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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

 高江現地レポート
猛暑の中で続く工事阻止の激闘
(1194号4面)

「N1地区」裏ゲートの攻防

 米海兵隊・北部訓練場(国頭村、東村)のヘリパッド建設をめぐり、東村・高江の現地では、8月の猛暑の中、沖縄労働者・住民の熱い闘いが継続している。この闘いに、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会(沖縄青年実)と沖縄・首里日雇労働組合(沖日労)も、泊まり込みも含んで決起し、ともに闘いぬいている。

 7月22日、安倍政府―沖縄防衛局は、東京・警視庁をはじめ全国から約500人の機動隊を動員し、一帯にまるで戒厳令のような厳戒態勢を敷いた上で、「N1地区」ゲート前でゲート封鎖―工事阻止を闘う沖縄労働者人民に対して、圧倒的な数と暴力で襲いかかった。労働者・住民を強制排除し、ゲート前の車両やテントを破壊・強奪し、力ずくでゲートをこじ開けて、新たなヘリパッド建設工事に踏み込んだのだ。テントの撤去は、法的根拠がまったくないまま強行された。労働者人民を排除するために、沖縄防衛局がゲート前の「県」道沿いに建てた金網フェンスは、沖縄「県」から「道路法上の同意なしに設置された不法物件」だと「指導」され、しぶしぶ撤去するという事態にもなっている。「権力による無法」が横行しているのだ。

 しかし、決して諦めない。それが沖縄労働者人民の闘いだ。以降も現地では、連日にわたって激闘が展開されている。闘いの焦点は、「N1地区」裏ゲートだ。裏ゲートは、労働者・住民が「N1地区」のヘリパッド建設予定地に続く林道の入口付近にテントと車両を設置して封鎖している。ここを死守すれば、工事はできない。

 「7・22」以降、沖縄防衛局の手によって進められている工事は、「N1地区」ゲートから、2ヵ所のヘリパッド建設予定地を経て、反対側の裏ゲートへと抜ける工事用道路の建設である。現在そこには細い林道が通っているのだが、その林道脇の斜面を削り、立ち木を伐採して拡幅し、砂利を敷きつめて、10トントラックが通行できる道路を造ろうというのだ。「N1地区」ゲートから裏ゲートへの一方通行で、工事車両を次から次へと流そうという計画だと言われている。「N1地区」ゲートからヘリパッド建設予定地に至る道よりも、裏ゲートからヘリパッド建設予定地に至る道の方が近くて状態が良いため、工事車両のメインの入り口を裏ゲートにする可能性も否定できない。

 なお、沖縄防衛局が、立ち木を伐採する際に本来必要な林野庁沖縄森林管理署との「事前協議」を何も行なわないまま、無断で工事を進めていたことも判明している。これまた無法だ。安倍政府は、無理やり工事を進めるために、こんなデタラメまでやっているのだ。

 砂利で舗装された工事用道路は、8月上旬の時点で、「N1地区」ゲートから約2000メートルができ、ヘリパッド建設予定地まで約800メートルの距離にまで迫っているという。ただし、そこで林道が崩落しているため、崩落個所を迂回する新道を造成している最中であるという。権力が「N1地区」裏ゲートのテント撤去を強行する場合、道幅が狭い裏ゲート外側からではなく、工事用道路を貫通させた上で、背後から「逆落とし」をかける可能性も高い。状況は緊迫している。

〈8月5日〜8月6日〉
現地大集会と泊まり込みで防衛局と機動隊を迎え撃つ

 このような中で、8月5日午後6時から、「N1地区」裏ゲート前において、現地大集会が開催された。裏ゲートのテントの撤去を求める沖縄防衛局による通告の期限が「8月5日」となっていたことを受けて、翌6日にも予想される強制排除―強制撤去を迎え撃つための意思一致集会だ。「ヘリパッドいらない住民の会(高江住民の会)」、「高江ヘリパッド建設反対現地行動連絡会(高江連絡会)」、「基地の県内移設に反対する県民会議(県民会議)」などが主催したこの集会に、沖縄各地から約1000人の労働者人民が結集した。「7・22」の権力の暴挙をネットなどで知り、日本「本土」から駆けつけた青年たちも数多くいる。

 「高江住民の会」、「高江連絡会」、「県民会議」などで作る「現地実行委員会」を代表して、山城博治氏(沖縄平和運動センター議長、「県民会議」共同代表)が司会を務める。山城氏は、「8月6日以降、大きな緊張を迎える。高江で10年来頑張りぬいてきた力が試される時だ。必ずやこの森を守りぬこう。心を合わせて闘おう」とあいさつした。

 続いて、「県民会議」、「高江住民の会」、「高江連絡会」などが発言に起ち、「安倍による沖縄への弾圧を必ずはね返そう。安倍政治をこの沖縄から止めていこう。決して諦めない。負けない。それが沖縄の闘いだ。ともに沖縄の未来を切り拓こう」、「9年間、昼も夜も見張りをし、高江を守りぬいてきた。『N1地区』ゲートを破られたことは悔しいが、まだヘリパッドは造られていない。造られても使わせなければすぐに森に帰る。高江の住民でヘリパッド賛成は、1人もいない。必ず勝てる」、「ここがふんばり時だ。工事を阻止するために、頑張りぬこう」と、力強く訴えた。「7・22」に怒り日本「本土」の各地から結集した労働者・市民の発言がこれに続く。突然降り始めた激しい雨のなか、集会は、「団結ガンバロー」で締めくくられた。

