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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

高江現地レポート
最終決戦に突入した建設阻止闘争
(1209号25面)

北部訓練場一部「返還記念式典」開催を許すな

 高江ヘリパッド建設阻止の闘いは、最終決戦を迎えている。安倍政府は現在、「N1地区」2ヵ所、そして「H地区」「G地区」各1ヵ所の計4ヵ所のヘリパッド建設工事を同時並行で進めているが、それらを12月中旬までに完了させ、米海兵隊・北部訓練場(東村、国頭村)の一部の「返還記念式典」を、12月22日に名護市で開催すると宣言している。「返還式典」には、日帝側から官房長官・菅、米帝側から駐日米大使・ケネディが出席し、沖縄「県」知事・翁長も招待する方針だという。

 北部訓練場の返還は、1996年の「沖縄に関する日米特別行動委員会」(SACO)の「最終報告」に盛り込まれていたもので、「返還予定地内にあるヘリパッドの移設」と引き換えに、全体面積約7800ヘクタールのうち、過半にあたる約4000ヘクタールを返還するというものだ。しかし返ってくるのは、米軍が「戦略展望2925」なる文書で、「51パーセントの使用不可能な訓練場」と言っていた場所だ。同文書は、そこを返還する替わりに、「限られた土地を最大限に活用する訓練場を新たに開発する」とも記している。その「開発」の要が、オスプレイが使用するためのヘリパッドの建設であり、国頭村の宇嘉川河口先の「米軍提供訓練水域」と「G地区」のヘリパッドとを結ぶ「歩行訓練道」の建設に他ならない。米軍にとっては、使い物にならない不要な部分を返還して、はるかに機能強化された基地を手にするということだ。将来的には、そこを自衛隊が共同使用することも計画されている。何が「返還予定地内にあるヘリパッドの移設」か。どこが「沖縄の基地負担の軽減」か。日米で訓練場の強化、最新鋭化を図っているだけだ。

 今や、「12月中旬完成」に向かって、国家権力による激しい暴力と弾圧をテコに、突貫工事が強行されている。砕石の搬入量が、1日当たり100台分に達することも珍しくない。高江住民の生活を破壊し、騒音と粉塵をまき散らしながら、夜間や未明の作業も強行されている。

 しかし、現地では、暴虐に屈しない沖縄労働者人民の頑強・熾烈な闘いが展開されている。「闘いがあるかぎり、年内完成は不可能だ」、「勝利の方法は決して諦めないことだ」と闘志をたぎらせ、水曜日と土曜日の「大行動」をはじめとする連日の座り込み、国頭村の採石場から「N1地区」ゲートやメインゲートに至る「県」道上の各所でダンプカーの車列を阻止する闘い、そして「米軍提供施設区域」内に入り工事を阻止する闘いなど、果敢な闘いが、連日にわたって継続されている。

急激に加速される建設工事

 工事の加速はすさまじいばかりだ。4ヵ所のヘリパッドと工事用道路に使う砕石などの1日当たりの搬入量は、工事再開が強行された7月22日から9月末までは、ダンプカー10台から20台分程度であったものが、官房長官・菅の現地視察(10月8日)後、30台から60台分ほどに増加し、10月下旬から11月にかけては、80台から100台分と、当初と比べれば約10倍にも達した。国頭村の採石場とメインゲートないし「N1地区」ゲートの区間、あるいは砕石を集積しているメインゲート内と「N1地区」ゲートの区間を、「北勝重機」のダンプカー12台をフルに使ってピストンし、大量の砕石を運び込んでいるのだ。11月17日には、実に108台分の砕石や機材の搬入が強行された。1日当たりの搬入量では過去最大だ。

 11月3日からは、「G地区」で「歩行訓練道」の造成工事も開始された。宇嘉川が流れ込む国頭村の東海岸には、その河口部を中心に、121ヘクタールに及ぶ米軍の「訓練水域」がある。「SACO合意」に基づき、1998年12月に日帝政府が米軍に新たに提供したものだ。この「訓練水域」と「G地区」のヘリパッドとを結ぶ米軍用の「歩行訓練道」を新たに造ろうというのである。

