安倍の号令で急加速される高江のヘリパッド建設工事
高江ヘリパッド建設阻止の闘いは、まさに「天王山」を迎えた。安倍政府―沖縄防衛局は、日本「本土」から動員した機動隊の数と暴力を力に、連日にわたり大量の資機材を「N1地区」ゲートから搬入し、「N1地区」、「H地区」、「G地区」の3地区・4ヵ所において、同時並行的にヘリパッド造成工事を強行している。さらに、「G地区」から国頭村の宇嘉川河口を結ぶ全長約2・6キロと言われる米海兵隊の「訓練道」の造成にまで着手している。
これに対して、沖縄労働者・住民は、怒りを倍加させながら、水曜日と土曜日の「大行動」をはじめとする「N1地区」ゲート前での連日の座り込み、国頭村の採石場から「N1地区」ゲートやメインゲートに至る国道上や「県」道上の各所でダンプカーの車列を阻止する闘い、そして米軍提供施設区域内に入り、草木を分けハブを避けながら工事現場まで到達して工事を阻止する闘いなどを、果敢に展開している。激しい暴力と弾圧に一歩もひるまず、頑強な闘いをうちぬいているのだ。
10月12日、「N1地区」ゲート前で「水曜大行動」が開催された。400人を超える大結集だ。沖縄労働者・住民は、早朝からゲート前を制圧して、座り込みと集会に取り組んだ。ヘリパッド建設現場ではこの日までに、「N1地区」の2ヵ所、「H地区」、「G地区」ともに、立木の伐採がほぼ終わり、各地区をつなぐ工事用道路の造成現場でも、立木を伐採して砕石を敷きつめる工事が進んでいる。伐採される樹木は、実に、全体で2万4000本にも上るという。
これに対して、ゲート前集会では、「県民の意地と誇りをかけた闘いだ」、「あらゆる手段で工事を阻止しよう」という提起が行なわれた。結局、この日、沖縄防衛局は、砕石を積んだダンプカーを搬入することができなかった。労働者・住民の大結集に恐れをなしたのだ。しかし、卑劣なことに沖縄防衛局は、労働者・住民の結集が手薄な翌10月13日にダンプカー約60台分、14日にも約50台分の資機材搬入を強行している。水曜日、土曜日が難しければ、それ以外の平日に、その分の「取り戻し」どころか、数日分を1度に搬入してしまえというわけだ。砕石搬入を請け負う「北勝重機」のダンプカー12台をフルに使い、ピストン輸送で大量搬入を強行しているのだ。「土曜大行動」の日にあたる15日も、「N1地区」ゲートへの搬入こそなかったものの、その南手前にある北部訓練場メインゲート内に、ダンプカー56台分にあたる砕石を運び込んでいる。週明けに、メインゲートと「N1地区」ゲートを往復して、すべて搬入してしまおうという魂胆だ。「年内完成」という首相・安倍の号令を受けて、工事に一気に拍車をかけているのだ。
これに対して、10月15日の「土曜大行動」では、「大行動」以外の平日でも、たとえ数十人の結集であっても、砕石搬入を阻止するために、「N1地区」ゲート前で毎日午前7時半から座り込みを行なうことが提起された。機動隊の激しい暴力でゲート封鎖を破られた「7・22の敗北」を越えて、同じ「N1地区」ゲート前で、連日の実力攻防をやりぬこうという提起だ。集会では、「北勝重機」のダンプカーについて、砕石を過積載している、車体に表示番号を書いていない、「巻き込み事故防止」のために設置されている運転席左側ドアの小窓を意図的に塞いでいる、リア・バンパーを不正改造しているなど、そのほとんどが「違法車両」であることも暴露された。にもかかわらず、「県」警は、「法律違反は確認されていない」と、シラを切って業者を擁護している。工事を急ぐために、業者と権力がグルになって、まったくの違法、無法を押し通しているのだ。
闘いの鎮圧を狙う弾圧の嵐
権力の弾圧も、ますます激化している。
沖縄「県」警・名護署は、10月17日、「有刺鉄線を切断した」として、現場の最先頭で指揮を執る「沖縄平和運動センター」議長・山城博治氏を「器物損壊」容疑で逮捕した。この日、山城氏を先頭に労働者・住民たちは、ダンプカー60台分もの砕石搬入に抗議して、午後3時過ぎから「N1地区」の山中に入り、運び込んだ砕石の集積場である「作業ヤード」で抗議行動を展開。行動を終えて、同氏が「県」道70号に出たところを、「事情聴取だ」と称して「任意同行」であるかのように装い、だまして警察車両に乗せた上で、「器物損壊」の「準現行犯」で逮捕したのである。あらゆる戦術を駆使した工事阻止の闘いと、その実力闘争としての発展を恐れた権力による不当弾圧だ。