 集会終了後、多くの参加者が現場に残り、「N1地区」裏ゲートの林道に張られたブルーシートの下や、農道沿いに止めた車中に泊まり込んで、翌日の攻防に備えた。その数、約500人。「7・22」で機動隊の圧倒的な数と暴力に押し切られたことを受けて、「たった100人程度の人たちに沖縄の運命を担わせるのは苛酷すぎる」との山城氏の提起に応えて、今度こそ現地集中の力で勝ち切ろうと、多くの沖縄労働者人民が奮い起ったのだ。

 沖縄防衛局が示した撤去期限が切れる8月6日午前0時から、夜を徹して監視体制がとられる。断続的に続くドシャ降りの雨が上がった午前6時15分、「N1地区」裏ゲート前で集会がもたれ、山城氏から沖縄防衛局と機動隊に動きがないことが報告されると、大きな拍手と歓声が沸き起こる。

 しばしの待機―休憩を挟んで、午前9時からは、「中締め」の総括集会が開かれた。山城氏が「緊張した朝をみんなで迎えた。今日は、テント撤去を止めることができたようだ」と報告すると、参加者から大歓声が起き、指笛が鳴り渡る。「正面からの攻撃、そして裏の林道からの攻撃に備えよう。8月7日午後に再結集し、週明けの8月8日朝の撤去攻撃に備えよう」という提起を全体で確認して、「ウィーシャル・オーバーカム」の大合唱と「団結ガンバロー」で、闘いを終えていった。

高江現地への集中を強化しヘリパッド建設を阻止せよ

 高江現地では、これ以降も頑強な闘いが継続されている。8月7日夜も、小雨が降り続くなか、「N1地区」裏ゲートのテント内で約300人が参加して集会が開かれた。山城氏が、「これからの攻防が最大の課題だ。これ以上、民主主義を破壊させない闘いを続けよう」と呼びかけ、「高江住民の会」の儀保昇氏が、「7月22日は、さすがにみんな涙が出た。『N1地区』裏ゲートが最後の砦ではない。表ゲートも止めよう」と、工事用車両を止める不屈の決意を表明するなど、集会は、終始熱気に満ちたものとなった。集会後には、結集したほぼ全員が泊り込んだ。

 8月8日のテント撤去を阻止した沖縄労働者人民は、その日、「県」道70号で、「N1地区」ゲートから砂利を搬入する工事用車両に対する抗議行動にも取り組んだ。機動隊の強制排除によって、1人が指を切る怪我を負わされ、救急搬送されるという事態も発生している。

 8月9日も、「N1地区」裏ゲートと「県」道で闘いが展開された。これに対して、権力―機動隊は、午前7時30分頃から、「N1地区」ゲートを挟む東村側2ヵ所と国頭村側1ヵ所で、「交通規制」と称して「県」道70号を封鎖するという挙に出た。封鎖は、「7・22」以来のことだ。このうち1ヵ所は、「N1地区」裏ゲートにつながる新川ダムへの進入路を封じるものだ。封鎖は、午前9時30分には解除されたが、約2時間にわたって一般車両まで完全に足止めにするという暴挙に、労働者・住民の怒りは高まるばかりだ。

 8月10日にも、午前7時30分頃から、同じ場所で権力による道路封鎖が強行された。1ヵ所は、東村・高江の集落から「県」道70号に出る道で、通勤や畑仕事に行こうとしていた住民、保育園に子供を送ろうとしていた住民なども、すべて足止めを強いられた。「集落の出入り口を塞ぐなんて、何を考えているのか」という激しい怒りが噴出している。

 8月11日には、「県」道70号で、車両やバイクが工事用車両や警察車両の前を低速で走る「牛歩戦術」の行動に参加していた労働者1人を、沖縄「県」警・名護署が「公務執行妨害」容疑で不当逮捕するに至っている。逮捕は、この闘いで初めてのことだ。「警察官にバイクの停止を求められた際、突然発進して警察官を引きずり転倒させた」というものだが、その一部始終が他の闘争参加者の車載カメラに映っており、容疑がまったくのデッチ上げであることは明白だ。8月12日には、名護署前に約120人が押しかけて、抗議行動が展開された。8月13日も、権力の道路封鎖に抗して、資材搬入に抗議する労働者人民による抗議行動が粘り強く闘いぬかれた。

 沖縄防衛局は、旧盆を挟む8月14日から18日の期間中、作業を一時停止することを明らかにしている。盆休み明けの一斉攻撃を準備していることは明らかだ。これに対して、8月19日早朝から、北部訓練場メインゲート前で、大集会が呼びかけられている。沖縄青年実と沖日労は、現地集中をいっそう強化し、実力闘争への確信を深め熾烈な闘いを打ちぬく沖縄労働者人民の先頭に起って闘いぬいていく決意だ。