 この「訓練水域」と「G地区」ヘリパッド、その両者を結ぶ「訓練道」こそは、米海兵隊がエアクッション型上陸艇(LCAC)や水陸両用車などで上陸し、オスプレイと連携して強襲作戦を行なうための訓練施設だ。海からの強襲上陸―内陸侵攻を主要任務とする海兵隊にとって、海とつながった訓練場は決定的に重要なのだが、これまで北部訓練場にはその機能がなく、陸・空の訓練しかできなかった。ところが今度は、陸・海・空一体の、実戦に極めて近い訓練が可能になる。

 しかもそれは、名護新基地建設と不可分一体の攻撃だ。名護新基地の建設計画には、海兵隊が上陸作戦に用いる強襲揚陸艦が接岸可能な軍港機能や、LCACが上陸できる斜路も含まれている。キャンプ・シュワブの北隣には、辺野古弾薬庫もある。本島北部、本部半島の北西9キロの伊江島には、米海兵隊・伊江島補助飛行場(伊江村)もある。そこでは現在、オスプレイやF35Bステルス戦闘機などが離着陸訓練に使うために、強襲揚陸艦の甲板を模した着陸帯「LHDデッキ」の拡張工事が強行されている。

 戦時に際して、北部訓練場や伊江島補助飛行場で、立案通りの作戦演習―直前予行演習を行ない、そのまま名護新基地から、兵員とともにオスプレイやLCAC、弾薬など満載した艦艇を海外の戦場に出撃させ、直ちに実戦に入るという機動作戦、電撃作戦も可能になる。一体型・即応型の軍事拠点を、本島北部に形成しようというのだ。これが、高江のヘリパッドと「訓練道」がもつ意味だ。

 「訓練道」の大規模な造成は、沖縄防衛局が2007年に作成した「環境影響評価」には含まれていなかった。それを沖縄防衛局は、10月28日に「県」に提出した「環境影響評価検討図書」では、「工法変更」にすぎないと強弁している。これには、ヘリパッド建設を黙認してきた「県」当局までもが、「これは工法変更ではなく、まったく新しい事業だ」と批判し、沖縄防衛局に「工事を実施すべきでない」と通告し、「環境影響評価の再実施」を求めたほどだ。だが、沖縄防衛局は、「環境影響評価は法的義務のない自主アセスにすぎない」、「事後調査で十分だ」と言い放ち、「県」の通告を無視して造成工事に踏み切ったのである。

 沖縄防衛局の「検討図書」などによれば、「訓練道」は全長約2・6キロ、伐採幅は約3メートル、道路幅は約1・2メートルで、うち半分以上にあたる1・75キロは重機を使った伐採を行なうとし、全部で4694本もの立木を伐採するという。途方もない森林破壊だ。

 工事の加速に対して、11月2日の「水曜大行動」では、約200人が結集し、工事車両を阻止するためにメインゲート前に座り込み、また「N1地区」ゲート北側の「県」道70号上でも、砕石などを積んだダンプカーの通行阻止行動が取り組まれた。約150人が結集してメインゲート前で取り組まれた5日の「土曜大行動」では、開始された「訓練道」造成工事の実態が暴露され、「切り拓かれ舗装された道路を海兵隊が行進するのでは、ジャングル訓練になるはずもない。造っているのは歩道ではなく、軍用車両用の道路ではないか」との指摘も出された。

激化する不当弾圧を許すな

 11月8日、参院内閣委員会で沖縄担当大臣・鶴保は、大阪府警機動隊員による「土人」発言―沖縄労働者人民に対する許すまじき差別発言について、「差別であると断じることは到底できない」、「言論の自由はどなたにもある」と言い放った。大阪府警機動隊員という国家権力そのものによる差別を、「言論の自由」の名で居直り、肯定しているのだ。しかし、「言論の自由」に「差別する自由」は断じて含まれない。しかも、言うまでもないことだが憲法上の「言論の自由」は、強力な権力を持つ国家に対抗するために労働者人民が有する基本的権利なのであって、当然のことながら、公権力を行使する側に与えられた権利では到底ありえない。安倍と同様、そんなことも分からぬこの極右分子は、「土人」発言を居直り擁護することで、国家による野放図な沖縄差別を推奨しているのだ。

