海自護衛艦・「きりさめ」出撃阻止に起つ
11月20日、佐世保港から、ソマリア沖・アデン湾への「海賊対処行動水上部隊」第26次派兵が強行された。いわゆる「海賊」なるものの出没件数が、昨年はゼロ、今年になってからは1件と、ここ数年激減しているとされている。ところが、「1隻であろうとも出す」という安倍政府の本格的戦争突撃への執念とも言える出撃であり、今回は、11月1日の閣議決定で、2009年3月以来続いた2隻態勢を、1隻態勢に変更してからはじめての出撃である。くしくもこの日は、戦闘が続く南スーダンへの派兵が強行された日である。福岡県反戦は、福岡・築港日雇労働組合(福日労)の仲間たちとともに、出撃阻止の佐世保現地闘争に、さらなる闘志をもって決起した。事前通告なしで、オスプレイも頻繁に訪れる佐世保において、この日の2日前には、佐世保市の議員連盟が「安全かどうか確かめる」なぞという名目での要請を行ない、オスプレイに乗り込んだばかりである。ますます「軍隊の街」として打ち固められる佐世保における「基地解体・自衛隊解体・米軍解体」の闘いは、ますます重みを増している。
今回出撃したのは、護衛艦「きりさめ」(基準排水量4400トン)である。1999年3月の就役以来、インド洋、ソマリア沖への派兵をくり返している軍艦である。佐世保基地を定係港とする「むらさめ」型護衛艦の4番艦であり、62口径艦載砲、高性能20ミリ機関砲、対艦ミサイル、魚雷などの殺傷兵器を満載している。これに大村航空基地からの哨戒ヘリを搭載し、190人の自衛官と8人の海上保安官が乗り込み、約3週間かけてアデン湾へと向かうというものである。
「海賊対処法」は、「国際貢献」という名目ではなく「日本の国益」を掲げ、麻生政府が衆院への差し戻しで強行採決したものだ。「ソマリアの貧困問題など、海賊を生み出す根本的な要因はまだ解決しておらず」(前防衛相・中谷)などの屁理屈をこねて、出撃を執拗にくり返すことで、何が何でも自衛隊の実践軍としての強化と、戦争への世論馴化を目論んできたのだ。ソマリア漁民が「海賊」に追いやられた原因は、未だに解決されない周辺国によるマグロなどの乱獲と、ウランを含む「ゴミの投棄」などによるものではないのか。こうした問題に居直り、帝国主義による貧困の強制を居直り、「貧困問題」をうんぬんするなぞ、「盗人猛々しい」というものだ。怒りなしではいられない。青ヘル部隊は、さらなる怒りをもって佐世保現地闘争に決起した。
佐世保基地を見渡す前畑岸壁で決起
午前9時30分、部隊は、青ヘルをかぶり、「自衛隊解体!」「佐世保基地解体!」などのゼッケンを着け、佐世保基地を見渡す前畑岸壁に布陣する。赤旗が翻り、キリン旗を構える部隊周辺には、佐世保地区労をはじめとした長崎県下の労働者たちが続々と結集する。午前10時と伝えられていた「きりさめ」の出港が、11時に変更されたことが伝えられる。青ヘル部隊は、独自のシュプレヒコールを開始し、この日の闘いを先頭で牽引する意気を示す。午前11時前、「きりさめ」が、けたたましい警笛とともに姿を現す。ただちに、シュプレヒコールが叩きつけられる。「出撃を許さないぞ」「ソマリア沖派兵阻止」「自衛官は出兵を拒否しろ」。「きりさめ」の甲板に並ぶ自衛官にも、われわれの姿がはっきりと見えているはずだ。この船では2007年のインド洋派兵時に、乗組員が自殺をしている。自衛隊が実戦軍化されるほどに、隊員の間に動揺が走り、締め付けもきつくなる。自衛隊内における叛乱が求められている。「南スーダンへの派兵を許さないぞ」「駆け付け警護を許さないぞ」「沖縄・高江のヘリパッド建設阻止」「名護新基地建設を阻止するぞ」「沖縄労働者人民と連帯して闘うぞ」「全世界の労働者人民と連帯して闘うぞ」「国際連帯で闘うぞ」。「きりさめ」の姿が見えなくなる、最後までわれわれはシュプレヒコールを叩きつけた。
「安保法制関連法」により、「集団的自衛権の行使」に突き進む安倍政府のもとでの派兵を絶対に許さず、現地実力闘争にこそ勝利の確信があることをはっきりと突き出していかなければならない。「第2第3の高江」をありとあらゆる現地に創出しなければならない。この日も現地での闘いを見続けている地元の住民が、「他(の党派)はどこも来なくなりましたねえ」と、われわれのヘルメット姿に共感して、話しかけてきた。そうだ、佐世保は、あのエンプラ入港阻止の闘いへの共感が深く沁み込んでいる街なのだ。ますます翼賛化している議会でのやり取りは無力であるばかりではなく、与党の強行採決に口実を与えるだけだ。階級情勢を決するものは、決して議会にはない。労働者人民の実力・武装の闘い以外にはない。全世界労働者人民決起に連帯し、何としても実力・武装で安倍極右政府を打倒する革命的反戦闘争の大爆発をかちとろう。
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