革労協の連帯あいさつと基調提起
12月4日、台東区産業研修センターにおいて第35回反安保全国労働者研究交流集会が開催された。
午前10時、全国から戦闘的労働者が続々と結集し、司会から開会が宣言される。開会の宣言にあたって司会の仲間は、「今、時代が大きな転換点を迎えようとしています。今こそ階級的革命的労働運動の一大飛躍・前進が問われています。本日の研究交流集会の成功をかちとり、越年・越冬闘争から2017年の闘いに撃って出ようではありませんか」と呼びかけ、力強いシュプレヒコールで集会が開始された。
集会の冒頭に連帯あいさつに起った革命的労働者協会の同志は、「米帝の大統領選におけるトランプの勝利、トランプは『アメリカが最優先だ。アメリカを再び偉大にする。メキシコ国境に壁を作って移民を排除しろ。イスラム教徒はアメリカに入れるな』、こんな好き放題の『ヘイト・スピーチ』を繰り返し、差別をばら撒き、排外主義をばら撒いていた。トランプが勝利した背景には、米帝の経済危機がわれわれの想像をはるかに超えた深刻な状態にあることがある。所得格差と階級格差の拡大、小ブル中間層の没落、労働者階級の困窮、米帝社会の解体が急速に進み、ブルジョア政治への怒りと不満が爆発的に高まっているということを今回の事態は示している。小ブルや大ブルジョアジーの右翼的、帝国主義的な現状打破のエネルギーがトランプを大統領に押し上げたが、それは労働者階級の現状打破のエネルギーとは別物であることを押えておかねばならない」「今後、米帝の政治は、経済的には保護主義、外交的には従来の協調路線を捨てた国益主義、軍事的にはオバマ以上に凶暴な戦線拡大路線、国内的には治安管理の強化と差別主義・排外主義の強化の方向に動く。戦後世界体制を大きく揺るがし、その崩壊過程を一挙に進めることになる」「韓国では100万、200万のデモが闘われている。これも戦後世界体制の崩壊を象徴するような事態だ。朴槿恵の側近政治への怒りに先行して、『労働市場構造改革』『成果主義年俸制』に反対する労働者のゼネストや街頭闘争が、粘り強く、戦闘警察にも負けず、労組幹部の大量逮捕にも屈せずに頑強な闘いとして継続されてきた。米軍の最新鋭の地上配備型迎撃ミサイル・『高高度防衛ミサイル』(THAAD)の配備阻止にむけた反戦闘争が闘われてきた。こういう労働者人民の朴槿恵政権に対する粘り強い闘いが一気に爆発し、労働者人民の全体の怒りを獲得して闘いの大高揚を迎えている。韓国階級闘争を圧殺してきた軍部のクーデターの可能性もあることを注視しながら、連帯した闘いを実現していこう」「安倍の暴走。『安保法制関連法』の運用の開始として南スーダン派兵の『国連平和維持活動』(PKO)部隊に新任務を課した。要するに、戦う相手がいなければ、戦う相手を求めて、自衛隊が自ら進んで行って銃を発射するというものだ。高江のヘリパッド建設、名護新基地建設にも手をかけている。安倍の長期政権は、憲法九条の改悪、本格的な戦争の開始という危機的な状況をもたらす。そんなことを許すわけには断じていかない」「安倍は、口を開けば『1億総活躍』ということを言っている。戦前には同じような言葉が叫ばれた。『1億1心、1億火の玉、1億玉砕』と同じだ。『1億が一つになって国家に忠誠を尽くし、働ける者は国のために死ぬまで働け』『戦える者は、国のために死ぬまで戦え』。これが『1億総活躍』の中身だ」と提起した。続いて、闘争課題をめぐって、革命的反戦闘争、高江ヘリパッド建設阻止・名護新基地建設阻止の闘い、原発再稼働・新(増)設阻止の闘い、通常国会粉砕の闘いを呼びかけた。最後に、「働き方改革」―「労働基準法」改悪阻止の闘いを反安保労研が最先頭に起って闘い、組織すること、プロレタリア共産主義革命に向かう革命的労働運動を闘うこと、階級的革命的全国統一センターの建設にむけて闘うことを呼びかけ、連帯あいさつを締めくくった。