 工事の暴力的・加速的推進に伴い、権力の弾圧もいっそう激しくなっている。那覇地検は11月11日、「沖縄平和運動センター」議長・山城博治氏ら2人を、「傷害」と「公務執行妨害」で起訴した。8月25日に「N1地区」裏ゲート付近で、「侵入防止フェンスの設置作業を行なっていた沖縄防衛局の職員に対して、腕をつかんだり揺さぶるなどの暴行を加え、公務を妨害した」というものだ。要するに、沖縄防衛局職員の誣告によるものだ。山城氏に対しては、那覇地検は同日、「有刺鉄線1本を切断した」として、「器物損壊」でも起訴している。しかも、この山城氏起訴を挟んで、「県」警警備一課は、一一月八日、「事件」の「共犯」として同じ2つの容疑で3人を逮捕し、17日にも、さらに1人を逮捕している。計6人にも及ぶ大弾圧だ。

 こうした政府・権力の凶暴・凶悪な姿勢に、沖縄労働者人民は怒りを倍化させ、一歩も引かない闘いを展開している。「N1地区」ゲート前を200人で制圧した11月9日の「水曜大行動」では、「鶴保は、差別を受けてきた沖縄の歴史を何も知らない。大臣失格だ」、「機動隊は、即刻本土に帰れ」という怒りの声とともに、「沖縄県公安委員会が、会議も開かずに『持ち回り』とやらで、全国から機動隊を呼び寄せた。その結果が『土人』発言であり、暴力と弾圧による工事の強行だ。県公安委員会は、県議会の同意を得て県知事が任命する。公安委員会のデタラメを許している議会や知事は、われわれの痛みを分かっているのか」と、翁長「県」政への憤りの声も公然と上げられるに至っている。12日の「土曜大行動」でも、「N1地区」ゲート前に結集した労働者人民から、「山城議長の起訴は、現場の運動に対する不当な弾圧だ」、「工事を急ぐ政府が、抗議運動を萎縮させようと狙ったものだ」、「弾圧で闘いを潰すことはできない。怯まずに闘うだけだ。逮捕者全員を一刻も早く取り返そう」という怒りと闘志に満ちた声が相次いだ。

 沖縄防衛局が、「米軍提供施設区域」に入った労働者・住民たちの写真を掲載して、「違法かつ悪質な妨害行動」と触れ回る対外的な説明資料を作成していたことも判明している。闘争破壊のための中傷キャンペーンと弾圧要請だ。とりわけ、山城氏については、個人を特定し、実名と顔写真を掲載している。しかも、「環境保全措置への妨害」のページでは、「違法侵入者は、ヘリパッド外縁部の防風柵沿いに繰り返し侵入し、移植したリュウキュウチクの周囲を踏み荒らしている。…違法侵入者は、やんばるの森を守ると言っておきながら、実態はそれとかけ離れた行動をとっている」とまで書いている。ヘリパッド建設という自らの深刻な自然破壊は棚に上げて、こんな恥知らずで本末転倒の詭弁まで弄しているのである。「通行妨害」のページでも、労働者・住民が「毎日違法封鎖し一般交通も妨害」と書いているが、工事車両が通る際に機動隊が道路を封鎖し、全車両を通行止めにして激しい渋滞を引き起こしている事実は隠している。安倍政府―沖縄防衛局の劣化、卑劣化は、ここまで来ているのだ。

露呈する突貫工事の破綻

 「12月中旬完了」のための突貫工事は、至る所で破綻している。住民無視、安全無視、法令無視のデタラメな作業の強行に、労働者・住民の怒りはますます強まっている。

 「工期短縮」のために、モノレールに替わって造成された「工事用道路」は、当初の計画では伐採幅4メートル、そのうち砕石を敷いて舗装する道路幅は3メートルとなっていたのだが、実際にはその範囲を各所で大きく超えており、道路幅は、最も広い場所で7・6メートルにも達している。「訓練道」についても、沖縄防衛局の計画では、砕石で舗装する道路幅は1・2メートルとなっていたのだが、実際にはそのほとんどが、2・5メートル前後になっている。「年内完成」という安倍の号令に追われて、「森林保護なんか知ったことか」、「図面なんか関係ない」、「とにかく伐採、とにかく舗装」とばかり、杜撰なやっつけ仕事を続けたことにより、どこもかしこも、道路幅が設計の倍以上になっているのだ。

 その結果、どんなに搬入しても砕石が足りないという事態に陥っている。当初の計画で「全体でダンプカー1400台分」とされた砕石の搬入量は、実際には、11月18日時点で2500台分を超えたが、それでもまだ足りないのが実情だ。今なお、激しい搬入作業が続いている。最終的にどれほどの砕石が必要なのか、沖縄防衛局でさえ分からなくなっているというのが実情であろう。

