4月1日
座り込み1000日集会で全員が「新たな闘い」を確認
辺野古の海の埋め立てに向けた攻撃が一気に強まっている。安倍政府―沖縄防衛局は、3月31日で期限が切れた「岩礁破砕許可」について、「県」知事への更新申請は「必要ない」と勝手に決めつけ、4月以降、文字通り無許可で、海底ボーリング調査、「汚濁防止膜」の設置などの海上作業を推し進め、4月25日には、ついに「K9護岸」とよばれる個所から、護岸工事に踏み切った。
護岸工事は、大量の石材を海底に積み上げることにより、埋め立て予定区域の「外枠」を形成するもので、事実上の埋め立て工事だ。「県」警機動隊と海上保安庁による激しい暴力と弾圧だけを頼りに、まさに力ずくで新基地建設を推し進めているのだ。政府・権力の無法と暴力。これが辺野古現地で起こっていることだ。
しかし、闘う沖縄労働者人民の中に、諦める者は1人もいない。「こういうことのくり返しが、もう21年にもなる。みんなが恐れず座り込んでいる限り、新基地はできない」と、怒りと闘志を倍化させて、闘いを継続している。工事用ゲート前でも、海上でも、果敢で頑強な闘いを連日にわたって展開している。
4月1日午前10時から、キャンプ・シュワブの工事用ゲート前で、「基地の県内移設に反対する県民会議」が主催し、「辺野古新基地建設阻止!ゲート前座り込み1000日目集会」が開催された。
集会は、2014年7月に始まったゲート前での座り込みが、1000日目を迎える節目の日にあたり、「新たな闘いの第一歩を踏み出す」ことを確認するために開かれた。さらに、政府―沖縄防衛局が、3月末日で期限が切れる「岩礁破砕許可」の更新申請をせずに海上工事を進める姿勢を露わにする中、「違法工事初日」にあたって、工事阻止を誓い合うために開催されたものだ。降りしきる雨をものともせず、約600人が結集した。
集会に先立ち、「沖縄平和運動センター」議長・山城氏があいさつに起つと、会場全体から「ヒロジ・コール」が沸き起こる。山城氏は、「心折れることなく、力強く前進しよう。私たちは諦めない。勝つまで諦めない。諦めなければ必ず勝てる」、「翁長知事の『埋立承認』撤回への期待は分かるが、何より大事なのは現場だ。われわれは、ゲートを開けさせない、トラックを入れないという、現場の責任を果たすだけだ」、「沖縄の軍事要塞化の総仕上げが辺野古の新基地建設だ。団結を強めて頑張っていこう」と訴えた。拍手と指笛が鳴りやまない。
集会は、「沖縄平和運動センター」事務局長・大城悟氏の司会で開始された。大城氏が、「名護漁協が漁業権を放棄しても、それは使用権を放棄しただけのこと。知事が認めない限り、漁業権はなくならない。『岩礁破砕許可』のない沖縄防衛局の海上工事は、今日からすべてが違法だ。今日からまた、新たな闘いが始まる」と力強く提起すると、会場全体が熱い拍手で応えた。
続いて、「県民会議」を構成する各団体などから、「沖縄防衛局が、『岩礁破砕許可』の更新申請をしないこと。官房長官・菅が、知事に損害賠償請求をすると脅しをかけていること。これらは、政府が焦っている証拠だ」、「1000日は、1日、1日の積み重ねの結果だ。明日からもまた、ここに集まろう」、「昨日までに、大型コンクリート・ブロック228個のすべての投入が終わった。最後は、場所はどうでもいいから、とにかく手当たり次第に海中に落とすという乱暴な作業だった。『岩礁破砕許可』の更新は必要ないと言う沖縄防衛局だが、本人たちが、その言葉にまったく自信を持っていない証拠だ。海底ボーリング調査も、再調査のやむなきに至っている。埋め立て予定地の基礎地盤に問題があるからだ。このまま工事を続けられる展望はない。工事は必ず行きづまる。粘り強く闘い続けよう」という発言が続いた。
「今が一番大事な時期だ。ゲート前に全力で集中しよう」という大城氏の締めの言葉で集会を終えた参加者は、デモで新ゲート前まで進み、「新基地建設絶対反対」、「違法工事止めろ」と、キャンプ・シュワブ内に向けて、猛烈なシュプレヒコールを叩きつけていった。
「違法工事」は、激化の一途
労働者人民の激しい抵抗によって、「集中行動日」である水曜日については、工事用ゲートの突破―工事関係車両の搬入を、今まで一度も許していない。4月5日、12日、19日のいずれの水曜日も、200人〜300人の現地結集によって、車両搬入を阻止し続けている。官公労の労働者が参加可能なことから、多くの労働者人民が集まる土曜日についても、時折、全体が解散した後の午後3時半を過ぎてから、抜き打ち的に工事車両を搬入することはあるものの、基本的には搬入を止めている。