反安保労研全国センター幹事会から集会基調が、情勢、総括、方針の順に提起される。情勢では、「安保法制関連法」の運用開始、高江ヘリパッド建設の強行、反革命国会での「憲法審査会」の再開をもっての改憲攻撃に突撃する安倍が次に狙っているのは、階級的革命的労働運動の根絶をもって核武装や武器輸出を平然と行なう「翼賛労働運動」を完成させ、「1億総活躍社会」なる「富国強兵」政策を強制することだということが鮮明にされた。総括では、「安保法制関連法」の施行のもとでの自衛隊の実戦軍化に対決する革命的反戦闘争を闘ってきた意義が提起され、「日の丸・君が代」強制攻撃と対決する教育労働者運動、国際連帯の闘いとしてフィリピン・トヨタ労組の解雇撤回・労組つぶし粉砕の闘いへの連帯行動、寄せ場労働運動を頑強に闘いぬいてきた地平が提起された。方針では、第1に「職場生産点からの革命的反戦闘争への決起を拡大していこう」と、「戦争を支える職場」「戦争を支える労働運動」を育成する攻撃を打ち破る職場からの反戦決起を死活的に闘う方針が、第2に、「公務員労働運動」をめぐっては、人事評価制度の導入、「フレックスタイム」導入で強まる公務員労働運動解体攻撃と対決する方針が、第3に、「非正規」争議をめぐっては、地域連合労組運動の前進で「非正規雇用」労働者との結合を強め、労働法制改悪阻止の闘いを推進し、「本工主義」労働運動を突破する方針が、第4に、「教育労働者運動」をめぐっては、2017年卒・入学式での「君が代」不起立闘争の爆発をかちとり、戦争動員にむけた「道徳」の教科化攻撃を粉砕する方針が、第5に、「寄せ場労働運動」をめぐっては、大阪・釜ヶ崎での「センター移転・縮小」攻撃、「2020年東京オリンピック・パラリンピック」開催と連動した山谷の「再開発」―寄せ場・山谷の解体攻撃と対決する方針が、第6に、「国際連帯の闘い」では、改悪「入管法」に対決し、フィリピン・トヨタ争議を突破口にして日帝資本と対決する労働者との国際連帯を拡大すること、「在特会」などによる在日外国人労働者への排斥、襲撃を粉砕する方針が、第7に、「被差別大衆の自主的解放闘争と結びつき闘おう」と狭山闘争への決起、「障害者」解放闘争の前進を共にかちとる方針が、そして、第8に、2017年反戦・反合・政府打倒春闘の爆発をかちとり、階級的革命的全国統一センター建設に進撃していく方針が提起された。闘う基調は満場の拍手で確認された。
産別分散会と新事務局体制
休憩の後には、午前11時45分から「公務員」「民間」「寄せ場・日雇い」の3つの分散会がそれぞれの会場に分かれて開始される。
公務員分散会
公務員分散会には、各地の自治体労働者をはじめとする労働者が参加し、活発な論議が行なわれた。分散会のはじめには、自治労大会の報告、かつての「3公社5現業」であった国労、日本郵政(JP労組)、NTT労組の大会報告が行なわれた。
司会の労働者から「自治体労働者に対して人事評価制度が導入され、能力主義と分限免職を強制することで公務員労働運動を解体する攻撃が強まっている。さらに、『官』と『民』との賃下げ競争を強制する『給与制度の総合的見直し』との対決が求められている」という提起を受け、参加者の議論が始まった。
宮城の労働者が、「仙台では、資料でも報告されているように、東北大学で3200名の有期雇用職員の雇い止め攻撃がかけらている。これまで公務員労働運動は、自治体の臨時や非常勤の労働者であっても反復して雇用されている場合には首を切らせないようにしてきた。しかし、今回は、2013年の『労働契約法』改悪によって5年の反復雇用で労働者が無期限雇用を求める権利が発生することになり、資本や当局の側が5年満期になる2018年の前に首を切るという『2018年問題』が起きている」と報告を行なう。
「公契約条例」を制定した世田谷区のその後の動きをめぐっては、「高卒初任給を時給換算した1093円以上を要求しているが、東京都の最低賃金・932円に近い950円しか予算化していない」という報告がされた。
また、自治労が定期大会で「臨時非常勤等10万人組織化の取り組みを強化する」と打ち出していることに対して、「自治体の『非正規雇用』労働者が80万人から100万人もいるのに、なぜ自治労は『10万人組織化』という少ない目標にしているのか」といった当然の疑問も出され、自治労本部のアリバイ的な「非正規対策」への批判の声が上がった。