 「訓練道」の工事現場では、立木を伐採したすぐ後から、切り株も抜かずに砕石をバラまき、転圧する舗装工事が行なわれている。それなら確かに造成は急ピッチで進むが、そのうち切り株が腐って陥没し、道路として使い物にならなくなるのは明白だ。コンクリートで舗装する予定だった部分まで、砕石の舗装で済ませていることも判明している。

 「工期短縮」のため、夜間の工事、未明の搬送も強行されている。安倍政府―沖縄防衛局の焦りに焦った姿がそこにある。沖縄防衛局は、「評価図書」で、早朝や夜間の工事は「原則として行なわない」と言っていたのだが、そんな「原則」もすっかりかなぐり捨ててしまった。高江住民の騒音被害なぞ、まったくお構いなしだ。11月上旬から夜間に、ヘリパッド建設工事現場付近から、地ならしをする振動音や重機のキャタピラ音などが響いている。ダンプカーによる未明の砕石搬入も続いている。11月16日には、午前3時半頃から午前5時半頃まで、10台前後のダンプカーが「県」道70号を行き来した。その際の騒音の計測結果は、最大77・7デシベルで、「地下鉄の車内」に相当する音量だという。沖縄防衛局は、「通勤通学に支障を及ぼさない時間帯に運行させるなど、住民生活に配慮した計画を立てて実施している」と弁明するが、夜間の睡眠をメチャクチャに破壊しておいて、よくもそんなことが言えるものだ。

 これに対して、11月16日の「水曜大行動」では、約200人が「N1地区」ゲート前に座り込む中、高江住民が「午前2時、3時に、ダンプカーの騒音で目が覚める。安眠妨害も甚だしい」、「工事を急ぐあまり、見境なくやっていて、住民のことを何も考えていない証拠だ」と怒りの声を上げた。19日の「土曜大行動」には、「N1地区」ゲート前に約200人が座り込むとともに、メインゲート前付近でも約100人が座り込み、あるいは路上に出るなどして、砕石搬入阻止の行動に取り組んだ。ゲート前集会では、「工事は、最終局面にあるが、式典までに完成はさせない。諦めずに闘いぬこう」という提起に、拍手と指笛が沸き上がった。

 11月21日には、初の「月曜大行動」も取り組まれた。労働者・住民の集中日が水曜日、土曜日だけでは、その2日間でどんなに搬入を阻んでも、手薄な月曜日に大量搬入されてしまうことから、月曜日にも「大行動」を入れて、工事を止めようというものだ。初めての試みだったにもかかわらず、約50人が結集した。23日の「水曜大行動」では、小雨が降り続く中、約300人が「N1地区」ゲート前に座り込み、「年内完成が叫ばれるこの期に及んで、知事が反対の意思表示をしないなら、次の選挙で知事を替えなければならない」という知事・翁長への怒りや、「夜間や未明の作業は、安倍政権が焦っている証だ。工事が進んでいると言うが、それは上辺だけ、形ばかりのものだ。完成間近を宣伝することで、闘いを諦めさせようとしているだけだ。現場の闘いで工事を止めよう」という熱い闘志が表明された。

 11月26日の「土曜大行動」では、「N1地区」ゲート前での約200人による座り込みと並行して、約60人の労働者・住民が「米軍提供施設区域」に入り、「N1地区」のヘリパッド建設工事現場で抗議行動を展開した。「N1地区」のヘリパッドは、「最後の工程」に入り、砕石を盛った円形の土台部分に「張り芝」を敷きつめる作業が、すでに18日に行なわれていたのだが、26日にはその「張り芝」が再びはがされ、土台部分の再整備作業が行なわれていることが確認されている。土台が崩落する、凹凸がありすぎるなどが理由と思われる。杜撰なことをやりすぎて、工事の「やり直し」をせざるをえないハメになっているのだ。その無様な実態は、ゲート前集会で暴露された。

