伊方原発ゲート前で決起
8月12日、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」は、四国電力・伊方原発3号機(愛媛県伊方町)再稼働阻止の現地闘争に起ち上がった。四国電力は、伊方原発3号機について当初、7月26日の再稼働を目論んでいたが、直前になって、原子炉の1次冷却水を循環させるポンプの水漏れ発覚で再稼働を延期した。7月末には、「部品交換などが終わり、最終的な点検を行なえるメドが立った」として、四国電力は、8月12日午前9時に原子炉を起動して3号機を再稼働させることを宣言してきた。
伊方原発3号機の再稼働の具体的日程が煮詰まってくるなかで、長年、伊方原発に反対し闘ってきた地元反対派住民の「八幡浜・原発から子どもを守る女の会」の斉間淳子氏を先頭に、毎月11日の定例のゲート前抗議行動をはじめ、伊方町内のビラ入れ行動などが闘われてきた。わが解放派も、地元反対派住民に連帯する闘いとして、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」とともに、本年2016年は、3・21、7・2と2派にわたる現地闘争に決起してきた。
8月12日早朝7時、四国電力・伊方原発ゲート前に闘う労働者人民が続々と結集してくる。「釜ヶ崎労働者の会」も、「伊方原発3号機の再稼働を阻止しよう」と大書した横断幕と「釜ヶ崎労働者の会」の赤旗を手に布陣する。
労働者人民の伊方原発再稼働阻止現地闘争の爆発に恐怖する国家権力―愛媛県警は、ゲート前に結集する労働者人民の車両をあらかじめ登録させ、国道197号線沿いの伊方町九町越地区所在の「四国電力ビジターズハウス」から伊方原発ゲート前に通じる県道255号線の通行は、登録車両以外は認めないとする暴挙に出てきた。ゲート前までの送迎での通行の際にも、いちいち愛媛県警の車両が労働者人民の車両を追尾するという有様であった。しかも、伊方原発ゲートの手前100メートルが警察の設置したバリケードで封鎖され、車両ではゲート前まで行けず、あとは徒歩でゲート前に向かえ、とする念の入れ様である。このような愛媛県警による弾圧体制を徹底弾劾しなければならない。
午前9時にも再稼働を強行するというスケジュールを四国電力が発表してきている中、ゲート前に結集した闘う労働者人民が次々とマイクを握り、再稼働を強行せんとする四国電力への弾劾と再稼働阻止の決意を明らかにしていく。「熊本地震が収束していないのに、地震で大事故が起きたら四国電力はどう責任を取るのか」「伊方原発3号機は、プルトニウムを燃やすプルサーマル発電だ。もともと伊方原発3号機はウランを燃やす前提で作られている。プルサーマルは無茶苦茶だ」。
午前9時、伊方原発3号機が起動し再稼働が強行されたとの一報に、怒りはさらに高まる。「再稼働弾劾!」「すべての原発なくせ!」「伊方原発今すぐ止めろ!」と労働者人民は、怒りのコールで再稼働を徹底的に弾劾する。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」が発言に起つ。「伊方原発3号機再稼働を徹底弾劾する。原発は、被曝労働なしには1秒たりとも動かない。労働者を絶えず犠牲にしてきた原発をただちになくしていこう」「安倍政府が執拗に原発再稼働と原発の新(増)設を狙うのは、核武装が目的だからだ。日帝の核武装を阻止しよう。改憲―核武装に突き進む安倍極右政府を打倒しよう」「地元反対派住民と連帯して、『釜ヶ崎労働者の会』は、ともに闘いぬきます」と闘う決意を明らかにして、この日の現地闘争を貫徹した。
伊方原発3号機再稼働徹底弾劾
四国電力は、8月12日午前9時、伊方原発3号機再稼働を強行した。翌8月13日に、原子炉が「臨界」に達したと発表され、8月15日から、発送電が開始された。「新規制基準」の下での再稼働は、九州電力・川内原発1、2号機(鹿児島県)と、関西電力・高浜原発3、4号機(福井県)に次いで、3ヵ所・5基目となる。しかし、高浜原発は、現在、大津地裁が「運転差し止め」を命じる「仮処分決定」を出したことを受けて停止しており、川内原発も、10月から12月にかけての「定期検査」入りを前にして、「川内原発の一時停止と点検」、「原発に頼らない社会」を唱える三反園が県知事に就任したことにより、先が見通せない状況を迎えている。このような中で、安倍も、「原子力規制委員会」も、電力会社も、「稼働原発ゼロ」への舞い戻りは何としても避けたいとばかりに、執拗に伊方原発の再稼働を狙ってきたのだ。伊方原発3号機再稼動を徹底弾劾しなければならない。
