解放トップ
トップに戻る
解放最新号
バックナンバー
論文
定期購読

東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

辺野古現地レポート
海上工事に立ち向かう3月の闘い
(1222号4面)

連日の激闘続く辺野古現地

 3月に入り、護岸建設―埋め立て工事に向けた政府―沖縄防衛局の攻撃が激しさを増している。海上では、「汚濁防止膜」のアンカーにすると称して、大型コンクリートブロックの投入が強行され、併せて、「汚濁防止膜」の設置作業も開始された。大型掘削船・「ポセイドン1」などを投入した海底ボーリング調査も進められている。キャンプ・シュワブの工事用ゲートからは、ダンプカーやクレーン車などの工事関係車両の搬入が強行され、キャンプ・シュワブ陸上部での生コン・プラント建設工事も、急ピッチで進められている。

 しかし、沖縄労働者人民の闘いは不屈だ。工事用ゲート前では、多くの労働者人民が連日早朝から座り込んで、「県」警機動隊の激しい暴力と逮捕攻撃にひるむことなく、工事関係車両の搬入阻止の闘いを展開し、海上でも、海上保安庁の暴力と拘束攻撃をはね返して、抗議船やゴムボート、カヌーなどによる抗議行動をくり広げている。

 3月の現地攻防は、1日早朝からの「水曜行動」で開始された。約300人がキャンプ・シュワブの工事用ゲート前に座り込み、工事関係車両の搬入を阻止する闘いを終日にわたって展開した。海上でも、大型コンクリートブロックの投下作業に対して、阻止闘争が取り組まれた。8日の「水曜行動」では、「昨日から『汚濁防止膜』設置のための準備作業が始まった。設置作業は近い。工事を急ぐのは、政府が焦っている証拠だ。追いつめられているのは政府の方だ。諦めずに闘おう」、「今やらなければいつやるのか、自分がやらなければ誰がやるのか」という熱い提起が行なわれた。

 この「水曜行動」では、これまで一度も工事用ゲートの突破―工事関係車両の搬入を許していない。多くの労働者人民の現地結集による体を張った闘いが、工事を阻んでいるのだ。しかし、政府―沖縄防衛局は、闘いが手薄になる他の曜日に狙いを定め、機動隊を使って労働者人民の座り込みを暴力的に解除し、車両搬入を強行している。水曜日以外の集中体制の強化が切実な課題だ。

 例えば、「さんしんの日」の3月4日には、新基地建設に反対する労働者人民300人がゲート前に集まり、三線演奏や琉舞などの催しを盛大に行なったが、演奏会が終わり、多くの人々が引き揚げた午後2時になって、残って座り込む労働者人民を強制排除し、工事関係車両の搬入を強行した。その過程で「公務執行妨害」をデッチ上げて、1人を不当逮捕することまでやっている。

 また、3月9日は、「県」立高校の入試日に当たっていた。工事用ゲートがある国道329号線も受験生の通り道になっていたのだが、沖縄防衛局は、渋滞なぞまったくお構いなしに、朝から車両搬入を強行したのである。渋滞が与える受験生への影響を避けるために、ゲート前に座り込まずに歩道上で抗議行動を展開した労働者人民からは、「入試の日くらい工事車両の搬入をやめるべきではないか」という指弾の声が上がった。

「汚濁防止膜」設置を許すな

 政府―沖縄防衛局は、3月9日から、大浦湾で「汚濁防止膜」の設置作業を開始した。海底に沈めた大型コンクリートブロックと、布製の「汚濁防止膜」を吊るしたフロートやブイをアンカーロープでつなぎ、「汚濁防止膜」を定位置に固定するという作業だ。大型コンクリートブロック228個を投下する作業は続いており、3月9日時点での進捗状況は約6割と伝えられているが、その完了を待たずに、投下済みの個所から取り付けを始めるという慌てぶりだ。

