解雇から16年ぶりの解決交渉で居直るトヨタ
2月17日、午後5時10分から、東京・飯田橋のトヨタ東京本社前で、東京総行動(主催:「けんり総行動実行委員会)の一環として、16年間にわたってフィリピン現地工場での不当解雇を居直り、今なお労組破壊工作を続けるトヨタ資本を徹底的に追及する行動が闘われた。この行動には東京・山谷日雇労働組合、東京都地域連合労働組合の仲間も結集し闘いぬいた。
トヨタ資本がフィリピントヨタ労組(TMPCWA)を潰すために、2001年に強行した組合員233人の大量解雇から16年、トヨタ資本の責任を追及し、解雇を撤回させる闘いは、新たな局面を迎えている。フイリピンでは昨年、未解決争議の解決を重要政策課題の一つに掲げる新政権が誕生した。新政権の労働雇用省は、強い姿勢でフィリピントヨタの社長とTMPCWAが一堂に会するよう呼び出した。1月13日、労働雇用省と「国際労働機関」(ILO)フィリピン駐在事務所の立会いのもと労使同席の話し合いの場、解決交渉が始まった。
だが、トヨタ側は、呼び出された社長は出席せず、あまり事情を知らない弁護士を出してきた。そして、トヨタ側弁護士は、会談冒頭から「本件は、解雇を適法と判断したフィリピン最高裁判決で最終的に決着しており、それに基づいての話し合いには応じるが、ILO勧告に基づいての話し合いならば応じられない。そのように委任されている」「ILO勧告は、フィリピン政府に出されたものでトヨタに出されたものではない」「したがって、トヨタに対する法的拘束力はない」と言い、TMPCWAへの大量解雇―労働組合破壊を居直る姿勢を示した。この弁護士に言い分に対しては、ILO駐在事務所が、「フィリピンはILO条約の加盟国であり、同条約は政府・労働者側・使用者側の3者構成原則によって成り立っているので、使用者に対しても法的拘束力があります」と、トヨタをたしなめるという一幕まで起きている。トヨタは、1月13日と27日の解決交渉の後、打ち切り動議を出し、中断を強制している。
トヨタ東京本社前で闘われた追及行動は、フィリピン労働雇用省の呼び出しに渋々応じて出席したものの、大量解雇―労組破壊を居直るトヨタ資本に対する怒りが充満する中で開始された。
主催者を代表して「けんり総行動実行委員会」事務局長の寺島氏(東京全労協代表)は、当日の東京総行動に、韓国に進出した日本の「サンケン電気」で整理解雇攻撃を受けている「韓国サンケン労組」の労働者が「解雇撤回闘争に勝つまで帰れない」という決意で結集していることを報告し、「日本企業が海外に進出し、現地で働く労働者の組合結成をつぶすという問題は、現地の労働者だけの問題ではなく、日本の労働者の問題であることをはっきりさせ、トヨタ東京本社門前での行動をやりぬきましょう」と呼びかけた。
解決交渉の打ち切りを策動するトヨタを許すな
「フィリピントヨタ労組を支援する会」代表の山際氏は、「東芝は、今や倒産の危機に瀕しているという状況があります。トヨタも、同じではないのでしょうか。トヨタは、アメリカでいろいろな問題が起きると社長が日本から飛んで行き、法的に義務のない膨大な金まで払って対応してきたが、『開発途上国』での問題には、一貫して『現地のことは現地で』と責任逃れをしてきた」「フィリピンでは、政府もILOもトヨタに解決をせまり、今年の1月から交渉のテーブルがもたれるという前進的な状況が生まれてきています。しかし、まだ解決にむけた一歩にはなっていない。トヨタが解決にむけた対応をとるまで、最後の最後まで闘いましょう」と訴えた。
TMPCWAが加盟する全造船関東地協の発言につづいて、「フィリピントヨタ労組を支援する会」事務局長の田中氏が現地状況の報告を行なう。「現在、フィリピンの労働雇用省の副長官が、大統領と長官から全権を任され、フィリピントヨタを呼び出し、トヨタは解決交渉に出席せざるをえない状況になっています。1月13日に、ついにトヨタが解決交渉に出てきました。しかし、トヨタは、『ILO勧告にもとづいた話し合いはしない。一応、儀礼上出席したまでだ』と言い放ちました。1月27日の2回目の交渉では、アロヨ政権下の最高裁判決に固執し、これまでTMPCWAの切り崩しに使ってきた『離職金』を払うと言っていますが、その金額は、TMPCWAが解雇以来の損害賠償請求額としている金額の1パーセントにも満たない額でしかありません。そして、わずか2回目で『金額に開きがあるから話してもムダだ』と交渉打ち切りの動議を出しました。トヨタが使っている弁護士は、フィリピンの内閣法制局長官が雇っている弁護士です。トヨタは、大統領に近い線を使うことで『お情け』を手にしようと狙っています。『トヨタを解決交渉に引っ張り出すのは不可能』と言われてきましたが、ついにトヨタは出てこざるを得なくなっています。私たちは『不可能』と言われてきたことを可能にする決意に燃えています。勝利するまで、支援をよろしくお願いします」。
トヨタ東京本社門前闘争は、最後に全体で「トヨタは組合つぶしをやめろ!」「237人の解雇を撤回しろ!」「解雇を撤回して職場に戻せ!」「トヨタは、団交を行なえ!」「トヨタは、ILO勧告に従え!」「トヨタは、争議を解決しろ!」「トヨタは、労働者の権利を奪うな!」「フィリピン現地の声を聞け!」「世界の仲間と共に闘うぞ!」「争議解決の日まで闘うぞ!」とシュプレヒコールをあげ、「団結ガンバロー」で締めくくられた。
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