活発な討論が行なわれた分散会の集約では、「国家公務員への『フレックスタイム』導入は、自治体にも波及し、労働者の団結を破壊するものとして強化されるだろう。労働時間をばらばらにして労働者の団結を解体し、『残業代ゼロ化』につづく『労働時間規制』撤廃を狙ったすべての労働者への攻撃だ。また、安倍が『1億総活躍社会』を打ち出し、女性や高齢者を低賃金で劣悪な労働条件で使い捨てにする攻撃を強める中で、公務員労働者から『配偶者手当て』を減額し、民間にも波及させるという攻撃も始まっている。自治労本部は、安倍の『働き方改革』攻撃に屈服し、『本格的な短時間公務員制度の実現』を要求し、『官製ワーキング・プア』を拡大させようとしている。これを許さず、地区共同の闘いを実現し、公務員労働運動解体攻撃を粉砕すること」を全体で確認した。
民間分散会
民間分散会は、民間で働く労働者、生協労働者、未組織労働者などが参加して行なわれた。
安倍極右政府が進める「1億総活躍社会」の一環として、戦争翼賛の「産業報国会」型労働運動を育成するために「働き方改革」を叫び、労働法制の大改悪が強行されようとしている中で、地域連合労働組合の担う役割は大きな位置を占めている。最初に、地域連合労働組合からの報告がなされた。組織拡大はなかなか進んでいない状況であるが、「日の丸」「君が代」の強制に対決し、不起立で闘いぬいている教育労働者の支援、処分粉砕の闘いに連帯し、闘ってきたこと、フィリピン・トヨタの労働組合つぶしに対決し、争議を闘っているフィリピン・トヨタ労組の争議を支援し、トヨタの社前闘争に参加して闘ってきたこと、寄せ場での越年・越冬闘争を支援し、闘ってきたことが報告された。そして、「ヤンマー争議、サントリー・SPS争議の敗北以降、民間争議は、フィリピン・トヨタ争議を支援する闘いを取り組むに止まっている。少数ではあるが、安倍の戦争突撃を粉砕し、労働法制の改悪と対決し、一人の首切りも許さない労働組合の原則を守りぬき闘う」という決意が明らかにされた。
生協労働者は、「アメリカの大統領選でトランプが勝利した。トランプはTPP反対を表明しており、アメリカ抜きのTPPは先行き不透明である。TPP締結をめぐって生協も厳しい状況に立たされているが、『アメリカ第一主義』を掲げるトランプは、TPPよりもっとひどい協定を持ってきて、日本を屈服させるようになるのではないか。生協労働者には、『非正規雇用』の労働者が圧倒的に多いが、『非正規雇用』労働者とつながって闘っていくことが問われている。最低賃金が『都道府県の審議会』で決まるが、『連合』系の労組が『審議会』に入って決めていくのが今の現状だ。しかし、『生活できるような賃金をよこせ』という労働者の闘いで賃上げを勝ち取っていくことが大事だ」と報告する。
続いて、9月初旬に開かれた、「金属労協」(JCM)、「UAゼンセン」の定期大会の資料を参考に、批判の論議がなされ、「連合」を突破し、安倍の戦争政策に対決する、階級的革命的労働組合運動を前進を切り拓いていくことが確認された。
方針討論では、労働組合を知らない未組織労働者や、「非正規雇用」労働者、使い捨てにされている労働者との接点を持つための活動を強化すること、少数ではあっても、地域連合労働組合を維持していくこと、反戦・反合闘争を闘い、1人の首切りも許さない労働運動を作り上げていかねばならないことが確認された。また、あらゆる民間争議に取り組むべく地域連合労働組合を強化し、基幹産業部門に手を掛けねばならないことが確認された。
寄せ場・日雇い分散会
寄せ場・日雇い分散会は、「反戦・反失業」を基調として闘う全国寄せ場交流会に結集する東京・山谷日雇労働組合、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」、福岡・築港日雇労働組合、沖縄・首里日雇労働組合の日雇い・野宿の労働者が結集し、山谷、福岡の組合の定期大会の議案書が資料として配布された。
