阪駅は、88キロのところにあります。大津駅は、66キロのところにあります。もしここで、福島のような重大事故が起きたら、京都府は、250万人います。滋賀県は、150万人います。トータルで少なくとも500万人が避難しなければならないことになる。避難できるはずがありません」「いま動いている原発が事故を起こしたら福島のようなことになるんです。高浜町音海の人も口に出して言っていないけれども原発反対の声が圧倒的多数です。経済的にも成り立ちません。科学的にもダメです。反原発の闘いは、絶対勝てるという闘いです」「原発反対を突破口にして、安倍政府のような悪辣な戦争をやろうとしており産業のために資本のために利益を上げようとする、ああいう政府を打倒するためにも、原発再稼働阻止をかちとらなければならないと思います。原発はどこでも、かならずトラブルを起こしています。私たちは子どもや孫の未来のために闘っているんです。今日1日、闘いましょう」。

 午後1時になり、デモ隊が、高浜原発北門ゲートに向けて出発してゆく。「高浜原発うごかすな」「原発いらない」「関西電力、原発をやめろ」「被曝をさせるな」「原発動かす総理はいらない」「安倍政府は、やめろ」のコールで、高浜原発に向け進撃する。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」も、赤旗を手に進撃する。デモ隊は、高浜原発北門ゲートに到着し、ゲート前を制圧する。「5・17高浜原発うごかすな! 現地集会」の参加者名での関西電力への申し入れ行動が貫徹され、この日の行動に参加した仲間から、高浜原発4号機再稼働阻止に向けた発言が続く。関西電力は、この日、5月17日の午後5時の原子炉起動を発表し、高浜原発4号機再稼働に突き進んできた。現場は、それを許さないという仲間たちの気迫にあふれている。午後5時になり、4号機再稼働が伝えられると仲間の怒りは最高潮に達する。眼前にある4号機建屋を前に「高浜原発再稼働を阻止するぞ」「プルサーマル発電を許さないぞ」「すべての原発廃止をかちとるぞ」「被曝労働を許さないぞ」「核武装のための原子力政策を粉砕するぞ」とシュプレヒコールをたたきつけ、高浜原発4号機再稼働阻止現地実力闘争を貫徹した。

 関西電力は、5月17日午後5時、高浜原発4号機再稼働を強行し、5月22日午後2時から発電・送電を開始した。4号機としては初の「プルサーマル発電」である。関西電力は、5月25日に出力100パーセントのフル稼働状態に達したと発表し、原子力規制庁の最終試験の後、6月中旬から営業運転に入るとしている。

高浜原発4号機再稼働徹底弾劾

 関西電力は、昨年2016年1月29日、2月26日に高浜原発3、4号機再稼働を強行したが、3月9日の大津地裁による高浜原発3、4号機運転差し止めの仮処分決定で運転を停止した。関西電力は仮処分決定取り消しの抗告を行ない、大阪高裁は今年2017年3月28日、運転差し止めの仮処分決定取り消しの不当決定を下した。今回の高浜原発4号機再稼働は、大阪高裁の決定を受けてのものだ。大阪高裁は、関西電力の主張を全面的に追認し、「新規制基準」について「現在の科学技術水準を踏まえた合理的なもの」とし、また「避難計画は適切」として、大津地裁の仮処分決定を覆したのである。関西電力は、4号機に続いて3号機についても、5月13日〜16日に核燃料装荷を行ない、6月上旬にも再稼働を強行しようとしているのだ。こんなことを許してはならない。

 高浜原発3、4号機再稼働で押さえておかなければならないことは、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)を燃料とする「プルサーマル発電」ということだ。昨年8月12日に、再稼働が強行された四国電力・伊方原発(愛媛県)3号機も「プルサーマル発電」だ。破綻に破綻を重ねる「核燃サイクル計画」の「切り札」として国内初の「フルMOX炉」として建設が強行されているJパワー・大間原発(青森県)とあわせて、高浜原発や伊方原発での「プルサーマル発電」なぞ断じて許すわけにはいかない。

 すでに、原爆数千発分ものプルトニウム47・8トンをため込んでいる日帝が、核武装の野望を押し隠すためのプルトニウムの「平和利用」というアリバイ作りのために、「プルサーマル計画」が強行されてきた。2009年12月に、九州電力・玄海原発で「プルサーマル発電」が開始され、「福島第1原発事故」後、「プルサーマル発電」は中止されたが、昨年1月、2月の関西電力・高浜原発3、4号機再稼働で「プルサーマル発電」が再開された。高浜原発3、4号機は昨年3月の大津地裁の運転差し止め仮処分決定で運転停止したが、昨年8月の四国電力・伊方原発3号機再稼働で「プルサーマル発電」が強行されている。今夏の再稼働が狙われる九州電力・玄海原発(佐賀県)3、4号機も「プルサーマル発電」だ。大阪高裁が大津地裁の運転差し止め仮処分決定を覆して、高浜原発再稼働を認めたのも、日帝の執拗な「プルサーマル計画」推進の意図をうけてのものだ。

 既存の商用原発でMOX燃料を使う「プルサーマル発電」は、原爆の材料であるプルトニウム使用によって、まさに「石油ストーブでガソリンを燃やすに等しい無謀な計画」(京大原子炉実験所元助教・小出裕章氏)との指摘があるほど、危険極まりないものなのである。MOX燃料は、制御棒が効きにくいことに加えて、数年後には原発敷地外に運び出せる冷却期間が数年のウラン燃料に比べて発熱量が高く、冷却のために数十年間も原発敷地内に保管しておかなければならないという、とんでもない代物なのである。

 「核燃料サイクル計画」がどんなに破綻しようが、日帝が決してこれを放棄しないのは、自前の核兵器開発の材料と技術と設備を確保するためだ。あわせて、「原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムは、再び核燃料に使う」と称して、核武装のための「プルトニウム保有政策」の隠れ蓑に使うためだ。

 「福島第1原発事故」によって、今なお、膨大な労働者人民が、被曝―健康破壊と避難―生活破壊を強いられている。「事故」処理現場では多くの労働者たちが、多重請負構造のもと過酷な被曝労働を強いられている。現地実力闘争の爆発で、全国原発の再稼働を阻止しよう。大間原発をはじめとする原発の新(増)設を阻止しよう。すべての原発の廃止をかちとろう。六ヶ所再処理工場の本格操業阻止、「核燃料サイクル計画」を粉砕しよう。