「被処分者の会」が「抗議声明」
7月21日、東京都教育委員会は、2015年度卒業式において「君が代」不起立を闘った都立高校教師・KS氏に対して戒告処分を発令したうえで、4月5日につづく2回目の「服務事故再発防止研修」を、東京都教職員研修センターで強行した。これに対して「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会(被処分者の会)」は、「再発防止研修」抗議・該当者支援の行動を呼びかけた。都教委は、7月19日にも、同じく2015年度卒業式において「君が代」不起立を闘った都立高校教師・YT氏に対する2回目の「服務事故再発防止研修」を研修センターで強行している。
7月21日、午前8時過ぎ、雨の中を四〇人の支援者が研修センター前に結集し、「再発防止研修」抗議・該当者支援行動が始まった。抗議集会は、「被処分者の会」共同代表・岩木氏が司会に起ち、怒りのシュプレヒコールを研修センターに叩きつける行動から開始され、続いて、「被処分者の会」事務局長・近藤氏が、「弁護団の申し入れ、結集した団体からの要請書の提出、該当者の入場に対する激励行動、『研修』を終えた該当者を迎える行動を最後まで闘いましょう」と呼びかける。
「被処分者の会」は、「抗議声明」を読み上げ、「この『研修』は、自己の『思想・良心』や、教師としての『教育的信念』に基づく行為故に不当にも処分された教職員に対して、セクハラや体罰などと同様の『服務事故者』というレッテルを貼り、精神的・物理的圧迫により、執拗に追い詰め『思想転向』を迫るものである。私たちは、このような憲法に保障された『思想・良心の自由』と『教育の自由』を踏みにじる『再発防止研修』の強行に満身の怒りを込めて抗議するものである」「『研修』対象者は、東京『君が代』裁判第4次訴訟原告であり、東京都人事委員会の処分取消請求事件の請求人でもある。係争中の事案について『服務事故』と決めつけ、命令で『研修』を課すことは、『研修』という名を借りた実質的な二重の処分であり、被処分者に対する『懲罰』『イジメ(精神的・物理的脅迫)にほかならない」と弾劾する。
東京・山日労が決意表明
弁護団の平松弁護士が「再発防止研修」の不当性を訴える「申し入れ」を行なった後、研修センター総務課長の見解をただすが、総務課長は、「『申し入れ』は、受けたまわった。『研修』は、予定通りやります」という、判を押したような返答だ。8時50分、当該のKS氏が研修センターに入場する時間となり、結集した支援の労働者は再び「KSさん頑張れ!」とシュプレヒコールをあげ、KS氏を送り出した。
KSさんの入場後も抗議集会は続けられ、東京「君が代」裁判第3次訴訟原告が、「7月12日に、最高裁が上告棄却の決定を通告してきた」と怒りの報告を行なった。当日の闘いに神奈川県地域連合労働組合とともに結集した東京・山谷日雇労働組合は、「都教委や研修センターの職員が門前に立ちはだかる『再発防止研修』の現場に来ると、この『研修』が当該のKSさんに思想転向をせまるものだということが、その雰囲気から感じられます。日雇い労働者が教育現場の闘いに対してできることは多くありませんが、教育現場で踏ん張る労働者をさらに広げるためにも『再発防止研修』に対する闘いなどを共に闘いぬく決意です」と、決意を明らかにした。
10時50分、「研修」を終えたKSさんが出てきたが、午後の授業があるために、報告の発言はなかったが、「研修」の内容は、都教委職員や校長ら5人に取り囲まれ、用意された質問への応答、都教委の「模範解答」の指導、受講報告書の作成、「振り返り」のチェック、研修部長指導・訓話などで、「職務命令に従え」「『君が代』を率先垂範して歌うのは教職員の責務だ」と繰り返すものだったという。
抗議・激励行動の最後に、「被処分者の会」から「田中聡史さんへの『再発防止研修』はまだ終わっておらず、8月末に研修センターに呼び出しての3回目の『所属校研修』と9月から10月にかけての『まとめ』の『研修』が行なわれる。半年間にも及ぶ『研修』を強制される田中さんと同じ気持ちで最後まで闘いぬきましょう」との呼びかけを受け、当日の行動を終えていった。
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