さらに、同氏に対して10月20日には、「県」警警備一課と名護署が、「公務執行妨害」と「傷害」の容疑で再逮捕するに至っている。同時に、神奈川県の牧師まで「共犯」として逮捕した。「被疑事実」は、8月25日に、「N1地区」裏ゲートで、「侵入防止フェンスの設置作業を行なっていた沖縄防衛局の職員に対して、腕をつかんだり揺さぶるなどの暴行を加え、公務を妨害した」というものだ。要するに、沖縄防衛局職員の誣告によるものだ。この日、那覇地検は、「器物損壊」容疑で山城氏の勾留請求をしたが、那覇簡裁が却下。地検が那覇地裁に準抗告をしてようやく勾留決定が出されたのだが、再逮捕は、その決定が出る前に行なわれた。「器物損壊」容疑での勾留請求却下に備えて、「保険をかけた」のである。何が何でも身柄を拘束しておきたいという意図を、露骨なまでに示すものだ。翌21日には、同容疑で、「N1地区」裏ゲートのテントと山城氏の自宅の家宅捜索も行なっている。
今回の弾圧は、工事の加速化・激化に伴い、闘いが文字通り正念場を迎える中で強行された。「N1地区」ゲート前の攻防はもとより、米軍提供施設区域内の工事現場に進撃する闘いが熾烈化・本格化していた。逮捕覚悟の実力の闘いをしなければ、もはや工事は止められない。こうした闘いを叩き潰すことが、弾圧の目的だ。
しかも、この弾圧は、「米軍提供施設区域には入るべきでない」、「逮捕されるような行動は、県民の理解を得られない。やめるべきだ」と主張する日共系諸団体との現場における闘争方針の相違が明確化し、マスコミ紙上でもそれが報道され表面化するに至った頃合いを見計らったように強行された。狙いは、闘いの分断と誘導だ。闘いの実力闘争としての発展を制動しようと躍起になる日共に肩入れして、日共のヘゲモニーのもとに現場の闘いを集約させ抑え込ませようという意図がミエミエの弾圧だ。
さらに、10月26日には、 那覇地検が、「工事への抗議活動中に沖縄防衛省職員にけがを負わせた」として、「傷害」容疑で逮捕されていた1人に対して、「公務執行妨害」と「刑事特別法」違反を付け加えて起訴している。 7月から開始されたヘリパッド建設工事を巡る攻防で、起訴は初めてのことであり、わざわざ「刑事特別法」違反を付け足したことは、米軍提供施設区域内での闘いへの大弾圧に道を拓こうと意図するものだ。
国家権力による「土人」発言―沖縄差別を断じて許すな
10月18日、「N1地区」ゲート横の丘に設置されたフェンス沿いで抗議行動をしていた労働者・住民に対して、フェンスの内側にいた大阪府警の機動隊員が、「クソ、ボケ、土人が」と言い放った。沖縄労働者人民への許すまじき差別発言だ。別の大阪府警機動隊員からは、「黙れ、こら、シナ人」なる罵声も発せられた。
権力は、当初、「そのような発言は確認されていない」とシラを切ったが、隠し通すことができなくなると、一転、「事実だ」と認めた上で、あわててこの2人を大阪に帰任させ、「戒告」の「懲戒処分」にした。個人の「不適切」な発言に問題を切り縮め、2人を「処分」することで、問題のもみ消しを図ったのだ。
しかし、それは、発言者個人だけの問題では到底ありえない。「琉球処分」以来の日帝による沖縄統合支配が拡大再生産してきた沖縄差別が、機動隊員の口を通じて露呈したものだ。直接的には、ヘリパッド建設を暴力的に強行する安倍の「未開の者たちには何をやっても構わない」、「国策に従わない非国民には何を言っても構わない」という内心を、言葉として忠実に表現したものだ。
だからこそ、政府・権力は、この発言に対して、一様に「不適切」との枕詞を冠した上で、開き直りを決め込んでいる。官房長官・菅いわく、「差別意識の表れではまったくないと思う」。沖縄北方担当大臣・鶴保いわく、「果たして県民感情を損ねているかどうか。人権問題にはあたらない」。機動隊員が所属する大阪府警本部いわく、「侮辱する意図はなかった」。「土人」発言が「差別意識の表れ」でも、「人権問題」でも、「侮辱」でもないとしたら、いったい、何がどう「不適切」だったと言うのか。機動隊の動員を命じた最高責任者である安倍からは、たった一言の謝罪もない。大阪府知事・松井に至っては、「大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのが分かりました。出張ご苦労様」などと、発言者を全面擁護し、ねぎらいの言葉までかけている。そうすることで、「土人」発言が沖縄労働者人民に対する日帝支配階級の本音であることを、臆面もなく吐露しているのだ。
沖縄労働者人民は、「人類館事件」を決して忘れない。「人類館事件」は、1903年に大阪で開かれた「第5回内国勧業博覧会」の会場で、「7種の土人」として、沖縄人やアイヌ、台湾先住民らが見せ物として「展示」された事件だ。今回の「土人」発言は、日帝支配階級とその政府・権力の当時と相も変らぬ差別的沖縄人観を表白したものだ。