伊方原発3号機は、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル」型の原発だ。原爆数千発分にあたる47トンものプルトニウムをため込む日帝が遮二無二、推し進めてきたのが、ウラン燃料にプルトニウムを混ぜて原子炉で燃やす「プルサーマル」だ。これは、「石油ストーブにガソリンを入れるようなもの」(京大原子炉実験所元助教・小出裕章氏)と言われるほど危険な代物だ。にもかかわらず、「プルサーマル」型原発の再稼働が執拗に推し進められているのだ。断じて許すことはできない。「規制委」の「新規制基準」による「適合性審査」が進んでいるとされ、伊方原発に続く再稼働が目される九州電力・玄海原発3号機(佐賀県)も「プルサーマル」型原発だ。
反原発・反核燃闘争の爆発を
関西電力・大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働に向けた動きも加速している。大飯原発は、現在、「規制委」による「適合性審査」にかけられているのだが、その過程で「規制委」の委員長代理まで務めた地震学者が、「審査」の根幹をなす「基準地震動」について、「過少に見積もられている可能性がある」と指摘し、「基準地震動の算出に問題がないかどうか、もう一度精査してほしい」と求めたことに対し、「規制委」は、7月27日、計算方法も計算結果も「見直す必要はない」と切って捨てている。
この議論の過程で、「規制委」事務局を構成する「原子力規制庁」職員は、電力会社が独自の手法で行なった「基準地震動」を再計算して確認する術をまったく持たず、電力会社が出してくる数字をただ鵜呑みにしているだけだったことも露見している。電力会社がいかがわしい「計算」で勝手に都合のいい数値を設定し、これを「規制庁」の役人が訳も分からず追認し、その結果をまた「規制委」が追認する。これが「世界一厳しい審査」なるものの実態だ。「規制委」が認定した「基準地震動」が電力会社の設定した数値を大きく超えれば、電力会社は、耐震補強工事などに莫大な費用と時間をかける必要が生じる。それが設計上許容できる値を超えれば、原発の再稼働自体が不可能になる。そのような事態を避けるために、電力会社と「規制庁」、「規制委」がグルになって、お手盛りの「審査」をやっているのだ。こんな猿芝居で、大飯原発の再稼働に「ゴーサイン」が出されようとしているのだ。
老朽原発の延命にも拍車がかけられている。「規制委」は、8月3日、運転開始から今年で40年の期限を迎える関西電力・美浜原発3号機(福井県)について、関西電力が出した「安全対策の基本方針」が「新規制基準に適合する」と認める「審査書案」を了承した。関西電力・高浜1、2号機(同県)に続いて、またもや20年の運転延長を認めたのだ。伊方原発3号機(1994年12月運転開始)について、四国電力社長・佐伯は、8月15日の記者会見で「これだけ安全対策をした中で、60年運転というのは念頭に置くべきかなと思う」なぞと、40年超えの運転強行を目指す意向を明らかにした。1977年運転開始の伊方原発1号機については、運転開始から40年を迎える2017年を前に廃炉が決定しているが、これは原発で「採算ライン」とされる出力80万キロワットを下回る出力56・5万キロワットというのが理由の一つとされる。「採算ライン」の出力80万キロワットを超えていれば、運転開始40年超の老朽原発でも、どしどし運転延長するということだ。四国電力は、伊方原発3号機再稼働で250億円の利益改善が見込めるとしながら、伊方原発3号機に関しては耐震性向上や火災防護などの安全対策費について総額約1700億円もつぎ込むとしている。いかに採算を度外視しようが、電源3法に守られた国策事業たる原子力発電は、今後も推進するという宣言だ。労働者人民の命もへったくれもない、こんなデタラメを許してはならない。
安倍政府が「規制委」と電力会社の尻を叩き、「安全」「人命」をまったく無視して原発の再稼働と新(増)設に突き進むのも、破綻を重ねる「核燃料サイクル事業」にしがみつくのも、すべては核武装のためだ。原発労働者、周辺労働者人民の被曝なしには存在しえない原発は、即刻廃止しなければならない。核武装のための日帝原子力政策は、ただちに葬り去らねばならない。現地実力闘争の爆発で全国原発の再稼働を阻止せよ。大間原発をはじめとする原発の新(増)設を阻止せよ。六ヶ所再処理工場の本格操業を阻止し、「もんじゅ」の廃炉をかちとり、「核燃料サイクル」計画を粉砕せよ。日帝の核武装化に対決し、反原発・反核燃闘争の大爆発をかちとれ。
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