 しかし、この「汚濁防止膜」は、「汚濁防止」にはまったく無意味だ。護岸工事を強行するためのアリバイ作りだけが目的の代物だ。第1に、「汚濁防止膜」は、海水面に浮かぶフロートから約7メートルの深さまで垂らされることになっているのだが、設置地点4ヵ所の水深は、いずれも10メートル以上、深い所では50メートル以上とされており、どれもこれも、海底まではとても届かないのである。ちょうど「のれん」をくぐるように、汚濁は、潮流に乗って「膜」の下から流出し放題なのだ。第2に、それは、汚濁が発生する工事現場を部分的にカバーするだけで、全体を取り囲む構造にはまったくなっていない。汚濁は、「膜」の左右どちらからでも、これまた出放題なのである。とりわけ、「臨時制限水域」内の北端に位置する「作業ヤード」に至っては、話にならない。四方が海だというのに、「膜」が設置されるのは1面だけ。3面はガラ空きで、ほとんど何の役にも立たないのだ。護岸工事が強行されたら、大浦湾全体に汚濁が拡散されることは必至だ。

4月から完全な違法工事に

 3月15日の「水曜行動」の場では、今年3月末に期限が切れる「岩礁破砕許可」について、政府―沖縄防衛局が「県」に対して更新申請をしない方針を示していることに対して、「安倍も菅も、口を開けば『法治国家』と言うが、許可なしの工事こそ違法・無法だ」、「県は、『岩礁破砕許可』の期限を待たずに、今すぐ『岩礁破砕許可』を取り消すべきだ」と怒りの声が上げられた。

 実際にこの日、政府―沖縄防衛局は、「岩礁破砕許可」の「更新をしない」ことを、正式に「県」に通告した。「岩礁破砕許可」は、前知事・仲井真が2014年8月に許可したものだが、現知事・翁長によるその更新許可が見込めないことから、知事権限を「無力化」するために申請手続きを放擲し、4月以降は「許可なし」で工事を進めるというのだ。問答無用で国家意思を押し通そうという、あまりに凶暴で汚いやり口だ。

 政府―沖縄防衛局の言い分は、「名護漁業協同組合が漁業補償を受けて漁業権放棄に同意したことにより、該当海域は漁業権が既に消滅した」、だから「知事の許可を受ける必要はなくなった」というものである。だが、これほど手前勝手な法解釈はない。漁協が漁業権を一部放棄しても、それは、知事から免許を受けた漁業権を「行使しない」と漁協内部で意思決定したに過ぎず、漁業権の設定変更には知事の変更免許が必要であることは、これまでの水産庁の通達や政府自身の国会答弁などで明らかだ。一漁協が漁業権を「放棄」したところで、漁業権それ自体が「消滅」するものでないことは、誰にでも分かることだ。何も難しい話ではない。権利放棄者に替わって別の者が知事免許を受けて、漁業権を取得する場合を考えてみるだけでよい。

 だからこそ、那覇空港の第2滑走路建設工事では、沖縄防衛局と同じ国の機関である沖縄総合事務局が、那覇地区漁協など地元漁協が漁業補償を受け、漁業権放棄を決定した上でもなお、「岩礁破砕許可」の更新申請をしているのだ。それも昔のことではない。今年1月のことだ。にもかかわらず、政府―沖縄防衛局は、名護新基地建設工事については、「法定受託事務の解釈権は国にある」(政府関係者)とまで強弁して、「更新申請の必要なし」を押し通そうとしているのだ。あまりに強引で汚いこの解釈に、「まさに2枚舌、2重基準だ」という怒りの声が沸き起こっている。

 これに反発する「県」は、「県漁業調整規則違反に当たる」として、4月以降に許可なしで進める工事の「差し止め請求」訴訟と「仮処分申請」、さらに「埋め立て承認」の「撤回」などを検討していると伝えられている。しかし、「県民向けのアピールにはなっても、どれほどの効果があるか」と「県」幹部自身がぼやくように、それらは有効な対抗策にはなりえない。新基地建設を止める力は、現場の闘いにこそあるのだ。