高江の現場だけではない。沖縄中が政府と権力への激しい怒りに包まれている。約250人が結集した10月19日のメインゲート前での「水曜大行動」でも、「沖縄県民への差別意識がすべて凝縮されている」、「府警の責任、政府の責任はどうするのか」、「全国から動員された機動隊の撤退と工事の取り止めこそが本当の対応策だ」と、激しい怒りが表明された。
同時に、沖縄労働者人民には、「人類館事件」の教訓も脈々と継承されている。日帝による同化・皇民化政策の中で、当時の「琉球新報」が「台湾の生蕃、北海のアイヌ等と共に本県人を撰みたるは、是れ我を生蕃・アイヌ視したるものなり。我に対するの侮辱、豈これより大なるものあらんや」と社説で憤ったごとく、「沖縄県民をアイヌや台湾先住民と同一視するな」という主張も強かった。そうした同化・皇民化こそが凄惨な沖縄戦へと帰結したことを、沖縄労働者人民は、歴史の教訓として共有している。だからこそ、今や、「『土人』発言には、『土人』と言われたくなければ日本人らしい日本人になれ、忠良なる日本国民になれという、同化を強いる意図も感じる。私たちは同化を拒否する。政府の言いなりには決してならない」(ゲート前集会での発言)という声が、ますます強く、高くなっているのだ。
現地集中をいっそう強化し「年内完成」攻撃を打ち破れ
闘う沖縄労働者・住民は、山城氏逮捕と「土人」発言に怒りをたぎらせ、実力闘争への衝動をますます強めながら、安倍政府の凶暴な工事強行に真っ向から立ち向かっている。10月22日の「土曜大行動」には、約300人が「N1地区」ゲート前に座り込み、26日の「水曜大行動」では、メインゲート前に約200人が座り込んだ。
10月29日には、早朝からの「土曜大行動」に続いて、「N1地区」ゲート前において正午から、「機動隊員による沖縄を侮辱する暴言を許さない! 緊急集会」が開催された。「基地の県内移設に反対する県民会議」(「県民会議」)、「ヘリパッドいらない住民の会」(「高江住民の会」)、「ヘリパッド建設に反対する現地行動連絡会」(「高江連絡会」)の3団体による共催だ。集会には約400人が結集した。
集会では、「全国の基地面積の74パーセントを沖縄に押しつけ、その上新たな基地まで造る差別政策が、正直に口から出たものだ」、「私も、『土人』だ。この島は、『土人』の領土だ。『土人』にも生命を守る権利がある。機動隊は、『土人』の島から出ていけ」と、差別発言に厳しい指弾の声が上がった。工事に対しても、「県議会も県知事も、何をやっているのか。さっさと全国の機動隊を帰して、工事を止めさせるべきだ」、「工事は、あと1ヵ月が勝負だ。100人くらい逮捕されてもいい。次の世代に何を残すか、沖縄戦と同じ体験をさせるのか。負の遺産を残さないように闘おう。そのためには覚悟が必要だ。言葉でなく行動が必要だ。現地での闘いが重要だ」、「砕石搬入については、あと10日間が勝負だ。残りの砕石搬入を止めよう。毎朝7時半に集まろう。1日だけでもいい。職場、大学を休んで現地に来てほしい」という熱い提起が相次いだ。
安倍政府は、今や、「12月20日の返還式典開催」を宣言している。それまでに、米軍が北部訓練場・7513ヘクタールのうち3987ヘクタールを返還し、さらに安倍政府が地主との賃貸契約解除を終わらせるという。ということは、返還と交換条件であるヘリパッド建設工事も、それまでにすべて終わらせるということだ。そのために、労働者・住民を蹂躪する力ずくの工事、違法行為も環境破壊も意に介さないずさんな突貫工事が強行されている。10月24日には、「H地区」の工事現場から赤土の大量流出が確認された。10月31日には、ダンプカー100台分の砕石搬入が強行された。これまで最高だった10月10日の66台を大幅に上回る数だ。「G地区」では、ヘリパッド造成地と宇嘉川河口を結ぶ「訓練道」の造成工事も開始された。予定地では、立木の野放図な伐採と舗装作業が急ピッチで進められている。
闘いは、最終決戦を迎えた。工事を実力阻止し「年内完成」の野望を粉々に打ち砕く闘いの爆発が求められている。天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は、現地集中をいっそう強化し、闘う沖縄労働者・住民の先頭で闘いぬく決意だ。
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