しかし、週6日の作業日のうち他の4日間は、ゲート前の労働者人民の数が50人ないし100人ほどに減るのをいいことに、「県」警機動隊による強制排除―封鎖解除がくり返され、大量の資機材が搬入されているというのが現状だ。概ね午前9時、正午、午後3時の3回にわたって、コンクリート・ミキサー車や、砕石を積むダンプカーなど、数十台の工事車両の搬入・搬出が、激しく強行されている。
海上では、無許可のまま、スパット台船やクレーン船が出て海底ボーリング調査が続けられている。「県」の「岩礁破砕取り扱い方針」は、「県」との協議を経て、知事が掘削調査の許可を「要しない」と判断すれば許可申請は必要ないと規定しているが、沖縄防衛局は、「県」との協議をまったくやっていない。「岩礁破砕許可を得る必要がなくなったのだから、それに基づく協議も行なう義務はない」というのが沖縄防衛局の言い草だ。文字通り、「問答無用」のやり口だ。
そもそも、「K9護岸から護岸建設工事に着手する」としていること自体が違法だ。「岩礁破砕許可」がないというだけではない。仲井真「県」政時代に、沖縄防衛局が「埋立承認願書」とともに「県」に提出した「設計概要説明書」では、「K9護岸」は、「工事用仮設道路」、「A護岸」、「中仕切岸壁B」などの造成後に、着工後3ヵ月目辺りから造成することになっていた。最初に「K9護岸」から着工するのならば、それは紛れもない「施工順序の変更」であり、「公有水面埋立法」に基づき、「設計概要の変更申請」を提出し、知事の「事前承認」を得なければならない。ところが、沖縄防衛局は、知事・翁長の「承認」が見込めないことから、法的に義務付けられたこの手続きをも、勝手にスルーしているのだ。
沖縄防衛局の言い草は、「設計概要変更申請は、埋立承認願書本文の『設計の概要』を変更する場合だけである。願書に添付された設計概要説明書の変更は、設計概要変更申請の対象ではない」というものだ。しかし、「埋立承認願書」本文の「設計の概要」というのは、工事の概略が、言葉の真の意味で概略的に、ほんの数ページ程度書かれているだけのものであり、具体的な内容は、すべて「設計概要説明書」に書かれている。この「説明書」の内容変更は、「変更申請の対象外」だと沖縄防衛局は開き直っているのだが、こんな手前勝手な解釈、こんな法外な言い分がまかり通るのなら、およそ全国のありとあらゆる埋め立て工事において、「設計概要の変更申請」という手続きは、まったく不要になってしまう。
違法工事は、海上だけではない。陸上でも沖縄防衛局は、キャンプ・シュワブの海岸部で、「K9護岸」建設予定地への進入路にあたる「付け替え道路」について、勝手に工法を変更した上で、建設工事を進めている。「付け替え道路」の工法変更には、これまた「公有水面埋立法」に基づき、「県」への「設計概要の変更申請」が必要なのだが、沖縄防衛局は、その「申請」を出さないまま工事をやっているのだ。これについて沖縄防衛局は、「付け替え道路」は「建設機械や資機材運搬車両等の通行が含まれ得るが、施行区域内における維持・管理や工事のための各種作業を安全かつ効率的に行なうための一時的なパネル等の敷設であり、『新たな道路』を建設するものではない」とうそぶいている。「建設機械や資機材運搬車両等」がガンガンと通る純然たる道路を「道路ではない」と強弁して、手続きを放擲しているのだ。
すべては、「知事権限」を無視・無力化して、やりたい放題の工事を強行するためだ。これが、安倍や菅がことあるごとに口にする「法治国家」の実態だ。
護岸工事に向けて、キャンプ・シュワブ内の「作業ヤード」では、「消波ブロック」(テトラポッド)の製造も、急ピッチで進められている。現場に巨大な鋼製の型枠を持ち込んで組み立て、そこに次々と生コン車から生コンを注ぎ込んで、高さ3メートル、重さ20トンにもなるブロックを造っているのだ。これを、「K9護岸」の造成分だけで207個造るという。必要な生コンの量は、生コン車で410台分とされる。搬入した石材を詰め込んだ「蛇篭」(鉄線を四角い箱状に編んだもの)や、「根固用袋材」(きんちゃく袋状の網に石材を詰めたもの)も積み上げられている。その量は日増しに増えている。生コン・プラント(生コン製造施設)の建設工事も進められている。基地内で生コンを作る体制を築くことで、ミキサー車の搬入を阻止するゲート前の座り込みを無力化してしまおうという魂胆だ。