3月17日 山城氏らへの弾圧を許すな 初公判に300人超が結集

 3月17日午前10時から、那覇地裁において、「沖縄平和運動センター」議長・山城博治氏ら3人の初公判が開かれた。山城氏は、昨年10月17日、東村・高江で「有刺鉄線1本を2ヵ所切断した」として「器物損壊」容疑で不当逮捕された。その後、高江の「N1地区」裏テント付近で「2016年8月25日に、沖縄防衛局職員の職務を妨害し、加療約2週間の傷害を負わせた」として、「公務執行妨害」と「傷害」の容疑で、さらにキャンプ・シュワブの工事用ゲート前で「2016年1月28日〜30日に、コンクリート製のブロックを積み上げて、沖縄防衛局の業務を妨害した」として、「威力業務妨害」容疑でも逮捕・起訴された。「公務執行妨害」と「傷害」の容疑では、山城氏の他に1人が、「威力業務妨害」容疑では、別の1人が「共犯」として起訴されている。

 山城氏に対する丸5ヵ月にわたる長期勾留が続く中、この日ようやく、初公判が開かれた。朝から、地裁は、正面入口の門を固く閉ざし、中にバリケードを築き、さらに職員や民間警備員のみならず、多数の制服・私服警官を導入し、厳戒態勢を敷いた。権力が沖縄労働者人民の怒りにどれほど恐怖しているかを如実に示すものだ。結集した労働者人民からは、「裁判所が早く釈放していれば、これほど大ごとにならなかったのに」、「まるで警察国家だ」との批判の声が上がった。

 公判に先立ち、午前9時から地裁前の城岳公園で集会が開かれた。「山城博治さんたちの即時釈放を求める会」、「政治弾圧を許さず不当逮捕者・勾留者を支援する会」、「基地の県内移設に反対する県民会議」など、5団体が主催したものだ。これに300人を超える労働者人民が結集した。

 集会では、「安倍政権が高江、辺野古で進めようとしていることに裁判所が付き従っている」、「司法が沖縄でやっていることは、もの言わぬ民を作っていこうということだ」、「今日からが新しい闘いのスタートだ。3人を絶対に奪還しよう」などの熱い発言が続き、「博治を返せ、仲間を返せ」という怒りのシュプレヒコールがあげられた。

 公判廷では山城氏が、「公務執行妨害」「傷害」について、「沖縄防衛局の作業は違法な作業だった。その横暴を止めようとしただけだ。問われるべきは政府であり、沖縄防衛局だ」と述べ、「威力業務妨害」についても、「(ブロックを積んだのは、)機動隊の暴力的な排除に対し、やむにやまれず行なった正当な表現行為だ」として、「これは、まごうことなき不当な弾圧だ」と批判し、「平和運動は、今後も続く。闘いは、不屈であり不滅だ」、「反基地の意思を貫く。絶対に屈しない」と表明した。

 さらに、午後6時からは、「県民広場」において、「山城議長たちの裁判勝利! 即時釈放! 政治弾圧を許さない報告集会」が開かれた。約400人がこの集会に結集した。集会では、公判の報告に続いて、「山城議長たちは、沖縄のために闘っている。何としても即時釈放をかちとろう」、「弾圧に屈せず、ともに頑張ろう」、「3人の奪還と辺野古新基地建設を阻止するために闘いぬこう」などの提起が行なわれ、集会終了後には、牧志公園までデモ行進が行なわれた。

 翌3月18日、ようやく山城氏の保釈が決定し、那覇拘置支所から出獄した。「関係者との接触」を制限する不当な条件付きの保釈だ。午後8時にもかかわらず、拘置所前には100人の労働者人民がつめかけ、山城氏を出迎えた。

3月25日 辺野古現地での「県民集会」に、3500人超が大結集

 3月25日午前11時から、キャンプ・シュワブの新ゲート前において、「違法な埋め立て工事の即時中止・辺野古新基地建設断念を求める県民集会」が開催された。大規模な「県民集会」は、昨年12月22日の名護市安部へのオスプレイ墜落に抗議する集会以来だ。朝から雨が降り続くあいにくの天候にもかかわらず、「辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議」が主催したこの集会に、3500人を超える労働者人民が大結集した。集会開始前から、新ゲート前の国道329号の歩道は、上りも下りも、人、人、人で埋め尽くされた。

 集会に先立ち、山城博治氏が出獄のあいさつで登壇し、「抑圧される者、差別と犠牲を強いられる者が、挫けないで頑張り続ける姿を発信しよう」、「私に対する弾圧は、県民、全国民にかけられた攻撃だ。安倍政権がどんなに牙をむこうとも、屈せず闘いぬこう」と訴えると、会場全体から盛大な拍手と歓声が沸き起こった。

