解放トップ
トップに戻る
解放最新号
バックナンバー
論文
定期購読

東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

4・22「ノーモアJR尼崎事故、いのちと安全を守る集会」とデモが闘われる (1223号3面)

小田地区会館で集会

 2005年4月25日、107人の命を奪い562人の負傷者を出した「JR尼崎脱線事故」が発生し、今年で12ヵ年を迎えた。

 4月22日、「ノーモア尼崎事故、いのちと安全を守る集会実行委員会」主催で、尼崎での集会と事故現場への追悼デモ・献花行動が取り組まれた。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間も結集した。

 午後2時から、JR尼崎駅のすぐ近くにある小田地区会館で約100人の闘う労働者の結集で集会が開始される。

 まずは、国労近畿の東幹夫氏より基調提案が行なわれる。「小さなミスでも個人責任を追及し会社への徹底した服従を強いる『日勤教育(=勤務外し)』などの労務管理。十分な休みも取れない慢性的な要員不足。他の私鉄からの利用者を奪うため30秒の遅れも許さない『回復運転』という制限速度ギリギリの運転の強要。『タコ足食い』とよばれた増収活動などが、ものの言えない職場をつくりました。これらの『労働者いじめ』は、労働者を極限まで追い込み、その結果起きたのが尼崎脱線事故の大惨事でした」「この12年の集会の中でJR現場に働く国労組合員からは、『効率化という名の合理化で社員数も国鉄時代の半分以下、40歳代が空洞のいびつな年齢構成で技術継承も深刻、重要な業務はグループ会社などに外注化されそこでも長時間過密労働と休日出勤・サービス労働が蔓延している。職場は労働者個人に責任を押し付ける労務管理が復活し事故や異常時を無視した要員削減で安全の切り捨てが際限なく行なわれているなどの実態が繰り返し告発されました」「遺族の方からは、『人を殺せば罪に問われるが、107人の人間が亡くなっても何も罪を問うことができない』と悲痛な訴えが続いています」「この数年JR各社に限らず公共運輸部門の事故が多発しています。まさに、異常事態です。利潤追求による低賃金労働者の拡大などが大きな原因となっているのは明らかです」「今、産業を超えた連携はますます重要となっています。『ノーモアJR尼崎事故・生命と安全を守る集会』を事故の教訓を決して忘れず、首切り・民営化・規制緩和に反対する多くの労働者の闘いとより強く連帯し、共に闘いに起ち上がる決意を持ち合う集会としていきましょう」。基調の提案は、会場全体で確認された。

 続いて、遺族からの訴えとして藤崎光子氏から、「あの事故で一人娘を奪われた。JR西日本は言うことと、やることが違う会社だ。2003年に起こったJR塚本駅で救急隊員が亡くなった事故の遺族は『二度と遺族を作らないでほしい』と訴えていたが、このJR尼崎事故の後に、2005年12月に羽越本線脱線事故や、2006年には伯備線作業員死傷事故が起きてしまった。JRの中で一番人身事故を起こしているのは、JR西日本だ」「裁判は、1審、2審すべてJRの言い分どおりの判決だった。神戸の裁判官は、『遺族には納得できないが、今の法律ではこうした判決しか書けない』と言っていた。事故が起きても現場の労働者しか罰せられない。企業の責任は全く問われない。企業の罰則化を実現させ、JR西日本の事故への責任を追及していく」との発言がなされた。

事故現場への追悼デモと献花行動

 「JR30年を検証する―国労安全キャラバンの取り組みから」と題して国労中央本部執行委員長の坂口俊彦氏が記念講演を行なう。坂口氏は、「『国鉄分割・民営化』以降、鉄道死亡事故が多発している。事故の責任も『現場での注意や努力が不足していた』などの理由をつけて労働者に負わせている」「JRは、利用者や労働者の安全は二の次にして利益を最優先させている」「『国鉄分割・民営化』がもたらしたものは、国の方針である『地域活性化と暮らしの実現』とは逆行するものに他ならない」「JRは、新人の労働者に対し、『国労の言うことは聞くな』と分断をかけており、新人への安全対策の継承も難しくなっている」「労働者の休養時間が短くなり、疲れた状態での勤務が強いられている」「利益をあげられない路線は廃止か駅の無人化を進め、駅の安全対策を取っていない」「これからの課題として、JRの安全輸送確保や地域ローカル線存続への世論喚起、反合理化・要員要求前進に向けた大衆運動の強化」などをあげ、講演を終えた。

 次に、「JR北海道の安全と現状について」として、鉄道安全問題研究会の地脇聖考氏から、「JR北海道は、新幹線含む全線が赤字であり、実質経営破綻になっている。経営破綻の原因が北海道だけを単独の会社とした『国鉄分割・民営化』の枠組み自体にあることは明らかだ」「経営悪化は、『安全崩壊』となって表面化し、2011年にトンネル内の列車火災事故、2013年に貨物列車脱線事故が続いた」「国鉄を葬った者、1047人の国鉄労働者を路頭に迷わせそれ以外の多くの国鉄労働者を自殺に追い込んだ者、東京駅より少ない収入のJR北海道にできもしない『自立』を迫り経営破綻に導いた者の責任を追及しなければならない」との報告があった。

 さらに、「JR鴫野駅ホーム要員配置の闘いについて」として国労大阪の藤原浩二氏より、「JR西日本では、新しい駅ホームの開設から、駅利用者が列車とホームの隙間に転落する事故が多発している。JR西日本は、それにもかかわらず、経費削減のため昨年11月から安全確認を行なうホーム要員を廃止した。以降は、カメラ3台によって安全確認を車掌1人に任されている」「昨年10月に『ホーム要員廃止』が提案されて以降、『ホーム要員廃止反対』の駅頭宣伝行動を開始し、ホーム要員が廃止された以降も宣伝活動を継続している」「鴫野駅にホーム要員を再配置するまで闘い続ける」との報告をうける。

 最後に、JAL不当解雇撤回争議団からの訴えとしてJAL争議団の西岡ひとみ氏が、「JALの職場も乗客の安全は二の次になっている。JALは、我々労働者の側が『利益よりも安全を第1にすべきだ』と言ったら首を切るような会社だ」「解雇撤回の裁判には負けましたが、『JALの不当労働行為』は認められた。私たちは職場復帰まで闘います」と発言した。

 午後4時50分、事故現場への追悼デモが開始される。事故現場に到着後、デモ参加者による献花行動が行なわれた。参加者は、「2度と事故を起こさせない。生命と安全を守るために闘っていく」という決意をかため、この日の行動を終えた。