東京・山谷からは、民間の求人も東京都の求人も減っている上に、センターの窓口による締め付けが依然強められていることが報告され、センターの「利用者カード」の取り上げと新規発行の拒否というかたちで進められていることの背景にある動きへの注目が呼びかけられた。予算削減を含めたセンター機能縮小の動きは、「2020年東京オリンピック」を見据えた「地域再編」として推し進められる山谷の解体攻撃に他ならないことが強調された。ドヤ主の世代交代が進む中で、山谷労働者を食い物にして腹を肥やしていた連中が、こぞって外国人観光客目当ての「安い旅館業」として売り出すことで、山谷労働者を「邪魔者」として排除する動きと一体のものなのだ。センター前での炊き出しに難癖をつけ、労働者に野垂れ死にを強いる動きこそ、かつて金町一家が天皇と「日の丸」を掲げて山谷労働者の団結破壊のための襲撃に撃って出た背景でもあるのだ。山谷の「特別就労事業」における求人数については、「年間を通じてバラつきなく仕事を出させよう」という意見が出され、参加者全員が「賛成」の声を上げた。
福岡・築港からは、築港の寄せ場に業者が来なくなり、築港の労働者を求人していた唯一の港湾業者も期待できなくなり、労働者が一人も築港に立たない日があることが報告され、人民パトロールによる築港以外の業者の「賃金不払い」等々の労働相談の必要性が訴えられた。「築港を集合場所にすること」という要求も含めて福岡市に突きつけている「日雇い・野宿の労働者に対する公的就労対策事業を行なえ」という「仕事よこせ」の闘いがますます重要であることが強調され、とりわけ、県に対する要求をめぐっての団体交渉を通じて、具体的に仕事をかちとる成果をもぎ取っていかねばならないことも示された。
各寄せ場からの現状報告がひととおりなされた後、今後の闘いを巡っての討論が行なわれた。とりわけ、全国寄せ場で重要な2つの柱として取り組んでいる「反戦・反失業」の闘いについて、とりわけ、「仕事よこせ」の反失業闘争についての討論が行なわれ、全国の寄せ場―日雇い労働者が一丸となって来春の厚生労働省との団体交渉などを闘うことが確認された。分散会の集約では、本格的な戦争への突撃が一挙に強まり、全国労働者の「寄せ場―日雇い労働者化」とでもいうべき「生涯非正規化」「9割非正規化」が加速する中、これらの攻撃と真正面から対決し続けている寄せ場―日雇い労働者の闘いは、全国至る所で呻吟する労働者の闘う拠点として強化されなければらないということを全員が確認した。
分散会が終了し、それぞれの分散会から簡単な報告が行なわれ、続いて、司会から全国幹事が紹介される。各地区センターから選出された代表者の名前が紹介され、会場全体の大きな拍手で承認された。最後に、今後1年間の闘いの先頭に起つ幹事会からの決意表明だ。「安倍は改憲と戦時国家体制形成に突撃し、『日本労働運動を戦争翼賛の『産業報国会』型労働運動に転落させる攻撃が激化している。これを打ち破る革命的労働運動の前進にむけ一丸となって闘っていこう。労働組合運動こそが反戦の闘いの先頭に起ち、職場からの反戦決起を一挙的に実現しよう。未組織労働者、『非正規雇用』労働者との結合を強めよう。大阪・釜ヶ崎、東京・山谷で強まる寄せ場解体攻撃と対決し、2017年反戦・反合・政府打倒春闘の爆発をかちとろう」。会場からの圧倒的な拍手が起きる。司会が当面の行動提起を行ない、シュプレヒコールとインターナショナルの斉唱が会場に響き渡り、集会を終了していった。
2016年の全労交の飛躍に向けた格闘も十分な成果を獲得するものとはならなかった。全国寄せ場交流会が全国産別の役割を果たしつつあるとは言え、公務員労働運動の沈滞を打ち破るような闘いを組織しえず「日の丸」「君が代」強制と闘う教育労働者と連帯する闘いに取り組むに止まっており、民間争議もサントリー・SPS争議やヤンマー争議の敗北以後は、フィリピントヨタ争議を支援する闘いに取り組むに止まっている。公務員労働運動への頑強な取り組みを強め、あらゆる民間争議に取り組むべく地域連合労働組合を強化し基幹産業部門に手を掛けねばならない。全労交の飛躍を実現し、ゼネストを展望する階級的革命的全国統一センター建設を急がなければならない。
|