弾圧も激化するばかりだ。4月6日にはゲート前で抗議行動をしていた1人を「公務執行妨害」「傷害」容疑で、もう1人を「刑事特別法」違反容疑で、4月11日にも1人を「工事用車両の下に潜り込んだ」として、「道路交通法違反」容疑で不当逮捕している。海上でも、カヌーなどで抗議行動をする労働者人民に海保が激しく襲いかかり、一時拘束するなどの弾圧が連日のようにくり返されている。
こうした中、4月19日の「水曜行動」では、「違法工事を止めさせる行動は、われわれの正当な権利だ」、「ゲート前への集中体制を強化して、週六日の作業日のうち、半分の3日は必ず止めよう」などなど、熱い提起が続いた。
4月25日
護岸工事の着工に陸と海で労働者人民が怒りの猛反撃
4月25日午前9時20分、沖縄防衛局は、「埋め立ての第1段階」と言うべき護岸工事に踏み切った。これを阻止しようと、工事用ゲート前には早朝から、200人の労働者人民がつめかけ、海上でも多数の抗議船やカヌーが出て、着工阻止の闘いを展開した。
既に、4月11日には、日・米両政府が日米合同委員会で、「K9護岸」の造成着手に合意していたのだが、政府―沖縄防衛局は、沖縄労働者人民の怒りと闘いの爆発を恐れて、その合意を秘匿し続け、4月23日投開票のうるま市長選の前や、米軍属による「女性暴行・殺害事件」の発生から1年となる4月28日を意識的に避けて、狙いすましたように4月25日を選び、工事に踏み込んだのである。これに先行して21日には、「K9護岸」近くの進入防止用の「浮具」(フロート)を2重にし、着工当日も、海保100人、警備用ゴムボート約25艇をくり出して弾圧態勢を敷くという、念の入れようだ。
こうして周到に準備された護岸工事だったのだが、しかし、実際に当日、政府―沖縄防衛局がやったことはと言えば、海岸に設置されたテントの中で、スーツ姿の沖縄防衛局幹部や工事関係者らが雁首をそろえて起工式を行ない、その後、クローラー・クレーンを使って、例のきんちゃく袋状の「根固用袋材」を五袋、浅瀬に置いただけである。その間、たったの15分。
たったこれだけの作業だったにもかかわらず、即座に沖縄防衛局は、「護岸工事に着手」なる「お知らせ」のファックスを報道関係各社に送り付け、政府もまた、「埋め立て本体の工事開始」(官房長官・菅)、「本体部分に当たる護岸工事」(防衛相・稲田)と大騒ぎして、「本体工事着手」を大々的にアピールした。狙いは明らかだ。沖縄と全国の闘う労働者人民に、「工事はもう引き返すことができないところまで進んだ」、「どんなに反対しても、もうどうにもならない」と印象付け、「闘いは終わりだ」、「もう諦めろ」と迫ろうという了見だ。
しかし、こんなことで諦める者は誰もいない。工事用ゲート前では、労働者人民がキャンプ・シュワブ内に向かって「護岸工事を許さんぞ」、「違法な工事をやめろ」と、激しい怒りのシュプレヒコールを上げるとともに、その後の集会でも、「今日の工事は、県民を諦めさせるためのパフォーマンスだ。思惑通りにはさせない」、「長さ316メートルの『K9護岸』の造成だけで、10トン・ダンプ約9000台分の石材が必要だとされる。これまでに入ったのは、700〜800台程度。ゲート前の座り込みによって、工事は必ず阻止できる。あくまで闘いを続けよう」、「戦争のための新たな基地は絶対に造らせない」と、揺るぎない決意が表明された。
翌4月26日の「水曜行動」でも、「今なお、埋め立て予定地の海底の地形、地質が分からず、ボーリング調査が続いている状態だ。闘いの本番は、これからだ。工事が続く限りここに座り込む」、「マスコミは、『原状回復は困難になった』と報道したが、ああいう言葉を使わせることが政府の狙いだ。報道を使って県民を諦めさせようとしている。しかし、まだまだ工事は止められる」という発言が続いた。さらに、この期に及んでもなお「あらゆる手法を適切な時期に行使する」と言うだけで、「埋立承認」の「撤回」も、「工事差止訴訟」もためらう知事・翁長に対しても、「知事は、何をやっているのか」という厳しい批判の声が上がった。
4月29日
3000人余が大結集して辺野古現地で「県民集会」