 「H地区」のヘリパッド建設現場でも、土台部分に敷かれた砕石を掘り起こして入れ直す作業が行なわれている。突貫工事はパンクだ。

知事・翁長の建設容認表明を許さず現地闘争の爆発を

 現地で激しい攻防が続く11月28日、ヘリパッド建設について知事・翁長は、「苦渋の選択の最たるものだ。約4000ヘクタールが返ってくることに異議を唱えるのは難しい」と言い放ち、高江ヘリパッド建設容認の姿勢をあらためて明確にした。翁長の高江ヘリパッド建設容認は、既定方針であり、別段新しいことではないのだが、この時期の表明は、「返還式典」をにらんだものであり、同時に、来年度沖縄関係予算をめぐり大詰めを迎えた政府・与党の議論に好影響を与えようという思惑を働かせたものであろう。

 翁長の立ち位置は、名護新基地建設に「反対」はするが、沖縄の基地機能の強化・最新鋭化と引き換えに、不要となった機能の移転・縮小・返還を進めるという「SACO合意」そのものには反対せず、むしろこれを、「負担軽減になる」、「経済振興につながる」として、積極的に受け入れ、推進するというものである。名護新基地建設をめぐっては政府と「対決」するが、安保・沖縄政策をめぐって政府と全面対決する気はさらさらないというものだ。所詮、沖縄労働者階級とは利害が違うのだ。したがって、名護新基地建設をめぐっても、「反対」する根拠も希薄で、「対決」の方法もきわめて動揺的なものにならざるをえない。

 実際、これに先立つ11月25日には、名護新基地建設めぐる訴訟の和解条項について協議する「政府・沖縄県協議会」の第4回作業部会が首相官邸で開かれたが、その場で「県」側は、キャンプ・シュワブ陸上部分の工事のうち、隊舎2棟についての工事再開を認めてしまっている。それが新基地建設工事の一環であり、次の埋め立て工事の先鞭であることが明白であるにも関わらずである。これを受けて、さっそく防衛省は、「手続きが済み次第、年内にも工事を再開したい」と表明するに至っている。

 知事・翁長による高江ヘリパッド建設容認表明に対して、現地では怒りが爆発している。闘う労働者・住民からは、「ヘリパッドは完成していないのに、何が『苦渋の選択』か。県民をきつい立場に追い込むものだ」、「誰のための、何のための返還なのか。返還の代償がヘリパッドで本当にいいのか」、「ヘリパッド建設は、過半の返還に名を借りた基地の機能強化でしかない。高江がよくて、辺野古がノーでは、納得できない」、「辺野古と高江は、連動する。そのような姿勢で辺野古でも政府と闘えるのか」という、厳しい批判と怒りが沸き上がっている。

 さらに、翌11月29日には、今度は沖縄「県」警警備1課と名護署が、山城博治氏をはじめ計4人を「威力業務妨害」容疑で逮捕するという挙に出ている。「1月28日から同30日にかけて、キャンプ・シュワブゲート前の路上にコンクリート製ブロック1400個余りを幅約5メートル、高さ約2メートルに積み上げてゲートをふさぎ、複数人で車両の前に立ちふさがるなどして、工事関係車両の搬入と沖縄防衛局の業務を妨害した」疑いだという。10ヵ月も前のことを今になって持ち出したこの弾圧は、闘いが最後の決戦を迎える中で、何が何でも山城氏をヘリパッドの完成まで拘禁しておこうという政治的意図に基づくものであり、さらに名護新基地建設工事の再開まで射程に入れて、阻止闘争を封殺してしまおうという汚い魂胆によるものだ。

 知事・翁長への怒り、そして凶暴な弾圧への怒りが現地に渦巻いている。約200人が「N1地区」ゲート前に結集した11月28日の「月曜大行動」に続き、30日の「水曜大行動」には、300人を大きく超える労働者・住民が結集し、「N1地区」ゲート前で、メインゲート前で、座り込みをやりぬいた。集会では、「知事は、一度も現場に来ていない。現場に来て、何が起こっているのか見るべきだ」という声とともに、「平日なのに参加者が多い。弾圧に負けない意思の表れだ」、「運動の萎縮を狙った政府の圧力には絶対に屈しない、絶対に負けない」という、燃えるような闘志に満ちた発言が相次いだ。

 闘いは最終決戦に入った。いかなる弾圧も、沖縄労働者・住民の闘いを挫くことはできない。翁長の高江ヘリパッド建設容認発言についても、労働者・住民のなかに怒りはあっても落胆はない。天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は、その怒りと闘いの先頭に起つ決意だ。現地集中を強化し、決戦を闘いぬこう。