石川氏不当逮捕54ヵ年糾弾
1963年5月23日、埼玉県狭山市で起こった「女子高生誘拐殺人事件」の「犯人」として、無実の部落民=石川一雄氏が不当逮捕された。5月1日、行方不明となった女子高生宅に届けられた「脅迫状」をもとに、身代金を受け取りに来た「犯人」を警察は40人以上で包囲しておきながら取り逃がす。警察権力への非難が集中する中、当時の国家公安委員長の「生きた犯人を捕まえろ」という号令のもと、マスコミや住民をも動員して被差別部落への予断と偏見を煽りたてながら、狭山市内の被差別部落に捜査を集中させる。当時日雇いだったためにハッキリとしたアリバイがなかった石川氏に目をつけ、5月23日早朝、寝込みを襲うように別件で不当逮捕しさったのだ。警察での取り調べは女子高生殺害に集中した。連日連夜に渡る拷問的取り調べを行ない、「おまえのかわりに兄を逮捕する」「やったといえば10年でだしてやる。男の約束だ」などとウソとペテンで「自白」を強要した。絶対に許すことはできない。石川氏の怒りと無念を共有し、石川氏の不退転の決意に応える闘いを実現しなければならない。怒りも新たに、石川氏不当逮捕54ヵ年を徹底糾弾しよう。
第3次再審闘争は、正念場を迎えている。東京高裁と東京高検、狭山弁護団による「三者協議」も、2009年の開始以来、2017年2月8日の開催で31回を数えるに至った。担当裁判官は、しばしば交代し、現在は、4人目の植村稔である。狭山弁護団は、開示された証拠を精査し、石川氏の無実を明らかにする新証拠を次々に提出し、東京高裁を追いつめてきた。
狭山弁護団は、攻勢に次ぐ攻勢を強めている。2016年8月22日に、狭山弁護団が提出した「下山鑑定」で、石川氏の「自白」をもとに発見され「有罪証拠」とされた、石川宅のお勝手の鴨居の上に置かれていた万年筆について、実際に入っていたインクには、「女子高校生誘拐殺害事件」当日の1963年5月1日まで被害者が使っていたインクが微量たりとも混じっていないことを突きつけ、石川氏の「自白」に基づいて「発見された」とされていた「鴨居の上の万年筆」が、警察による捏造であることを、科学的に裏付けた。この「下山鑑定」について、東京高検は、「今年度中に反論・反証の見通しを示す」としていたが、結局、今年3月までに示すことができず、言い逃れに汲々としている姿がアリアリだ。石川氏が強制されたウソの「自白」では、被害者の女子高校生を殺害後、被害者の万年筆を奪って自宅に持ち帰り、お勝手の鴨居の上に置いたことになっており、「秘密の暴露」にあたるとされる「重要な証拠」として扱われてきた。元々、この「証拠」自体が、警察による捏造であることが、再三、指摘されてきたが、今回の「下山鑑定」は、それを科学的に裏付けるものである。
第3次再審棄却策動を粉砕しよう
狭山弁護団は、昨年12月28日提出の「魚住第3鑑定」において、取り調べ録音テープの筆記場面の分析を踏まえ、読み書き能力の観点から石川氏が脅迫状を書いていないことを証明した。今年1月31日の「川窪第3鑑定」において、開示証拠の分析をもとに、脅迫状の訂正箇所の筆記用具が「鴨居の上の万年筆」によるものではないことを暴露した。さらに、3月2日には、土地家屋調査士による調査報告書などの新証拠を、東京高裁に提出した。証拠開示された航空写真と、石川氏の「自白」に基づいて作成された図面とを照らし合わせ、現地で測量を行なった結果、ウソの「自白」で「被害者のカバンを捨てた」とされる地点と、実際の発見場所とが、まったく食い違っていたのである。「確定判決」で「証拠」とされた「3つの物証(万年筆、カバン、腕時計)」は、腕時計も被害者の物ではないことが専門家の調査で明らかにされており、すべて崩れたことになる。次回の「3者協議」は、5月上旬の予定である。さらに追撃し、東京高検に全証拠開示を迫る闘い、東京高裁に事実調べを迫る闘いを、やりぬかなければならない。
司法―国家権力は、これまで石川氏の無実を明らかにする新証拠や補充書、意見書を、どれだけ目の前に積まれようとも棄却を強行してきた。石川氏の無実は、犯人にデッチ上げた国家権力が一番よく知っている。だからこそ、国家権力は、狭山闘争が階級的共同闘争を基軸とした全人民決起と、戦闘的部落大衆と結びついての大衆的実力闘争・武装闘争で国家権力を追いつめてきたことに何より恐怖と憎悪を燃やし、狭山闘争解体攻撃をしかけているのだ。狭山闘争は、国家権力を追いつめてきた戦闘的闘いの地平を一歩も後退させることなく、さらに前進させていくことなしに勝利をかちとることはできない。そのことを肝に銘じ、なんとしても棄却を阻止する闘いに総力で起ち上がろう。いかなるペテンも居直りも許さない闘いを叩きつけていこう。