沖縄防衛局の計画では、新基地の面積は約205ヘクタール。このうち約160ヘクタールを、東京ドーム16・6杯分に相当する約2062万立方メートルの土砂で埋め立てることになっている。この埋め立て工事に5年をかけ、全体工期は、9・5年だという。沖縄防衛局は今後、埋め立て予定区域をいくつかの護岸で仕切る工事を進め、併行して区域内の浚渫工事も行ない、護岸が完成した場所から、内側を土砂で埋め立てていく作業を、2017年度内にも開始するとしている。さらに、これとは別に、大浦湾の2ヵ所を埋め立て、「ケーソン」を仮置きする「海上作業ヤード」の造成にも「近く着手する見通し」だと伝えられている。「ケーソン」は、水深の深い場所に沈めて護岸として使うもので、縦52メートル、横22メートル、深さ24メートル、総重量7400トンにも達する鉄筋コンクリート製の巨大な箱だ。陸上部分でも、今夏以降、滑走路の一部や進入灯の建設に入るという。しかし、労働者人民の頑強な闘いがある限り、何年たっても新基地が完成することはない。
4月29日午前11時から、「県民会議」などで構成する実行委員会が主催する「辺野古新基地建設阻止! 共謀罪廃案! 4・28屈辱の日を忘れない県民集会」が、新ゲート前で開催された。実行委員会は、当初、「2000人規模の参加」を目標にしていたのだが、予想を大きく上回る3000人余の労働者人民が現地に結集した。この数こそ、護岸工事着工を受けて、沖縄労働者人民の中に、「諦め」どころか、怒りと闘志がますます拡大していることを如実に示すものだ。
集会は、「ヘリ基地反対協議会」の安次富浩氏の開会あいさつで始まった。安次富氏は、「『屈辱の日』から65年が経ったが、沖縄が置かれた現実は何も変わっていない。殺害された女性のこと、オスプレイの墜落のことを、われわれは決して忘れない。この現実を、県民の力で絶対に変えよう。護岸工事が始まったが、ただのアリバイ作りだ。新基地建設を止めよう」とあいさつした。
「女性暴行・殺害事件」の被害者への黙祷に続いて、実行委員長あいさつに立った琉球大学法科大学院教授・高良鉄美氏は、「28日を『屈辱の日』と言うが、なぜ屈辱なのか? 本土から分離されたからか。憲法から分離されたからか。一番大きな理由は、沖縄の思いを無視して勝手に切り離されたからだ。民意に背いて売られ、取引材料にされたから、屈辱なのだ。民意に背くことは、現在まで続いている。沖縄に自己決定権は、ないのか。4・28で占領軍は、分離された沖縄に来た。過度な基地集中により、事件がくり返されてきた。1年前の事件もその1つだ。屈辱の日を決して忘れないで闘おう」と述べた。
その後、実行委員会を構成する各団体、各個人があいさつに起ち、「政府は、法をねじ曲げ、権力を総動員して私たちを抑え込もうとしているが、恐れず、基地建設の白紙撤回まで頑張ろう」、「安倍は、憲法をぶち壊し戦争国家に向かって暴走している。この沖縄から、安倍改憲に抗い闘っていこう」、「『共謀罪』ができれば、犯罪行為の実行がなくても、計画していると判断されれば処罰の対象になる。人の内心の部分にまで捜査当局が踏み込んでくる。『共謀罪』は、日本の分かれ道となる法案だ。廃案に持ち込もう」と訴えた。
続いて、「沖縄平和運動センター」議長・山城氏が登壇すると、ひときわ大きな拍手と指笛が沸き起こる。山城氏は、「護岸工事が強行されたが、私には多くの制約が付いていて、現場で行動できない。胸が張り裂ける思いだが、この機会に全国を駆け回って、沖縄に力を貸してくれ、安倍をぶっ倒そうと訴えていきたい」と熱く語った。
次は、大城悟氏による行動提起だ。大城氏が、「行動提起は、ただ1点。ゲート前に結集すること。毎日300人が集まれば、工事は確実に止められる。今が団結の時だ。ゲート前に集まろう」と呼びかけると、会場全体が大きな拍手で応えた。最後に、「私たちは屈しない。護岸工事が始まろうとも、まだほんの一部にすぎない。新基地建設を止める」という集会決議を全体で確認して、集会を終えた。
名護新基地建設阻止の闘いは、いよいよ決戦局面に突入した。「戦争のための基地は、沖縄にもどこにも要らない」、「沖縄は、戦争の被害者にも加害者にも断じてならない」。これが新基地建設阻止の闘いだ。天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は、不屈の闘いを打ちぬく沖縄労働者人民の先頭に起ち、現地実力闘争の爆発を切り拓き、護岸工事―埋め立て工事を必ずや阻止する決意だ。ともに闘おう。
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