田町交通会館で狭山東京集会
2月22日午後6時30分より、田町交通会館・ホールにおいて、狭山東京実行委員会主催による「狭山事件の再審を求める東京集会」が開催された。
午後5時半過ぎ、反戦・全学連の部隊は、田町交通会館入口前に登場し青ヘルメット、青ゼッケンに身を固め、横断幕を掲げ情宣を開始する。石川氏は、入口に到着すると、われわれのビラを受けとり、にこやかな笑顔で会場へと向かう。
午後6時30分、司会より集会開始が宣言される。狭山東京実行委員会・佐藤議長からの主催者あいさつ、狭山東京実行委員会・桐田事務局長の基調提起がなされる。その中で、昨年8月に狭山弁護団が東京高裁に提出した「下山鑑定」において、石川氏宅から発見されたとされる「かもいの上の万年筆」が、捏造された証拠であることを示したこと、さらに、昨年12月28日に提出した「魚住第3鑑定」において、取り調べ録音テープの筆記場面の分析を踏まえ、読み書き能力の観点から石川氏が脅迫状を書いていないことを証明したこと、今年1月31日の「川窪第3鑑定」において、開示証拠の分析をもとに、脅迫状の訂正箇所の筆記用具は、「かもいの上の万年筆」によるものではないことを示したことを明らかにした。そして、東京高検に対する全証拠開示、東京高裁に対する事実調べ実施を要求するとして、最後に「今年こそ、再審の門を打ち破ろう」と結んだ。
次に、狭山弁護団の青木孝弁護士からの「53年目の新事実『発見万年筆は被害者のものではない!』〜寺尾差別判決崩壊 狭山第3次再審の現状と課題〜」と題する講演が行なわれた。石川氏が強制されたウソの「自白」では、「殺害した被害者から奪った万年筆を使って脅迫状を書き、自宅のかもいの上に置いた」とされており、「最大の有罪証拠」と位置づけられている。しかし、既に1992年の段階で、石川宅を最初に家宅捜索した元捜査官がこの「かもいの上の万年筆」について、「同じ場所を調べたが何も見つからなかった」と証言しており、新聞報道がなされている。青木弁護士は、このことを踏まえ、「もし、発見された万年筆が、被害者の万年筆ではなかったら、一体、どうなるか。誰かが、偽造万年筆を石川宅にわざわざ置いたことになり、有罪証拠とされた発見された万年筆が、かえって、『最大の無罪証拠』に転化する」と喝破しながら、これまで狭山弁護団が東京高裁に突きつけてきた新証拠について、とりわけ「下山鑑定」について、豊富な資料を使って詳細に明らかにした。「かもいの万年筆」が被害者の物ではないことを科学的に明らかにし、「まったくの間違いであり、冤罪である」と強調した。そして、最後に、「ぜひ、みなさんと一緒に頑張りたい」と、狭山弁護団として共に闘う決意を明らかにした。
石川氏が再審開始に向けた決意
講演終了後、司会が石川一雄氏の登場を告げる。会場から大声援と拍手が沸き起こる中、石川氏が壇上に起つ。石川氏は、「今年はいよいよ最終段階になります。今度こそ間違いないと思う」「石川を犯人にすべく、証拠が捏造されてきたことが、皆様の声によって、証拠開示されたことによって明らかになっていった」と、第3次再審闘争への抱負を語った。そして、石川氏自身の近況について「最近、目が若干良くなりました」とし、白内障の治療が成功しつつあることを報告すると、会場全体から温かい拍手が送られた。最後に、石川氏は「まだまだ七八歳。一刻も早く無罪になって、100歳まで、刑務所にいた年月の分まで生きたい」と、あくまで闘いぬき、生き抜いていく決意を表明した。その後、石川早智子氏の発言の後に、石川一雄氏が再度マイクを取り、得意の短歌を披露した。
その後、狭山東京実行委員会に結集する団体からのアピールが行なわれる。部落解放同盟東京都連国立支部、東京同宗連、東京清掃労組・人権交流会から、狭山闘争の再審開始に向けた取り組みが紹介され、闘う決意が表明された。「狭山事件の第3次再審勝利をめざす決議」と題する集会決議案が提案され、集会スローガンが読み上げられ、それぞれ拍手で確認された後、参加者全体でシュプレヒコールをあげる。集会まとめとして、部落解放同盟東京都連・長谷川委員長からのあいさつが行なわれ、「部落差別を利用して、国家権力によって犯人に仕立て上げられた悪質さが明白になった」「『部落差別解消推進法』ができたからといって、状況は変わらない。闘いによって変えなければならない」とした。司会から集会参加者が300人以上であったことが報告された後、最後に、狭山東京実行委員会・佐藤議長が閉会あいさつを簡単に述べ、「団結ガンバロー」で集会が締めくくられた。集会後、石川氏が集会参加者全員と精力的に握手をし、共に闘う決意を新たにした。
2006年5月23日の第3次再審請求から、今年五月で12年目を迎える。まさに第3次再審闘争が正念場を迎えていることは明白だ。奮闘する石川氏の不屈の闘いに応えきっていかなければならない。石川氏の無実は明らかであり、裁かれるべきは司法―国家権力なのだ。検察に対する全証拠開示と裁判所に対する事実調べを迫り、階級的共同闘争と大衆的実力闘争・武装闘争の爆発を叩きつけていこう。第3次再審闘争の勝利から狭山闘争の勝利へと攻め上ろう。部落解放運動の革命的飛躍・前進をかちとろう。
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