部落解放同盟内社民・こえ派は、国家権力への屈服を深め、狭山=「冤罪」をますます強調しながら狭山闘争を「司法の民主化」要求運動に落し込めようとしてきた。そして、一切を「3者協議」にゆだね、狭山闘争の幕引きを図ってきた。しかし、安倍政府による戦時国家体制形成が一挙に進む中にあって、部落解放同盟内社民・こえ派の路線の破産は鮮明となっている。
今こそ、大衆的実力闘争・武装闘争と階級的共同闘争で第3次再審棄却を阻止する攻勢的な闘いを叩きつけていかなければならない。石川氏の闘う決意に応える闘いを担いぬいていかなければならない。石川氏を激励し、石川氏の怒りと無念を共有し闘おう。司法―国家権力に対する「中立・公正」の幻想を一切捨て去り、〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の闘いの旗幟を鮮明に闘おう。部落解放同盟内社民・こえ派の制動に怒る戦闘的部落青年・大衆と合流し共に闘おう。職場・地域・学園で、部落差別を憎み許さず、狭山差別裁判糾弾闘争を共に闘う仲間を獲得し、階級的共同闘争を拡大していこう。大衆的実力闘争・武装闘争の爆発で、正念場を迎えた第3次再審闘争勝利へ進撃しよう。狭山闘争の歴史的勝利へ進撃しよう。
部落解放運動の革命的飛躍・前進を
国家権力頂点からの差別主義・排外主義煽動が吹き荒れる中、部落差別はますます拡大・激化している。全国で悪質な差別事件が激発している。部落差別落書き、差別ハガキ、インターネットを使った悪質な差別煽動が拡大しているのだ。極悪反共ファシスト・「在特会」は、さらに差別煽動を続け、在日朝鮮人・中国人に対する差別デモ、襲撃を頻繁に行ない、ファシズムへの突撃の尖兵として突出している。さらに、2016年には、「鳥取ループ」=宮部龍彦なる「ジャーナリスト」を名乗る輩が、「示現社」なる出版社からの、「部落地名総監」の元の資料である「全国部落調査」の復刻版の販売を画策してきた。部落解放同盟が「出版差し止め」に動くも、「鳥取ループ・示現社」は居直りを決め込んだ。部落解放同盟側は、「鳥取ループ・示現社」を相手取り、2億3320万円の損害賠償等請求を行なっており、東京地裁での公判が続いているが、「鳥取ループ・示現社」の度し難い居直りはいまだ続いている。
部落解放同盟内社民・こえ派は、「告訴・告発」を全面化している。「告訴・告発」は、差別糾弾闘争を破壊し、差別者を擁護し、部落差別を拡大させるだけであり、差別者を自己批判させ、変革することなぞできない。とりわけ、反共ファシストの差別煽動に対しては、徹底した撃滅戦の爆発で回答しなければならない。全国で激発する差別事件に対しては、全国水平社の差別糾弾の思想を引き継ぎ、徹底した差別糾弾闘争で闘いぬくことが必要だ。
安倍政府は、蔓延する差別主義・排外主義煽動に対する労働者人民の反撃が必至の中、差別糾弾闘争を制動し、体制内での集約を図るために、2016年12月、「部落差別解消推進法」を成立させた。この種の「理念法」は、2016年4月の「障害者差別解消法」、2016年5月の「ヘイト・スピーチ解消法」に続くものである。「部落差別解消推進法」は、「国および自治体がその解決のために、相談体制・教育啓発の充実、実態調査の実施を進めていく」なる文言を明記しただけの、要は、差別糾弾闘争圧殺以外には何の意味もない「理念法」でしかない。部落解放同盟内社民・こえ派は、安倍政府があてがった「理念法」に依拠することで、部落解放運動の体制内化を一層進めようとしている。これでは、安倍政府の狙う、ファシズム融和運動への転落と対決することなぞ、到底できない。
部落解放同盟内社民・こえ派の「告訴・告発」方針を踏みしだき、差別糾弾闘争の復権をかちとり、部落差別の根底的廃絶、部落の根本的解放へと闘おう。ファシストどもの悪辣な差別煽動を打ち砕き、安倍極右政府の兇暴な朝鮮反革命戦争突撃と対決する部落解放運動の革命的飛躍・前進をかちとろう。朝鮮反革命戦争遂行の安倍極右政府を打倒しよう。差別主義日共=全国人権連を解体し、差別主義反革命革マルを解体・絶滅し、天皇主義右翼ファシストを撃滅しよう。
5・23 石川氏不当逮捕54ヵ年糾弾狭山中央闘争
午後1時 日比谷野外音楽堂
主催 狭山事件の再審を求める市民集会実行委員会
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