 集会は、「オール沖縄会議」の共同代表らによる主催者あいさつで始まり、各地の「島ぐるみ会議」、各党国会議員や各会派からの発言が続いた。発言の最後に、辺野古現地集会に初めて参加した「県」知事・翁長が登壇して、「埋め立て承認の撤回を必ずやる」と表明。その後、「沖縄県民と全国の多くの仲間の総意として『違法な埋め立て工事の即時中止と辺野古新基地建設の断念』を強く日・米両政府に求める」という集会決議を拍手で採択し、「新基地を造らせないぞ」、「海上工事をやめろ」というシュプレヒコールで集会を終えた。

 「埋立承認」の「撤回」を初めて明言した翁長だが、政府―沖縄防衛局にとって、それは「織り込み済み」のことであり、すでにその場合の対抗措置として、「代執行」や「行政事件訴訟法」に基づく「執行停止」の検討を進めていると伝えられている。しかも、この翁長の「必ずやる」発言に対して、3月27日には、官房長官・菅が、「国として損害賠償の請求権の行使を含めて、法令に基づく所要の措置を講じることはあり得る」とまで言い放っている。翁長が「撤回」に踏み切れば、翁長個人に巨額の賠償金を請求するぞと、脅しているのだ。

 安倍政府は、凶暴性をむき出しにし、違法・無法を百も承知で、力ずくの攻撃を強めている。これを迎え撃ち、打ち砕く現地実力闘争の爆発こそが求められているのだ。

護岸建設―埋め立て工事を阻止する現地闘争の爆発を

 今や、護岸建設―埋め立て工事に向けた攻撃が急加速している。資材を満載した工事用車両の搬入も激しさを増し、これまで1日当たり数台、多くても十数台程度だったものが、3月9日の29台を皮切りに、10日―44台、14日―30台、16日―40台、21日―40台、23日―54台、28日―45台、31日―50台と激増しており、そのたびに機動隊による暴力的な強制排除がくり返されている。

 しかも、工事用車両の積み荷には、砕石(鉄線で編まれた蛇篭に詰めて、護岸の補強などに使う石材)やグリ石(基礎工事の際に地盤を固めるために、基礎の下に並べて突き固めるための石材)などが、目立って増えている。その結果、すでにキャンプ・シュワブ内の工事予定地近くの浜には、砕石で満たされた蛇篭が山積みにされている。

 3月31日には、大型コンクリートブロック228個すべての投下が完了した。大方の予想に反するとんでもないスピードだ。作業の終盤では、投下場所の位置確認もろくにやらず、手当たり次第に海中に放り込むというデタラメが続いたという。投下と言うより投棄と言うべき仕事ぶりだ。3月31日当日も、駆け込みで19個、放り込んでいる。この日が「岩礁破砕許可」の期限最終日に当たっており、それまでに投下を終えるよう沖縄防衛局が作業を急いだためだとされるが、それによって、当初は「5月に」と言われていた護岸工事への着手が、4月中にも強行される可能性が高くなっている。

 しかし、闘う沖縄労働者人民の中に諦める者は誰もいない。3月27日には、山城氏らの第2回公判が開かれたが、城岳公園での前段集会に姿を見せた山城氏が「今は厳しい時期だが、運動には必ず潮目が変わる時がある。その時が必ず来る。頑張ろう」と訴えると、参加者全員が大きな拍手と歓声で応えた。3月29日の「水曜行動」でも、「菅は、損害賠償請求を口にしたが、そんな恫喝に屈するわけにはいかない」、「4月からの違法工事を何としても阻止しよう」、「ゲート前に集中しよう」という熱い発言が続いた。労働者人民の意気は高い。怒りと闘志は高まる一方だ。

 闘いは正念場を迎えた。現地集中と実力闘争こそが、勝利のカギだ。天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は、勝利のために、闘いの最先頭に起つ決意だ。反戦・反基地の闘いを不屈にうちぬく沖縄労働者人民との連帯・共同を強化し、新基地建設阻止決戦勝利、日・米軍事基地解体、日・米両帝国主義軍隊解体、安保粉砕、沖縄人民解放に向けて、ともに闘おう。